白の闇 の商品レビュー
改行も少なく文字びっしり、セリフに「」なし、 登場人物に名前なし、という出逢ったことのない本だった。 にもかかわらず、誰のセリフかちゃんと分かり、表情や仕草も想像でき、 まるで映画を見ているように流れるように読めたから不思議。 自分や仲間が生きるために他者を殺すか 他者を殺さな...
改行も少なく文字びっしり、セリフに「」なし、 登場人物に名前なし、という出逢ったことのない本だった。 にもかかわらず、誰のセリフかちゃんと分かり、表情や仕草も想像でき、 まるで映画を見ているように流れるように読めたから不思議。 自分や仲間が生きるために他者を殺すか 他者を殺さないために自ら死を選ぶか。 何もかも変わってしまった世界で、 自分自身の内側を見て、 何が正解で自分は何をすべきか決めなければならない。 キリスト教の世界観も感じることができる本だった。
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伝えたい事は分かるんだけど 単純に読んで面白かったか、有意義な時間を過ごせたか?と聞かれれば、つまらなかった という感想になる 突然目が見えなくなったら、それも1人を退き 世界中の人間が。となれば まぁあの通りになるでしょうね 翻訳された本特有の言い回しや 「」もなく、行間もなく、登場人物は名前ではなく特徴で書かれているので、とても読みにくい 淡々としているので、先が気になって読む手が 止まらない!という事もなかった ただ、あの様に始まった物語をどの様に終わらせるのかに興味があり、 頑張って最後まで読んだ感じ でも、あっさりしすぎて拍子抜け やっぱり最初でやめて他の本を読めば良かった
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ここまで重い本を読んだのは初めてかもしれない。タイタニックの映画の後半みたいな感じが 丸ごと1冊分、という感じ。 「見えない」世界で1人だけ「見える」というのは 実際には誰かと一緒にいても孤独だろうなと思う。何かを分かち合うことって共感できるだけじゃなくて、安心感も得られるんだと...
ここまで重い本を読んだのは初めてかもしれない。タイタニックの映画の後半みたいな感じが 丸ごと1冊分、という感じ。 「見えない」世界で1人だけ「見える」というのは 実際には誰かと一緒にいても孤独だろうなと思う。何かを分かち合うことって共感できるだけじゃなくて、安心感も得られるんだと気づいた。 本書の設定はまああり得ない(と信じたい)けど、パンデミックに陥ることは今後もあるだろうし、ここで描かれた残虐で醜い場面は起こりうるんじゃないかと思うと恐ろしい。。 2008年に映画化されているらしいけど、観る勇気は全くありません。 本書は登場人物に名前がなく、会話に「」がないので非常に読みづらい。目が見えないということは、誰が誰と判断しにくいからわざとそういう演出にしているのか?と思ったけれど、ポルトガル生まれのジョゼ・サラマーゴさん特有のスタイルだそうです。 文字数が多くて読みにくい時、私は自分の中に古舘伊知郎さんを召喚して早口で読んでもらう、という技を使います。一気に読めるので是非。
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突然失明する感染者が慢性。隔離された病院では、まともな食事、排泄、清潔が保たれず、自尊心を失っていく。極限状態に追い詰められた時の暴力性や、崩壊していく日常は生々しく、恐怖がこびりつく作品だった。翻訳の言い回しは慣れない。
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最初の1ページから、これは面白いぞ!という予感。「」のない台詞も、違和感なく、というか、むしろ引っ掛かりがなくて流れるように読めた。時々、あれ?これは誰が言っている?となる時もあったけれど。 眼の見えない人々の(時々滑稽にも見える)動作が、まるで演劇や映画を見ているように、読んでいる私の目に浮かんでくる。医者の妻を通して伝えられる嗅覚や触覚の表現も、とてもリアリティを持っている。レイプや殺人のシーンがあまり具体的でなかったのはよかった。もし他と同じように描かれていたらちょっとトラウマになりそうだ。 暗いけれど、なんだかんだで悪人は粛清されていき、最後は人々の眼が突然見えるようになっていき話は終わる。 眼が見えるという土台の上にこの社会が成り立っていることがよくわかった。では、眼が見えない人の社会というのは、どういう可能性があり、どう構築されるのか、結局そこまでは描かれなかったが、それは読者が考えることなのかもしれない。
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翻訳された本の独特の言い回しが苦手で海外の本は読まなかったけど帯に惹かれて購入。 改行なし、セリフも「」なしで最初挫けそうだったけど続きが気になり無事読了。 コロナのパンデミックを思いながら。 同じ状況になったら、人間の尊厳を保てるのだろうか。
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運転中の男が突然失明した。目の前に広がるのは漆黒の闇ではなくミルク色の白い闇。車から助け出した男、失明した男を診た医師、待合室の患者たち……失明は次々に伝染して……。ノーベル賞作家の傑作長編→ 怖かった。「地球上のすべての人が目が見えなくなる」と、こんなことになるのか……と、シ...
