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慟哭は聴こえない デフ・ヴォイス の商品レビュー

4.2

63件のお客様レビュー

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2019/08/02

【収録作品】慟哭は聴こえない/クール・サイレント/静かな男/法廷のさざめき/エピローグ   手話通訳士の荒井の目を通して描かれる聴覚障害者の現実。障害者を「減らす」べきものとして捉える社会の生きづらさと、そのなかで静かに闘い、誠実に生きようとする人たちの生き様が描かれている。

Posted byブクログ

2019/07/26

丸山正樹さんが書かれた「慟哭は聴こえない 」は、手話通訳士が主人公のデフ・ヴォイスシリーズ第3弾。法廷の通訳も行う手話通訳士の荒井が、通訳業務や自身の家庭での出来事を通じて“聴こえない”ということは何かを伝えてくれる連作短編集だ。 「荒井はろう者の親を持つ聴者、いわゆるCODA...

丸山正樹さんが書かれた「慟哭は聴こえない 」は、手話通訳士が主人公のデフ・ヴォイスシリーズ第3弾。法廷の通訳も行う手話通訳士の荒井が、通訳業務や自身の家庭での出来事を通じて“聴こえない”ということは何かを伝えてくれる連作短編集だ。 「荒井はろう者の親を持つ聴者、いわゆるCODA(コーダ)として生まれ育ってきた。兄もろう者であるため、家庭内では孤立しがちだった荒井も、警察官のみゆきと知り合い家庭を持つことによって心穏やかな日々を過ごすようになっていた。 そんなある日、医療通訳の依頼が入る。内容病院への同行通訳だったが、依頼者が女性であったための辞退した。しかし、派遣センターからの強い要望があったため現地におもむいたが、結局は診察室に入ることなく待合室での対応のみになってしまった。その後、再び同じ夫婦に同行通訳を依頼されることになり、若いろう者夫婦の初めての出産に関わることになる。ところがある日、出かけていた夫婦から緊急の連絡が入り事態は急変する。(「慟哭は聴こえない」より)」 今回の連作短編集は殺人事件などの犯罪はなく、聴覚障害の男性モデルの話や会社を訴える女性の話、空き部屋でひっそりと亡くなっていた中年男性の話など、実際の社会で起きている事件や事故が取り上げられている。 その一つ一つが、どれも聴覚障害書を取り巻く深い課題を含んでいて非常に興味深い。聴覚障害当事者や手話を勉強している人なら、誰もがその内容に頷くだろう。むた、そうでない方でも、このようなことが世の中にはあるんだと言うことを改めて知り驚くだろう。 テーマとしては重いものばかりだが、読み終わったときの感覚はとても爽やかで暖かいものを感じる。それは、著者が聴覚障害に対して真摯に向き合っているからこそであり、良いことも悪いことも含めて、すべてを書き表そうという強い意志があるからに違いない。 そして何よりも、すべての人に対して分け隔てないフラットな考え方が出来る方だからこそ、登場人物に対する愛情を読者も感じるのだろうと思う。

Posted byブクログ

2019/07/01

慟哭を発する 慟哭を聴く ろう者の人たちにとっては、そのような心からの叫びを上げることも難しい。 話せるもの、聴けるものは、もっと心を広げて色々な人々に添わせないとと、思う。 出来ること、得意なことをちょっとずつ周りにも使って、柔らかに生きる。そういう世の中の方が、豊かだろう。 ...

慟哭を発する 慟哭を聴く ろう者の人たちにとっては、そのような心からの叫びを上げることも難しい。 話せるもの、聴けるものは、もっと心を広げて色々な人々に添わせないとと、思う。 出来ること、得意なことをちょっとずつ周りにも使って、柔らかに生きる。そういう世の中の方が、豊かだろう。 心からそんな風に思える短篇4篇。 きっとずっと胸に残る。

Posted byブクログ