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罪の轍 の商品レビュー

4.2

250件のお客様レビュー

  1. 5つ

    94

  2. 4つ

    99

  3. 3つ

    34

  4. 2つ

    7

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2019/10/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

序盤からぐいぐい引き込まれて先が気になりすぎ,結局夜更かしして1日で読了。このぐいぐい引き込まれる感はどうしてなのかと毎度思う。冒頭に登場人物紹介がなくても楽に読み進められるのも有難い。青函連絡船の場面とか映像化向きと思う。キャストに期待。 後半,やっぱり犯人なのかなとすごく悲しい気持ちで読み進めることになり,最後まで読めば仕方ないと思えるのかなと思っていただけどそうならずで消化不良感が残念だけど,それを上回る満足度。 朝日の書評は諸田さんじゃない人に書いてほしかった。

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2019/10/28

オリンピックを翌年に控えた、混沌とした時代の事件。吉展ちゃん誘拐事件を彷彿とさせる舞台での、犯人と警察官との戦い。 犯人が捕まってからの展開はまさしく手に汗を握る、最後のページまで息つく間もなかった。 犯人の立場から、若い警官の立場から、それぞれの思いが描かれながら真実が霧の中に...

オリンピックを翌年に控えた、混沌とした時代の事件。吉展ちゃん誘拐事件を彷彿とさせる舞台での、犯人と警察官との戦い。 犯人が捕まってからの展開はまさしく手に汗を握る、最後のページまで息つく間もなかった。 犯人の立場から、若い警官の立場から、それぞれの思いが描かれながら真実が霧の中に隠れている。 その霧が晴れた時、何が見えるのか? 真実は見えるのか?

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2019/10/27

礼文島で漁師見習いの宇野寛治には盗癖がある。仕事先の先輩に騙され罪を犯しながらもなんとか逃れ東京へ。東京オリンピックを翌年に控えた昭和38年。浅草で男児誘拐事件が発生。警視庁捜査一課刑事・落合昌夫は南千住で起きた強盗殺人事件の捜査、北国訛りの青年の噂を聞きつける。 時代を感じる小...

礼文島で漁師見習いの宇野寛治には盗癖がある。仕事先の先輩に騙され罪を犯しながらもなんとか逃れ東京へ。東京オリンピックを翌年に控えた昭和38年。浅草で男児誘拐事件が発生。警視庁捜査一課刑事・落合昌夫は南千住で起きた強盗殺人事件の捜査、北国訛りの青年の噂を聞きつける。 時代を感じる小説だなあ。小さい頃聞いた昔話のことを思い出したりするけど、今の若い人たちは知らぬことのオンパレードなんじゃないかな。時代背景とともに宇野や落合の動き、人となり、結末が気になり一気読みでした。実際にあった誘拐事件がベースとなっているようですが、この本では宇野の物語でもあるように思える(最初は誘拐事件がメインになるとは思いませんでした)。宇野の哀しさったら。登場人物の人物像が良かったけれど、その中でも町井ミキ子の力強さが印象に残る。

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2019/10/25
  • ネタバレ

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一言で言うと、脳に解離性障害を持った青年が無意識に犯罪を犯し、それを警察が追うと言う話。臨場感が伝わってくるが、一つの事件で約580ページは長かった。結末も予想どおりだったし。

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2019/10/23
  • ネタバレ

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587頁。なかなかのボリュームだけど、途中からは、食事を取ることも忘れて読んだ。 早く、早く答えが知りたい。吉夫ちゃんは生きていないのか?本当に寛治が犯人なのか。寛治が犯人なら、吉夫ちゃんは命は助かっているんじゃないのか。 でも、答えは最悪の答えだった。いや、もう途中から、そうなんだろうと、なんなら最初から、最悪の答えだと分かっていながら、読み始めたような気がする。だけど、読めば読むほど、吉夫ちゃんに生きてて欲しくて、殺人だけは寛治じゃないと思いたくて、早く、早く違うと言う結論が欲しくて、頁を捲っていった。 寛治がやってしまったことは最悪で、絶対に許してはいけないことなのに、寛治の生きてきた道を思うと、憎みきれない。自分の身内だったら?知り合いだったら?寛治の事情なんて関係ない。なんの救いにもならない。そう思うけど、、、 『未来はないにしても、終わりは見えた。霧の中、どこにも行き場がなかったこれまでよりは、遥かにましだ』死刑になることが分かった時に思うことがこんなことだなんて、悲しすぎる。 「自分は生まれて来なかったほうがよかった」と寛治は言う。生まれて来ない方が良い命なんてない、ときれいごとを言ってみても虚しい。でも、生まれて来なかった方が良かったのだとしたら、寛治ではなく、継父の小宮だ。たった13年で出てこられるなんて。 寛治は本当に『莫伽』だったのか。莫伽だから、こんな生き方しかなかったのか。莫伽だから、咄嗟に誘拐を思いつき、吉夫ちゃんのことも動転して殺してしまったのか。だけど、『莫伽』じゃなかったから、記憶を消すことで身を守るしかなかったんじゃないのか。誰か、誰か、刑事が気づいたように、寛治がおかしくなる瞬間を気づいてあげられたら。 誰に、何を問いかけたいのか、自分でも分からない。 でも、どうして?どうしてこんな風になっちゃったのか、、、 どうして、と思わずにいられない。やりきれない。

