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我らが少女A の商品レビュー

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70件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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  3. 3つ

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2020/01/12

合田シリーズ最新刊。 僕はたぶん「レディ・ジョーカー」しか読んだことないのだけど、さすが高村薫さん、と思った。とても重厚。 続きが知りたくて早く読み進めたいのに、重力が強くてそれが許されない感じ。しかし、不快ではない。 じっくり小説の世界と向き合うような読書となる。 12年前...

合田シリーズ最新刊。 僕はたぶん「レディ・ジョーカー」しか読んだことないのだけど、さすが高村薫さん、と思った。とても重厚。 続きが知りたくて早く読み進めたいのに、重力が強くてそれが許されない感じ。しかし、不快ではない。 じっくり小説の世界と向き合うような読書となる。 12年前、元中学美術教師が東京郊外の公園で殺害された事件。合田が担当したが未解決のまま迷宮入りしていた。 風俗店で働く朱美が同棲相手に撲殺される事件が起きて、犯人の男が、朱美が12年前の事件現場で拾った絵の具を持っていた、と供述することから、朱美が重要参考人として浮上する… 事件を取り巻く複雑な人間関係。交錯する12年間の様々な人生を多視点で描き出す。 ― 人は皆、説明できないことの説明を探して生きているのかもしれないねえ… 真弓が忍に言った言葉。 この小説の重要なテーマを一言で表していると思った。 小説はそれぞれの登場人物の「心」を掘り下げ、事件そのものの輪郭は浮かび上がっていくのだが、「我らが少女A」朱美の「心の闇」の正体がなんだったのか?そこだけ真空で謎として残った感じがした。「闇」がない怖さ、と言ったところか?

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2020/01/12

合田雄一郎シリーズ。 マークスに感動し、レディで格差社会を痛感、照柿では歩留りと色作りを学び、太陽を曵く馬の仏門苦行に耐えきれなかった読者として、期待と不安を持ってページを開いた。 今度は何かと思ったら、問題を抱えて苦しみながらも暖かい、家族の話であった。 ロクでもない男に...

合田雄一郎シリーズ。 マークスに感動し、レディで格差社会を痛感、照柿では歩留りと色作りを学び、太陽を曵く馬の仏門苦行に耐えきれなかった読者として、期待と不安を持ってページを開いた。 今度は何かと思ったら、問題を抱えて苦しみながらも暖かい、家族の話であった。 ロクでもない男に殺された女性が、生前持っていたという、12年前の殺人事件現場で1色だけ見つからなかった、被害者の絵の具。 そこから未解決事件が動き出し、彼女の周りの人間が警察とからみ、双方が苦くも甘い記憶を掘り起こしていく。 派手な謎解きがあるでもなく、静かに静かに進む物語。奇妙な読後感を抱かせる、シリーズ異端の作品でした。合田は還暦に近づき、かなり丸くなりました。

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2020/01/03

2020年最初の作品。合田シリーズでもありますが、中心人物というよりは登場人物の一人とした方がいいのかも知れません。一人の女性の殺人事件から12年前の未解決の殺人事件がクローズアップされてきます。その事件が解決されるのではありませんが、当時事件の周囲にいた人々の日常に大小様々な波...

2020年最初の作品。合田シリーズでもありますが、中心人物というよりは登場人物の一人とした方がいいのかも知れません。一人の女性の殺人事件から12年前の未解決の殺人事件がクローズアップされてきます。その事件が解決されるのではありませんが、当時事件の周囲にいた人々の日常に大小様々な波紋を投げかけます。その描写が実に見事で読み入ってしまいました。合田さんも58歳。初登場の「マークスの山」では30代だったんですね。私も歳を取るはずだわ(^^;;

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2020/01/05

1人の女性の死により、未解決のままだった12年前の殺人事件の再捜査が始まり、平穏だったはずの周囲の人たちの生活に波風が立ち始める。 すぐに風化しそうな地味な事件であっても、家族や友人など関係者たちにとってはその後の人生を左右しかねない大きな問題であるはず。 複数の視点で俯瞰する...

