少年と犬 の商品レビュー
静かな感動というか、ジーンとくる作品です。 人間と犬の友情、信頼関係を強く感じられました。犬を飼いたくなりますね。
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一気に読んでラストは泣いた。 ダークな印象の馳星周が動物ものなんて…と思ったけど持ち前のダークさも健在で、昔読んだ馳作品も史実が織り込まれてきてたな、と思い出した。 一匹の犬が南へ向かう物語。その先々で出会う様々な境遇の人々。彼らはこの犬との出会いによって何か変われたのか、変われ...
一気に読んでラストは泣いた。 ダークな印象の馳星周が動物ものなんて…と思ったけど持ち前のダークさも健在で、昔読んだ馳作品も史実が織り込まれてきてたな、と思い出した。 一匹の犬が南へ向かう物語。その先々で出会う様々な境遇の人々。彼らはこの犬との出会いによって何か変われたのか、変われなかったのか。そしてこの犬も何かを得たり失ったりしてるんだろーか。 マワリクドクなく久々にどハマりした小説。直木賞サイコー。
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連作短編集。それぞれ出会う人たちの抱えているものが、1匹の犬によって慰められたり救われたりするストーリーはありがちだと思っていたが、予想を裏切られる展開だった。 犬については、躾も行き届いていて、言葉も完璧に理解しているようだし、現実にいたら驚くほど。とはいえ、シェパードの血を...
連作短編集。それぞれ出会う人たちの抱えているものが、1匹の犬によって慰められたり救われたりするストーリーはありがちだと思っていたが、予想を裏切られる展開だった。 犬については、躾も行き届いていて、言葉も完璧に理解しているようだし、現実にいたら驚くほど。とはいえ、シェパードの血を引くその容姿や超然とした雰囲気は作者さんのセンスを感じるし、この犬でなければダメだとも思う。それから表紙も素晴らしい。 読んでいて思ったのは、私たちには寄り添ってくれる存在が必要だということ。話を否定せずに聞いてくれて、温かく、一緒にいてくれる。そんな存在に出会えた登場人物は、置かれている境遇は大変なものだったが、本当に救われる思いがしただろう。
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連作短編6編 多聞と光の奇跡のような出会いまでの旅をその時々の人間との関わり情愛とともに綴った物語.セラピードッグというけれど,もっと深い魂の絆のようなものを感じさせる.困難な状況でいつも多聞を助けてくれた人間たちの最後が多聞と出会うことで幸福なものであったことも,何か多聞の持っ...
連作短編6編 多聞と光の奇跡のような出会いまでの旅をその時々の人間との関わり情愛とともに綴った物語.セラピードッグというけれど,もっと深い魂の絆のようなものを感じさせる.困難な状況でいつも多聞を助けてくれた人間たちの最後が多聞と出会うことで幸福なものであったことも,何か多聞の持っている力,存在の意義の証明のようだ.
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イッヌ... もしもこの先の人生、我が家に犬を迎えることがあったら「多聞」という名前をつけたい。(という人続出してると思う) あらすじを読んで「そうか、犯罪に手を染めようとする男が犬と触れ合って改心するって感じかな?」と読み始めたら全然違ってウケた。 これはあくまで1...
イッヌ... もしもこの先の人生、我が家に犬を迎えることがあったら「多聞」という名前をつけたい。(という人続出してると思う) あらすじを読んで「そうか、犯罪に手を染めようとする男が犬と触れ合って改心するって感じかな?」と読み始めたら全然違ってウケた。 これはあくまで1つめの物語のあらすじで、中身は連作短編集。 傷つき悩む人のもとを渡り歩く多聞が最終的に行き着くところとは? 「どうかこの人といつまでも一緒にいてあげてほしい」と思いながら、多聞が目指す場所も気になる。 最後の物語は表題の「少年と犬」。 喫茶店で涙流して読みました。 多聞がどんな犬なのか、それぞれの物語で描かれた性格や仕草でわかりやすく伝わってくる。 作者の馳星周さん、本当にワンちゃん好きなんだろなあ。 いい意味でアッサリしてる文章、というかテーマが重たい部分でもスラスラ読ませてくれる文章。 「犬を愛するすべての人に捧げる感涙作!」と謳われていますが、あまり犬と関わってこなかった人にも是非届いてほしい1冊です。
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一匹の犬をバトンのようにして、必ずしも幸せとはいえない人達をつないでいく。それだけでも読み応えがあるのに最終章でガツンと畳み掛けられた。こういう作品が賞を取るなら納得。
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一気読み。 馳作品は、多分初読み。この著者には、ハードで暗いイメージを持っていたが、思った以上に感動的。 我が家も犬を飼っているが、多聞と比べると情け無くなるほど、出来がわるい。でも、戯れてくるだけで癒される。読み終わった後、いつまでも元気でいろよと、我が家の犬を撫でた。
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「少年と犬」 馳星周(著) 2020 5/15 第1刷発行 (株)文藝春秋 2020 7/25 第4刷発行 2020 8/8 読了 どんな不可思議な出来事も創る事が可能な文学の世界。 たとえば… 宇宙大戦のさなか、敵の首領が父親で 惹かれ合うのが妹だとか… そんな突飛な...
「少年と犬」 馳星周(著) 2020 5/15 第1刷発行 (株)文藝春秋 2020 7/25 第4刷発行 2020 8/8 読了 どんな不可思議な出来事も創る事が可能な文学の世界。 たとえば… 宇宙大戦のさなか、敵の首領が父親で 惹かれ合うのが妹だとか… そんな突飛な縁を苦笑いしながらも ぼくたちが受け入れられるのは この不思議な縁の力を信じているからだろう。 この物語の登場人物たちも不思議な縁に救い救われしていく。 その創作物に心を揺らし涙するのは ぼくたちも奇跡のような縁の内にいるからだろう。 馳星周らしい不穏で不幸な匂いを漂わせながら ひとすじの光を感じさせる 素晴らしい作品でした。 第163回 直木賞受賞作。
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第5章「老人と犬」まではイヤミス的な展開を見せる。 多聞が何故、南へ向かおうとするのか謎を残したまま(徐々に明らかになりながら)。 そこまでの流れでは多聞は「守護神」と言うより「死神」みたいな印象。 それが最後の章「少年と犬」で一転。感動系のストーリーに早変わり。 見事だけど、先...
第5章「老人と犬」まではイヤミス的な展開を見せる。 多聞が何故、南へ向かおうとするのか謎を残したまま(徐々に明らかになりながら)。 そこまでの流れでは多聞は「守護神」と言うより「死神」みたいな印象。 それが最後の章「少年と犬」で一転。感動系のストーリーに早変わり。 見事だけど、先が読める展開だったかな。 犬は昔飼っていたし好きではあるのだけど、それを足し算しても、個人的には受賞作には当たらない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
東日本大震災で被災した家族が飼っていた犬が多聞(たもん)。シェパードと和犬の雑種で、人懐こく賢い犬である。迷い犬となった多聞がいろんな人と生きながら、ある少年の元へと辿り着く物語。6篇の連作短編集であり、それぞれ多聞との出会いから別れまでが描かれる。多聞のじっと同じ方角を向く行動など、多聞の意志の強さを感じる。意志は表題作の「少年と犬」で明らかになる。多聞の意志も強かったのだろうが、少年の多聞への思いも相当強いものだった。そんな心の繋がりが距離を越えて繋がる。いい話である。
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