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慟哭は聴こえない デフ・ヴォイス の商品レビュー

4.3

62件のお客様レビュー

  1. 5つ

    22

  2. 4つ

    33

  3. 3つ

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2021/12/19

シリーズ3作目。 前作までの間に、みゆきと結婚し、刑事課で働くみゆきの代わりに主夫をしながら、細々と手話通訳を続けていた荒井。 1章目は耳の聴こえない妊婦さんの話。 耳が聴こえないことが、救急車を呼ぶことへの障害もあるとは考えたこともなかった。 2章目以降では、みゆきとの間に生ま...

シリーズ3作目。 前作までの間に、みゆきと結婚し、刑事課で働くみゆきの代わりに主夫をしながら、細々と手話通訳を続けていた荒井。 1章目は耳の聴こえない妊婦さんの話。 耳が聴こえないことが、救急車を呼ぶことへの障害もあるとは考えたこともなかった。 2章目以降では、みゆきとの間に生まれた娘・瞳美の話が描かれる。 子供を授かることに消極的だった荒井の心配は当たってしまい、生まれた瞳美は耳の聴こえない子だった。 ショックを受ける荒井だったが、みゆきも、みゆきの連れ子である美和もその現実を受け止める姿がとても印象的。 これまではミステリーの要素も絡めていたが、今作はミステリーの要素は少な目で、聴覚障害を様々な視点から描いている印象を受ける。 先日最終回を迎えた視覚障碍者のドラマもそうだが、普通に暮らしているだけでは分からない世界を、こうして表現してくれることで少しだけど理解出来るのは有難い。

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2021/10/21

デフ・ボイス第三弾。 短編集っぽい感じがするけどいいのかな。 手話通訳の仕事や通訳が不確かな人がいる事実。 聴覚障害者の暮らしの不便さ差別などがよく伝わった。

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2021/09/30

デフ・ヴォイスシリーズ3作目。前作から少し年月が経ち、主人公の人間的葛藤が多くなっている分、ミステリー感が薄まっているような気がして、やや物足りなさを感じてしまった。

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2021/09/05

主人公の荒井尚人が手話通訳者として、そして過去に警察事務官をしていたことから法廷の通訳もこなす。 そんな中で、荒井も家族を持ち、悩んで子どもを持つことを選択する。 そして生まれてきた瞳美はろう者だった… 母親のみゆきは、聴者に近づけるよう人工内耳を手術で埋め込みたい、と悩み、最...

主人公の荒井尚人が手話通訳者として、そして過去に警察事務官をしていたことから法廷の通訳もこなす。 そんな中で、荒井も家族を持ち、悩んで子どもを持つことを選択する。 そして生まれてきた瞳美はろう者だった… 母親のみゆきは、聴者に近づけるよう人工内耳を手術で埋め込みたい、と悩み、最後にろう者として育てる決断をする。 荒井家に産まれた瞳美は、かなり恵まれた環境だと思う。でもここでコーダとして育ち当たり前に日本手話を使いこなせる荒井と、小さい頃から面白がってアラチャンの手話を覚え使いこなせる美和の間で、以前、万一子どもが、ろう者だとしてもわたしが覚える!と言ったことが自分の枷になり、みゆきは別の意味で孤立していく。 聴者とろう者、という単純な分類でなく、聴者の中でのさらに分類があるという事実に打ちのめされる。 そしてろう者同士のカップルが初めての出産を無事に終えることができなかったこと。 ろう者は電話をかけられない。 そして単純な通訳では医療用語も含め理解できない。しかもろう者自身、聴者の会話に詳しくない、聴者の事情に詳しくない、そんなさまざまなことから、荒井のように、ろう者に寄り添った通訳をできる、心がける人は、今後ますます重宝されるのだろう。 静かなる男も悲しい話で、郷里にいた時はにぎやかな男だったというのが、その後の大変だと思われる人生を思い起こさせ、辛い気持ちになる。 でもその男のとった行動により、認知症で理解が難しい母親に伝えられたのなら、せめてもの幸いだったのか。 最後の法廷のさざめきは、なんとなく先は読めるが、悲しい話で現実だと思った。まだまだ日本の現実はここまでなのだ、と。、 法廷で誰もろう者の手話の、言葉にならない叫びを止められないというくだりは、皮肉なものだと思った。 最後にHAL がちらっと出てくる。 クールサイレントと騒ぎ立てられ。自分がどうすればいいのか繰り人形になってしまい、わからなくなってしまったHAL が新たな活動を始めたのなら、本当に嬉しい。 今回の本は短編がいくつもあるので、前2作を読んでいなくても大丈夫だと思う。 全く今まで興味もなかったろう者のことを、考えるきっかけを与えてくれた作者に感謝してます。 ありがとうございます。 この本の続編も、他の本も読んでみようと思います。 手話を始めるかどうかはわからないけど、少なくとも考えなきゃいけない問題に気づいた。 3作目のこれが一番いいかもしれない。 書くテーマとして難しくデリケートな問題だと思うが、ライフワークとして是非続けて、日本のろう者文化を変えていくくらいのパワーになることを祈ってます。

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2021/07/31

デフヴォイスシリーズ第三弾! 今回も初めて知ることもたくさん。また新たな世界を見せて頂きました。 丸山さんの社会派小説は、毎回心に訴えかけられるものがあって勉強になる。 広く読まれて欲しい作品です。 *「慟哭は聴こえない」 産婦人科での通訳。 読後、胸を抉られる思いでした。 医...

