死にゆく者の祈り の商品レビュー
+++ 囚人に仏道を説く教誨師の顕真。ある日、拘置所で一人の死刑囚が目に留まる。それは、大学時代に顕真を雪山の遭難事故から救った、無二の親友・関根だった。人格者として知られていた友は、なぜ見ず知らずのカップルを殺めたのか。裁判記録に浮かび上がる不可解な証言をもとに、担当刑事と遺族...
+++ 囚人に仏道を説く教誨師の顕真。ある日、拘置所で一人の死刑囚が目に留まる。それは、大学時代に顕真を雪山の遭難事故から救った、無二の親友・関根だった。人格者として知られていた友は、なぜ見ず知らずのカップルを殺めたのか。裁判記録に浮かび上がる不可解な証言をもとに、担当刑事と遺族に聞き込みをはじめた顕真。一方、友として、教誨師として、自分にできることとは何か。答えの見出せぬまま、再び関根と対峙することとなる。想像を絶する、事件の真相とは。そして、死刑執行直前、顕真が下した決断は―。人間の「業」を徹底的に描く、渾身のミステリ長編! +++ 重い題材の物語である。と同時に、熱い思いの物語でもある。教誨師として、僧侶として、友人として、そして一人の人間として、顕真の衝動と行動は、時として規範を外れてはいても、人の道は踏み外していないと思う。かつて命を助けられた友人の、まさに命の瀬戸際で、その真実を明らかにできたことは、奇跡と言っても言い過ぎではないが、さまざまなめぐりあわせと、顕真の熱意によって成し得たことであるのは間違いない。いろいろ考えさせられる一冊だった。
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図書館で、借りました。【教誨師】はじめて目にする言葉に少し躊躇しながら頁めくった。体感は静かにでも内では炎の様に熱く物語を読み進めた。関根の命が救われて良かった。犯人はまさかの、、やっぱり一筋縄では行かない結末の中山さんでした。
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25年ぶりに再会したかつての親友は死刑囚だった。教誨師を勤める僧侶の顕真は、自分の知る親友と事件の様相との齟齬に納得できず、事件について調べ始める。 最初囚人に仏道を説き、死刑囚に寄り添う懐の深そうな僧侶に思えたのに、途中から教誨師としても僧侶としても、何なら社会人としてもどう...
25年ぶりに再会したかつての親友は死刑囚だった。教誨師を勤める僧侶の顕真は、自分の知る親友と事件の様相との齟齬に納得できず、事件について調べ始める。 最初囚人に仏道を説き、死刑囚に寄り添う懐の深そうな僧侶に思えたのに、途中から教誨師としても僧侶としても、何なら社会人としてもどうかと思うほどの顕真の暴走ぶりが痛快で面白い。 こんなお坊さんいるか?と思いながらも、僧侶に相応しくないと罵られようが、人として報いるべきを報いなかったことを後悔したくないという顕真の真摯な姿勢は潔くて格好いい。 前半は少し間延びした感があったけれど、関根の刑の執行が決まってからはタイムリミットサスペンスのようで、果たして間に合うのか、真犯人は誰なのかと、ハラハラドキドキした。 登場人物の少ない中、どこから真犯人を引っ張り出してくるのかと思っていたら、意外なところから…。 どんでん返しの帝王と言われる中山さんらしいと言えば言えるんだけど、確かに伏線は張ってたけれど、ラストはちょっとやっつけ感が否めなかった。
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図書館で借りた本。東京拘置所に教誨師として派遣された浄土真宗導願寺の僧侶の顕真は、囚人達に講話をし、死刑執行にも立ち合う。講話をしていると大学時代、山岳部で一緒に活躍した仲間の関根を発見。関根は死刑囚として拘置所にいたのだが、大学時代の彼は殺人を犯すような人物ではなかった。死刑囚...
図書館で借りた本。東京拘置所に教誨師として派遣された浄土真宗導願寺の僧侶の顕真は、囚人達に講話をし、死刑執行にも立ち合う。講話をしていると大学時代、山岳部で一緒に活躍した仲間の関根を発見。関根は死刑囚として拘置所にいたのだが、大学時代の彼は殺人を犯すような人物ではなかった。死刑囚と教誨師という間柄に変わったが顕真は冤罪の可能性を疑い、死刑執行を望んでいる関根と対決しながら、関根の殺人事件を刑事と再捜査していく。スピーディな展開は良いがオチがイマイチかな。
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2019/11/08 2020/07/29予約 18 僧侶である顕真ののめり込み、警察や拘置所、弁護士などの協力が上手くしてもらえること、案外簡単に自白するところ、やっぱり小説だなと思うところ、多かった。 最後の方はかなりスピーディに進むので、ますますそれはないよ!と思う。 ...
