ハイパーハードボイルドグルメリポート の商品レビュー
人は皆、飯を食う。善悪を越えた、生きるためのこの行為を通して、この世界の正体を容赦なく暴き出すような異色の「グルメ番組」。テレビ東京で不定期に放送されていた深夜番組を、企画から撮影・編集まで一手に担うプロデューサー自らが3年かけて書籍化。 ほんの十数年前まで凄惨を極める内戦が繰...
人は皆、飯を食う。善悪を越えた、生きるためのこの行為を通して、この世界の正体を容赦なく暴き出すような異色の「グルメ番組」。テレビ東京で不定期に放送されていた深夜番組を、企画から撮影・編集まで一手に担うプロデューサー自らが3年かけて書籍化。 ほんの十数年前まで凄惨を極める内戦が繰り広げられていた、リベリアの元少年兵たちが住む廃墟。本省人と外省人、ふたつの相反する台湾マフィアの組織が集う高級レストラン。シベリアン・イエスとよばれる教祖のもとに集う、ヴィッサリオン教徒たちが作った町。そしてケニア最大のゴミ山「タンドラ・ゴミ集積場」。 インパクトある画を求めて行くには危険すぎ、冷やかしで行くには命がけすぎ、好奇心に駆られて行くには無謀すぎる。そんな現地人も恐れて近付かない危険地帯に、だいたい現地ガイドを伴うだけでのこのこと乗り込んで取材されたそれは、さながらブラック版「突撃!隣の晩ごはん」。弾丸フル装備のロシアンルーレット風味。 誰も彼もが目を逸らして、臭いものに蓋をして、都合の悪いものを見ないふりをして、理解できないから存在しないもののように扱う。そんな「ヤバい世界に棲む人々」に密着取材するだけでなく、彼らの普段の食事を見せてもらい、分けてもらい、一緒に食べる。すると彼らは、決して裏の世界でいきているわけじゃなく、私たちと同じ世界に生きている人たちに変わる。一体なにが表でどこからが裏かなんて、誰にも分らないし決められない。 単に番組を書籍化したというものではない。「テレビ番組」としての枠に入りきらず、放送できなかったたくさんの、そしてこちらのほうこそが肝要な、取材開始当初からの著者の目的・思考・現地で起きた様々なハプニングなどを余すところなく盛り込んだ、この本こそが『ハイパーハードボイルドグルメリポート』完全版なのだ。 「人を殺したことがある?」と訊かれれば、真っ直ぐに「あるよ」と答え、「今、幸せ?」と訊かれれば、「あなたに会えたから幸せ」と答える。そんな人たちが貧困のどん底で毎日お腹を空かせて仕事を求めて、必死に生きている場所を「ヤバい世界」で片づけて画面越しに眺めている方が、よほど「ヤバい」のではないか。 取材からすでに数年が過ぎた。著者と飯を分け合ったみんなは、今、元気でいるんだろうかと切なく思いを馳せる一冊。
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映像見て本読んで、映像見て本読んで。 ケニアの虹のとこで、なんかボロボロ泣けてきた。 水曜のSpotifyも聞いてる。
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カメラと比べて文章には作者のロマンチックなところがすごく出ている。そういう意味でも、あとがきにあるようにカメラは暴力なのだと思った。個人的にはカメラの方が好き。 飯の写真くらいはすべて載せて欲しかった。
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アマプラで知ったテレ東の番組、ハイパーハードボイルドグルメリポート。 本もあるということで読んだが、これは番組の裏話と言うより、立派な旅行記。沢木耕太郎と並ぶと思う。表現が豊かで実際の光景、気持ち、飯の味がありありと浮かぶ。 番組がおまけに思えた。
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動物は生きるために食べる。当然ながら人間も動物。食べるという行為は、貧困、暴力、宗教など人間が置かれている背景をいったん不可視化し、人間はその行為に没頭する。地球上のすべての命に善悪や優劣はなく、ただの生物であることを認識させられる。
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とても面白い。読後に読み足りないと思わせる一冊。 読んだ後に番組を見れば更に面白い。 言葉は悪いが見せ物小屋を覗いてお終いではなく、今この人たちはどうしているんだろう?生きているのか?と考えさせられる。 感情を動かされる非常に良いルポだと思う。
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テレビ東京の番組ロケで出会った海外のヤバイ飯と出会う前の苦労を描くドキュメント。人肉を喰らう人を探してリベリア、マフィアと食う豪華な中華は台湾、カルトのいるロシア、ゴミの山から売れる物を拾い集めるケニア。 まさにヤバすぎる飯の数々。極端に治安の悪いリベリアとゴミ山から出る有害物...
テレビ東京の番組ロケで出会った海外のヤバイ飯と出会う前の苦労を描くドキュメント。人肉を喰らう人を探してリベリア、マフィアと食う豪華な中華は台湾、カルトのいるロシア、ゴミの山から売れる物を拾い集めるケニア。 まさにヤバすぎる飯の数々。極端に治安の悪いリベリアとゴミ山から出る有害物質を食う牛や豚の登場するケニアが特に印象深い。自分の薄っぺらい常識など吹き飛んでしまった。
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ロシアの宗教団体のくだりからどんどん筆致に熱が加わってきたように思った。単なる興味本位のダークツーリズムではなく、ショッキングな状況にどう向き合えばいいのか、テレビ番組をつくるとはどういうことなのか、葛藤し続ける筆者の人間くささも魅力なのだろうな。
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物足りない! かなりの厚さの本ですが、読み終わってもまだまだ読み足りないなと思いました。 元々テレビでのハイパーハードボイルドグルメレポートを見てました。映像にもかなりインパクトは有りましたが、本でもその衝撃は損なわれることなく、ディレクターの上出さんが感じたことなどが書かれてい...
物足りない! かなりの厚さの本ですが、読み終わってもまだまだ読み足りないなと思いました。 元々テレビでのハイパーハードボイルドグルメレポートを見てました。映像にもかなりインパクトは有りましたが、本でもその衝撃は損なわれることなく、ディレクターの上出さんが感じたことなどが書かれていて読み始めると止まりません。 想像に限界があるので写真が多いと良いなとも思いましたが、その分はYouTubeで補われているので良いかもしれません。 世の中には自分が知っている以外の世界が広がっているということを考えさせられました。 物見遊山の海外旅行記ではなく、本当に危険なところに入り込んで取材してきているのが凄いなと思いました。 真似しないで下さいと書かれてますが、頼まれても真似しません(笑)
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単純に凄いと思った。 世界のどこかにこういう人たちがいることを知れて面白かった。ただ行く機会は人生でないと思う。
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