デフヴォイスシリーズ第三弾! 今回も初めて知ることもたくさん。また新たな世界を見せて頂きました。 丸山さんの社会派小説は、毎回心に訴えかけられるものがあって勉強になる。 広く読まれて欲しい作品です。 *「慟哭は聴こえない」 産婦人科での通訳。 読後、胸を抉られる思いでした。 医療通訳をめぐる問題や聴覚障がい者の緊急通報に関する問題の深刻さを改めて感じた。 *「法廷のさざめき」 勤め先を雇用裁判で訴えた民事裁判の通訳。 悲しいけどリアルな現実なんだろうな…と。障がい者雇用は進んでも人への理解が同じように進んでいるわけではない。 原告の悲痛な言葉が胸に刺さりました。 『医療関係者は、しばしば意思の疎通ができていないことを「受け手側」の問題とする。しかし、これは本来双方の問題のはずだ。コミュニケーションが十分にとれていないと、患者が医師の言うことを理解していないだけでなく、医師の方も患者の状態を正確に把握できていないことになる』

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2021/07/06

このシリーズは本当に面白い。1時間-2時間くらいでサラッと読めてしまう割にきちんと心に残るものがある。

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2021/06/25

主人公荒井にもついに子供が。 聴覚障害について知ることができた上、 物語に奥行きが出ていて、もっと読みたくなる。

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2021/06/07

デフ・ヴォイス3。 前作の後、妻の連れ子の美和は小学二年生に、妻のみゆきは刑事課勤務になっていた。 そして荒井は「手話通訳」の仕事を続けていた。 その仕事で出会ったろう者たちとの出来事が四話、描かれているのだが、生きにくい社会が読んでいて苦しい。 特に、タイトルにもなっている一話...

デフ・ヴォイス3。 前作の後、妻の連れ子の美和は小学二年生に、妻のみゆきは刑事課勤務になっていた。 そして荒井は「手話通訳」の仕事を続けていた。 その仕事で出会ったろう者たちとの出来事が四話、描かれているのだが、生きにくい社会が読んでいて苦しい。 特に、タイトルにもなっている一話目は、救急車を呼びたくてもそれが出来なかった今岡しのぶの、声にならない慟哭が聴こえてくるような気がした。

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2021/03/19

一気に読み終わってしまった 勿体なくて ゆっくりゆっくり 読もう と思ったけど 止まらないよね   前2冊で ろう者の環境が 少しでも知った気でいたけど 最初の話から 衝撃を受けてしまう… 私達が 普通だと思う日常が とても大変で不便な事なんだと 改めて知る そして 命...

一気に読み終わってしまった 勿体なくて ゆっくりゆっくり 読もう と思ったけど 止まらないよね   前2冊で ろう者の環境が 少しでも知った気でいたけど 最初の話から 衝撃を受けてしまう… 私達が 普通だと思う日常が とても大変で不便な事なんだと 改めて知る そして 命の危険を知らせる事すら 出来ないなんて… 今作では 新井家の時の流れと 子ども達の成長に驚き 今までの 登場人物達の 再登場が嬉しかった どうか 皆が平穏に過ごせますように と 心から思ってしまう

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2021/02/20

手話通訳士を主人公としたこのシリーズも三冊目。聴こえない人たちの世界とその物語を丁寧に的確に伝えてくれる姿勢はそのままに、シリーズキャラクターの変化や成長も描かれているので、この作品世界そのものもいとしく感じられるようになってきました。 表題作での看護師の一言と女性の慟哭の絶望...

手話通訳士を主人公としたこのシリーズも三冊目。聴こえない人たちの世界とその物語を丁寧に的確に伝えてくれる姿勢はそのままに、シリーズキャラクターの変化や成長も描かれているので、この作品世界そのものもいとしく感じられるようになってきました。 表題作での看護師の一言と女性の慟哭の絶望的なすれ違い、「クール・サイレント」でのドラマや某24時間テレビの取り扱われ方の問題点、「静かな男」で男が取ったとある手段の切実さ、どれもがリアリティを持って描かれています。綿密な取材を経て、実際の聴こえない方々の想いが込められているのかとも思いました。 「法廷のさざめき」で扱われているエピソードで、思わされたのが、たとえば街中で困っている人に咄嗟に声を掛けたり少し助けたりすることはできるかもしれなくても、日常の中で聴こえない、歩けない、見えない、そんな方々と常に接することになったとしたら、この会社の人々と同じような対応を取ってしまうかもしれない、ということでした。うまく手を差し伸べることが、日々できるだろうか。 そういう不安を持ったのですが、また、この思いを忘れずにいれば、少しはまだ悪くない方法が取れるかもしれない、とも思ったのです。 こういう思いを持たせてくれた意味でも、この物語に出会えてよかったと思います。 もちろん、シンプルに、人々をまっすぐに描写した物語としてとても楽しめましたので、たくさんの方におすすめしたいです。

Posted byブクログ