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1R1分34秒 の商品レビュー

3.2

123件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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  4. 2つ

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2019/03/04

芥川賞受賞で話題の一冊です。ボクサーの苦悩がつらいほど描かれてます。ボクサーが主人公の小説って、どれもこれも面白い。それぐらい、命を削って戦ってるんですね。

Posted byブクログ

2019/03/03

第160回芥川賞受賞作。 芥川賞はやっぱり読まなきゃねということで、出張の飛行機の中で読了。 又吉の「火花」のボクシング版だなっていうのが、受けた印象。勝てないプロボクサーの心の葛藤を、トレーナー、友だちそしてガールフレンドのやり取りを通して描く。 芥川賞っぽいですね。

Posted byブクログ

2019/02/28

それなりに才能はある しかし所詮それなりの才能しか持ちえない そういうスポーツ選手には、ほとんど絶対訪れる挫折の時期が あるのかもしれない それは、勝てないとわかっていながら 成功体験とプライドに固執して あるいは、他の具体的な方法を教えてくれる人がいないために 自分の狭いスタイ...

それなりに才能はある しかし所詮それなりの才能しか持ちえない そういうスポーツ選手には、ほとんど絶対訪れる挫折の時期が あるのかもしれない それは、勝てないとわかっていながら 成功体験とプライドに固執して あるいは、他の具体的な方法を教えてくれる人がいないために 自分の狭いスタイルを崩すことができず 同じ失敗を無限に繰り返してしまう そういう時期だ これは、そういうスランプの時代を苦しむ一人のボクサーが 変わり者のトレーナーをあてがわれ 反発しながらも、危機を脱していく話 対戦相手と仲良くなってしまう夢を見るのは 未来の敗北に、あらかじめ言い訳を作っておくためか もちろんそんなものは ヒューマニズムでもなんでもないただの逃げなんだが しかしそういう心の弱さを精神論で否定すれば 誰もが強くなれるわけではない 「ムエタイの首相撲」という、奇をてらった?一種の必殺技を出してきて 現状を打開するあたりは少年漫画の文法だが 案外それが理にかなっているように思う

Posted byブクログ

2019/02/27

 成績が全然奮わなくてトレーナーにも見捨てられて精神的にも行き詰っているプロボクサーの「青志」が、新たなトレーナー「ウメキチ」(?)といっしょに頑張って復活するまでの物語。  一人称が「ぼく」である青志の心理描写がこれでもかってくらい、青志自身の言葉で語られる。物語中で指摘される...

 成績が全然奮わなくてトレーナーにも見捨てられて精神的にも行き詰っているプロボクサーの「青志」が、新たなトレーナー「ウメキチ」(?)といっしょに頑張って復活するまでの物語。  一人称が「ぼく」である青志の心理描写がこれでもかってくらい、青志自身の言葉で語られる。物語中で指摘されるとおり頭で色々考えるタイプのようで、といってもドストエフスキーの登場人物みたいにひたすら語りまくるわけではなく、少年のように平易な言葉で、きちんとした文章ではなく語られる。脳内で再生された言葉をそのまま文字に起こしたような感覚。  終盤は減量のせいで意識が朦朧としているのか、語りもどんどん溶けてゆく。その一方で、感覚がどんどん研ぎ澄まされていくのが分かる。まるで自分も減量でクラクラになったかのように、休憩も挟まず一気に読み終えてしまった。  ボクシングがうまくいかなくて、練習に来た彼氏持ちの女性とエッチしちゃう。「ぼくは飽きもせずもう一度窓辺の彼女を抱いた。まだパンツだけの姿だったぼくに、ぼくのシャツを着た彼女。いいにおいがして、ぼくはもう、果てしがないよ。」(p.33)  ぼくはもう、果てしがないよ。馬鹿じゃないだろうか。語り手がここまでヘタレたことを言う小説って、芥川賞受賞作だと西村賢太が記憶に新しい(13年前だけど)。こいつヘタレてんなあという感情むき出しの語り手はある意味非常に信用できて、気が付けば登場人物に乗り移って、物語を自分の中で消化させてくれる。  物語自体は劇的なところのない自己形成小説という感じだけど(熱中し過ぎて内容をちゃんと覚えてないだけかもしれない)、読んでいるときの肌触りは最高だった。

Posted byブクログ

2019/02/27
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第160回(2018年下半期)芥川賞受賞作 最近の芥川賞は文章は読みやすく、一気に読んでしまいました。 物語としては、初戦しか勝ったことがない4回戦プロボクサーの焦燥感がよく描かれていたと思います。 純文学として見ると、漢字の使用の仕方や現実と心象の混ざり具合が特徴かと思います。 読みにくい人名などにもフリガナがないのに対し、心象描写においてはあえて簡単な単語を平仮名で表記するなど、メリハリというか、緩急というか、効果的な感じがしました。 現実の人物である、主人公の映像を撮り続ける大学生の友人や新トレーナーのウメキチ、セフレ的な友人としての彼女などの存在や実際のトレーニングシーンなどは映像的な感じがあって、心象風景との対比となっているようにも感じました。

