1,800円以上の注文で送料無料

罪の轍 の商品レビュー

4.2

253件のお客様レビュー

  1. 5つ

    95

  2. 4つ

    99

  3. 3つ

    36

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2019/11/14

莫迦呼ばわりされながら礼文島で漁師手伝いをする空き巣犯の青年。元時計商の撲殺事件と小児誘拐事件。 容疑者、警察、やくざ、被害者、新聞記者など関係者のリアリティが圧巻。吉展ちゃん事件をモチーフにしているだけあって、誘拐事件捜査のバタバタ、東京オリンピック前年という時代背景も相まって...

莫迦呼ばわりされながら礼文島で漁師手伝いをする空き巣犯の青年。元時計商の撲殺事件と小児誘拐事件。 容疑者、警察、やくざ、被害者、新聞記者など関係者のリアリティが圧巻。吉展ちゃん事件をモチーフにしているだけあって、誘拐事件捜査のバタバタ、東京オリンピック前年という時代背景も相まって濃密な描写のストーリーだった。 19-117

Posted byブクログ

2019/11/12

『吉展ちゃん誘拐殺人事件』がベースになっているのかな? 昭和30年生まれの私には、既視感のある作品だ。

Posted byブクログ

2019/11/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

犯人が覚醒してからが、怖い。 何を考えているのか? ゾクゾクする怖さがあった。 厚いし重いし、持ち運ぶのが大変だけど、文庫本になるまで待たなくてよかった。そう思えた一冊です。

Posted byブクログ

2019/11/11

奥田英朗作品は初めて読んだが、面白かった。 1963年の「吉展ちゃん誘拐殺人事件」がモチーフになっているというが、認識していなかったので、新鮮な気持ちで読めた。 奇怪な事件や突飛なトリックがあるわけではないが、グイグイ引き込まれていく。 刑事たちの執念が、生き生きしたキャラクター...

奥田英朗作品は初めて読んだが、面白かった。 1963年の「吉展ちゃん誘拐殺人事件」がモチーフになっているというが、認識していなかったので、新鮮な気持ちで読めた。 奇怪な事件や突飛なトリックがあるわけではないが、グイグイ引き込まれていく。 刑事たちの執念が、生き生きしたキャラクターで描かれる 重厚な人間ドラマ。 緊張が続く展開だが、町井ミキ子が登場するとすこしホッとしたり。 そして、もちろん犯罪は憎むべきものだが、犯人のことを思うと、せつなさも募る。 当作品と同時代が舞台になっている奥田作品『オリンピックの身代金』も読んでみようと思う。

Posted byブクログ

2019/11/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

時間を忘れて小説に没頭する幸せ。 内容的には決して愉快なものではなくむしろ悲惨。 ハッピーエンドでもなく、どこに気持ちの落としどころを持っていけばいいのにかわからない。 ひと言でいえば宇野寛治の罪の轍を追っている小説なんだけど、寛治もまた被害者の一面もある。 軽微な窃盗くらいならまだしも、吉夫ちゃんも里子も殺してたなんて。どっかで寛治はそこまではやってないと信じたかったのに。 この際だから人生を狂わされた、継父を最後に寛治の思い通りにさせてあげたかった。 警察内部のこともよくわかった。

Posted byブクログ

2019/11/08

11月-4。4.0点。 東京オリンピックの直前、東京で6歳児の誘拐事件が。 吉展ちゃん事件がモデルと思われる小説。 警察の執念の捜査、犯人の運の良さ等、丁寧に描かれる。 面白い。600ページ弱、一気読みした。さすが。

Posted byブクログ

2019/11/05

文庫になるまで待とうと思ったが、どうにも気になって単行本を購入。 一気読みしてしまった。まわりから「莫迦」よばわりされていた寛治は、善悪の区別もうまくつけられないのか、次々と犯罪に手を染めるが、生い立ちをさかのぼってみると、ひどい境遇であることがわかる。最近、読む本でいつもつくづ...

文庫になるまで待とうと思ったが、どうにも気になって単行本を購入。 一気読みしてしまった。まわりから「莫迦」よばわりされていた寛治は、善悪の区別もうまくつけられないのか、次々と犯罪に手を染めるが、生い立ちをさかのぼってみると、ひどい境遇であることがわかる。最近、読む本でいつもつくづく感じるのは、小さいころ育った境遇というのは人格に大きいな影響をあたえるのだな。教育って大事だな、ということです。

Posted byブクログ

2019/11/04

舞台は前回の東京オリンピック前年、そう、まさに56年前の今頃。今しかないこのタイミングで読んだこのミステリ。 今年読んだ中で断トツでした。おい、面白過ぎるやろ。 今しがた読み終えたばかりで心震えている西野カナ状態です。本当にデアエテヨッカタ。 当時電話が普及した頃から増えたとい...

