サル化する世界 の商品レビュー
うーんわかるようでわからないような. 古代の中国史や日本の政治に関する記述など色々知っていて博識であることはわかる.主張もなんとなくわかる. →訂正.読めば読むほど著者の主張の鋭さとポジションのニュートラルさと一貫性を感じる. →しかしふに落ちない話も多いなー なんなんだろう ...
うーんわかるようでわからないような. 古代の中国史や日本の政治に関する記述など色々知っていて博識であることはわかる.主張もなんとなくわかる. →訂正.読めば読むほど著者の主張の鋭さとポジションのニュートラルさと一貫性を感じる. →しかしふに落ちない話も多いなー なんなんだろう 自分で落とし穴を用意しておいて,半ば無理やりでもそこに落とそうとする言い方をしているように見えるところがあるところ? それができたら苦労しない系,例えば共有地の悲劇が起こっていたら自分も共有地を貪りに行かないと”生きていけない”.そんな時に「みんな,倫理的に未来を,他の人のことを考えろ!」と言うのは確かに正しいんだけど,まあ実現はしないよね.と思ってしまうから? 例えば「民主主義」の崩壊の引き合いで「株式会社」の登場を持ち出したところとか.会社ってのは法的に人格が認められた人格でその所有権を分配しているのが株.株主による議決は多数決そのもので民主主義的では...? 「安倍政権が強行採決をする」と言うのもわからない. いや,多数決してるじゃん. 意見が通らなかった方がごねているだけにしか見えないのは自分だけ?あと野党もまともなことも言っているんだろうけど頓珍漢なこと言うところからやめようよ. 自分たちの主張が通らないことを相手のせいにするのは現実を直視できない,観念主義的なものの見方では? と.ここまで書いたけど筆者に見透かされていたようだ→「今の若い人たちは民主主義はただの多数決だと思っている」 ”アメリカ人は久しくソ連を恐れていた,冷戦後はイスラムを恐れていた.そして今は中国を恐れている” →確かに "国民的な同意はない" →自分が感じる違和感は行われたかどうか分からないくらいの論点のすり替えや主語の拡大かな? 外国語学習の意義→異なる文化に触れる.言語は触媒.(日本の英語教育は功利的で異なる文化に触れると言う外国語学習を習得するモチベになる真の目的を全く考慮していない) 教育で利益誘導をすると学習者は学習ではなく最短努力で目標を達成しようとする. →確かに 結婚はリスクヘッジ 分業 学位工場 留学制度は合理的.めちゃ儲かる 性善説システムが一番低コスト(田舎の無人野菜販売VS都会の盗難防止システムにコストをかけたスーパー) ・権限以上 ・顔が見える(保険)
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この著者の評論は好きだ。まともな感性に、ピンと一本筋の通った姿勢が見事だ。どこを切り取っても知性が感じられる、誠に得難い教育者のひとりである。題名には「サル」という惹句を用いて読者の気を引くが、現今の世界のリーダー逹やその仲間を仔細に眺めれば、まさにグローバルなサル化の進展を意識...
この著者の評論は好きだ。まともな感性に、ピンと一本筋の通った姿勢が見事だ。どこを切り取っても知性が感じられる、誠に得難い教育者のひとりである。題名には「サル」という惹句を用いて読者の気を引くが、現今の世界のリーダー逹やその仲間を仔細に眺めれば、まさにグローバルなサル化の進展を意識せざるを得ない。特に米国・日本・英国・フランスなどはその傾向が強く、著者はまだ絶望にまでには至っていない模様だが、評者は既に絶望の域に達している。この本の半ばにはシンギュラリティに至る道筋に触れてもいるが、著者の視点はやはり楽観が勝っているやに思われる。いずれにしろ、各年代の必読書と言える。
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日本の持っている豊かな見えざる資産を狙うハゲタカたちの片棒を担ぐ政治家、無能な官僚たちが日本を衰退途上国に導いている。今ならまだ間に合う、サル化する日本(世界)に対して、警鐘を鳴らしている。
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いろいろな分野について内田さんの考えが書かれている。個人的に賛同するのは教育についてのところ。 評価廃止や市場原理がそぐわないこと、その通りだと思うし、現場でも感じる。
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思想家・武道家の内田樹さんが、現代社会の様々な問題に物申した一冊。ポピュリムズ、民主主義、新元号から中国、週刊ポストまで内容はかなり幅広く雑多だが、いろいろと考えさせられる内容も多く、特に後半でAIについて語られている箇所などは非常に面白かった(最新のガジェット・文化に常に触れ続...
思想家・武道家の内田樹さんが、現代社会の様々な問題に物申した一冊。ポピュリムズ、民主主義、新元号から中国、週刊ポストまで内容はかなり幅広く雑多だが、いろいろと考えさせられる内容も多く、特に後半でAIについて語られている箇所などは非常に面白かった(最新のガジェット・文化に常に触れ続けていないと、あっというまに取り残されて行く時代なんだなーとしみじみ)。
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もともと内田氏の本は好きでよく読むんだけど、ここ最近読んだ内田本の中でも、かなり面白かったと思う。タイトルが刺激的だ、と話題になっているそうだけど、タイトル以上に中身を読み進める中で、あれこれ考えさせられる。 成熟するとは、複雑化すること とか 論理は跳躍する とかね...
