商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2019/01/31 |
JAN | 9784103522713 |
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商品レビュー
3.2
122件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
初めて読む作家さん。時間の無駄だったと思いたくないからお試しで、芥川賞とってるし面白いかなと。本が薄くて助かる。 二十歳超えて厨二病かってとことん内省的な主人公も分からんし、ボクシングの描写もやったことないから想像しにくい、ありがたいことに飢えを強く感じたこともないから減量の苦しみに共感もない。 人生に厭きているといいながら変化を嫌気する、投げやりでありながら尊大な自尊心が他人が懐に入るのを許さない、なんでこんなことしてるんだろうの理由に向き合うことなく自暴自棄気味に自傷行為のようにボクシングを続ける主人公。 なら辞めてしまえ!うっせぇんだわよ! と投げ出したくなる。芥川賞と残りページの少なさでなんとか踏みとどまる。 わざとなんだろう、そこひらがな?ってところで突っかける、難しい漢字を敢えて選択する、なかなかさらさら読ませない仕組み。車のスピード出させないように道に小山つくったり、幅員狭めたりする方法があるが、それに似てる。ちゃんと噛んで欲しいんだなと理解する。その文体うじうじ主人公とぴったりですわ、鼻につく感じ。 辛口に書いたが、最後の章の身体を極限まで追い込んだ主人公が夢か現か分からない中で、部屋にもたれる木に、想い出に、時間に、友人の映画に、パラレルワールドの妄想に、自らの内面を見る。作者が描きたかった世界が朧げに点描のごとく見えてくる。今までのうだうだの日常描写はこの最後のシーンを描くためだったんだと、ミステリーではないけど伏線回収のような心地良さあり。死んでもおかしくない勝負をする理由を、観客は「好きだから」で片付けたいところを落とし込もうとしたらここまでなるのかも。5文字で言語化できる感情は掘り下げるとここまでなるのかも。 4回戦のパッとしない成績の20そこそこの若者の1R1分34秒にこの本のような濃淡のある時間が凝縮されていると思うと果てしない。にわかでその試合見て人の試合にいちゃもんつけるとかその全てを踏みにじってて論外だな。でもそんなに複雑に考えんなよ言語化せずに身体動かしとけよ、とも願う。 最後の章はしっかり2回読み込んでやっとニュアンスが分かるくらいの読解力の無さだけど、そういう訓練という意味でも読んでよかった。ウメキチが出るあたりで、あれ?この話読んだことある?と私が気が付いたように、これからも1秒ごとに記憶をブチブチ消しながら(ボクシングしてないのに脳がぶっ壊れてるのか)消されながら生きるのが人間なので、主人公が最後に見つけた気持ちも後からついてくる勝敗や出会いや物事によって形を歪めながら何度も忘れ、出会いを繰り返していくんだろう、感情って面倒臭いな。
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芥川賞受賞作品らしく、文章表現は豊か。ストーリーはめっちゃおもしろいわけではない。 ボクサーの話だけど、わりとテーマは普遍的。アイデンティティというか、今自分が何をしたいのか見失うこともあるし、他人との交流が煩わしく感じたりすることもあるけど、「信頼のシステム」が成立したときに...
芥川賞受賞作品らしく、文章表現は豊か。ストーリーはめっちゃおもしろいわけではない。 ボクサーの話だけど、わりとテーマは普遍的。アイデンティティというか、今自分が何をしたいのか見失うこともあるし、他人との交流が煩わしく感じたりすることもあるけど、「信頼のシステム」が成立したときに初めて人は誰かに甘えられるし、「あのときああしていれば」的な想像で今の状況を前向きに捉えたりすることができる。 現状にかまかけて怠惰に過ごすのは傲慢なんかなあと感じた。人間の負と正が、何気ない様子から如実に炙り出されていた。
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「人間関係、めんどくさいなあと思った。人生。」 でも主人公はトレーナーもいるし友達もいる。 親身になってくれてると思った。減量のときの思考、自分と向き合ってる、生きるとは、を追い込んでる中で答えを出している。「だから勝つ」。 思いを言葉にするのは難しい。
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