1,800円以上の注文で送料無料

死にゆく者の祈り の商品レビュー

3.5

82件のお客様レビュー

  1. 5つ

    11

  2. 4つ

    23

  3. 3つ

    40

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2023/02/20

死刑囚と教誨師の話。 入り込むまで時間がかかったけど、最後はすっきりした終わり方だった。 山登りてー!寺行きてー! となった。 犯人は、、んー、そうくるよね、という人。 膾炙 全然使ったことない語句。

Posted byブクログ

2023/02/15

死刑囚に仏の道を説く教誨師の高輪顕真が主人公。 拘置所で目にした一人の死刑囚・関根要一は、大学時代に顕真を雪山の遭難事故から救ってくれた恩人であり親友だった。 顕真は真実を求め、当時の担当刑事・文屋と共に行動を起こし始める。 袈裟を纏って、本業よりも事件を優先し動き回る主人...

死刑囚に仏の道を説く教誨師の高輪顕真が主人公。 拘置所で目にした一人の死刑囚・関根要一は、大学時代に顕真を雪山の遭難事故から救ってくれた恩人であり親友だった。 顕真は真実を求め、当時の担当刑事・文屋と共に行動を起こし始める。 袈裟を纏って、本業よりも事件を優先し動き回る主人公は、文中に時折出て来る「破壊坊主」その者だ。 けれど死刑執行までのカウントダウンに顕真の熱い想いを感じ、冤罪かも知れぬ死刑執行に心が掻き乱される。 事件の真相その物はあっさりとしていて浅さを感じたが、真の救済とはどういう事なのか突き付けられた。

Posted byブクログ

2023/02/04

浅い所かも知れないけど葬式や仏教の考え方も興味深く読めたし、何よりストーリーの運びが絶妙だった。 これで完成形なんだろうけどその後が結構気になった

Posted byブクログ

2022/12/29

 執行室前で一時間を切った。死刑囚堀田は、刑務官に「嫌です。俺、まだ死にたくありませんっ」  教誨室から戻った顕真は執行を待つ。刑務官に両腕を押さえられながら、執行室の露と消える。「嫌だあっ」顕真は無意識のうちに合掌する。  自分(顕真)が教誨を担当した囚人の醜態を見せられるの...

 執行室前で一時間を切った。死刑囚堀田は、刑務官に「嫌です。俺、まだ死にたくありませんっ」  教誨室から戻った顕真は執行を待つ。刑務官に両腕を押さえられながら、執行室の露と消える。「嫌だあっ」顕真は無意識のうちに合掌する。  自分(顕真)が教誨を担当した囚人の醜態を見せられるのはこれが初めてではない。  本来宗教は生きる者のためにあるべきだが、死直前の人を教えられないことに対して絶望を覚える。浄土真宗本願寺派の僧侶が岐阜監獄での教誨を許されて、我が国の監獄教誨が始まった。  拘置所に派遣された顕真は、頭に思い描いていたことと現実との乖離にひどく当惑した。囚人の死刑執行立ち会いもその一つだった。  或る日顕真は、集合教誨を頼まれ講師として登壇し、講話を始めた。  囚人の中に気になる人物を見つけ、田所刑務官に尋ね、関根要一であることがわかった。「ヤツは死刑囚ですよ。五年ほど前、一組のカップルを殺害して死刑判決を受けました」。顕真は自分の耳を疑った。  その関根と顕真は「大学時代の同期」で山岳サークルの仲間だったのだ。三人で雪の剱岳山頂を目指したところ、天候の読み間違いで、猛吹雪に遭い進むべき道さえわからず立ち往生してしまい一人は風に飛ばされて足を骨折し歩けなくなった。  生命が脅かされる局面になると、人は仮面をかなぐり捨て本性を現す。そんな局面においても関根は危機であるにも拘らず柔和に笑い洒脱さと、勇気を決して忘れなかった。  あの男と組んでいなかったら間違いなく雪の中で骸となっていただろう。  その関根は今、囚人として目の前にいる。講話が終わったあと導願寺に帰り、パソコンで調べたが隔靴搔痒だ。自供の信憑性と警察の捜査過程、公判の審理についての記事は、それほど多くは見当たらなかった。しかも、風采が上がらない国選弁護士で一審の判決で死刑判決が出たまま控訴していない。  日本の検察が起訴すれば、99.9%有罪になる。それだけ警察の捜査能力が優れているというが、有罪の中に冤罪が含まれている可能性もある。  しかし、一介の御坊が真実を知るために捜査をするわけにはいかない。寧ろ越権行為も甚だしい。当時の取調べ担当の調書を書いていた刑事が、協力してくれることになり物語が進んでいく。  現世に生きる者の幸福のため、死刑囚が宗教的な救いを得ても、行政罰(死刑)は回避できない。それは執行までの短い間だけしかない。期間付きの幸福に、どれだけの価値があるのか。それなら長さに拘るよりも一日一日の充足に心を注いだ方が、はるかに建設的だ。  死刑囚の希望者に、教誨により殺される運命の者の心を平安にする。大義は立派だが、生命の尊さ罪悪感を目覚めさせた上で殺すのは、別の意味で残酷ではないのか。  どんなに悔いても罰だけが残る。現行法下では、他人の命を奪った者は命をもって償うしかないのだ。  読書は楽しい。

Posted byブクログ

2022/09/09

魅力的な登場人物が織り成すストーリー。お経の文字の羅列にクラクラしたり、教誨師という耳馴れない職業がすーっと頭に入ってきた頃合いを見計らってどんどん物語が加速してくる。ラストの畳み掛けるような展開には本当にハラハラさせらっぱなしで、作者の思うツボなのだろう。 人生を償うことは何な...

