夏物語 の商品レビュー
第一部は長くて、出てくるみんなを好きになれず特に姉の巻子には辟易しっぱなし。どこで見切りをつけようかと何度と逡巡した矢先の第二部。物語が大きく動き精子提供というテーマが主題になっていく。作家という視点からのお話になり家族の在り方もここで生きてくる。あんなに嫌いだった巻子が心強い味...
第一部は長くて、出てくるみんなを好きになれず特に姉の巻子には辟易しっぱなし。どこで見切りをつけようかと何度と逡巡した矢先の第二部。物語が大きく動き精子提供というテーマが主題になっていく。作家という視点からのお話になり家族の在り方もここで生きてくる。あんなに嫌いだった巻子が心強い味方となって描かれる。辛かった時期、共に乗りきったかけがえのない家族の存在を描くのにやはり第一部は大事な場面だったのだと。後半は駆け抜けるように夢中になって読んだ。子どもをもつことになんのためらいもなく進んだ人生だけではない生き方もあるのだとすごく深く胸にささった。最後まで読了できて本当によかった。挫折していたらこのお話を見届けなかったらとても後悔しただろう。そのくらい凄みのある作品だった。
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厚い本は苦手だ。 今回も早々に脱落か、と思ったけど、途中から加速するように最後まで一気に読み終えた。 子どもを願うことの残酷さ、というのは常々私も考えていることなので、善さんの言葉は心に刺さるものがあった。 主人公は、結果的にうまいこと願いをかなえていくのだけど、善さんみたいな立場の人は、結局恋人ともうまくいかなかったり、生まれてきたことを一生肯定できなかったりするのかな…。小説とはいえ色々と想像してしんどい。
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いきなり豊胸手術に初潮、延々と。引くと共に既視感が…久々のP500超えの大作だけど、ダラダラ、くどくどで物語の着地点見通せず途中投げ出したくなるが後半は考えさせられた。「地球の記憶を載せて真っ暗な宇宙空間を飛ぶボイジャー」「言葉が通じても話が通じない世界」「世界は自分が立ってみる...
いきなり豊胸手術に初潮、延々と。引くと共に既視感が…久々のP500超えの大作だけど、ダラダラ、くどくどで物語の着地点見通せず途中投げ出したくなるが後半は考えさせられた。「地球の記憶を載せて真っ暗な宇宙空間を飛ぶボイジャー」「言葉が通じても話が通じない世界」「世界は自分が立ってみることさえもできない場所がほとんどなのだと」
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前半は「乳と卵」の再掲載 数ヶ月前に読み直しして別に感想を書いたのでここでの感想は割愛 後半は 子供を持ちたいという思いからAID(精子提供)による妊娠を考える夏子のものがたり。 産むという事、生きるという事を深く追求してゆく。そして女性というものについても 頼まれて生まれて...
前半は「乳と卵」の再掲載 数ヶ月前に読み直しして別に感想を書いたのでここでの感想は割愛 後半は 子供を持ちたいという思いからAID(精子提供)による妊娠を考える夏子のものがたり。 産むという事、生きるという事を深く追求してゆく。そして女性というものについても 頼まれて生まれてきたわけでも選ばれてわけでもなく産むことはエゴでしかないのかもしれない。 産みたい、会いたい。もっと考えたかな私? 漫然と子供を持ったかもしれない自分が恥ずかしい。 社会の女性軽視システムについて遠慮なく語ってるところは頷きっぱなしだった。8行で男の人生についてまとめて語るのは川上さんならでは。 男性が子供の誕生に責任を持たないなら女性の意思のみで子供が産み育てられる社会のシステムがあるといいな。まぁ、夫婦別姓にすると家族の絆がうんぬん言ってる政治家がいる日本では遠い未来だけども。
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まだ見ぬ自分の子どもに会うために、精子提供を受けることを考える夏子。精子提供で生まれ、生みの父を知らず、育ての父への思いを抱えている逢沢。反出生主義の善百合子。一つの命が生み出されることをめぐって、さまざまな意見や思いが巡る。生と死の物語。 なんだかんだ言って逢沢さんに愛される夏子といい、世の中そんなに美しく利害は一致しないと思いつつも、理想的な展開にいいなあと思う。善百合子の言うことは尤もだと思う。反出生主義に反対するでもなく、それを反倫理的と断罪するでもなく、受け止めた上で生むことを選ぶことが、感動的で説得力ある。
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育ってきた環境は、その人の価値観や人生観に大きな影響を与えるのだなと感じた。命のこと。精子提供により産まれてくる命。生まれた側、産む側、両方の側面から描かれていて考えさせられた。人生には正解のある選択はないのかもしれない。選んだものをそれぞれの正解に近づけていると思う自己満足なの...