2019/11/08 2020/07/29予約 18 僧侶である顕真ののめり込み、警察や拘置所、弁護士などの協力が上手くしてもらえること、案外簡単に自白するところ、やっぱり小説だなと思うところ、多かった。 最後の方はかなりスピーディに進むので、ますますそれはないよ!と思う。 でも宗教の考え方がちょくちょく出てくるのは、自分にとっても役に立ちそうな気がした。 2日で読了。
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無二の友人は死刑確定囚だった-。囚人に仏道を説く教誨師・顕真は、不可解なカップル刺殺事件の真相を追ううちに、真の救済の意味を知る。人間の「業」を徹底的に描く、ミステリ長編。 タイムリミットサスペンス。刑事裁判の判決文(のスタイル)や浄土真宗の経文はよく調べて克明に描かれている。...
無二の友人は死刑確定囚だった-。囚人に仏道を説く教誨師・顕真は、不可解なカップル刺殺事件の真相を追ううちに、真の救済の意味を知る。人間の「業」を徹底的に描く、ミステリ長編。 タイムリミットサスペンス。刑事裁判の判決文(のスタイル)や浄土真宗の経文はよく調べて克明に描かれている。ただ死刑囚をテーマにした作品としては高野秀明の江戸川乱歩賞作「13階段」のスリリングさには及ばないと思った。主人公の「破戒僧」ぶりは印象的だったけれど、刑務官が協力的過ぎるし、オチにはやや疑問が残るところがあった。 (Ⅽ)
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教誨師として死刑囚と面談する僧侶が出会ったのは、かつての友人であり命の恩人でもある人物。彼が起こしたという犯行に疑問を持ち調査するうちに、彼が無実ではないかという疑念にとらわれてくる僧侶。死刑執行が迫る中、果たして友人の冤罪を晴らすことはできるのか、というミステリ。タイムリミット...
教誨師として死刑囚と面談する僧侶が出会ったのは、かつての友人であり命の恩人でもある人物。彼が起こしたという犯行に疑問を持ち調査するうちに、彼が無実ではないかという疑念にとらわれてくる僧侶。死刑執行が迫る中、果たして友人の冤罪を晴らすことはできるのか、というミステリ。タイムリミットサスペンス的な要素もあって、後半は一気読みせざるを得ません。 僧侶でありながらも迷いを抱えて苦悩する主人公の姿がとても人間らしくて印象的でした。僧侶ってのは何かにつけ達観しているようなイメージがあるし、揺るぎのないものを持っていそうな気がしますが。そりゃあ同じ人間だし、迷って当たり前。頑張れ頑張れと思いながら読みました。 最後の最後ぎりぎりまで粘って、いったいどうオチを付けるのかと思っていたら。こう来たかー! 登場人物があまり多くないので、そういえば候補は限られていたのですが。案外盲点でした。
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いや~、読み応えがある本だった。 所々間延びする感じはあったけど、全体的にワクワクして読めた。 ラスト、ドキドキしたわー。
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囚人に仏道を説く教誨師の顕真。拘置所で目に留まった囚人がいた、大学時代の友人・関根であった。しかも確定死刑囚だという。大学時代、山岳部に属し、命を救ってもらったこともある。そんな関根が罪を犯すとは思えず、教誨師としての仕事の枠を超え、関根の罪の真相に迫ろうとする。 ただのミステリ...
囚人に仏道を説く教誨師の顕真。拘置所で目に留まった囚人がいた、大学時代の友人・関根であった。しかも確定死刑囚だという。大学時代、山岳部に属し、命を救ってもらったこともある。そんな関根が罪を犯すとは思えず、教誨師としての仕事の枠を超え、関根の罪の真相に迫ろうとする。 ただのミステリーだけでなく、死刑囚の心のうち、死刑ついて、死んで償う意義が述べられ、この本も社会派ミステリーでありました。最後の方は、破壊坊主そのものになっているし、急展開すぎる感がありますが、教誨師としての自分と友としての自分の心中、最後の救えるかどうかのところは読み応えがありました。教誨師の仕事、死刑囚のこと、仏教での教え、初めて知る面もあり深かったです。いやしかし …僧侶とか教誨師とかに思えぬ主人公であったかな。
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著者には珍しくあまり毒のない友情物語。死刑囚と教誨師という関係から浄土真宗の教えも全面的に出しているが底が浅い。お得意のどんでん返しはまあまあだが、全体的に低調な出来。中山氏だからこそ辛めで評価2.
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