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2020/06/17
  • ネタバレ

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読んでいても何故か時代を感じさせない描写が秀逸。特に犯人と大庭刑事とのやり取りや逮捕劇は眼が離せず一気読みしてしまった

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2019/10/22
  • ネタバレ

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実際の事件をモチーフにしているし、題名とで『罪の声』と間違えそう。生い立ちは不幸だけど、それと他の人は関係がない。警察が今より人情的。犯人の言動にかなり途中からイライラする。あっと驚く展開でもなかった。罪の声の方が数段おもしろかった。

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2019/10/21

奥田英朗の久しぶりの長編小説。最後まで目を離せない展開なのは相変わらずだけど、イマイチ消化不良な最後かな。東京オリンピック2020に合わせてなのか、「オリンピックの身代金」と同様に時代はは56年前の東京オリンピック前年、昭和38年(1969年)、舞台は東京。物語りの始まりは日本の...

奥田英朗の久しぶりの長編小説。最後まで目を離せない展開なのは相変わらずだけど、イマイチ消化不良な最後かな。東京オリンピック2020に合わせてなのか、「オリンピックの身代金」と同様に時代はは56年前の東京オリンピック前年、昭和38年(1969年)、舞台は東京。物語りの始まりは日本の最果て、北海道利尻島。1人の哀れな青年が利尻島から流れ着くまま舞台を東京へと移し、ある老人殺害事件を捜査する警視庁刑事課の面々たちと哀れな青年を主軸に物語が展開していく。実際に起きたある子どもの誘拐事件を下敷きにしているようだが、主人公の1人の青年の心のついてもうすこし掘り下げて欲しかった気がする。

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2019/10/16

東京オリンピックを一年後に控えた昭和38年。北海道で起きた空き巣から物語は始まり東京へ。スリ、殺人、誘拐。容疑者として浮かぶ人物。群像劇にもなっていて複数の人物の描写がありそれぞれ面白い。刑事のプライド、人として、親としての感情や世間の目。電話が普及し始め社会が変化し、事件も変化...

東京オリンピックを一年後に控えた昭和38年。北海道で起きた空き巣から物語は始まり東京へ。スリ、殺人、誘拐。容疑者として浮かぶ人物。群像劇にもなっていて複数の人物の描写がありそれぞれ面白い。刑事のプライド、人として、親としての感情や世間の目。電話が普及し始め社会が変化し、事件も変化し、捜査が追いつかない。組織内の対立と現場の戸惑い。全てが繋がった時に見えたもの。重いものが残り続けるけれど読み応えのある作品。

Posted byブクログ

2023/08/15

奥田英朗の満身創痍、圧巻の力作。だと感じた。「オリンピックの身代金」から、1964オリンピック前夜の日本が著者の目下のテーマとなっているようだ。「慶展ちゃん誘拐事件」がベースになっていて、たしかにオリンピックを控えた今の日本と相似形となす部分が多く感じられた。匿名を笠にして、罪を...

奥田英朗の満身創痍、圧巻の力作。だと感じた。「オリンピックの身代金」から、1964オリンピック前夜の日本が著者の目下のテーマとなっているようだ。「慶展ちゃん誘拐事件」がベースになっていて、たしかにオリンピックを控えた今の日本と相似形となす部分が多く感じられた。匿名を笠にして、罪を犯したものを徹底的にたたく。それは電話がSNSになっただけ。そして、「物語で人を裁かない」という通り、犯人のバックグラウンドを描き、心情を描き、断罪していない。叙述トリック的でもあるけれど、真犯人がだれか、容疑者が実際に犯行に及んだかは、読む人に明かされず、それが読み進める動機になっている。本田靖春の名著「誘拐」でも詳らかにされるモデルとなった小原保という人物のコンテンツとしての魅力が、この小説を生み出すきっかけになっているのだろう。

Posted byブクログ