慟哭は聴こえない デフ・ヴォイス の商品レビュー
手話通訳士を主人公としたこのシリーズも三冊目。聴こえない人たちの世界とその物語を丁寧に的確に伝えてくれる姿勢はそのままに、シリーズキャラクターの変化や成長も描かれているので、この作品世界そのものもいとしく感じられるようになってきました。 表題作での看護師の一言と女性の慟哭の絶望...
手話通訳士を主人公としたこのシリーズも三冊目。聴こえない人たちの世界とその物語を丁寧に的確に伝えてくれる姿勢はそのままに、シリーズキャラクターの変化や成長も描かれているので、この作品世界そのものもいとしく感じられるようになってきました。 表題作での看護師の一言と女性の慟哭の絶望的なすれ違い、「クール・サイレント」でのドラマや某24時間テレビの取り扱われ方の問題点、「静かな男」で男が取ったとある手段の切実さ、どれもがリアリティを持って描かれています。綿密な取材を経て、実際の聴こえない方々の想いが込められているのかとも思いました。 「法廷のさざめき」で扱われているエピソードで、思わされたのが、たとえば街中で困っている人に咄嗟に声を掛けたり少し助けたりすることはできるかもしれなくても、日常の中で聴こえない、歩けない、見えない、そんな方々と常に接することになったとしたら、この会社の人々と同じような対応を取ってしまうかもしれない、ということでした。うまく手を差し伸べることが、日々できるだろうか。 そういう不安を持ったのですが、また、この思いを忘れずにいれば、少しはまだ悪くない方法が取れるかもしれない、とも思ったのです。 こういう思いを持たせてくれた意味でも、この物語に出会えてよかったと思います。 もちろん、シンプルに、人々をまっすぐに描写した物語としてとても楽しめましたので、たくさんの方におすすめしたいです。
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まだまだ続いてほしい。 瞳美ちゃんと美和の成長も気になる。 健常者と障がい者の共存というか、皆にやさしい社会であってほしいけど、気付かないうちに、自分にとって便利な、困らない世の中に満足して、実は困ってる人もたくさんいることに気付かされる本。 欲を言えば、荒井とみゆき、もう少し仲...
まだまだ続いてほしい。 瞳美ちゃんと美和の成長も気になる。 健常者と障がい者の共存というか、皆にやさしい社会であってほしいけど、気付かないうちに、自分にとって便利な、困らない世の中に満足して、実は困ってる人もたくさんいることに気付かされる本。 欲を言えば、荒井とみゆき、もう少し仲の良いシーンが欲しいなぁ❗️
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シリーズで 繋いでいくお話っていいなぁ... と しみじみ そして どっぷり 作品の世界観に浸る 時と共に成長もする 変化もする でも どれだけ時間をかけても変えられないものもある 色々なコトを知り 感じ 考える機会をくれる このシリーズ ぜひ続いて欲しい また 彼らに会える...
シリーズで 繋いでいくお話っていいなぁ... と しみじみ そして どっぷり 作品の世界観に浸る 時と共に成長もする 変化もする でも どれだけ時間をかけても変えられないものもある 色々なコトを知り 感じ 考える機会をくれる このシリーズ ぜひ続いて欲しい また 彼らに会えるのを楽しみにして待ちたい
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急展開していてびっくりしました。瞳美ちゃん可愛いですね。今回はミステリ色は薄かったかな?何かしら新しい知識が得られるのでためになります。
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手話通訳士の荒井を通して語られる聴者の世界の中での聾者の苦しみ、そして互いの世界への歩み寄りの難しさが丁寧に描かれる4つの短編。産婦人科受診や救急通報でのシステム上の問題に対する問いかけや会社からの不当な扱いに立ち上がる話、世間とのイメージの乖離の苦しみ等今回も聴者として持つある...
手話通訳士の荒井を通して語られる聴者の世界の中での聾者の苦しみ、そして互いの世界への歩み寄りの難しさが丁寧に描かれる4つの短編。産婦人科受診や救急通報でのシステム上の問題に対する問いかけや会社からの不当な扱いに立ち上がる話、世間とのイメージの乖離の苦しみ等今回も聴者として持つある意味での傲慢さにも気付かされぐさぐさくる。今回は荒井とみゆきが結婚し娘が産まれ、皆が成長していく中で起きる様々な問題にもじっくり視点が当たっていて読み応えあった。そうだよなー。美幸ちゃんもいい子のままではいられないよな。最終話の色々なあの人は今!が豪華で嬉しい。皆頑張って欲しい。
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今月の一冊めはこちら。 シリーズ第3弾。 今回は中編集。 荒井が家族を持つことになり、物語自体も「家族」にフィーチャーした印象。 最大の変化は、みゆきと荒井の間に新しい生命が誕生したことだ。 そして、その赤ちゃん=瞳は聴覚に障害があった。 瞳の人生をどうするか。み...