育ってきた環境は、その人の価値観や人生観に大きな影響を与えるのだなと感じた。命のこと。精子提供により産まれてくる命。生まれた側、産む側、両方の側面から描かれていて考えさせられた。人生には正解のある選択はないのかもしれない。選んだものをそれぞれの正解に近づけていると思う自己満足なのかもしれない。
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あまり売れていない小説家の夏目夏子が、子どものことを意識し始めて最終的に出産する物語だが、ガールズトークがどんなものかが部外者たる男性にも何となく理解できると感じた.第1部で夏子の姉 巻子、姪の緑子が登場し、幼少期の母と祖母との貧しい生活が出てくるが、第2部で編集者の仙川涼子、作...
あまり売れていない小説家の夏目夏子が、子どものことを意識し始めて最終的に出産する物語だが、ガールズトークがどんなものかが部外者たる男性にも何となく理解できると感じた.第1部で夏子の姉 巻子、姪の緑子が登場し、幼少期の母と祖母との貧しい生活が出てくるが、第2部で編集者の仙川涼子、作家仲間の遊佐リカが登場し、話が展開する.夏子は結婚することは考えていないが"子ども"に会いたいという気持ちが強くなり、精子提供(AID)に関する情報収集を始める.その過程で逢沢潤や善百合子に会うが彼らはAIDで生まれている.各章のネーミングがユニークだったが、「12 楽しいクリスマス」での夏子、リカ、仙川のトークがこの物語の頂点だったような気がした.大阪弁の会話も楽しめた.
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「乳と卵」からの二作目 ふーん。初めから最後まで引き込まれて ストンと川上未映子の世界に落ち、どっぷり夏子はどうする〜またまたハマった。 おもしろい、 夏物語の世界と言っても夏ではない、まあ夏か! 一部〜2008年の夏 二部〜2016年の夏から2019年の夏 夏目夏子の話 ...
「乳と卵」からの二作目 ふーん。初めから最後まで引き込まれて ストンと川上未映子の世界に落ち、どっぷり夏子はどうする〜またまたハマった。 おもしろい、 夏物語の世界と言っても夏ではない、まあ夏か! 一部〜2008年の夏 二部〜2016年の夏から2019年の夏 夏目夏子の話 一部は乳と卵の時の 巻子、緑子、夏子 姉と姪、私 胸「乳」卵子の話、より鮮明により詳しくー 葡萄狩りの話には泣けて泣けてたまらなかった。 本文より 「葡萄狩り」 覚えている限り幼稚園で楽しみにしたことなんかいっこもないのに、なんでわたし、その葡萄がりだけすっごい楽しみにしててな、もう何日も前から楽しみににしてて、そわそわしてて、自分でシオリみたいな勝手に作ったりして、あれなんやったんやろなって思うくらい、ほんまに指折り数えるって感じで、楽しみにしてた葡萄狩りがあってん、 でもな行かれへんかってん。、 その遠足に行くには別にお金が必要で、それがなかったんやな、今おもたら数百円とかそんなんやと思うけどな。んで朝起きたらおかんが「今日は休みで」っていうねんな。、 なんでって聞きたかったけどお金ないのに決まってるから うんわかった家おるわなというてもうたらもうあとから後から涙が出てきて自分でもびっくりするくらいに悲しくて、涙が止まらへん これに巻子がしてくれたことが…… 二部は もうわたくしには手に負えません。レビューなんて誰が書けるのだろう〜 夏目夏子、40才前 こどもにあいたい、 独身の夏子、パートナーがいない、恋愛する気も、セックスする気もない、したくもない女性が子供を欲しいそのための手段は。 