独ソ戦 の商品レビュー
ソ連死者1128.5万人/人口1.888億人 ドイツ死者(独ソ戦以外含む)700万人/人口7千万人 ちなみにWikipediaによると太平洋戦争の死者日本300万/人口7100万人。 派遣を拡張するための通常戦争、略奪戦争(ドイツの物資を補給するため、国民の支持を確保するため)、...
ソ連死者1128.5万人/人口1.888億人 ドイツ死者(独ソ戦以外含む)700万人/人口7千万人 ちなみにWikipediaによると太平洋戦争の死者日本300万/人口7100万人。 派遣を拡張するための通常戦争、略奪戦争(ドイツの物資を補給するため、国民の支持を確保するため)、ナチスの目指す世の中を実現するための世界観戦争、の三つの要素で始まったが、戦況が長引き、後者二つの要素が強くなり、絶滅戦争へと様相を変貌させた。当初はソ連のスターリン粛清後の人材、軍備不足、スターリンの思い込みから独ソ戦はドイツ有利に進むが、補給なん、戦線のあまりの広さ、略奪によるドイツへの反抗気運の拡大、といった要素に加え、ソ連の作戦の立て方がドイツのそれを上回り、また米国も参戦するに至り極まるが、世界観戦争というヒトラーの認識のもと日本が工作をした独ソ和平案も全く話にならず、徹底的にドイツは蹂躙された。また東欧ソ連のドイツ系住民及び捕虜たちも多くが過酷な環境に置かれ死んでいった。
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太平洋戦争での悲劇的な事実は特攻や玉砕など多くの書籍で紹介されていますが、ヨーロッパを主戦場とした第二次世界大戦に関してはそれ程多くありません。 本書はドイツとソ連との攻防を深堀し、かつ予備知識の乏しい人でも読み通せる貴重な1冊です。 独ソ戦と太平洋戦争との違いはその規模、戦争の...
太平洋戦争での悲劇的な事実は特攻や玉砕など多くの書籍で紹介されていますが、ヨーロッパを主戦場とした第二次世界大戦に関してはそれ程多くありません。 本書はドイツとソ連との攻防を深堀し、かつ予備知識の乏しい人でも読み通せる貴重な1冊です。 独ソ戦と太平洋戦争との違いはその規模、戦争の目的に顕著に表れています。太平洋戦争での日本の戦闘員の戦死者は約230万人、非戦闘員の死者は約80万人と言われ、合わせて300万人もの人々の命が失われました。十分に悲惨な数字ですが、独ソ戦の犠牲者は桁が違います。ソ連側の戦闘員戦死者は1000万人超、非戦闘員の犠牲者も1000万人を超え、ドイツも戦闘員は500万人、非戦闘員は200万人以上が命を落としました。 ここまで犠牲者が増えた遠因として、次のように解説しています。 ヒトラーとスターリンという歴史的に見てゆがんだ世界観を持った指導者による戦争であったことから、戦争の目的が相手国の軍事力にダメージを与え、後に外交努力によって自国の主張を認めさせる「通常戦争」ではなく、敵国の土地や食料を収奪する「収奪戦争」、さらに相手の民族自体を根絶やしにする「世界観戦争(絶滅戦争)」へとエスカレートしたこと、当時の独ソ国境線が数千キロにもおよび、そのあらゆる領域で戦闘が行われたことなどです。 戦闘の推移を解説している部分は、やや冗長な印象も受けますが、ドイツ、ソ連の政治体制や軍事に対する考え方等が簡潔にまとめられており、非常に参考になりました。これらを裏付ける様々なデータや歴史的事実を分かりやすく紹介している本書、さすが岩波新書だなという印象です。
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激戦と知られているスターリングラード市街戦はもちろん、様々な背景から独ソ戦の本質に迫る。大学で歴史を学びたいと思う自分にとっては冷戦における歪曲された事実の怖さも共に感じた。そのような観点において独ソ戦の真実を知ることのできる一冊である。
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合理的な普通の戦争と、「汚物は消毒だー」の絶滅戦争の観点から独ソ戦を概観した本。ヒトラーもスターリンも状況を読めないミス連発。本物のドイツの作戦計画書を入手したのに、「は!これはヒトラーの罠!」って思うスターリン…
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独ソ戦の最大の特徴は、「通常戦争」ではなく、ヒトラーにとっては「ユダヤ的ボルシェヴィズム」との闘争で「劣等人種」と見なしたスラブ人を奴隷化するための、スターリンにとってはコミュニズムとナショナリズムを融合させファシスト侵略者から祖国を守るための「世界観戦争」であったことだ。そのた...
