森があふれる の商品レビュー
「妻が発芽した」というキーワードに反応して読んでみたのだが、その場面の描写がリアルすぎてオエっとなった…内容も森のように奥行きが広く、なんだか抽象的で深いなあと思った。ジェンダーの平等性が求められる世界では刺さる内容なのだとは思うが、後半からるいだけでなく徹也も植物になっちゃうと...
「妻が発芽した」というキーワードに反応して読んでみたのだが、その場面の描写がリアルすぎてオエっとなった…内容も森のように奥行きが広く、なんだか抽象的で深いなあと思った。ジェンダーの平等性が求められる世界では刺さる内容なのだとは思うが、後半からるいだけでなく徹也も植物になっちゃうところとか、幻覚なのか現実なのか、何かの例えなんだろうけど頭がこんがらがってしまった。
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作家の妻から植物が生え、森が広がっていく。 不条理ものというのか、少し苦手なジャンルだった。 周囲の人から見た作家とその妻の話から始まり、答え合わせのように二人の視点での物語が語られる。 愛情、夫婦、男らしさ女らしさ、 色々なテーマが含まれているが、解釈は読者に託されている。読み込んで読書会をしたら、意見がわかれて楽しそう。
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ジェンダー・ステレオタイプについて問題提起した作品なのかな。 「なにかがおかしい…」が積もり積もって限界点に達した後の声にならない感情、それが森。 埜渡はとても男性的で女性蔑視的な人物だけど、その彼で「さえ」森を生じさせることになったのだから、これは皆が抱えている感情なんだろう。 琉生は自らの森の中で「女らしさ」の固定概念に従順なもうひとりの自分と語り合ってその呪縛からの解放を願い成長するが、徹也もまた森の中でもうひとりの自分と語りあって小説を書いているのではないか。 夫と妻とか、男と女、じゃなくて、ありのままの人と人、として関わることができたらもっと生きやすくなるんだろう。 琉生が読みたいといっていた物語を私も読んでみたいと思った。
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図書館で表紙と題名に惹かれて借りた本。 なかなか現実・非現実の入り組んだお話。 女とか男とかではなく、ただ人として生きたいと思った。 今の私が読むのにちょうど合った物語だった。 また、迷子になりそうになった時に読みたい。
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シンプルな構成で丁寧に解説されたようなジェンダーの話。 これを読んで分からなければ一生分かり合えないかもしれないな・・・とちょっと絶望してしまうような気がします。 悪気なく女を見下し己の弱さを妻に転嫁する作家。 しかしそれは、男に与えられた役割を引き受けなければと抑圧されてきたことや、実の母から受けた心の傷(それは愛ゆえの拒絶だったかもしれませんが・・・)に端を発します。 差別は苦しみを再生産するだけですね。 既に社会には種がまかれ、あとは各人が発芽させるだけなのだと感じました。 必ずしも希望がある終わり方ではありませんでしたが、いろんな読み方ができる作品でした。
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「妻がはつがしたんだ」 というのがどんなトーンで言われてるのか 読み続けていく時々に 自分の頭の中では変化して しっくりくる感じを探りつづけてる そんな感じで読んだ
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ふしぎな話。ちょうど明け方に読んだからそんな気がするのかなとも。 現実とファンタジーの境界があやふやで。人間の泥臭さもあり、無気味さがある。なんとなく読み切った。 作家の埜渡徹也の妻・琉生の体から発芽し、枝葉をのばしていつの間にか森となる。大騒ぎになるはずのところを、誰もがそのままにしていく。受け止めてよいのかわからないまま、でも世界から抜け出せない。最初の担当者はすぐに異動になったのはある意味意図的なんでしょうね。離れたとこからそれを見る人も必要なので。 男と女の深い溝、森に自分も迷い込み、過去と現在の境目さえ曖昧になってくる。私は共感できなかったけれど、だからといって登場人物を切り捨てた感じで読みすすめたわけではなかった。たまに出てくるジェンダー問題。それが森の中からあふれだしてきたので、読み手としては読みすすめてよかったと思った。私はどんな森を生み出せるかしらとも。
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「妻がはつがしたんだ」 夫の不倫を疑い、妻は発芽し、森になる。 鬱蒼と茂る森の、剥き出しのようで包容力にも思う生命体の濃密さ。 静寂はおしゃべり。 思惑を連れ立って多くを述べる。 男と女が解り合うには、森で心を欹てるような寄り添いが必要なのかもしれない。
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彩瀬さんの、長く長く時間をかけて熟成された怒りを感じた作品。 その怒りというのも、何が起きたとか誰がこうしたとかそういうことへの怒りじゃなくて、空気中に大量の分子としてふわふわ浮かんでいるけど当然目には見えないから我が身を苦しめている分子がどれか分からないと言ったような輪郭のない...
彩瀬さんの、長く長く時間をかけて熟成された怒りを感じた作品。 その怒りというのも、何が起きたとか誰がこうしたとかそういうことへの怒りじゃなくて、空気中に大量の分子としてふわふわ浮かんでいるけど当然目には見えないから我が身を苦しめている分子がどれか分からないと言ったような輪郭のないものへの怒りだから、このような話に昇華されたことが素晴らしいと思った。 またその怒りが森として表現されているのが面白く思った。 そしてこれがただの怒りを昇華した作品ではなく、ジェンダー差別が行われている作品が多いことへの問題提起的な側面も持っていて、非常に考えさせられた。
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たぶん解釈し切れていないところがたくさんあると思う。著者が意図したものを汲み取れていない自覚もある。 けど、よかったなあ。終盤の、彼女の台詞のひとつが本当によかった。 綾瀬まるさんの書く文章がとても好き。好きです。
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