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夏物語 の商品レビュー

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236件のお客様レビュー

  1. 5つ

    62

  2. 4つ

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  3. 3つ

    39

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2019/08/19

Story about issue giving birth without partner. Theme is serious and so many not optimistic episodes, however, the way of writing is not too...

Story about issue giving birth without partner. Theme is serious and so many not optimistic episodes, however, the way of writing is not too pessimistic, including some humor: actually one of funny episode made me laughing out loud ! (マサト)

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2019/08/18

姉妹の会話が、大阪弁だからというのでなく小気味よくコミカルで面白かった1作目。2作目は最近読んだ女性作家らの作品にも通じるのだが、多様化とか言ってそれが認められつつある?現代でも尽きることのない、女として生きる上での迷いが盛り込まれている。うまく言えないが、「女として生まれたから...

姉妹の会話が、大阪弁だからというのでなく小気味よくコミカルで面白かった1作目。2作目は最近読んだ女性作家らの作品にも通じるのだが、多様化とか言ってそれが認められつつある?現代でも尽きることのない、女として生きる上での迷いが盛り込まれている。うまく言えないが、「女として生まれたからには子どもを産むのが普通」の普通って何だ?と改めて考えさせられた。

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2019/08/18

川上未映子さんの文章は初期から好きで、ここ最近のは、んー、と思いながらも読んでいたけれど、久々に痺れる本だった。 何かのメディアで乳と卵の何かしらという事前情報を偶然仕入れてしまっていたが、ほぼほぼ忘れていて、新鮮に読めた。最初の章がおそらく文体は違えど同じ話なのかな。 乳と卵を...

川上未映子さんの文章は初期から好きで、ここ最近のは、んー、と思いながらも読んでいたけれど、久々に痺れる本だった。 何かのメディアで乳と卵の何かしらという事前情報を偶然仕入れてしまっていたが、ほぼほぼ忘れていて、新鮮に読めた。最初の章がおそらく文体は違えど同じ話なのかな。 乳と卵を読み直してみます。 初期の作品を好きなのだけど、多分いま乳と卵やイン歯ーはしんどそうな気もする。 そして川上さんの文体は確実に進化しているのだなと本作で思った。 この作品もしんどい人ばかりが出てくるが、癌で亡くなった編集者の人がしんどかったな。バーの洗面所で主人公に抱きついたのはなんだったんだろう。

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2019/08/06

今の私には、まだしっくりこない物語だった。 でもきっといつか、ここに書かれていることを、ひとつひとつああ、そうだ、そうだと思いながら読む日が来る予感がした。 私が子どもを産みたいと切実に感じていないからかもしれない。 感動したのは、子どもに関する川上未映子の感覚の数々。 きっと...

今の私には、まだしっくりこない物語だった。 でもきっといつか、ここに書かれていることを、ひとつひとつああ、そうだ、そうだと思いながら読む日が来る予感がした。 私が子どもを産みたいと切実に感じていないからかもしれない。 感動したのは、子どもに関する川上未映子の感覚の数々。 きっと、自分が本当に感じたことのある気持ちをそのまま書き付けているのだと思った。 頭ではなく、皮膚やココロで分かる類の表現で、なんとも胸に迫った。 特にくらを抱きしめて、めまいがするほど気持ちが良かったというところ。 そんなふうに思ったことがなくても、私はそれを知っていると思った。 その言葉でしか表現できない、私にこの感覚を呼び起こさせるのは、その言葉。 黄色のカバーがピッタリに感じられる。 夏子は、貧乏のどん底も経験してて決して絵に描いたような幸福を手に入れたわけでもなく、酔っ払って落ち込んでダメなメール書いて送って失恋して突っ走ってひどいこと言って自己嫌悪になって、変態にも出会う。 でもなんか、そのひとつひとつが黄色って感じ。 レモンイエロー。 最後の最後は、どうにでもなったらええんちゃうんみたいなテンションがあって、なんかそこが好きやったのかもな。 この本はとっておいて、またいつか読もうと思う。