魅力的な登場人物が織り成すストーリー。お経の文字の羅列にクラクラしたり、教誨師という耳馴れない職業がすーっと頭に入ってきた頃合いを見計らってどんどん物語が加速してくる。ラストの畳み掛けるような展開には本当にハラハラさせらっぱなしで、作者の思うツボなのだろう。 人生を償うことは何なのだろうと終始考えさせられた作品だった。

Posted byブクログ

2022/09/09

「命の恩人は死刑囚だった。」ゾッとさせるような表紙のイラストと教誨師という聞き慣れない存在に興味を持ってこの本を手に取ったのですが、出会えてよかったです。特に印象深かったのは、終盤での怒涛の展開。終始目が離せませんでした。関根の再審請求まで少しというところで死刑の執行が迫ってきて...

「命の恩人は死刑囚だった。」ゾッとさせるような表紙のイラストと教誨師という聞き慣れない存在に興味を持ってこの本を手に取ったのですが、出会えてよかったです。特に印象深かったのは、終盤での怒涛の展開。終始目が離せませんでした。関根の再審請求まで少しというところで死刑の執行が迫ってきていて、あまりのやり切れなさに涙が出ました。最終的には間に合って良かったです、ここでも安心して涙が。笑 あとは登場人物ひとりひとりが魅力的だと思いました。他人のために自分の犠牲を厭わない人、仕事への信念を曲げない人、恩人を信じて奮闘する人、、それぞれが色んな過去を抱えながら生きる姿に強く心を動かされました。そして、死刑制度の可否についても改めて考えさせられる作品でした。

Posted byブクログ

2022/09/02

中山七里『死にゆく者の祈り』。拘置所で囚人に仏の道を説く教誨師顕真。大学の同期で命の恩人である死刑囚関根に出会う。淡々と死刑を待つ関根だが、過去と現在の彼のあまりの落差に、捜査、裁判の過程に疑問を持ち当時の担当刑事とともに真相を追う。彼がかばっていたのは?そして真犯人は?終盤怒涛...

中山七里『死にゆく者の祈り』。拘置所で囚人に仏の道を説く教誨師顕真。大学の同期で命の恩人である死刑囚関根に出会う。淡々と死刑を待つ関根だが、過去と現在の彼のあまりの落差に、捜査、裁判の過程に疑問を持ち当時の担当刑事とともに真相を追う。彼がかばっていたのは?そして真犯人は?終盤怒涛の展開が…

Posted byブクログ

2022/08/08

死刑囚に対する教誨師として務める男が、死刑囚になった大学時代の命の恩人と再開し、冤罪をはらすため奮闘しながら真実を模索するミステリー。 まず出だしの死刑執行の場面で息を飲むほどの苦しさを感じる。その後に同級生と対峙するため、「もし死刑が執行されてしまったら…」の恐ろしさがより浮...

死刑囚に対する教誨師として務める男が、死刑囚になった大学時代の命の恩人と再開し、冤罪をはらすため奮闘しながら真実を模索するミステリー。 まず出だしの死刑執行の場面で息を飲むほどの苦しさを感じる。その後に同級生と対峙するため、「もし死刑が執行されてしまったら…」の恐ろしさがより浮き上がる。 仏教用語や法律用語がたくさん出てくるのがやや読みにくくて途中頭に入って来づらいところもあったけど、お話は面白く最後は一気読み。

Posted byブクログ

2022/07/14

これはすごかった。中山さんのもはや定番と言っても差し支えない刑事ものかと思えば、教誨といえば最後の最後の贖罪を促す見送り。その形に悩む教誨師顕真が偶然に出会った死刑囚は…。 教誨師、刑務官、刑事とそれぞれの現場でそれぞれに与えられた職務を粛々と進めることしかできないなかで、どう動...

これはすごかった。中山さんのもはや定番と言っても差し支えない刑事ものかと思えば、教誨といえば最後の最後の贖罪を促す見送り。その形に悩む教誨師顕真が偶然に出会った死刑囚は…。 教誨師、刑務官、刑事とそれぞれの現場でそれぞれに与えられた職務を粛々と進めることしかできないなかで、どう動くのが正解なのか!? 踏み外した行動で得る利益、失うものいやそれよりなすべきこと、とは。 初めての視座で楽しめました!!

Posted byブクログ

2022/05/28

とても面白く、心打たれた。上質のエンターテイメントだと思う。人物が皆魅力的。誤りを認めることができない、冤罪の可能性があったとしても引き返さない司法に恐怖を覚える。

Posted byブクログ