縁 の商品レビュー
3月-4。3.0点。 連作短編。各短編に登場人物が2-3名。各編主人公が前作のひとりで、数珠つなぎのような構成。 間違いを犯しそうになり、踏みとどまりというような流れ。 どれも等身大の「ひと」を描き、面白い。
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[登場人物] 室屋忠仁 春日真波 田村洋造 国崎友恵 [感想] それぞれの物語がつながっていく。 縁というタイトルにふさわしく、その繋がりが面白く、登場人物たちにも共感を持てて、サクッと読むことができた。 終わり方も良かった。 普段、人との繋がりを意識することは少ないが、...
[登場人物] 室屋忠仁 春日真波 田村洋造 国崎友恵 [感想] それぞれの物語がつながっていく。 縁というタイトルにふさわしく、その繋がりが面白く、登場人物たちにも共感を持てて、サクッと読むことができた。 終わり方も良かった。 普段、人との繋がりを意識することは少ないが、どこかで誰かと繋がっている感覚を感じることができる。
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著者らしい作品だと思います。 特に秀でた能力があるわけでもなく、逆にものすごく劣った所があるわけでもない、いわゆる「どこにでもいそう」な登場人物たち。 彼等のする選択も、それこそ「誰もがやりそう」なことですが、こういったところを読者に違和感を与えずに描き切るところは凄いと思います...
著者らしい作品だと思います。 特に秀でた能力があるわけでもなく、逆にものすごく劣った所があるわけでもない、いわゆる「どこにでもいそう」な登場人物たち。 彼等のする選択も、それこそ「誰もがやりそう」なことですが、こういったところを読者に違和感を与えずに描き切るところは凄いと思います。 人は良かれと思ってやったことが上手くいかなかったり、思わぬところで気づかずに他人に影響を与えたりしていることが多々あるのだと思いますが、「真っ直ぐに(自分でできることを精一杯に)生きていけば、いい事があるかもしれない」と思わせてくれる物語でした。 そうそう、案外、世の中は狭いのだよね、とも気づかせてくれる、本当にありそうな物語。 ラストシーンは少し都合が良すぎるようにも感じましたが、これくらいの救いはあってもいいのだと思います。心地よい読後感で、仕事に疲れた大人にもオススメです。
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人と人との不思議なつながり。たまたま出逢ってそれきりの人であっても回り回ってその時のことが救いになる瞬間、意識すらしていないような一瞬のことがのちに意味を与えてくれる。誰とどこでつながっているかわからないほど小さく縁。うまくいかない日に出逢う縁、そこから始まる新たな一歩。そういう...
人と人との不思議なつながり。たまたま出逢ってそれきりの人であっても回り回ってその時のことが救いになる瞬間、意識すらしていないような一瞬のことがのちに意味を与えてくれる。誰とどこでつながっているかわからないほど小さく縁。うまくいかない日に出逢う縁、そこから始まる新たな一歩。そういうなにが起きるかわからないような、どこで出逢うかわからないようなことを逃さずにいたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ものすごく当たり前のことなんだけど。誰かの人生の中ではほんの少しかかわりのあっただけの人にもその人の物語があって、その人の物語の中ではまた誰か通りすがりの人にもその人の物語があって。 そういう、少しずつ重なった人生の物語たちが遠くから見ると大きな円になってつながっているんだな。 私の物語は私にしか見えないものがあるわけで、それは隣から見たらちょっと別の見え方がすることもある。そいう当たり前のことをあたりまえじゃないと思ってしまうといろいろ生きづらくなることもある。 5つの物語のそれぞれの人生の中にある、こんなにたくさんの人と人のつながり。 嫌なこととか腹の立つこととか、そんなこんなもちょっと引いて見たら別の見え方がするかも。 小野寺さんの紡ぐ物語にはちっぽけなのにおおきな何かが埋め込まれている。それをひとつひとつ拾い集めて読んでいくのがとても気持ちいい。
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本屋大賞2位を取った「ひと」を読んだが、市井で暮らすちょっと運の悪い人々の暮らしを描いたものだった、スケールが小さくはあったが読んで悪い気はしなかった。本作も市井で暮らすちょっとツキがない人々ばかりの話だが、そこで小さな幸せを求めている人々が愛おしい。他の分野は書けるのかな?
