時間は存在しない の商品レビュー
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最近「量子論」という言葉をよく聞くが、それはとらえどころのないもので、「揺らぎ」などという、今までの物理法則では理解出来ない世界へと誘われる。 この本もそのとらえどころのない世界がテーマを扱っている。「時間は存在しない」という。そんな目が点になるタイトルに惹かれ読んでみたが・・・...
最近「量子論」という言葉をよく聞くが、それはとらえどころのないもので、「揺らぎ」などという、今までの物理法則では理解出来ない世界へと誘われる。 この本もそのとらえどころのない世界がテーマを扱っている。「時間は存在しない」という。そんな目が点になるタイトルに惹かれ読んでみたが・・・。 最終章の「時の起源」を読んで、天才的な能力を持っている著者もある意味、一般人同様、人として生きることに、『記憶。そして、郷愁。わたしたちは、来ないかも知れない未来を切望する。このようにして開かれた空き地ー記憶と期待によって開かれた空き地ーが時間なのだ。それはときには苦悩のもとになるが、結局は途方もない贈り物なのである』という思いを吐露してくれていて、心から安堵感を覚えた。 『本から』 ボルツマンの理解 過去と未来の違いは、運動の基本法則のなかにはない。自然の深遠な原理のなかに存在するわけではないのだ。それは自然な秩序の喪失であり、この結果、状態は個性を失い、特別でなくなる。 ボルツマンは、私たちが世界を曖昧な形で記述するからこそエントロピーが存在するということを示した。エントロピーが、じつは互いに異なっているのに、わたしたちのぼやけた視界ではその違いがわからないような配置の数〔状態数〕を表す量であることを証明したのだ。つまり、熱という概念やエントロピーという概念や過去のエントロピーの方が低いという見方は、自然を近似的、統計的に記述したときにはじめて生じるものなのだ。 最初の問いに戻ることにしよう。「現実」とは何か。何が「存在」しているのか。「この問いは間違っている」というのがその答えだ。この問いは全てを意味し、何ものをも意味しない。なぜなら「現実」という言葉は曖昧で、意味がたくさんあるからだ。 (略) 現代のほとんどの言語では、動詞に「過去」、「現在」、「未来」の活用がある。だがこのような語法は、この世界の現実の時間構造について語るには不向きなのだ。なぜなら現実は、もっと複雑だから。 この世界には変化があり、出来事同士の関係には時間的な構造があって、それらの出来事は断じて幻ではない。出来事は全体的な秩序のもとで起きるのではなく、この世界の片隅で複雑な形で起きる。ただ一つの全体的な順序にもとづいて記述できるようなものではないのだ。 場は、素粒子、重力量子ーむしろ「空間量子」と呼ぶべきかーといった具合に粒のような形で現れる。これらの粒状に振る舞う基本的なものが空間を埋め尽くしているのではなく、これら「空間量」が空間を形作っているのだ。いやむしろ、これらの相互作用のネットワークがこの世界の空間を生み出しているというべきなのだろう。これらは時間のなかに存在しているのではなく、絶えず作用し合っており、その間断ない相互作用によってのみ存在する。そしてこの相互作用こそがこの世界における出来事の発生であり、時間の最小限の基本形態なのだ。時間は、元来方向があるわけではなく一直線でもなく、さらにいえばアインシュタインが研究したなめらかで曲がった幾何学の中で生じるわけでもない。量子は相互作用という振る舞いを通じて、その相互作用においてのみ、さらには相互作用の相手との関係に限って、姿を現す。 ここにある硬い大理石のテーブルも、わたしたちが原子レベルに縮めば、霧のように見えるはずだ。この世界のすべてのものが、近くで見るとぼやける。山は厳密にはどこで終わり、平野はどこから始まるのか。砂漠はどこで終わり、サバンナはどこから始まるのか。わたしたちはこの世界を大まかに切り分け、自分にとって意味がある概念の観点から捉えているが、それらの概念は、あるスケールで「生じている」のだ。 以下、略。
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宇宙全体に共通な「今」は存在しない。すべての出来事が過去・現在・未来と順序付けられているわけではなく、部分的に順序付けられているにすぎない。世界を記述する基本方程式に、過去と未来の違いは存在しない。過去と未来が違うと感じられる理由はただ一つ、過去の世界が私たちのぼやけた目には「特...
