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独ソ戦 の商品レビュー

4.1

160件のお客様レビュー

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2020/01/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 戦況の詳細な分析よりも、「独ソ戦」史観の変容などが語られている点が興味深かった。戦後、プログラム学派の学説がもてはやされたのは、あらゆる物事をヒトラーに集中しておけば良かった国際世論の都合もあったろうというのは、非常に納得。 近年、2000年を超えるまで一般的には伏せられていた資料が多かったことにも起因するのだろうが、いわゆる“「過去」は、あなたの認識が作るもの”という量子力学的世界観としても得心がいく。  本書は、ロシアものとして当然興味のある内容であったが、『セイビング・レニングラード』という、独ソ戦の中の「レニングラード包囲戦」を扱ったロシア映画を仲間内でレビューしようという企画の参考資料として読んだもの。  ご覧あれ;https://j-r.news/cinema/2020/01/07/6015/

Posted byブクログ

2020/01/07

最新の戦史研究に基づいた、独ソ戦の解説書。 従来言われていた質の独に数のソ連と言う見方は一面的なもので、ソ連の用兵作戦の先進性からドイツ軍の敗北は必然であったとする。 悪行の多くはヒトラーと親衛隊によって引き起こされ、国防軍はナチスに介入された職業軍人集団という見方は、戦後に生き...

最新の戦史研究に基づいた、独ソ戦の解説書。 従来言われていた質の独に数のソ連と言う見方は一面的なもので、ソ連の用兵作戦の先進性からドイツ軍の敗北は必然であったとする。 悪行の多くはヒトラーと親衛隊によって引き起こされ、国防軍はナチスに介入された職業軍人集団という見方は、戦後に生き残った国防軍幹部が広めた自己正当化の言説というのが興味深かった。 ヒトラーは、国民の支持を失う事を恐れて軍拡をしつつも国民に負担を強いないという政策を堅持した為、戦争による帝国主義的収奪に頼らざるを得なかった。征服国に対する収奪によって自分達の生活水準が維持されている事を知りつつナチスを支持し続けた国民の罪は深い。 これはトランプを支持したアメリカの富裕層のように現在のポピュリズムにも通じる話だと思う。

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2020/01/03

第二次世界大戦におけるドイツとソ連の激突を詳述。アジア太平洋戦争での日本軍の悲惨な状況はよく知られているけど、それをはるかに上回る状況がドイツとソ連の間で繰り広げられていた。ドイツ・ソ連それぞれ1000万人を超える犠牲者を出した戦線は、単なる通常戦争ではなく、世界観戦争であり、収...

第二次世界大戦におけるドイツとソ連の激突を詳述。アジア太平洋戦争での日本軍の悲惨な状況はよく知られているけど、それをはるかに上回る状況がドイツとソ連の間で繰り広げられていた。ドイツ・ソ連それぞれ1000万人を超える犠牲者を出した戦線は、単なる通常戦争ではなく、世界観戦争であり、収奪戦争であった。だから軍事的合理性を超えた破壊と殺戮が展開された、と。 いやもう、こんな世界観戦争を展開するような連中と同盟組んだり戦ったり伍そうとするなんて、日本みたいな極東の後進国にはそりゃ無理だよ、という印象。根本的に思想の次元が日本とは違う。八紘一宇だの五族協和だのが子供騙しに見えてくる。 これはスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの「ボタン穴から見た戦争」も読まなくちゃいかんな。

Posted byブクログ

2020/01/01

読みやすく、通史として良いです。そういえば、「戦争は女の顔をしていない」のコミック化はとても楽しいです。儲からないでしょうが、頑張って欲しいです。

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2020/01/01

1941年から1945年の「独ソ戦 (東部戦線)」は、死傷者数・行方不明者数のみならず占領地の民族絶滅までを目論んだ、人類史上で最悪最大の汚辱と恥辱にまみれた惨禍となった。 自己能力の過大評価と対ソ連の過少評価による敗退、ナチ犯罪・戦争犯罪の責任はヒトラ-に押し付けられてしまい、...

