時間は存在しない の商品レビュー
量子重力理論物理学者の目から見ると、わたしたちの住んでいる空間というものは、わたしたちとはひどく違って見えるのだということを知った。
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極力数式を用いることなく、私たちが普段認識している時間のあり方をとことん疑った本。 ループ量子重力理論について初めて知ったため、途中、理解するのが難しかったですが、最後に解説があったため、少し理解の助けになりました。
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ループ重力論の大家による啓蒙書で、宇宙と物質の構造を突き詰めていくと時間などと言うものは存在しないのだ、と言うことを述べているようだが、僕には読んでもわからなかった。 宇宙の始まりの時点でエントロピーがかなり小さかったことがわかっていて、エントロピー増大の過程が大域的には時間の進...
ループ重力論の大家による啓蒙書で、宇宙と物質の構造を突き詰めていくと時間などと言うものは存在しないのだ、と言うことを述べているようだが、僕には読んでもわからなかった。 宇宙の始まりの時点でエントロピーがかなり小さかったことがわかっていて、エントロピー増大の過程が大域的には時間の進行に見える、と言うとこのようだが、そう言われてもねぇ。
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ある方から「永遠の今を生きる」ことの重要性を説かれ、以来、「時間とは何ぞや」が秘かなマイ・ブームになっています。ただ、いくつか読んでもサッパリわからず、この本も全てわかったのかと言わると少々心許ないのですが、読後感のご紹介まで。 低い場所にいるよりタワーマンションのてっぺん...
ある方から「永遠の今を生きる」ことの重要性を説かれ、以来、「時間とは何ぞや」が秘かなマイ・ブームになっています。ただ、いくつか読んでもサッパリわからず、この本も全てわかったのかと言わると少々心許ないのですが、読後感のご紹介まで。 低い場所にいるよりタワーマンションのてっぺん(高い場所)にいる方が、時間の流れが速いとあります。これは、重力が時空のゆがみによって生じるので、時間もこれに応じることとなり、「相対的」なものというのは、図柄で説明されてわかりやすかったです。 それから、時間はエントロピーの問題だとなって心折れかけ、著者が読み飛ばしてもよいという第9~10章の技術論を乗り越え、ようやく頂上に登った感のある圧巻は第11~12章。時間とは「記憶」であることを、デカルト、アウグスティヌス、フッサール、ハイデガー、プルーストなどを引用しながら考察します(そして、記憶がアイデンティティーの源であり、苦しみの源でもあるとも)。特に、フッサールの考えを図式化したものには溜息が出ました。時間の哲学的な考察については、この2章が白眉の出来で、ここだけ読んでも十分価値ありと思います。 それにしても、こうした本が売れるというのは嬉しい限りです。本年もよろしくお願いいたします。
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『時間は存在しない』というタイトルにまず驚いて手に取った。時間の経過だと思ってたのはエントロピーの増大の結果を人がそう感じていただけなのか。 物理学に親しみのない私でも著者の噛み砕いた文章でどうにか読みきれたのがとても嬉しい本だった。数式がほぼ出てこないのもありがたい。 ΔS≧0...
『時間は存在しない』というタイトルにまず驚いて手に取った。時間の経過だと思ってたのはエントロピーの増大の結果を人がそう感じていただけなのか。 物理学に親しみのない私でも著者の噛み砕いた文章でどうにか読みきれたのがとても嬉しい本だった。数式がほぼ出てこないのもありがたい。 ΔS≧0だけは覚えた。
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読むのにほんまに時間かかった 時間の粒子的な考え方とか、数式を用いず哲学や古典も絡めて説明しているのが新鮮だった
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一箇所以外数式を使わない平易な表現で、「時間」が存在しないというか、「時間の流れ」というものは人間の認識というか見方に従っているだけだ、ということを述べています。 通常の感覚からは受け入れられない「時間が存在しないこと」を、感覚では受け入れられないことは認めながら、たくさんの例を...