今月の一冊めはこちら。 シリーズ第3弾。 今回は中編集。 荒井が家族を持つことになり、物語自体も「家族」にフィーチャーした印象。 最大の変化は、みゆきと荒井の間に新しい生命が誕生したことだ。 そして、その赤ちゃん=瞳は聴覚に障害があった。 瞳の人生をどうするか。みゆきと荒井は話し合う。 みゆきが下した決断を、私は潔いと思ったし、この先も彼らファミリーを応援したくなった。 そんな魅力のある家族だ。 嬉しかったのは、第二弾で登場したHALや英知くんも少しだけ出てきたこと。 それも、家族をつなぐ重要な存在として。 思春期で口数の減ってしまった美和も、この先また明るさを取り戻して欲しいな、と思う。 デフファミリーでもある甥っ子の司もこの先の人生の選択を見届けていきたい。 珍しく荒井だけではなく、1つの章は、何森刑事の視点で綴られる。 彼は口は悪いが筋の通った男だ。結構好きだな。 彼らの物語を今後も読んでいきたい。 次作も楽しみ!
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11月-4。3.5点。 恋人と結婚した主人公。手話通訳士の仕事を描く連作短編。 ろう者たちの苦労、悲しみを上手く描いている。 刑事何森も定着メンバーに。 次作も期待。
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シリーズ3作目 以前、知り合いのろう者の方が、携帯が広まってコミュニケーションがとりやすくなった。と言っていたのを思い出しました。メールでいつでも連絡が取り合ったりできるから。 でも、本書にも出てくるように、110番や119番など、命の危険に晒されるような場合がある時などの、緊急...
シリーズ3作目 以前、知り合いのろう者の方が、携帯が広まってコミュニケーションがとりやすくなった。と言っていたのを思い出しました。メールでいつでも連絡が取り合ったりできるから。 でも、本書にも出てくるように、110番や119番など、命の危険に晒されるような場合がある時などの、緊急の通報方法がなかったり、職場で不利益を受けたりなど、聴覚に障害を持つかただけでなく、社会的弱者(この表現は好きではないのですが・・・)にハード面でもソフト面でも優しくないのが現状です。 この本を書いてくださった著者に感謝します。
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鳥肌がたって、涙がでた。 第三話 静かな男 亡くなったろう者の身元を調べていくなかで語られるエピソード、行き着く先、その全てに人間味があふれていて、愛おしい。そんな物語りでした。
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デフ・ヴォイスの三作目の短編集です。 荒井がみゆきと入籍してみゆきと美和が家族になり、みゆきは荒井との約束通り出産し、瞳美が生まれます。 瞳美は「聴こえない子ども」でした。 みゆきは、瞳美に人口内耳をつける手術をすべきか悩みます。「親が勝手に(手術)をしないという選択をしていい...
デフ・ヴォイスの三作目の短編集です。 荒井がみゆきと入籍してみゆきと美和が家族になり、みゆきは荒井との約束通り出産し、瞳美が生まれます。 瞳美は「聴こえない子ども」でした。 みゆきは、瞳美に人口内耳をつける手術をすべきか悩みます。「親が勝手に(手術)をしないという選択をしていいのか。瞳美がその選択をできる年齢になった時にはもう遅い」とみゆきは言いますが、「人口内耳を付けても『聴こえる子』にはならない」と荒井は言います。 第1話 慟哭は聴こえない 第2話 クール・サイレント 聴こえないモデルのHALが登場し、ドラマにろう者役で出ることになりますが、スタッフとのトラブルによって「自分は浅はかだった」と言って仕事を辞めます。 「でも、第二、第三のHALが現れる。そう信じたかった」という荒井の言葉がありますが、私の知っている限り、現在そういう方は現実に活躍されていないですね。 第3話 静かな男 ホームレスのろう者が亡くなった事件です。 これは、ストーリーが一番秀逸だと思いました。 亡くなったろう者の身元がわからず捜そうとします。 ろう者は、よくローカルテレビ局の撮影現場にやってきてカメラに映りたがる人物だったということがわかります。 荒井は最初、被害者の手話らしきビデオを見ても、手話でなんと言っているのかわかりませんが、ある地域にだけに伝わる手話だったということが判明します。 この話は泣けました。 第4話 法廷のさざめき 障害者雇用の問題が法廷で争われます。 ろう者の進学・就労についてです。 お金のかからない障害者(通訳などの経費が必要ない)だから採用したという企業には腹が立ちました。 現実にはこのようなことが、行われていないことを祈ります。
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