マジカルグランマ の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
柚木麻子さんが好きなので、内容も知らず読んでみた。 可愛くて愉快なおばあちゃんの物語、と想像していたがまったく逆のおばあちゃんの話でびっくりした。 タイトルの「マジカルグランマ」は「マジカルニグロ」をもじった造語。マジカルニグロとは、ハリウッド映画内で白人を助けるため魔法使いのようになんでもしてくれる黒人キャラクターである差別用語。 主人公の正子の勝ち気で考え無しの性格にイラッとくる部分もあったが、正直で真っ直ぐで物怖じしない性格には憧れる部分もある。 元女優の正子は75歳で芸能界で再デビューを果たし脚光を浴びるが、その性格からか状況は一転し世間の嫌われ者に。 そこから借金を返すために住んでいる屋敷をお化け屋敷にしてお金を稼いでいく。 突拍子もない話だが面白くてぐいぐい読み進めていけた。
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タイトルと表紙絵に惹かれて読んだ。まさに「マジカル」な思いで。 正子さんも紀子さんも、陽子さんまでもが予想外の行動に出る事に、ただただびっくり。 マジカルを求めていた自分を飛び越えてみると、年齢、性別など問題ではないのだ、突き進むのだ、とメッセージが届いた。
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75歳で再デビューした女優は、理想的な「日本のおばあちゃん」として人気を博すが…? 正子は若い頃は女優としてそれなりに成功したが、映画監督と結婚して、夫の望むまま家庭に入りました。 夫は自由に行動し、家事も育児も介護も任せっきり。 もう4年も口をきいていないのだが、離婚を求めて...
75歳で再デビューした女優は、理想的な「日本のおばあちゃん」として人気を博すが…? 正子は若い頃は女優としてそれなりに成功したが、映画監督と結婚して、夫の望むまま家庭に入りました。 夫は自由に行動し、家事も育児も介護も任せっきり。 もう4年も口をきいていないのだが、離婚を求めても応じない。 正子は友人の勧めで髪を染めるのをやめ、脇役の老人として、再デビューします。 一時は人気が出るが、イメージダウンした途端に大炎上。 おばあちゃんは、優しく可愛くなければいけなかったのだ… マジカルとは、アメリカで「風と共に去りぬ」に出てくるスカーレットの乳母マミーのことをマジカルニグロというのと同じ使い方。 あたたかく親切で、家族同然、奴隷であることに苦しんでなどいない、スカーレットを助けてくれる存在。 これが白人の望む黒人の姿なのだという。 差別する側は、そういう意識を抱いてイメージするのだと。 そのイメージを守り続けることは、差別に加担すること? 言われてみればわかる気はするが、そこまで考えてはいませんでした。 この正子さん、性格上の一番の特徴は「目立ちたがり」で、ややおっちょこちょい、口も悪く、性格がいいってわけじゃない。 でもいいところがないわけでもなくて、気が合う人はいるし、率直で生き生きしていて、諦めないでチャレンジしていく。 自宅が増築を重ねたヘンテコで陰気な建物であること、自分のイメージダウンを逆手に取り、身近な人たちと組んで、次の仕事を始めるのです。 さらに意外な展開が…? キョーレツだが面白おかしく、かつ鋭い指摘も含んでいる。 熱っぽく、辛口で、突拍子もなくて、笑える、柚木麻子の世界☆
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柚月裕子さんと間違えて借りてきたのですが、この作家さんも好きなので。(柚月裕子さん、こんな本も書くんだぁと思ったら、違ってたみたいな) 若い頃、女優として活動していたのですが、映画監督と結婚して引退します。 そして、歳をとってから再びスポットがあたり、再び活動を再開する...
柚月裕子さんと間違えて借りてきたのですが、この作家さんも好きなので。(柚月裕子さん、こんな本も書くんだぁと思ったら、違ってたみたいな) 若い頃、女優として活動していたのですが、映画監督と結婚して引退します。 そして、歳をとってから再びスポットがあたり、再び活動を再開するも、旦那さんが亡くなり、(旦那さんとは敷地内別居をしていた)それに対する主人公のコメントのせいで、再び引退したような生活に。 旦那さんが亡くなった後、旦那さんのファンだという女性と奇妙な同居生活も始まります。 私的に、シニア女優として活動していた主人公より、世間から見放された感じになって生活していた主人公の方が好きです。(割り切った感じというか、そんな感じが良かったです)
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この社会は、無自覚に無意識的に、全てにおいて人間は格付けしあっている。目に見える差別、目に見えないどころか意識もされない差別。その他、なんだか気持ち悪さを感じるけど認識できない差別。社会の隅々までヒエラルキーが張り巡らされている。 マジカルグランマ、この小説で一番すごいのはこのタ...
この社会は、無自覚に無意識的に、全てにおいて人間は格付けしあっている。目に見える差別、目に見えないどころか意識もされない差別。その他、なんだか気持ち悪さを感じるけど認識できない差別。社会の隅々までヒエラルキーが張り巡らされている。 マジカルグランマ、この小説で一番すごいのはこのタイトルでしょうか? 経済問題解決のためとは言え、正子さんがマジカル○○ではない、自分らしさを全面に打ち出し自分を取り戻す物語。 それから、全ての人は自分の居場所を求めてる。人生は自分の居場所を探す物語なのかもしれない。小さいけれど本当の幸せは、自分の居場所を見つけたところにあるように思う。この小説では、名前もない近所の人まで居場所を見つけ活き活きと生活し始めた事が感じられる。 話の落とし所も絶妙。 正子さんのその後、更に自分らしさに磨きをかけ、山あり 谷ありも何のその、無限に広がる未来でイキイキと生きてるんじゃないのかなと想像しています。
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かつて女優をしていた正子は、監督業をしている夫と屋敷で家庭内別居をして暮らしていた。 またカメラの前に立ちたいと願った彼女はその夢を叶えることができたが、夫の葬儀でのふるまいがきっかけで、大バッシングを受けてしまう。 女優として転落してしまった正子だが、お金を稼ぐためにも、自分の...