もともと内田氏の本は好きでよく読むんだけど、ここ最近読んだ内田本の中でも、かなり面白かったと思う。タイトルが刺激的だ、と話題になっているそうだけど、タイトル以上に中身を読み進める中で、あれこれ考えさせられる。 成熟するとは、複雑化すること とか 論理は跳躍する とかね。 外国語を学ぶ意味は、もっと自由になるためであり、にもかかわらず、今の英語教育はかえって檻に入れられるようになっているので、子どもたちの学習意欲を滅殺するとかさ。 考えさせられる。 面白かった。 自分の仕事を考える上でもね。 教育とは個人ではなく、集団による営みであり、それをファカルティー(教師団)というっていうのは、いろいろ考える手がかりになる。
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エッセイなので読みやすく、また1テーマが短く、軽めなので、空き時間や寝る前にサクッと読めます。 途中、姜尚中さんや堤未果さんなどのお名前が挙がり、学生の頃流行っていたな〜と懐かしくなりました。 真剣に論じる、という感じではないですが、エッセイとしてはとても楽しく読めました。
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『サル化する世界』内田樹 現時点で最新刊。サルとは、朝三暮四の小話で、「朝3つで暮に4つと伝えると憤慨し、朝4つで暮に3つと伝えると喜ぶ」時間感覚のない嘲笑すべき存在である。人間が人間たる所以は、その時間感覚である。未来のことを考えて、今少し我慢するという知性の使い方は、「今」...
『サル化する世界』内田樹 現時点で最新刊。サルとは、朝三暮四の小話で、「朝3つで暮に4つと伝えると憤慨し、朝4つで暮に3つと伝えると喜ぶ」時間感覚のない嘲笑すべき存在である。人間が人間たる所以は、その時間感覚である。未来のことを考えて、今少し我慢するという知性の使い方は、「今」以外の時間や世界について価値を見出すという点で、過去へのリスペクトでもある。サルと人間を分かつのは、その時間への想像力であり、過去は神という形で象徴化されて宗教として人々に伝えられる。人間は、過去という神の下で、抗いえない始原の遅れを痛感し、自らの矮小さを知る。それが、人間にとって「本質」的なことである。時間に行使した想像力は空間にも応用できる。集団にとって守るべき存在とは、老人や子供であるが、それらが守るべき存在であるのは、老人や子供は自らの変容態であるからである。彼らを守ることは、自らを守ることでもある。自らの未来や過去を、空間という次元でプロットしたもの、それが「老人や子供」であり「弱者」である。このような想像力を行使することで、人間は集団を存続させることができる。長くなったが、そういった想像力が欠如し、時間や空間の感覚を持たずに刹那的に生きている人間が多くなった世界が「サル化する世界」である。内田は、この世界において、今一度人間を提唱する。人間たり得ないものが構成する世界に、未来はない。すくなくとも、人間としての未来は。 中でもよかったのは、p93の「気まずい共存について」。選挙演説であるが、いささかヴォルテール的であり、知性への覚悟が感じられる。デモクラシーと多数決は全く異なる概念である。オルテガ・イ・ガセットが『大衆の反逆』でも述べているが、デモクラシーとは、多数決に、「少数派を慮る心」を加えたものである。為政者として、仮にも多数派のトップであるならば、その選挙で少数派となった人々を慮る心がなければならない。さもなくば、それは多数者の圧制となる。だから、意見の対立している相手とも、気まずい共存を受け入れることが、この国でデモクラシーを復権する(これも、一度も現実化したことのない過去かもしれないが)為には、どんな相手に対しても、リスペクトをもって応じ、情理をもって語ることが必要なのである。今の日本の、断絶と自己責任論の横行は、我々の失敗である。自分が失政の一端を担っていると感じる為に、政治に参加しなければならない。沈みゆく船に 、自分の体重がかかっていることを自覚せねばならない。そうして初めて、船を再び引き上げる主体たり得る。 これから、日本は世界的にも新しい、人口減少と高齢化を迎える。この下り坂をうまくおりぬくことが、世界にとって日本が発信するべきベストプラクティスである。その中で、現在、医療や教育に市場の論理が入ることは、憂慮するべきことである。心理学にアンダーマイニング効果という言葉があるが、市場の論理を入れることは、まさしくアンダーマイニング効果をもたらすことであると思う。
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読了。面白かった。人の悪口があるのかなと思ったが、違った。前向きな気持ちになれた。さすが内田先生だと思った。
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【なぜ「幼児的な老人」が増えたのか?】「今さえよければ自分さえよければ、それでいい」という“サル化”が進む社会で、人口減少問題からAI時代の教育まで論じた快著。
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