宇宙全体に共通な「今」は存在しない。すべての出来事が過去・現在・未来と順序付けられているわけではなく、部分的に順序付けられているにすぎない。世界を記述する基本方程式に、過去と未来の違いは存在しない。過去と未来が違うと感じられる理由はただ一つ、過去の世界が私たちのぼやけた目には「特殊」に映る状態だったからだ。エントロピーの増大が私たちのヒトとしての視点からの、この世界の近似の近似なのだ。 いろんなSFって、宇宙に共通の時間が流れているというのが、大前提だったのでは。三体とか、この先どうなるんでしょう。
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興味があったので読んでみた。 仕事疲れの頭で読んだせいか、全然頭に入ってこない。 2ページ読むと寝落ちの繰り返し。 うーん、一旦断念して、長期休暇で時間が確保できる時にじっくりと読み直すことにしよう。
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ループ量子重力理論のリーダーである、カルロ・ロヴェッリ博士の「時間は存在しない」を読了しました。 最先端の物理学が解き明かす時間の本質。 「この短い人生はさまざまな感情の間断ない叫びにほかならない。感情の叫び、それは美しく輝いている。あるときは苦痛の叫びとなり、あるときは歌と...
ループ量子重力理論のリーダーである、カルロ・ロヴェッリ博士の「時間は存在しない」を読了しました。 最先端の物理学が解き明かす時間の本質。 「この短い人生はさまざまな感情の間断ない叫びにほかならない。感情の叫び、それは美しく輝いている。あるときは苦痛の叫びとなり、あるときは歌となり。そして歌は、時間の認識なのだ。それが、時間だ。」 最後にこう結ぶ著者の生への歓喜。我々のいるのは、エントロピーが増大する極めて特別な世界。極めて狭小な窓からそれを認知した人間の脳に残った過去という痕跡。人間が、記憶を通じて時間を認識するから、四苦八苦が生まれる。という悟り切った結論に止まらないのが、本書の素晴らしいところだと感じ入りました。
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※このレビューにはネタバレを含みます
時間は存在しない 著作者:カルロ・ロヴェッリ 極めて独創的で現代物理学が時間に関する私たちの理解を壊滅させていく様を紹介してます。 タイムライン https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
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時間は外から与えられた絶対的なものだと認識していた。カレンダーや時計で計測でき、客観的なものとして自分の生活を管理しているように思っていた。本書は、そんな常識に対して物理学の権威の著書が疑問を呈し、物理学および哲学の観点から時間の認識を考察している。 過去から未来にエントロピーが...
時間は外から与えられた絶対的なものだと認識していた。カレンダーや時計で計測でき、客観的なものとして自分の生活を管理しているように思っていた。本書は、そんな常識に対して物理学の権威の著書が疑問を呈し、物理学および哲学の観点から時間の認識を考察している。 過去から未来にエントロピーが上がっていると思われるのは、我々が過去のエントロピーが低いという特殊な判断をしたからである。この意味で、過去は物理学では存在せず、現在も定義できない。一瞬は流れ続けるので、我々は現在を泡のような存在で定義している。 特殊な判断で過去を作り、現在を定義したことで、時間という概念を我々は作った。過去から未来への時間の流れを記憶によって繋ぐ事で、人はアイデンティティを手に入れた。過去の出来事を記憶から思い出し、解釈をつけ、今の自分の思考を形成し、未来の選択肢を予想しているのだ。 時間は本来は存在しないし一様に流れるものでは無いが、時間は過去から未来への一方向に流れるというフィクションを人類は共有することで、個人のアイデンティティ、そして集団の意志を形成することに成功した。 物理学の観点だけでなく、哲学の観点からも時間について考察しており、とても面白かった
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題名はシンプルだが、内容はものすごく、深い。 時間とは、常に変化することなく進んでいくものだと思いがちだ。 物理学も、ニュートンの考える、他の影響を全く受けることなく、何もしなくても進む「固定された時間」が存在することを前提に、進められていた。 しかし、どうもそうではないらし...
題名はシンプルだが、内容はものすごく、深い。 時間とは、常に変化することなく進んでいくものだと思いがちだ。 物理学も、ニュートンの考える、他の影響を全く受けることなく、何もしなくても進む「固定された時間」が存在することを前提に、進められていた。 しかし、どうもそうではないらしいことが、現代物理学において、わかってきた。 時間は、出来事の連続であり、起こっている間に時間の流れを"感じる"ことができる。 すなわち、私たちが考える「時間」とは、主観的な感覚を定量化したものなのだ。 この本では、現代物理学、特にアインシュタインが予想した一般相対性理論を起点に、やがて、プラトン、アリストテレスなどの哲学の分野にまで話が展開されていく。 無学な私でも、わかりやすく説明されていて、また、日本語訳もかなりこなれていて、読みやすい。 ただ、内容としてはかなり難しい上に、実感がわかない。これはおそらく、使っている言語が、過去・現在・未来の時間軸に縛られているからのように思える。 最後に、話は人生観へと繋がる。 自分が信じているもの、特に自分の価値観に関わるようなものが崩れたとき、何を軸に生きていけばよいのか。 思うに、時間という基準があるからこそ安心できていたのだ。 足場を失った今、我々はどうすればよいのだろうかー。 いや、そもそも、最初から足場なんてないのかもしれない。 タイトルに惹かれるものがあるならば、間違いなく読んでみることをお勧めする一冊。
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