舞台は前回の東京オリンピック前年、そう、まさに56年前の今頃。今しかないこのタイミングで読んだこのミステリ。 今年読んだ中で断トツでした。おい、面白過ぎるやろ。 今しがた読み終えたばかりで心震えている西野カナ状態です。本当にデアエテヨッカタ。 当時電話が普及した頃から増えたという身代金誘拐事件が今回のベース。そう言えば身代金誘拐事件というのを小学生の頃非常に恐れ、見知らぬ人に会う度に『このオッサン俺を誘拐するんちゃうんか』と、全ての大人が敵に見えてしまう尾崎豊風の私でしたが、今思えば身代金を払える家じゃねーわと逆に穴があったら入りたいくらいの恥ずかしさ満載でございます。 今の身代金誘拐は犯罪としての費用対効果を考えると全く採算の取れないものとなりまして、どちらかというと変態が幼子を誘拐して終わりというもっと気色の悪い方向に行っていますので、性犯罪者には是非去勢手術を行って欲しいものです。(今回の話と無関係です) オリンピック前とは言え、戦後の空気がまだ残るこの時代の薄暗い闇がこの小説を更に引き立て、登場人物全てに心動かされるこの文章力。仕事中にこっそり読んでしまう程のこの作品。圧巻でした。すみません。

Posted byブクログ

2019/11/02

587頁という長編と、著者のこの作品に対する熱量に圧倒され、読後暫しその余韻に浸っていた。 今年度№.1のエンターテイメント作品と言ってもいいのでは。 チンケな窃盗を繰り返す主人公宇野寛治の一代記かと読み進めたが、誘拐事件が発生し、一転様相が変わった。 あの「吉展ちゃん事件」がベ...

587頁という長編と、著者のこの作品に対する熱量に圧倒され、読後暫しその余韻に浸っていた。 今年度№.1のエンターテイメント作品と言ってもいいのでは。 チンケな窃盗を繰り返す主人公宇野寛治の一代記かと読み進めたが、誘拐事件が発生し、一転様相が変わった。 あの「吉展ちゃん事件」がベースのようだ。当初は、主人公寛治に感情移入し、彼が犯人ではないことを望んでいたが・・・ 行きあたりばったりのような犯行であるとともに緻密な証拠隠しの面もあり、捜査陣は振り回される。 舞台は、東京オリンピックを翌年にひかえた昭和38年。その時代ならではのノスタルジックな単語が次々と。 東京スタジアム、傷痍軍人、日本電電公社、赤電話等々。 この事件を主力となって捜査するのは、警視庁捜査一課強行犯5係の落合昌夫。 彼及び彼の所属する5係のメンバーは、著者の11年前のサスペンス長編『オリンピックの身代金』でも活躍している。 この作品は、東京オリンピック開催に沸きかえる昭和39年が舞台となっている。一方、『罪の轍』はその前年の昭和38年。 落合刑事はアパート暮らしで、松戸の常盤平の公団住宅の募集に応募している。そして、『オリンピック…』では、なんと公団への引っ越し場面からの登場となっている。 時系列的には前後する両作品。『オリンピック…』を再読してみようかな。

Posted byブクログ

2019/12/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

途中から、読むのを休めなくなって、あっという間に読んでしまいました。 50年経つと世の中は様変わりするのですね。 一度外に出た刑事さん同士が、作戦の変更の連絡も取り合えないなんて。今では考えられない事です。 大場さんがとても魅力的でした。 最初大卒の落合さんを認めていなかった大場さんがセーターを着ようとする落合さんに(北海道に一緒に行ったシーンですが)、「若い人は洒落た物をきるんだな」と肌着を出したところが印象に残りました。世代の違う落合さんを初めて認めたように思えました。 キャラクターがしっかりしていて、映画を観ているように情景が浮かびました。 寛治がだんだんと大場さんを信頼していく所は良かったです。 寛治はおそらく死刑、義父は刑務所から出てきて生きていく。小さな子供の未来を奪った義父と実母。どうせなら復讐させてあげたかった。切ないです。

Posted byブクログ