Posted byブクログ

2019/03/05
  • ネタバレ

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 「文藝春秋」掲載で読む(毎度のことながら)。   『ニムロッド』は後から。本作のほうが、より芥川賞っぽいと感じたから(当社比)。それに、ボクシングというテーマはとっつきやすい。  意外と読了まで時間のかかる作品だった。それは、つまらなくて頁を繰るのが遅くなったのでもなく、ワケがわからなくて行きつ戻りつしたからでもない。文章そのものが、じっくり味わいたくなるような、軽く読み飛ばせない、ほどよい重みを感じさせるものだったからかもしれない。  漢字で表記されることが多い文字を開いていたりして、ところどころ、引っ掛かりを感じるところもあった。 それは単なる表記上のことでもなく、「あれ?」「うーん・・・?」という引っ掛かりでもなく、「おっ?!」という感じ。  銓衡委員のひとり山田詠美は「途中、いくつもしびれるフレーズが出て来て、思わず拍手したくなった」と言う。拍手をするのに手は止まるよね。そんな感じ。  デビュー戦後、ぱっとしない21歳プロボクサーのぼくが主人公。内省的に自分の気持ちや、試合前後に身体的な動きを確かめるイメトレ的なモノローグが、自身の弱さだったり、残酷に徹しきれない優しさを表しているかのようで興味深い。今の若者風といえばそうなのかもしれないけど、ちょっと意外なボクサー像。戦う男として、内在していても決して表に出してはいけないような感情も吐露するような表現が新鮮に映る。 「恥ずかしい。 どんなに否定されても、「立派に闘いきった」といってもらえても、敗けることも倒されることもしんじつは恥ずかしい。事実でなくても感情は恥ずかしい。感情は感覚だ。感覚は真理だ。だから恥ずかしいは真理だ。」  そんな彼が、現役からトレーナーへの転身を図ろうとするウメキチと出会い、彼との練習を通じ、少しずつ変わっていく己の心身を丁寧に描写していく。殻を破ってというほど劇的な転換はなく、それこそ薄皮をはぐように、新たなそしてさらに繊細な自己が姿を現すようで興味深い。  同じく銓衡委員の吉田修一は、「平坦な道を歩いていると、ふと詩の欠片が落ちていたような驚きがある」と評す。  こんな(下記)表現などは、まさに詩だなと思って読んでいた。 「試合がおわれば記憶から抹消されるのだが、涙のながれないぼくを泣く。部屋に丸まって、いつもの部屋だ。ルクスのひくい。部屋を泣く。 」  もうひとり、ぼくの友人として登場する、彼の姿をノンフィクションの映像として撮影しつづける男がいる。試合以外の日常に寄り添いながら、ありのままの「ぼく」の姿を捉えようとする。そして、ぼくの独白にいろいろ注文をつける。 “友だちは「すぐ人生に例えるクソフィクションはやめろ」と怒る。”  意外と、友だちが撮ろうとしている姿のほうが、強気で表面的なボクサー像のようでもあり、面白い。新たなボクサー像を描きだしつつも、そこはかとなくある若さの普遍性。 銓衡委員高樹のぶ子評; 「見えざる世界を相手に、自らの身体を追い詰めることで自己発見し武装する、というのは古今東西、変わらぬ若者の姿なのだろう。若者はまず、自分の身体と闘うのだ。」  新しいけど、変わらぬ真理とでもいおうか。「これが文学である」、とシッタカブッテ締めくくってみる。

Posted byブクログ

2019/02/25

190225.3時間くらいで読了。 期待値以下。何を伝えたい話なのか分からなかった。漢字の使い方や言葉の区切りなど、これは主人公のレベルに合わせた表現なのかな?子供のセリフがひらがな。外人のセリフがカタカナのように? いまいち伝わり辛いし、読みにくいのは単にストレス。 ウメキチが...

190225.3時間くらいで読了。 期待値以下。何を伝えたい話なのか分からなかった。漢字の使い方や言葉の区切りなど、これは主人公のレベルに合わせた表現なのかな?子供のセリフがひらがな。外人のセリフがカタカナのように? いまいち伝わり辛いし、読みにくいのは単にストレス。 ウメキチが出てからはいわゆる普通の成長劇になっていくし面白い感じもあったが、結局終盤は減量苦の話のままガタガタっとタイトル締め。 iPhoneの友達も人物像が浮かばなかったし、物語にいる必要性が分からなかった。 登場人物も結局、主人公を中心にしか繋がらず、常に主人公と誰かの話。展開もないもんだから最後までよく分からないという感想しか出なかった。 芥川ってなんなん? 書評でも探してみようかと思う。