かつて女優をしていた正子は、監督業をしている夫と屋敷で家庭内別居をして暮らしていた。 またカメラの前に立ちたいと願った彼女はその夢を叶えることができたが、夫の葬儀でのふるまいがきっかけで、大バッシングを受けてしまう。 女優として転落してしまった正子だが、お金を稼ぐためにも、自分の願望のためにもなんとかして女優を続ける道を探る正子が75歳にして自ら人生を切り開く痛快ストーリー。 なんとなく思い切ったことは若いうちしかできないと自分で思い込んでしまっていて、本当はそうじゃないってことを知っているのに、それを認めると何もしていない自分が嫌になるから、つい目を背けてしまう。 そんな私には正子が痛快すぎてワクワクが止まらなかった。 本当は自分大好き、自分が1番大切、やりたいことしたいんだもん!で生きていいんだよね。 終わり方もまた痛快すぎて、読後スッキリした気持ちになれた。
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本の表紙から見ると、主人公のおばあちゃんあ、とても可愛らしく見える。 ステッキは、魔法の杖かしら?と、おもわせるような・・・ 読んでいて、このマジカルという意味合いの深さを感じられる。 主人公の正子は、74歳。 女優になり結婚して引退、何不自由のない主婦であり、夫は、監督で、同...
本の表紙から見ると、主人公のおばあちゃんあ、とても可愛らしく見える。 ステッキは、魔法の杖かしら?と、おもわせるような・・・ 読んでいて、このマジカルという意味合いの深さを感じられる。 主人公の正子は、74歳。 女優になり結婚して引退、何不自由のない主婦であり、夫は、監督で、同じ敷地に居ても、離れで過ごしている。 初めから、好き放題、であるのだあ、75歳にして、再デビューで、若作りをやめ、髪も染めずに、白髪のままで、日本の優しい思いやりのある 笑顔のおばあちゃんの代表みたいになるのだが、・・・・ 夫の突然死で、仮面夫婦、口も4年も利いてなった事も話題になり、一瞬のうちに、おばあちゃん像というものが、崩れ落ちてしまった。 そして、大きな家も、売る事も出来ず、夫は、借金もあった事が、判明する。 どう、正子は、やりくりしていくのか??? 次から次へと、難題も、・・・ 監督を尊敬して現れ、居候の身の杏奈。 近くのごみ屋敷の野口さん。 息子の孝宏。 嫌われる事を、なんとも感じずに、対応できる正子は、凄い精神力の持ち主だと思う。 家を潰して更地にしないとこの住んでいる大きな家の不動産が、売れないのなら・・・と、杏奈と一緒に、思い出の品をメルカリで、売りに出す。 何もかも、家財もブローチなども・・・物品には物欲が無いのか? そして、売れないのなら、・・・と、お化け屋敷に迄、構想を練り、本当にそれを作り上げて、演出までしてしまう。 この集中力も凄い! 何もない時には、庭の敷地に色んなものを植えていたのを思い出し、それをも実行に移す。 本当にパワフルグランマである。 最後は、アメリカ迄も進出する凄さに・・・・ 全てが、順調に物事が、運んでめでたしめでたし・・・である。 しかし、これは、若い作者が、思いついた今の日本の好々爺やそのおばあちゃん像を 嫌われ者でも若者の思想をも持った人物を描こうとしている。 読んでいて面白いし、発想もいい、その中でも、人種問題なども今の世相に合わせた事も 含んでいる。 「風と共に去りぬ」も昔読んだ時には、違和感もなく読んでいたのだが、・・・考えさせられる部分が、多い事も。 介護問題も・・・ 色んな事を盛り沢山入っている 小説である。 読み易かったし、面白かった。 でも、・・・・ 主人公の正子さん迄、歳は行っていないけど、やはり、年々、身体は、衰えて来る。 こんな元気なおばあちゃんだと、何でも出来そうだけど、・・・なんて羨ましく思いながら、本を閉じた。
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映画監督の夫と別居して5年、夫にはもうなんの愛情もないが、収入もない正子は、75歳にして、女優に復活すべくオーディションを受ける。 怒涛のような展開で、次々と登場人物が現れ、物語の中でそれぞれの人生が解けていく。伏線の回収も見事で、最後のオチまで息つくひまもないくらい。ジェンダ...
映画監督の夫と別居して5年、夫にはもうなんの愛情もないが、収入もない正子は、75歳にして、女優に復活すべくオーディションを受ける。 怒涛のような展開で、次々と登場人物が現れ、物語の中でそれぞれの人生が解けていく。伏線の回収も見事で、最後のオチまで息つくひまもないくらい。ジェンダーの問題あり、お金の問題あり、親子、夫婦のこと、そうだったのか!が連発して、楽しくてしょうがなかったです。 マジカルグランマという、既成概念に囚われたおばあちゃんのイメージが、誰かを傷つけていたかもしれない、というところはハッとさせられました。
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それはないなーと思ったり、そんなに上手くいく?と思ったりで常に斜めから読んでしまいましたが、正子のパワフルな人生に、読後は妙に前向きになっていました。
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うーん. 最後ちょっと… えーそれはないでしょう…って思ったけれど… 周りを気にせず…いや 巻き込みながら好きな事をしているおばぁちゃんもそれはそれでマジカルかな?
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