1R1分34秒 の商品レビュー
第160回芥川賞受賞作。 プロボクサーの中に宿る肉体・思考・情緒という3つの領域からその内面を描いた作品。 対戦相手の情報を集めるうちに一方的な友情が芽生えていく様は斬新で個性的。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
試合に連敗し、キツい練習や減量をする目的はなんだ?ぼくは何のためにボクシングをする?勝ったところで何になる?と自問自答する主人公。それでもなんとか気を持って、時に持たされて懸命に前に進もうとする。自分の選んだ道で自問自答する、絶望とも希望とも取れる物語
Posted by
相変わらず言葉選び 文章の作り方 新鮮で楽しい ボクシングを知らないけれど 発見がたくさんあって のめりこんで読んでしまった ボクシングは残酷で痛々しく テレビ観戦は好きじゃないけれど 心の動きは こういう風なのか!!と興味深く読み終えた
Posted by
スポーツマン要素皆無の僕ですが、ボクシング漫画、小説は大好物です。ストイックで繊細で、そしてリングでは暴力的且つ緻密に。そして苦悩。他のスポーツよりも小説という媒体には合っていると思います。 その小説に向いているという理由自体が、プロであるのに殆ど食べられる人がおらず、減量苦や将...
スポーツマン要素皆無の僕ですが、ボクシング漫画、小説は大好物です。ストイックで繊細で、そしてリングでは暴力的且つ緻密に。そして苦悩。他のスポーツよりも小説という媒体には合っていると思います。 その小説に向いているという理由自体が、プロであるのに殆ど食べられる人がおらず、減量苦や将来の不安でいつもメンタルにイラつきや不安が付きまとう。なんでそんな道を選ぶのかという問い掛けをしようにも、男ならそういう道を選ぶ心が理解できるし、むしろどこか憧れる。そういう色々ないまぜにした「ボクシング」自体を選ぶそのこと自体が非常に文学的な気がします。ま、文学よく分からないのだけれど。 スポーツ小説が芥川賞とるのってなんとなく珍しいなと思っておりましたが、読んでみると純文学的要素多いですね。結構納得。 元々芥川賞になんら期待していないので、相当なハズレでなければ何とも思わないのですが、結構好きな雰囲気を持った小説だったのでよかったです。
Posted by
映画を撮る友達との関係性や、 トレーナーのウメキチとの信頼感が 簡単に言うと 「男っぽいなー」 とすごく素敵に思った。 ラストの減量のシーンは、 気持ちがあっちこっちになってるとこや イライラ加減がとてもリアルで 号泣シーンが心に残る。 平仮名が多くて少し読みにくさを感じた...
映画を撮る友達との関係性や、 トレーナーのウメキチとの信頼感が 簡単に言うと 「男っぽいなー」 とすごく素敵に思った。 ラストの減量のシーンは、 気持ちがあっちこっちになってるとこや イライラ加減がとてもリアルで 号泣シーンが心に残る。 平仮名が多くて少し読みにくさを感じたけど もっと読んでいたい! まだ先を知りたい! というのが、読み終えた時の1番の感想。
Posted by
ボクサーの試合に向けた身体の準備、そして心の葛藤、興味深く読んだ。素人趣味だが、フルマラソンに向けたトレーニング、心の準備も、共通するところが少しある。
Posted by
負け込んでいる4回戦ボーイ 意気込み、苦悩、諦め、そして再び「勝ちたい」 心の中からあふれ出る言葉たちの なんと饒舌なこと! 言葉のチョイスが独特で心地よい。 この小説は日頃からボクシングやボクサーたちに 触れてる人間ならば、より楽しめるかも。
Posted by
第160回芥川賞受賞作品。タイトル通りボクサーの物語ながら試合の描写はごく僅か。敗戦から次の試合までの日々で自己を模索する男の話だと自分は受け止めた。主人公は勝つ動機を取り戻すが試合結果は不明。負け犬たちのワンスアゲイン的な分かりやすいカタルシスは無い。でも彼は輝けるに違いない...
第160回芥川賞受賞作品。タイトル通りボクサーの物語ながら試合の描写はごく僅か。敗戦から次の試合までの日々で自己を模索する男の話だと自分は受け止めた。主人公は勝つ動機を取り戻すが試合結果は不明。負け犬たちのワンスアゲイン的な分かりやすいカタルシスは無い。でも彼は輝けるに違いない。内省的なのにどこか爽快感のある不思議な読後感の小説だった。
Posted by
主人公は常にぐんにゃりと内省していて、のわりにボクシング描写は俯瞰して描かれており、対比が小気味よい。 シネマ形式の夢を見て、相手を憎みきれないぼく。峯田和伸の歌みたいな童貞感を出したと思ったら、童貞なら真っ青の行動力を見せつけるぼく。iPhoneで撮影をする『友だち』は最後まで...
主人公は常にぐんにゃりと内省していて、のわりにボクシング描写は俯瞰して描かれており、対比が小気味よい。 シネマ形式の夢を見て、相手を憎みきれないぼく。峯田和伸の歌みたいな童貞感を出したと思ったら、童貞なら真っ青の行動力を見せつけるぼく。iPhoneで撮影をする『友だち』は最後まで『友だち』のままで、検索サイトやSNSから交友関係まで対戦相手を詳しく調べあげるのに、『友だち』のことは、少し調べればわかることも調べないところからもこれからも『友だち』以上でも以下でもないのだろう。 消毒液の描写、p101の描写、ウメキチとの夕方のロードワーク、記憶論が印象に残った。遅く走るべき日は遅く走るのが、プロってもんなんだ。そのときにぼくはわかってしまった。ただの散歩がまるでジェットコースターだ。 なんとなく、堀江敏幸『スタンスドット』を彷彿とさせられ、個人的には好みでした。ただ賛否があるのもまぁわかるし、ボクシングにまるで興味のない人には読み進めるのはしんどいかもしれない。
Posted by