Posted byブクログ

2019/02/24
  • ネタバレ

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ボクサーという存在には、憧れますね。男として生まれた以上(いやでも、女性でも、もしかしたら?)、ボクサーに憧れないなんて、そんなの無理、ってくらいに、憧れる存在です。そのストイックさ。栄光と挫折の雰囲気。自らの拳に全てが懸かっている、という重さ。いやあ、ボクシングって、凄い。 で、このボクシング小説、なんだがめっちゃ文学的、っていうか、こう、めっちゃ頭で考える系ボクシング。そらねえ、小説なんだし、そらそうか。華々しくは、全然、ねえなあ。漫画で言うなら「がんばれ元気」「はじめの一歩」よりは、「太郎」寄り。な感じ?「あしたのジョー」的でも有るかなあ?映画で言うと「キッズ・リターン」な感じは、間違いなく有り。「ロッキー」シリーズで言うと、「1」あたりな雰囲気?なんでしょうかね?「レイジング・ブル」は未見ですまん、って感じです、、、すまぬデニーロ。 小説として面白いか?と言われると、うーむ、すまぬ。そんなにグッと来なかった、というのが、正直な感想です。すみません。生意気言って。でも、ボクシングという競技と、ボクサーという人々に関しては、大変に興味深く共感できました。試合に負けた時の映像を観返している時の心情とか、減量中の、多分半端ないであろう飢餓感と、ある意味ハイになってトリップしているような心情描写ですとか、ありゃあ、興味深い。ボクシングに魅入られたら、どうしようもなく、最高なんだろうなあ。それって、ある意味、ロックンロールに魅入られたバンドマン、と、近いような気もしました。 あ、主人公の、「女のこはすごい」って言っちゃう、あの感じ、なんだか、ゴイステ~銀杏BOYZの峯田さんと、めっちゃ感じが似ていた。というか、文章が似ていた。峯田さんを連想しまくってしまう、あの感じ。良いなあ~って思いながら読んでいましたね。もう、好きですね。女のこって、すごいよなあ。かわいい、ってすごいよなあ。マジでそう思うのですよね。 あ、この小説内の文章で、やたらと「その単語は、普通は漢字で書くのではないのかなあ?」という言葉が、敢えて?ひらがなで、書かれている、という文体。これって、作者の町屋さんとしては、自然にそうなるのか、それとも、何かを狙っての書きかたなのか?そこらへんが、よく分かりませんでした。でも、新鮮でした。「何故にこの単語をひらがなで書くのか?」という感じ。いやあ、不思議だった。それも個性なんだろうなあ。面白いですね、文体って。文は人を表すのだろうなあ~。 あ、そうそう、ウメキチは、主人公が、ジムに体験入学した女の子にちょっかい出したときに、ホンマに何を感じたのか?あんまり、よお、わからんかった、、、すまぬ。アレって「俺は全然モテないのに、お前だけ可愛い子と上手くやりやがって!ちくしょー羨ましい悔しい!」ってことを、感じただけなんでは?あの、二人でロードワークした時の、あの会話。あのウメキチの告白。アレの意味がいまいち、わからぬ、、、すまぬなあ、そんな読解力だった。

Posted byブクログ

2019/02/24

第160回芥川賞受賞作品。ボクシングの話しです。といっても、才能があるように思えず、努力もそれなり、恋愛もいい加減、仕事も適当なバイト。そんなグダグダな男の内面に光を当てた物語だ。ウメキチという新しいトレーナーと出会い。そこから彼は激変するが、メンタルの弱さはそのまま。そのぐだぐ...

第160回芥川賞受賞作品。ボクシングの話しです。といっても、才能があるように思えず、努力もそれなり、恋愛もいい加減、仕事も適当なバイト。そんなグダグダな男の内面に光を当てた物語だ。ウメキチという新しいトレーナーと出会い。そこから彼は激変するが、メンタルの弱さはそのまま。そのぐだぐたの弱さが人間らしくおもしろい。試合を中心に動的な部分を描くのではなく、その中間、特訓や減量。女との距離感、友達との関係。そういうのが面白かった。 http://muto.doorblog.jp/

Posted byブクログ

2019/02/23

文藝春秋で読破.トレーナーのウメキチから減量の極意を丁寧に教えられたボクサーがこれまでの不成績をひっくり返す勝利を得る物語だが、登場人物のうちiPhoneで画像を撮っている友達がユニークだ.神奈川芸術劇場、六本木森美術館などを指定してボクサーを案内する.ボクサーと芸術の違和感はあ...

文藝春秋で読破.トレーナーのウメキチから減量の極意を丁寧に教えられたボクサーがこれまでの不成績をひっくり返す勝利を得る物語だが、登場人物のうちiPhoneで画像を撮っている友達がユニークだ.神奈川芸術劇場、六本木森美術館などを指定してボクサーを案内する.ボクサーと芸術の違和感はあるが、なぜか楽しい.2回目の候補で芥川賞を取った由.ただ、あまり楽しめる文体ではない感じだ.従って、前作を読んでみたい気持ちにはならない.

Posted byブクログ