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2019/08/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

これまでに読んだ川上未映子の作品の中では『すべて真夜中の恋人たち』が一番好きだった。実はこの作品が初読みで、そこから過去作を遡っていったのだが、あまり好きな作品はなかった。文体もテーマも合わなかった。そんな中に『乳と卵』があった。芥川賞受賞作でもあり、評価は高いがとてつもなく読みにくかった。本作はその続編にあたるが、前作がほぼまるごと取り込まれているため未読でも大丈夫。書き直されて読みやすい。生命の根源にも関わる重いテーマを、軽妙なタッチでぐいぐい読ませる。そして考えさせられる。一番好きな作品になった。

Posted byブクログ

2019/07/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読んでいる途中、何度も苦しくてページを閉じて深呼吸をした。 いろんなことがワーッ!と頭の中に、いや、心の中で動き回っていてもたってもいられなくなってまたページをめくる。 自分という人間が、どこから来たのか、誰から生まれたのか、自分自身は何でできているのか、生きている間、誰もが何度も考える問い。 答えなんて出ないし、出しても意味のない問い。 それでもヒトとしてのよりどころ。私は誰。私は誰と誰によって作られたの。 その根幹が揺らいだとき、どうやって気持ちを、心を、保てばいいのか。 第三者精子提供によって生まれた子どもたち。成長した彼らの心の揺らぎを理解することはできない。感じることもできない。 そのよるべなさは想像するしかない。 ずっと、小さい時誰かに向かって両手を広げたら、何の躊躇もなく抱き上げられ、そして温かい胸で安心していつまでもいられる。そういう経験をしていれば、大人になってもどんなことがあっても大丈夫、そんな風に思っていた。 確かにそういいう身近な誰かとの基本的信頼感、というのは人の心の安定というか芯の部分に大きな影響を与えはするのだろう。 けれど、そんな簡単なものではないのだ、人間は。 自分の中に流れる誰かの血。その意味。 セックスができないけれど自分の子どもが欲しいと願う夏子と、AIDで生まれた自分を受け止められず実の父親を捜す逢沢、夏子の祖母、母、姉、姪、逢沢の元恋人百合子、夏子の担当編集者仙川、様々な人がそれぞれの「生」を懸命に生きようとしている。そばにいる人を大切に思い、けれど、それをまっすぐに表現できず、その気持ちを持て余している。 何を求めているのか。何を求めて生きているのか。 いろなことが頭の中で混じり合っている。夏子の、逢沢の、巻子の緑子の、それぞれの人生を考え、理解しようとし、自分と同化しようとし、切り離そうとし、けれどどれも上手くいかずにぐるぐるしている。 生きていること、生まれてくること、生むこと、育つこと、育てること、どれもこれも大切なようでどうでもいいようで、大きいようで小さいようで。夏子の母や祖母のように、懸命にとにかく一生懸命に生きていくことにだけ懸命それでいいようにも思えるし、逢沢や百合子のように自分というものの存在を確かめ続けることも大切なような気もするし。 いつかその答えを知るのだろうか。 私自身、子どもも生んでいるし、身近な家族を亡くしてもいる。 「生と死」たったこれだけの言葉の中にある抱えきれないほどの感情を経験している。 私を形作っている母親と父親、そして私と夫によってこの世に生み出された子どもたち。 亡くした時、この世が半分暗闇になってしまったと思うほどの存在と、自分の命よりも大切だと言い切れる自分の中から出てきた存在と。そこにあるのはいったいなんなんだろう。 大きな大きな宿題を与えられたような気がする。時々立ち止まって考えるのだろう。混乱し悩み苦しむ。そんな時にきっと頭に浮かぶ。葡萄色の空の下にたくさん並ぶ観覧車。窓に並ぶ笑顔。あぁ、この風景があれば大丈夫だ、また明日から生きていける。そんな気がする。

Posted byブクログ