一箇所以外数式を使わない平易な表現で、「時間」が存在しないというか、「時間の流れ」というものは人間の認識というか見方に従っているだけだ、ということを述べています。 通常の感覚からは受け入れられない「時間が存在しないこと」を、感覚では受け入れられないことは認めながら、たくさんの例を出して丁寧に説明しています。博識です。 ループ量子重力論という言葉すら知らなくても、核心の考え方は理解できると思います。 物理学というよりは哲学の本という感じでした。ビートルズの歌が出てくる物理学の本はこの本ぐらいでしょう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
時間について、物理学の視点から歴史を踏まえて、分かりやすく書いていて、とても楽しい内容でした。 初心者も、知識のある人も引き込まれる構成になっていて、著者の文才と、読み手への優しさを感じました。 とても面白い部分として、熱力学とエントロピーを持ち出し、太陽系というか、地球というか、限られた系の中で一律化している時間という概念を要素分解する視点に驚きました。 学生時代の勉強が多少あるので、話が面白くて、グングン読み進んでしまいました。早く次を読みたくてたまらなくなる、のめり込みを久しぶりに体験したところです。
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著書はループ量子重力理論という理論物理学者。時間という存在の定義、思い込みから、それを支える重力理論を古典、ニュートン的物理学からまずは説明する。古典側では時間が前提として初めから存在しているが、それがもたらす帰結としてのエントロピーの増大則であり、また熱力学の第二法則を説明する...
著書はループ量子重力理論という理論物理学者。時間という存在の定義、思い込みから、それを支える重力理論を古典、ニュートン的物理学からまずは説明する。古典側では時間が前提として初めから存在しているが、それがもたらす帰結としてのエントロピーの増大則であり、また熱力学の第二法則を説明する。 我々に染み付いてる時間(概念)とは、以下の通り。 五感などを通じて見たり感じたものをどんどんニューロンに記憶していき、その記憶の断片から動的に作りあげられる過去、という構成物をよすがとする脳の癖がある。断片をいくつか取って連続的に間を埋めていく。これは予測を生む。 予測は現在として認識する像にもなる。この場合現在として認識した像(視覚的画像に限らず、音、匂い、触感、味など各種感覚を総合した全部)は、各センサーで感じ取ったものを事実上像として結び認識させるまでの処理が必要なので、我々が通常認識している過去から続く時間感覚でみても、過去分の像を結ぶ、ということになる。「現在」はこうして作られている。なおこの認識は、石田英敬・東浩紀共著による「新記号論」から、意識とは身体から得た信号のループバック処理により得られる、とのイメージがあったのですぐ類推できた。 また字義通り未来への予測ともなる。過去の像を結んで出来た「現在」と、その他過去の断片から、未来を予測する。因果律とはその習性の事である。 予測は、生物として捕食者などによる危険を察知し生き延びる為に持った機能。こうして今見たもの、感じたもので現在を作り上げる。過去から続く順序を持って。こうして順序が出来上がり、原題は"The Order of Time"というくらい、順序が過去から現在、未来へと続く一本の矢が出来上がってしまうことから、時間とは各出来事を自身の予測機能で結びつけた、一方向性を持つ連続的な「ひとつの出来事系(集合)」であり、人間の、ニュートン的科学観の認識の上でのみ実在するもの、という事のようだ。 また出来事は離散的に発生すると考えられるし、現在の科学(主に量子物理学)ではそれは証明されているとも主張する。連続性は人間の思惑で立てた道具とも言っている。連続性さらにその元となる稠密性(全ての要素間には必ず任意の要素、または要素を中心とした範囲を持つ空間(=開集合)が存在するという定義。数学、とりわけ位相空間論等で定義されている主要定義)は、恐らく不動点という単語も使っていたので、著者も認識していると思う。 この連続性、ひいては稠密性は、人間生得的な嗜好の表れかと思っていたが、やはりニュートン的科学観を選好して思い込んでいた事による、意識的な選択により得た「ひとつの見方」だったと言えるのだろう。 著者は理論物理学の分野だけでなく、神経科学、脳科学などの諸分野の知見も取り入れ、時間という概念を持つに至った経緯を解きほぐす。そして何より哲学分野からの引用も多く、観念論に拘泥する事に気をつけながら、あくまで俗人的でなく反証可能な「科学」としての検証を続けていく。この、既存の科学観、科学哲学から離れ俯瞰して見られる背景に対して、やはり著者がピッツバーグ大学で科学哲学の教鞭を取っていることは、その強力な証左だろう。 既存の科学哲学は絶対でなく、デカルトからガリレオ、そしてニュートンになって形成されてきた、実験室での検証をそのまま現実に当て嵌める、あくまでひとつの科学観だというのは、「デカルトからベイトソンへ」のモリス・バーマンが説いていた。アメリカ国籍だがアメリカ、ヨーロッパ、ひいてはメキシコなどの様々な国で教職に就いていた著名な研究者、批評家でもあったので、ロヴェッリもバーマンの主張を当然知っていたと考える方が自然だろう。
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