白の闇 の商品レビュー
ある日突然、目の前が真っ白になり失明してしまう奇病が発生。 その奇病は伝染し、あっと言う間にパンデミックが起きる。 その状況下ではじめに発症した人々は隔離されるのですが、その状況下で発症してないのに、家族と一緒にいるために発症したと偽った女性がただ、1人、目が見える状況で語...
ある日突然、目の前が真っ白になり失明してしまう奇病が発生。 その奇病は伝染し、あっと言う間にパンデミックが起きる。 その状況下ではじめに発症した人々は隔離されるのですが、その状況下で発症してないのに、家族と一緒にいるために発症したと偽った女性がただ、1人、目が見える状況で語る、壮絶な隔離生活とパンデミック下の街での生活のお話です。 まず、文章的なことを言うと、本書は鉤括弧がなく、ページ一杯にこれでもかというくらい文字が羅列しており、文章としては一見読みづらそうというものなのですが、そんな状況なのに、地文と話言葉の区別、誰が話しているかわかるので、読みづらいということはなかったです。 ただ、この本読んだあとに別の文庫を読むと、鉤括弧、行間のある素晴らしさに感動しましたけど(笑) 本作品は、ゾンビものやパンデミックものが好きな私は物凄く楽しく読めた作品です。 5感のどれか1つでも欠けたら不便であることこの上ないのですが、目が見えなくなるということの辛さ、これは本書に書いている通りの地獄だなと思いました。 これが、ある日自分だけではなく、1人の例外を除いて見えなくなるとどうなるのか、文字は見えないですし、トイレに行くのも大変、食べ物を見つけるにも一苦労などなど生活も大変ですが、更にライフラインが止まると悲劇になります。 この世界を想像しただけで、想像の世界ですが、いかに私達が目を頼りに生きているのか思い知らされます。 また、目が見えない状態ということは、周りからも見られない状況。 そんな中で行われる人間らしさというのはどういうものなのかを改めて考えさせられました。 たとえば、私が作品と同じように目が見えない状況になったとき、はじめはなんとか生きて行こうとするでしょう。身の回りに食べ物や飲み物で食いついないで、なんとかトイレも済ますかもしれません。 しかし、食べ物が尽きて外に探さないといけなくなったらどうするか。 生きるために食物を盗まないといけないかもしれませんし、トイレもその辺で済まさないといけない。 徐々に普段生活しているような状況というものからかけ離れていきます。 そこで、私がとれる方法は2つ。盗みを働いてまで生きたくないから死ぬか、生きのびるためにあらゆる行動をとる。 実はどちらも人間らしい生き方なんだろうなと思いながら、パンデミックのこの世界を通じて、人間らしさとは何なのかを問うた作品なのかもしれない。 私達は常に理想や建前の奥底の本心については常に盲目なのだということを。
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目が見えなくなる伝染病が急速に伝播しパンデミックになる世界。一人、なぜか病に罹らず目が見える女性が主人公。身の危険を感じ、「見える」ことを隠しながら家族や仲間の世話をするのだが、食べ物がない、トイレもいけない、情報も途絶え弱肉強食、世界が無法地帯と成り果てる中、彼女たちは苛烈な状...
目が見えなくなる伝染病が急速に伝播しパンデミックになる世界。一人、なぜか病に罹らず目が見える女性が主人公。身の危険を感じ、「見える」ことを隠しながら家族や仲間の世話をするのだが、食べ物がない、トイレもいけない、情報も途絶え弱肉強食、世界が無法地帯と成り果てる中、彼女たちは苛烈な状態に追い込まれる。 2020年夏に読んだ。Covid19が世界に蔓延してパニック状態だった頃。現実と物語との境界が曖昧になるほどリアルな恐怖を覚えた一冊。傑作。
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始まりはかなり面白くて、読むのが楽しかったのだが、途中から何故か苦痛になってきて、後半はまた、面白く読めた。 自分が失明してしまったら、それはもうものすごい悲しいことだと思うのだけれど、この物語のように、一人を除く全ての人が失明している世界に身を置かれたら、俺はどうなってしまうの...