1人の女性の死により、未解決のままだった12年前の殺人事件の再捜査が始まり、平穏だったはずの周囲の人たちの生活に波風が立ち始める。 すぐに風化しそうな地味な事件であっても、家族や友人など関係者たちにとってはその後の人生を左右しかねない大きな問題であるはず。 複数の視点で俯瞰するように淡々と語られるこの作品は、過去の事実を少しずつ掘り起こし核心に迫りはするものの、中心に描かれているのは残された人たちのその後の人生だ。何らかの形で事件の余波を受けた人たちは、それぞれの悩みを抱えて生きている。そこにスポットを当てているため、シリーズものとはいえ、単純な犯人探しのミステリーとは一線を画した趣がある。 個人的には、身近な場所が舞台となっているため、公園や駅周辺のショップなどの施設は、ほとんど訪れたことのある場所ばかり。あまりにも具体的な映像が目に浮かびすぎて、この書店は今はもうないとか、その場所を訪れたときの自身の思い出がオーバーラップするなど、ストーリーとは関係のないところにたびたび意識が飛んでしまった。 作品の舞台になじみがありすぎるのも、善し悪しかしら。久し振りにレモンドロップのケーキが食べたくなった。 追記 年明けに吉祥寺のレモンドロップのレモンパイを食べた。甘酸っぱくて懐かしい味。

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2019/12/11

この小説の舞台はまさに自分の生活圏である。 東小金井駅から野川方向への道、また身内が住んでいるのも多磨駅の近くだ。 小説にたびたび登場する軽飛行機は、想像以上に低く飛んでいるため、爆音甚だしく、相当に五月蠅い。 高校生だった登場人物たちが自転車ですれ違ったJAは最近なくなって更地...

この小説の舞台はまさに自分の生活圏である。 東小金井駅から野川方向への道、また身内が住んでいるのも多磨駅の近くだ。 小説にたびたび登場する軽飛行機は、想像以上に低く飛んでいるため、爆音甚だしく、相当に五月蠅い。 高校生だった登場人物たちが自転車ですれ違ったJAは最近なくなって更地になり、近くにあった味も佇まいも昭和半ばといったラーメン屋もそれにひきずられるように店を畳んだ。 そこに住んでいる割には、というかそこに住んでいるからこそ目もくれない街の風景がこの作品では雰囲気のある描写で表されておりまるで違う街のようで、驚きつつもなんだかうれしい。 しかし、これだけ詳しい描写なのだから著者はこの辺りに足しげく通ったと思われるのだが、まるで見かけなかった(笑 仮にお見かけしたとしても、ぼんやり暮らしているただの一生活者たる自分が高村薫さんだと気づくわけもないだろうけど。 それにしてもこの著者、「」を使わない文体になってから、小説にさらに凄みと鋭さが出てきたなぁ。謎解き色のやや強めな『マークス~』も『レディジョーカー』もいいが、『照柿』をこの文体で読んでみたいものだ。

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2019/12/10

合田シリーズ。 とりあえず読み切った。 いろいろな人物からの視点で過去にあった未解決事件についてを語る体裁。 新聞で読んでいた人はいらいらしなかったのかなぁと思う。 合田も加納もおじさんになったというか老境に差し掛かってきたのだなーと時間の経過を感じるところが変に現実にリンクして...

合田シリーズ。 とりあえず読み切った。 いろいろな人物からの視点で過去にあった未解決事件についてを語る体裁。 新聞で読んでいた人はいらいらしなかったのかなぁと思う。 合田も加納もおじさんになったというか老境に差し掛かってきたのだなーと時間の経過を感じるところが変に現実にリンクしていてリアル。 結局犯人はわからずじまいでなんだかなーというかすっきりしないというか。 事件解決が本題ではなく当時の風俗や社会的な倫理を書きたかったのかなぁ? 時間というのは不可逆的なものなので事件捜査という時間との戦いに負けちゃうと行くか後から物的? な証拠が出え来てもなかなか実証されないし。 ただ当時の人たちの感情に対して寝た子を起こすことになる。 刑事もお仕事なんだけど被害者の家庭も被疑者の家庭も関係者全員がなんか不幸。

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2019/11/09

7年ぶりの合田雄一郎シリーズ。 池袋で一人の女性が交際相手に殺された。 その女性は12年前、合田が捜査の指揮を執っていた未解決事件の関係者だったことから、合田を始め、事件を巡る関係人物の過去の記憶が動き始める。 同級生やそれぞれの親など、様々な人物の記憶が時間軸に沿って、丁寧に蘇...