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連作短篇集。 少年サッカーのコーチをしていたリペアショップ店員、学生時代のパパ活の相手に再び連絡を取った人材派遣会社の女性社員、離婚した妻が引き取った息子を心配する印刷会社の係長、就活中の息子を助けてあげたいバツイチの母。 それぞれの章の登場人物が少しずつ繋がっている。 メイ...
連作短篇集。 少年サッカーのコーチをしていたリペアショップ店員、学生時代のパパ活の相手に再び連絡を取った人材派遣会社の女性社員、離婚した妻が引き取った息子を心配する印刷会社の係長、就活中の息子を助けてあげたいバツイチの母。 それぞれの章の登場人物が少しずつ繋がっている。 メインキャストの室屋は、著者の作品にありがちな良い奴。 それ以外の章の主人公達が、少し癖があり、道を外しそうになりますが、最後はきちんと軌道修正するあたり、小野田作品らしくてホッとしました。 室屋は最後、彼女とうまくいくのかなと思わされる終わり方でしたが、いつかそこも、どこかの作品で後日談として紹介されるといいなと願います。
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道を踏み外す人を見守る本は多いですが、そのまま転落するか、転落した後で這い上がるかどちらかに分類されると思います。この本はどちらでも無いです。 小野寺流の人間を肯定的に見る視線で、登場人物に対しているのが分かります。 誰もが少し自分が間違っていると感じていて、このままいくと望んだ...
道を踏み外す人を見守る本は多いですが、そのまま転落するか、転落した後で這い上がるかどちらかに分類されると思います。この本はどちらでも無いです。 小野寺流の人間を肯定的に見る視線で、登場人物に対しているのが分かります。 誰もが少し自分が間違っていると感じていて、このままいくと望んだ人生ではなさそうだし、年々ずれが大きくなって元いた場所に戻る事すら出来ない。 それでも日々は続いていくし、大事なものが無い訳でも無い。後悔は沢山あるけれど、今までの道のりにも愛しい時間は有った。 そんな一人一人の何気ない日々が、少しずつ重なり合う瞬間を描いた連作です。 結構ハラハラする所も有ったりで、小野寺氏の本としては異例の雰囲気も感じます。それでも充分のどかなんですけどね。 やはり結構好きな作家さんだなと、読んでいてとても感じます。
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短編だが、それぞれ話は繋がっている。一つ一つの物語から、人物の心情が伝わってきて面白い。ただ、最後だけ、伏線が回収しきれていなく、終わり方が少し物足りなかった。
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荒川沿いに住んでいるので、河川敷のあのサッカー場だなと場面が浮かび、現実にあった話であるかのごとく読み進めてしまった。 皆誰だって自分勝手で自己中心的だ。 自分の都合のいいように世の中が回ってほしいと思っている。 だから自分の価値観に合わない行動にいらつき、自分はさておき他人の...
荒川沿いに住んでいるので、河川敷のあのサッカー場だなと場面が浮かび、現実にあった話であるかのごとく読み進めてしまった。 皆誰だって自分勝手で自己中心的だ。 自分の都合のいいように世の中が回ってほしいと思っている。 だから自分の価値観に合わない行動にいらつき、自分はさておき他人の自己中な態度に嫌悪感を覚える。 自己完結できることなら都合のいい言い訳を考え自分を正当化すればいいが、社会生活をしている限り親や子を含め他人がからむ厄介ごとに出くわす。 そしてどうすべきか、少しだけ感情的になったときに小さな選択の間違いが生じる。 その場の勢いで間違った方向に進んでしまうこともあれば、冷静になれる時間や誰かの一言によって踏み止まることもある。 この物語では、間違った方向に一歩足を踏み出してしまうが、深みにはまる前に踏み止まることが連鎖的に起こり終了するので読後感は良かった。 本書のおもしろい所は、ある場面の会話が次の話では主役と脇役の立場が変わって繰り返されること。 それぞれが主役の立場で綴られているので、併せると会話中の互いの気持ちや思惑の絡み合いが浮き彫りになる。 この会話部分を楽しむために読む(読み直す)のもいいかも。
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