始まりはかなり面白くて、読むのが楽しかったのだが、途中から何故か苦痛になってきて、後半はまた、面白く読めた。 自分が失明してしまったら、それはもうものすごい悲しいことだと思うのだけれど、この物語のように、一人を除く全ての人が失明している世界に身を置かれたら、俺はどうなってしまうのかな。 会話にカギカッコがなく、段落もないから、かなり読みにくいのだが、なんだかそれはそれで一つの味のようで。 登場人物も、医者の妻とか黒いサングラスの女とか、固有名詞がついていない。こんなの読むのは初めてだったかもな。 最後まで読むと、見えているのに見えていない、という深遠なテーマが通じていたんだな、この小説は。
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あまりにグロテスクでなかなか読み進まなかったが、それが人間の負の部分を表していたのだと読後に納得。それでもやはり自分にはグロテスク過ぎた。見えることが全てではない、見えないから見えるものもある。
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非現実的な恐ろしい状況設定ではありますが、読みながら自分だったらこの状況でどう行動するか、どういう心理状況になるのか、といった想像力を掻き立てられて、他のフィクションの作品を読んだ時の登場人物に感情移入したりするのとはまた少し違った没入感のある作品でした。
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とても面白かった。 最序盤からトップスピードで気が抜けない展開が続く。 登場人物がやや多く、会話に鉤括弧が付いておらず多数の会話が連続して入り乱れるため誰の発言なのか熟読する必要があったが、翻訳を担当した方はもっと大変だっただろうなぁと思った。 残酷なシーンも多いが読み応えがあっ...
とても面白かった。 最序盤からトップスピードで気が抜けない展開が続く。 登場人物がやや多く、会話に鉤括弧が付いておらず多数の会話が連続して入り乱れるため誰の発言なのか熟読する必要があったが、翻訳を担当した方はもっと大変だっただろうなぁと思った。 残酷なシーンも多いが読み応えがあった。 この作品が好きな方は、ハプニング、ブラインドネスといった映画をお勧めします!
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※このレビューにはネタバレを含みます
ある日突然、失明が伝染していく。視界が白の闇に包まれる。 失明も怖いけれど、全ての人が盲目になった世界で一人だけ目が見えているというのも壮絶です。 何も見えない世界で理性を保てるのは、その人自身の理性なのか、やっぱり「彼女には見えている」という“見られている”意識なのか……。 一人だけ失明しない人物である医師の妻は、支援と介護とのプレッシャーも、目の当たりにしている悲惨な世界のストレスも、自分の目もいつか見えなくなるかもしれないという恐怖もかなり強かっただろうと思います。ラストの不穏さも印象に残ります。 地の文と会話文の区別がつけられてない文章で、会話も何人もいるけど誰がどの発言をしているかも書いてないところもありはじめは戸惑いましたが、それでもぐいぐい読まされる力がありました。考えさせられて目が止まる一文もサラッと書いてあって、読む度に深まっていきそうな作品です。 映画「ブラインドネス」も観ました。原作を読み終わる前に観てしまったけれど随分とコンパクト。でも壮絶さはありました。最初に失明した男とその妻を伊勢谷友介さんと木村佳乃さんが演じられててびっくりでしたが不思議としっくりきます。
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・すごく面白く読んで、意気込みながらパソコンでめちゃ感想書いたのに、最後の最後でボタン押し間違えて全部消えて本当に萎えました。 ・新宿紀伊國屋でジョゼサラマーゴが没後100周年なことを知った。
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恐ろしいと思いつつも読み進めずにはいられないほど面白かった!コロナ禍に通じるものがある。著者の他の作品も読んでみたい。
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この手の本や映画はその病に立ち向かう医者や科学者や政治家が主人公というのがほとんど。患者目線の内容は今までなかったのでとても新鮮だった。 このコロナ禍に読むとリアルさが増して人間の恐ろしさを感じた。
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