たかが殺人じゃないか の商品レビュー
男女共学、学制、戦争の後が色濃くのこる土地や場所、人々の変わりよう、時代を余すことなく書いた作品でした。トリックもたかが殺人じゃないかというタイトルもとてもいいなと思いました。次回作も楽しみです^^
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ミステリランキング3冠。88歳で史上最高齢での受賞作。バイデン大統領より10歳も年上! 作者の辻真先さんというと、私の年代だと鉄腕アトムなどのアニメの脚本家のイメージがある。1932年に名古屋生まれる。ということで、作中の高校生(新制)たちと同じ。当時の名古屋の様子とか新制...
ミステリランキング3冠。88歳で史上最高齢での受賞作。バイデン大統領より10歳も年上! 作者の辻真先さんというと、私の年代だと鉄腕アトムなどのアニメの脚本家のイメージがある。1932年に名古屋生まれる。ということで、作中の高校生(新制)たちと同じ。当時の名古屋の様子とか新制高校の雰囲気などは、自身の体験を元に書いているのだろう。 本書は那珂一兵が探偵役を務める<昭和ミステリー>シリーズの第2作なのだが、第1作の「深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説」を読みたくなった。登場人物が重複しているらしい。今月文庫版が出るとのこと。
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昭和24年、戦争が終わり男女共学が施行された時代。その中で起こる事件を描いた青春ミステリ。 今の時代に生きる人にとっては遠くなってしまったこの時代の雰囲気が余すところなく描かれている印象です。今なら当たり前に思えることがそうでなかったり、その逆もあったり。それでも好きなものに関し...
昭和24年、戦争が終わり男女共学が施行された時代。その中で起こる事件を描いた青春ミステリ。 今の時代に生きる人にとっては遠くなってしまったこの時代の雰囲気が余すところなく描かれている印象です。今なら当たり前に思えることがそうでなかったり、その逆もあったり。それでも好きなものに関して嬉々としてしまう学生たちの姿はいつの時代でも変わらないのかな。彼らの姿は見ていて微笑ましくなります。巴先生も実にカッコいい! 事件の謎、様々に仕込まれたトリックも印象的だけれど。それ以上に動機の部分が深いなあ。タイトルの意味もずんと重くのしかかりました。なるほど、これはこの時代のこのタイミングであったからこそ起こりえた事件なのですね。そして悲しい事件ではあったのだけれど、結末部分のあの遊び心溢れる部分にはほっとさせられました。あの趣向は実に素敵。
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- ネタバレ
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最後で声出た。 最高齢でのこのミス1位。タイトルも好きだなぁと思ったので早速読んでみました。 いやほんと、最後の最後で、「ああ!」ってめっちゃ声出たわ。そこはミステリ的なトリックというより、話の作りとしての仕掛けだったんだけど、いやほんと、うまい。きれい。好きです。最後の一行というわけではなかったけど、最後の部分を読むために代金を払った小説だった。理想的なパターン。 途中に読者への挑戦状じゃなくて質問状が入ってたけど、まあどうせ分からないので真面目に考えませんでした。ミステリとしてのトリックは、密室殺人のほうはけっこう好きですね。大掛かりで。家のつくりが全然想像できてなかったから思いもつかなかったけど。死体を上から転がすってのは好き。 解体殺人のほうはね、最初の生首が生首じゃあない可能性に気づけたら、提示されてない第三者が入り込まない限り犯人がしぼられるじゃん、たったひとりに。時間的にできたのがひとりだから。だからまあ、このひとだろうなってのは分かるんですよね。ただ、首以外をばらした理由がよく分からんなぁって。首だけをばらしたら気づかれるから? あと、犯人が最後自分で探偵呼んで犯行を暴かせた理由もよく分からん。自白で十分じゃん? 凶器の位置まで告げればいいじゃん。いや、自白じゃだめだ、みたいなことは言ってたけどさ。探偵兼犯人だっていいじゃん。説得力に欠けるなって。 まあそれはそれとして、ほんとおもしろかったので、シリーズ一作目のほうも買って読んでみようと思います。
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事件発生、探偵の登場、関係者が一同に介しての推理ショーとまさに王道すぎる推理小説。戦後の名古屋の空気感がとてもリアル。小説書くのに年齢は関係ないと思うけど、それでもやはり88歳の作品というのはそれだけで滲み出る成熟感がある。 私的にはタイトルの「たかが殺人じゃないか」という台詞を...
事件発生、探偵の登場、関係者が一同に介しての推理ショーとまさに王道すぎる推理小説。戦後の名古屋の空気感がとてもリアル。小説書くのに年齢は関係ないと思うけど、それでもやはり88歳の作品というのはそれだけで滲み出る成熟感がある。 私的にはタイトルの「たかが殺人じゃないか」という台詞を誰が吐くのかを楽しみに読んでいました。なのでこの台詞がちゃんと出てきたときは一安心してみたり。 そして最後の終わり方が遊び心があって良かった!