1941年から1945年の「独ソ戦 (東部戦線)」は、死傷者数・行方不明者数のみならず占領地の民族絶滅までを目論んだ、人類史上で最悪最大の汚辱と恥辱にまみれた惨禍となった。 自己能力の過大評価と対ソ連の過少評価による敗退、ナチ犯罪・戦争犯罪の責任はヒトラ-に押し付けられてしまい、歪められた独ソ戦が伝えられてきたが、新史料や新証言によって、ドイツ国防軍の将軍たちの関与があったとする真相の解明が進んでいるという。その辺りの突っ込んだ論説を期待したが、独ソ戦の通史に留まったのは痛恨の至り。 (N図書館蔵書)

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2019/12/30

ヒトラー率いるドイツと、スターリン率いるソ連がぶつかった独ソ戦について、「絶滅戦争」という観点を軸に、概説してくれる一冊。著者の専門と思われる軍事学的な部分はそれほど興味をそそられない一方で、なぜドイツがこの戦争に突き進んでいったのか、そしてこの戦争がかくも悲惨な、人類史上有数と...

ヒトラー率いるドイツと、スターリン率いるソ連がぶつかった独ソ戦について、「絶滅戦争」という観点を軸に、概説してくれる一冊。著者の専門と思われる軍事学的な部分はそれほど興味をそそられない一方で、なぜドイツがこの戦争に突き進んでいったのか、そしてこの戦争がかくも悲惨な、人類史上有数ともいえる惨劇を呈するにいたったのか、ナチスドイツが東方植民地という思想を持っていたこと、構造的に外国からの収奪を必要としていたことを明らかにする。 労働力不足のナチスドイツが、どこか今日の我が国と重なり合うのは不気味極まりないが。。

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2019/12/29

★3.5。 本年の掉尾を飾るかもしれない本ですが、結構考えさせられます。構成含めて若干焦点がぼやけているように思いますが、終章の最後尾の文章がこの本の全てであり、その意味で本作はその目的を十二分に達しているかと。

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2019/12/27

日本にはなじみの薄い独ソ戦。ヒトラーとスターリン、二人の独裁者の争いは太平洋戦争を大きく超えたスケールで両者に多大な犠牲を出しつつ進行する。この手の世界史本としては異例のヒットを続けるダイナミックな一冊。 第二次世界大戦で最も多くの犠牲者を出した国は実はソ連であったことは余り知...

日本にはなじみの薄い独ソ戦。ヒトラーとスターリン、二人の独裁者の争いは太平洋戦争を大きく超えたスケールで両者に多大な犠牲を出しつつ進行する。この手の世界史本としては異例のヒットを続けるダイナミックな一冊。 第二次世界大戦で最も多くの犠牲者を出した国は実はソ連であったことは余り知られていないだろう。 日本では戦闘員230万名、非戦闘員80万名と推計される死者(異説あり)だがソ連は戦闘員と、民間人は戦闘やぜひジェノサイド、疫病や飢饉により合わせて2700万人が亡くなったとされている。 通常戦争の枠を大きく逸脱した収奪戦争、絶滅戦争そして絶対戦争へと進展していく。 ソ連崩壊による情報公開により独ソ戦の実態は従前の説から大きく変わる。ドイツ側の資料でも敗北をヒトラー個人の責に帰する著作が多かったが、現在ではドイツ陸軍の総意によるソ連進行であったようだ。 第一次世界大戦の反省からドイツ国内では戦争経済の統制のしわ寄せはドイツ国民でなく占領地からの収奪と強制動員にあったとのこと。ヒトラー個人が戦争に導いただけでなかったとの指摘は斬新であるように思える。 多くの軍幹部が粛清されているものの、いつの時代も犠牲になるのは動員された兵士と戦場となった土地に暮らす一般人である。 日本ではあまり知られぬ独ソ戦の実態を新書というコンパクトな形で示した良著である。

Posted byブクログ

2019/12/24

本来、戦争は外交の延長であり、国益の実現を目指すための手段であるはずが、イデオロギーの下で戦争が目的化し、相手側の絶滅を企図する行動に変容することに慄然とする

Posted byブクログ

2019/12/19

分量の割にはえらい時間がかかった。専門書ではもちろんないが、これにより独ソ戦の概要が掴めたかというと怪しい。読んでもイメージが喚起されない。

Posted byブクログ