独ソ戦の最大の特徴は、「通常戦争」ではなく、ヒトラーにとっては「ユダヤ的ボルシェヴィズム」との闘争で「劣等人種」と見なしたスラブ人を奴隷化するための、スターリンにとってはコミュニズムとナショナリズムを融合させファシスト侵略者から祖国を守るための「世界観戦争」であったことだ。そのため、通常戦争では守られるべき国際法等も遵守されない「絶滅戦争」となったことが、独ソ両国の兵士だけでなく、両国民にも膨大な数の戦死者をもたらした。 何より恐ろしいのは、イデオロギーの対立による戦争は、どちらかが世界から根絶されるまで終わらないということだ。そして、イデオロギーが対立する相手を人間とは見なさなくなるということだ。基本的に戦争は悲惨なものだが、こんな悲惨な戦争はない。
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初めて知る、`独ソ戦` 通常戦争と異なる次元での絶滅戦争、想像を超える凄惨な戦いであります。 1939年時点 から 1945年までに 日本 人口 7100万人、死亡者数(含む市民)300万人 人口の4.2%に当たる数字、これだけでも十分に悲惨な数字 ドイツ 人口 6900万...
初めて知る、`独ソ戦` 通常戦争と異なる次元での絶滅戦争、想像を超える凄惨な戦いであります。 1939年時点 から 1945年までに 日本 人口 7100万人、死亡者数(含む市民)300万人 人口の4.2%に当たる数字、これだけでも十分に悲惨な数字 ドイツ 人口 6900万人、死亡者数(含む市民)800万人 人口の11%超の数字、これだけの人的被害を受けた国が、 敗戦から75年ほど経過した、今は、統一ドイツとして 欧州の重鎮であります。 ソ連 人口 1億9000万人、死亡者数(含む市民)3000万人 人口の16%を失う、長く、控えめの数字が語られたが、 情報開示が進み、被害の実相が解明され始めている。 ソ連の死亡者数は、桁違い、それも、絶滅戦争ゆえの犠牲者かと。 (著者まえがきより)
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この最新の独ソ戦研究は、例えば、ドイツ人はヒットラーの狂気に振り回されたなどという俗説を完全に否定します。ヒットラーは初めからロシアの資源を収奪し民族を絶滅させ、そこに生存圏を確保するという冷酷で独善的なプランがあり、ドイツ人はその恩恵を目当てに加担していました。桁違いのジェノサ...
この最新の独ソ戦研究は、例えば、ドイツ人はヒットラーの狂気に振り回されたなどという俗説を完全に否定します。ヒットラーは初めからロシアの資源を収奪し民族を絶滅させ、そこに生存圏を確保するという冷酷で独善的なプランがあり、ドイツ人はその恩恵を目当てに加担していました。桁違いのジェノサイドや捕虜虐殺、ユダヤ人虐殺を引き起こした世界観戦争とは何か。コンパクトにまとめていますが、酸鼻の極み、眼から鱗のオンパレードです。優れているというロシアの用兵思想、そしてそれを踏まえた満洲侵攻の詳細も知りたくなりました。
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戦争には通常戦争、収奪戦争、世界観戦争(絶滅戦争)があり、独の対ソ戦は最終的に絶滅戦争、収奪戦争が包含された絶対戦争となった。またこの醜悪な戦争はヒトラーの独断が主原因とされてきたが近年は国防軍の関与なども明らかにされ独内の歴史観に修整がされているとのこと。勉強になりました。
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最新の知見で知識をアップデートすると、色々話が変わってくる。まあ、冷戦中には「国防軍務謬論の虚実」は都合が良すぎて積極的に暴かれなかったというのは、まあねぇ… ドイツもソ連もどっちも酷いのだけれど、それでも、先に手を出したのはドイツだからねえ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
戦争には、 通常戦争、 略奪戦争、 絶滅戦争(世界観戦争)がある。 略奪戦争は、自国及び自国民の利益のために他国の富、資産を略奪することを目的とする戦争。 絶滅戦争は、敵を根絶やしにするための戦争、なぜ根絶やしにするかといえばイデオロギーの違いによる。 独ソ戦は、この3つの種類の戦争が混じってはじまり、最終的には、絶滅戦争がすべてを包含した。 独ソ戦を含む第二次世界大戦におけるドイツの蛮行は、親衛隊の犯罪であり、国防軍は無実だったとか、 ヒトラーの独断専行によって国防軍の反対を押し切って独ソ戦が始まったとか、要はヒトラーが悪でアホだから、ドイツは蛮行の上に敗戦した、と戦後言われていた。 しかし、これらは、偽りであったことが最近の研究でわかってきた。しかし、日本ではそれはなかなか伝わってこなかった。本書はこれらについて明らかにしている。
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