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2つの殺人事件と青春小説って感じです。 途中で答えを考えさせるところがあってそこまでで解ける感じなのかな。 ちなみに分かった部分と分からなかった部分がありました。 面白かったし読みやすいのですが、時代が時代だからなので仕方が無いのですが口調などが昔の小説っぽかったり、説明が不足し...
2つの殺人事件と青春小説って感じです。 途中で答えを考えさせるところがあってそこまでで解ける感じなのかな。 ちなみに分かった部分と分からなかった部分がありました。 面白かったし読みやすいのですが、時代が時代だからなので仕方が無いのですが口調などが昔の小説っぽかったり、説明が不足しているのか殺人現場の立体構造がイマイチ分かりにくかったです。あと、名前がニックネームと名字と名前がごっちゃで出てくるので誰が誰だったかなと悩みながら読んでました。 昭和12年の方は読んでなかったのですが、一応続編だったんですね。まぁ、そういうことがあったよ、とさらっと出てきただけなのでネタバレはありませんでしたが。
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最初は淡い青春物かと思うストーリー。なかなかトリックが明かされず最後に一気に。ミステリーというか戦後の混乱期の雰囲気も感じられるお話でした。
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昨年のミステリランキング3冠達成。 那珂一兵シリーズ第2弾だが単独で読んでも大丈夫。 終戦直後、男女共学になった高校で推理研と映研が合同で一泊旅行へ出かける。しかしそこで密室殺人事件に巻き込まれ、さらに首切り殺人まで‥ なにより終戦による混乱と価値観の変遷、それに翻弄される人々が...
昨年のミステリランキング3冠達成。 那珂一兵シリーズ第2弾だが単独で読んでも大丈夫。 終戦直後、男女共学になった高校で推理研と映研が合同で一泊旅行へ出かける。しかしそこで密室殺人事件に巻き込まれ、さらに首切り殺人まで‥ なにより終戦による混乱と価値観の変遷、それに翻弄される人々が描かれた風俗小説として素晴らしい。タイトルや犯人が不可能犯罪を企てた動機もこの時代ならではのもので、なるほどと思ったが、トリックはちょっと浮いている気はする。 個人的には3冠というほど高評価ではないが、当時のリアルを知っている著者にはこのシリーズをどんどん書いてほしい。
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著者は、NHK勤務後、アニメや特撮の脚本家として活躍してきた愛知県生まれの88歳。本作は著書が経験した戦後の混乱期にある故郷を舞台にした推理小説である。 学生改革で633制になった昭和24年、名古屋市内の旧制中学を卒業後、たった一年だけの男女共学の高校生活を送ることになった風早勝...
著者は、NHK勤務後、アニメや特撮の脚本家として活躍してきた愛知県生まれの88歳。本作は著書が経験した戦後の混乱期にある故郷を舞台にした推理小説である。 学生改革で633制になった昭和24年、名古屋市内の旧制中学を卒業後、たった一年だけの男女共学の高校生活を送ることになった風早勝利。彼はミステリー作家を目指し推理小説研究部の部長を務めていた。顧問の勧めで勝利たち推研部は映画研究部と合同で修学旅行代わりの小旅行に湯谷温泉へ出かけるが、そこで、密室殺人事件が起きる。さらに名古屋に帰った夏休み最終日の夜、彼らは、キティ台風が襲来する中で学園祭に向けた準備中、首切り解体殺人事件に巻き込まれる。警察もお手上げの難事件解決に向け、途中から探偵役が現れ、最後に犯人を含む全員を一堂に集めて、トリックをひとつひとつ解き明かしていく。この点は極めてオーソドックス、古典的であり新味はない。また、学生たちのあっけらかんとした軽い言動にいささか違和感も感じた。だが、犯行動機が明らかになる場面では、背景として、戦時下、人命認識についての悲しくも重い現実がひしひしと伝わり、重みのある作品であることを実感した。タイトルの意味するところも正しくここにあるといえる。 初めての男女共学、進駐軍と売春婦、闇市、皇国教育から突然の民主化への切り替え、学校での硬派と軟派など混乱の中で、新旧の価値観があちこちで衝突する当時の様子がよく描かれているのもさすがである。
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この作品がミステリー3冠達成って言うのはどうだろう。そんなにミステリーを読んでいないから何とも言えないけど、悪くはないけどこの作品でいいのだろうか? 辻真先さん88歳、私の父親と同年代の方がその青春時代を描いた作品で、外国映画や推理小説が好きだった父親が生きていたら、その話題が...
この作品がミステリー3冠達成って言うのはどうだろう。そんなにミステリーを読んでいないから何とも言えないけど、悪くはないけどこの作品でいいのだろうか? 辻真先さん88歳、私の父親と同年代の方がその青春時代を描いた作品で、外国映画や推理小説が好きだった父親が生きていたら、その話題がいっぱいのこの作品を喜んで読んだだろう。推理小説としてのトリックなど、なんとなく突っ込みどころ満載のような気もするけど、88歳の方が昭和24年という時代を描いた風俗小説としては、光が当たってもいい作品かも。 最後まで読み終えると、「たかが殺人」の意味を知ると共に、もう1度最初の1ページを読みたくなりますね。
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