7年ぶりの合田雄一郎シリーズ。 池袋で一人の女性が交際相手に殺された。 その女性は12年前、合田が捜査の指揮を執っていた未解決事件の関係者だったことから、合田を始め、事件を巡る関係人物の過去の記憶が動き始める。 同級生やそれぞれの親など、様々な人物の記憶が時間軸に沿って、丁寧に蘇っていく。 かすかな輪郭だった記憶が、淡々と、しかし、だんだんくっきりしていく。 あくまでも淡々。そして、会話も鍵かっこを決して使わないことから、ページ数よりもさらに物語の量感は多く感じ、読み進めるのは結構しんどい。それでも、最終的にそれぞれの記憶がどのように繋がるのか、先が気になり、読み手も淡々と読み進める。 最終的に大きな真実が明かされるわけでもなく、そして、決してラストに救われる物語ではない。 それでも、読み終わった後に何か考えさせられるものが残る。 個人的には「レディー・ジョーカー」を機に合田シリーズの面白さが半減してしまっていて、前作ほどではないが、今作も難解で少しギブアップ気味。 でも、合田の定年までもう1作ぐらい続きが出そうだから、出たら、やはり読んでしまうのかも。

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2019/11/04

ジリジリとなかなか進まない物語に、 それで犯人は誰なのさ?!!、、、なんて癇癪を起してしまったらこの小説は楽しめない (・・・それは私のことだ) 殺人事件から始まるこの物語、てっきり推理小説だと思ってしまったのが、失敗の始まりでした。 この物語の醍醐味は犯人探しでもなければ、推...

ジリジリとなかなか進まない物語に、 それで犯人は誰なのさ?!!、、、なんて癇癪を起してしまったらこの小説は楽しめない (・・・それは私のことだ) 殺人事件から始まるこの物語、てっきり推理小説だと思ってしまったのが、失敗の始まりでした。 この物語の醍醐味は犯人探しでもなければ、推理の楽しさでもありません。 最終章までの長い長い道のりで見えてくる、 人々の表情や思い、感情が起こす化学反応や、 欲望や希望といった、時代が生み出したものたちの姿が 私の心に印象深く残したものは、 以外にも温かな人間賛歌でした。

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2019/11/03

ネットと現実の世界が混在している今の日本の状況を作者なりに捉えた小説。もはや、合田シリーズの最新刊という枠で捉えられるミステリーを大きく超えている。

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2019/10/30

『つみびと』を読んだ後、次はすっきりとした小説が読みたいと叫んで、次に回ってきた本がこれだ。 現代人は誰も彼もが病んでいるのか? まぁ、一人になったときにネガティブになった考えになることもある。が、こいつはどうだ。 登場人物すべてが病んでいる。 総じて鬱病患者だ。 そんな登場人物...

『つみびと』を読んだ後、次はすっきりとした小説が読みたいと叫んで、次に回ってきた本がこれだ。 現代人は誰も彼もが病んでいるのか? まぁ、一人になったときにネガティブになった考えになることもある。が、こいつはどうだ。 登場人物すべてが病んでいる。 総じて鬱病患者だ。 そんな登場人物がおりなすストーリーなど、読んでいて楽しいか?もちろん楽しくない。 おそらく上巻、下巻になりそうなのを文字を小さく詰めて無理矢理一冊にまとめたようなボリュームなのに、ストーリーはまったく前進しない。 後半に期待するが、最後まで鬱状態の物語は鬱状態のまま幕引いてしまう。 面白くなかったわけではないまでも、決して読みやすい本でも無く、同じ行を何度も涅槃の世界に飛び立ちながら読んだことか! もう次!

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