未婚の女性たちが直面している問題 結婚をせず、パートナーを持たず 妊娠出産は可能か、そのためにネット上に現れた 精子提供サイト。 精子バンク、AID 知らないことばかり、無知です。 凄まじいくらい色々考えた。 これほど妊娠、出産、子供を持つこと、産むこと ここまで突き詰めて考えたことない。 普通に結婚、出産、育児、子育てを終えた身としては、何か申し訳ないこの感情も傲慢かも知れないが。 子供を持つ、持たない選択自由、 生、生まれること死も考えさせられた。 凄い作品だ。川上未映子恐るべし。、 p)543 時間さえあればあっという間に読んでしまう。 親の「子供に会いたい」という欲望、煩悩 相手のわからない「男親の」ー子どもの父親を知りたいという気持ちをものすごく考えた。 あえて子供の立場、傲慢と偏見で申せば 「勝手じゃない、親のエゴではないか。」 物心ついていや、もっと大きくなって自分の出自がわからないことを 母親はその苦しみを考えたことはあるのか? 自分の父親が誰だかわからないー AIDで生まれた 逢沢が訪ねる 「背が高くて、一重まぶたで、長距離走が得意で 心当たりはありませんか?」 胸が締め付けられる。泣ける魂からの叫びだよね。 2019年英訳され「乳と卵」 コロナでなければアメリカでいろんなイベントがされるはずだったらしい。 とにかく目を背けてはいかない問題ではある。 筆力、テーマ、読ませる力 凄い人だわ、川上未映子。
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精子供与による体内受精をメインテーマに、性や出産や子育てや女性の自立や貧困や…と多岐にわたる深刻なテーマを真正面から向き合って描きあげた…すごい小説であるのは間違いない。 ただ、俺が感想を書くべきなのかどうか。これって俺が読んでいい小説やったのかどうか? この小説に描かれている...
精子供与による体内受精をメインテーマに、性や出産や子育てや女性の自立や貧困や…と多岐にわたる深刻なテーマを真正面から向き合って描きあげた…すごい小説であるのは間違いない。 ただ、俺が感想を書くべきなのかどうか。これって俺が読んでいい小説やったのかどうか? この小説に描かれている男性像を読むかぎり、「お前はなにも言うな、言うことの一つ一つが悲劇の元凶」と世の女性がたに言われそうな…。 ジェンダーフリーのご時勢に、男だからとか言うこと自体マナーに反した失礼さもありそうだが、男が読むには結構な覚悟がいる小説だった。 ということで留保。
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単調な独り言が延々と続き、読んでも読んでもまだまだ残りのページが沢山あって途方に暮れる。テーマの生殖医療もAIDも特に興味は無し。最近読む本では大阪弁と相性悪し。遊園地のシーンや仙川さんの生い立ち、逢沢家の話、遊佐さんとの会話など、時々は引き込まれるところもある。終盤、百合子さん...
単調な独り言が延々と続き、読んでも読んでもまだまだ残りのページが沢山あって途方に暮れる。テーマの生殖医療もAIDも特に興味は無し。最近読む本では大阪弁と相性悪し。遊園地のシーンや仙川さんの生い立ち、逢沢家の話、遊佐さんとの会話など、時々は引き込まれるところもある。終盤、百合子さんに全てをぶち壊されるところからは一気。しかし、エンディングも特にハプニングもなく予定調和。全体としてつまらなく忍耐が必要だった。でも、あれで終わりなら仙川さんは殺さなくて良かったんじゃないの?
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