運転中の男が突然失明した。目の前に広がるのは漆黒の闇ではなくミルク色の白い闇。車から助け出した男、失明した男を診た医師、待合室の患者たち……失明は次々に伝染して……。ノーベル賞作家の傑作長編→ 怖かった。「地球上のすべての人が目が見えなくなる」と、こんなことになるのか……と、ショックを受けた。まさに、文明の崩壊。 最初は隔離された病院内で、そして、街全体に広がる無秩序の世界。 目が見えないと人はこんなにも残酷になれるのか。動物に近づくのかと思ったが、そうじゃない。→ そんな世界でキーになる人物がいるわけで、その人がいるからこの話は進むんだけど。 ラストよ……いやもう、怖い。本当に怖い。 この話の四年後を描く「見えることの試み(原題)」が河出さんで翻訳されているみたいなんで、読んでみたい。あのあとあの人はどうなったのだろう。
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見えない人たちの物語を見ているという感覚がなんとも奇妙だった。 サラマーゴの「」がない文体、わたしは好きでした。
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ある日突然、失明し視界がまるで「ミルク色の海」のように真っ白になる奇病が爆発的に流行する。運転中の男から車泥棒、患者から眼科医へと。 失明者を隔離したものの感染の連鎖はやまず、政府も対策の取れないまま社会機能は麻痺していく。 善意と悪意の狭間で試される、人間の価値とは。 ほと...
ある日突然、失明し視界がまるで「ミルク色の海」のように真っ白になる奇病が爆発的に流行する。運転中の男から車泥棒、患者から眼科医へと。 失明者を隔離したものの感染の連鎖はやまず、政府も対策の取れないまま社会機能は麻痺していく。 善意と悪意の狭間で試される、人間の価値とは。 ほとんどの人が視力を失う奇病にかかった中、ただ一人だけ目の見える眼科医の妻とその周辺人物を中心に、その生き様と秩序の崩壊を描くパンデミック、ディストピア小説です。 映画『ブラインドネス』の原作本。 目が見えなくなることも怖いけれど、周囲が全員目が見えない中、一人だけ視力を失わないというのもまた怖い。 作中の主人公のようなポジションにいる医者の妻は、ただ一人だけ視力を失わない事で、ただ一人その身に責任や秩序、汚穢、罪悪、葛藤などを背負う事になります。 社会インフラや秩序などが機能を失い、食事も届かず汚物に塗れ、そんな中でも冷静に対応を考え、食事を入手し分け与え、仲間を慰め、身を清めてやり、時には罪にその手を汚して。けれど、絶望的な状況に対して所詮たった一人の女性に出来る事はあまりにも小さすぎて、また自分もいつ視力を失うか分からない中、その悩みや苦しみがリアルに描かれています。 こんな状況で医者の妻や周囲の人間が正気を保てているだけでも奇跡的だと思いました。たまたま集まった仲間がみな善性や協調性が高く、冷静かつ論理的思考が出来ただけで、いつ破綻してもおかしくなかった。 もし現実にこんな病が流行ったら、そう思うと恐ろしくて仕方ない。あまりにも壮絶かつ恐ろしい話でした。 原題は日本語訳すると『見えることの試み』となるそうで、実際文体はなかなかに実験的。 作中には会話文を示すかぎかっこもなければ、段落も極端に少なくて、登場人物たちの固有名詞もない。ただ「医者」や「医者の妻」、「サングラスの娘」と呼ばれるのみで、「見えない事」によるパーソナリティの欠落・排除などを表現しているのかなぁと思っていたのですが、あとがきによると少なくとも記号がない事と段落が少ない事はJ.サラマーゴ の普段からの表現方法のようです。 *** 秩序を失った人間の獣性を描く作品はこんなのも。 『蠅の王』ウィリアム・ゴールディング
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とても読み辛かった。台詞に「」が使われないし、段落もない。全体的にのっぺりとした印象になった。 映画を観た覚えはないのに結末だけは知ってた。何故だろう…。物語としては面白かったのでちゃんと映画を観てみたい。
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