あのこは貴族 の商品レビュー
生まれも育ちも自分では決して選べないものだ。 けれど、どう生きるかは自由だ。 これからの生き方は自分次第。 女同士の義理には、同情と見栄がありそうに 思うけれど、それでもいー話。 美紀はいー女だと思った。
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上京組という点では美紀に共感できるし、浮世離れした華子の保守的なところには少し共感できた。 自分のテリトリーに居心地の良さを感じるのか、それとも他の世界を知って自力で抜け出すのか。どちらが正しいのではなく、自分次第なのだろう。
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女たちの自立と連帯の物語。 地元コミュニティから出ないこと、それには心地よさと苦しみがある。田舎であれ東京であれ同じことだ。昔なじみとつるみ、限られたエリアで暮らして、異なる価値観を受け入れずにいる井の中の蛙。水が合えば幸せなのか?その水は澱んでいるのに。 しかし井戸から出た人も...
女たちの自立と連帯の物語。 地元コミュニティから出ないこと、それには心地よさと苦しみがある。田舎であれ東京であれ同じことだ。昔なじみとつるみ、限られたエリアで暮らして、異なる価値観を受け入れずにいる井の中の蛙。水が合えば幸せなのか?その水は澱んでいるのに。 しかし井戸から出た人も、自由になった気がするが実はどこにも居場所がなくなってしまう。必死に馴染もうとした東京では、"内部生"の姿を見て劣等感を抱き、地元に帰れば話が合わない人ばかり。それは寂しいことなのか。自由とはそういうものではないのか。 井戸の中では30歳前後で「結婚は?子供は?」というプレッシャーの嵐が来る。幼い頃から刷り込まれた絶対的な正義であり、結婚が幸せという価値観を盲目的に信じて自我を失う主人公は、婚活に奔走する。 お正月に地元へ帰って辟易した人に、おすすめの一冊です。
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20代後半〜30代半の女性が(なにかによって)抱かされる結婚、子ども、家族、の義務感に似た焦りには共感した。共感したというだけ。 だけどみんなちがってみんないいんだっていう結論にするにしろ、ただただ苦しいわねっていう結論にするにしろ、物語の中の女性たちの心情の変化や諦め方、希望の...
20代後半〜30代半の女性が(なにかによって)抱かされる結婚、子ども、家族、の義務感に似た焦りには共感した。共感したというだけ。 だけどみんなちがってみんないいんだっていう結論にするにしろ、ただただ苦しいわねっていう結論にするにしろ、物語の中の女性たちの心情の変化や諦め方、希望の持ち方に影響を及ぼした出来事の描き方が大雑把だった気がしてしまった。 登場人物のセリフが筆者のスピーチ原稿のようだったことがこの小説に心惹かれなかった原因かも。 言いたいことがあって、言いたいことをそのまま登場人物に言わせた感じ。
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田舎から上京した身としては、美紀の気持ちがよくわかりました。田舎に帰る気にもなれないけれど、どんどん寂れていく街並みに心を痛めてしまう。でも、離れていった人間には、何も言う資格はないよなあ…。中・高とヒエラルキーのトップにいたり、明確に居場所をつくっていたりした人にとっては、生き...
田舎から上京した身としては、美紀の気持ちがよくわかりました。田舎に帰る気にもなれないけれど、どんどん寂れていく街並みに心を痛めてしまう。でも、離れていった人間には、何も言う資格はないよなあ…。中・高とヒエラルキーのトップにいたり、明確に居場所をつくっていたりした人にとっては、生きやすい場所だけど、そうじゃない人間にとっては田舎は生きづらい。だけど、見捨てたくもない。そんな気持ちです。 でも、固定化されているのは何も田舎だけではなくて。 一見、華々しくて憧れの上流階級も、同じような世界が広がっている。金銭面で苦労はないことが救いなのだろうか。 それを否定するでもなく、だからといって縛られるでもなく、自分でやりたいことを早々に見つけていった相良さんがかっこよかったです。 東京出身じゃないと、同じ階級じゃないと、というと鼻につく感じはありますが、それらも全て「価値観が同じ人」を指していると思えば、納得です。
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『代々東京に住んでいないものは人に非ず』という華子側の世界の話を読んで数年前に炎上した酒井景都さんの対談を思い出しちゃった。 (そいえば酒井さんも慶應だったわ…) すごく面白かったので年末年始に映画も見るぞ
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異動して都内勤務になったら、華子みたいな人に会う機会はグッと増えた。お兄さんの事をお兄ちゃまと呼ぶ人、たっかいジュエリーをポンと買う人、そういう世界って本当にあるんだなーって思った。だからとても興味深く読んだ。 そして自分が今いる世界のことを改めて考えるきっかけになった。 とて...
異動して都内勤務になったら、華子みたいな人に会う機会はグッと増えた。お兄さんの事をお兄ちゃまと呼ぶ人、たっかいジュエリーをポンと買う人、そういう世界って本当にあるんだなーって思った。だからとても興味深く読んだ。 そして自分が今いる世界のことを改めて考えるきっかけになった。 とてもわかりやすく、田舎も都会も一緒と教えてくれる。 あぁ、身につまされるなぁ… 華子は凄いと思う。どうせズルズル行っちゃうんでしょ?と思っていたもの。 読後感の良いお話でした
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
田舎暮らしの私にとって心苦しいものがあったけれど、華子や幸一郎のような人たちもまた狭い世界にいるのだと書かれていて、自分の中の、そういう人たちへの羨望や劣等感がじんわりと滲み薄れるような感覚がした。そういう見方を教えてもらえて良かった。私も自分の臆病さが嫌になることがよくあるので、華子が離婚して世界を広げていく様子に勇気をもらえた。
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超金持ちの話しというわけではないが、そこに厳然と存在するどうしようもないほどの階層を描く それがいい悪いというのではなく、事実として存在しており、その中でそれぞれできることを探している きれいごとではないが、露悪的でもなく淡々と描かれる世界が、自分たちのいつ世界とはにわかには気付...
超金持ちの話しというわけではないが、そこに厳然と存在するどうしようもないほどの階層を描く それがいい悪いというのではなく、事実として存在しており、その中でそれぞれできることを探している きれいごとではないが、露悪的でもなく淡々と描かれる世界が、自分たちのいつ世界とはにわかには気付けない 実は目の前にありながら、見えていなかった世界を見せてくれる本である 個人的にはエピローグには美紀のその後も触れてほしかった・・
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最初と最後のシーンが対になっているように感じてよかった。 全く育ちも階層も違う女性たちが出会ったことによって、自我に目覚め、自分達の道を切り開く様が見ていて良い。 自分も地方出身なのであまり東京のハイレベルな暮らしのイメージがついていなかったが、ある意味田舎と同じ狭い世界、と...
最初と最後のシーンが対になっているように感じてよかった。 全く育ちも階層も違う女性たちが出会ったことによって、自我に目覚め、自分達の道を切り開く様が見ていて良い。 自分も地方出身なのであまり東京のハイレベルな暮らしのイメージがついていなかったが、ある意味田舎と同じ狭い世界、と書かれて少し想像がついた。 実態がどうかはわからないけれど、上手い考察がされていると思った。
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