麒麟児 の商品レビュー
目指す理想は通じていても、新旧それぞれの政権に仕える西郷と勝の緊迫した談判は、結末を知っていても動悸をまねく。双方が腹に不戦を据えて交渉に臨んだのだろうが、それに異を唱える側近や配下を収めることの困難は想像を絶する。己の立場を堅持するために、相手の立場を思いやる。実を取るべく歩み...
目指す理想は通じていても、新旧それぞれの政権に仕える西郷と勝の緊迫した談判は、結末を知っていても動悸をまねく。双方が腹に不戦を据えて交渉に臨んだのだろうが、それに異を唱える側近や配下を収めることの困難は想像を絶する。己の立場を堅持するために、相手の立場を思いやる。実を取るべく歩み寄りの鑑だわ。主張あるのみで報復合戦の米中首脳・・・それはいいか。とにかく、混乱、動乱、戦乱を鎮めんと終生尽くした二人の麒麟児をねぎらいたい。征韓論と西南戦争には種々解釈あれども、ここではこれでよぉごわす。
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図書館で借りた本。勝海舟と西郷隆盛の江戸城無血開城が実現するまでの勝海舟側からの視線で描いた内容。山岡鉄舟がすごく男気あって好きな人物だ。
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教科書からの知識では勝海舟、西郷隆盛の話し合いで無血開城となった、くらいしか知らなかったですが、水面下での働きが細かく心情とともに書かれていて引き込まれました。
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海舟と西郷隆盛の交渉の時の話。 勝海舟=ひょうひょうとした人という印象があったのですが、その裏の顔は読んで見てのお楽しみ。
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【感想】 西郷と勝による「江戸城の無血開城」。 実際、両者や時代にどのような背景があって、江戸城の無血開城に至ったのかまでは知らなかったため、読んでいて面白かったし勉強になった。 勝が「焦土戦術」を目論んでいたことすら知らなかった。 交渉に及ぶまでの勝の手数の一つ一つには舌を巻...
【感想】 西郷と勝による「江戸城の無血開城」。 実際、両者や時代にどのような背景があって、江戸城の無血開城に至ったのかまでは知らなかったため、読んでいて面白かったし勉強になった。 勝が「焦土戦術」を目論んでいたことすら知らなかった。 交渉に及ぶまでの勝の手数の一つ一つには舌を巻いたし、何しろ色んな事情がありつつもそれを呑むことができた西郷の人柄。 官軍賊軍といえども心の中ではお互いを認めていた点は、お互いが他に類を見ないレベルの「麒麟児」であったからに他ならない。 幕末から明治にかけて、混沌としたこの風雲の時代は、本当に魅力的な人物ばかりで面白い!! 本当にロマンにあふれてるねぇ。 こういった歴史があったからこそ現在の日本があるってことを、今を生きる日本人は決して忘れてはいけないと思う。 【あらすじ】 慶応四年三月。 鳥羽・伏見の戦いに勝利した官軍は、徳川慶喜追討令を受け、江戸に迫りつつあった。 軍事取扱の勝海舟は、五万の大軍を率いる西郷隆盛との和議交渉に挑むための決死の策を練っていた。 江戸の町を業火で包み、焼き尽くす「焦土戦術」を切り札として。 和議交渉を実現するため、勝は西郷への手紙を山岡鉄太郎と益満休之助に託す。 二人は敵中を突破し西郷に面会し、非戦の条件を持ち帰った。 だが徳川方の結論は、降伏条件を「何一つ受け入れない」というものだった。 三月十四日、運命の日、死を覚悟して西郷と対峙する勝。 命がけの「秘策」は発動するのか――。 幕末最大の転換点、「江戸無血開城」。命を賭して成し遂げた二人の“麒麟児”の覚悟と決断を描く、著者渾身の歴史長編。 【引用】 p12 ・焦土戦術 フランス人やイギリス人ですら、勝がその戦術の話をすると、はっと息を呑んで青ざめるほどだった。 特にフランス人は、過去にナポレオンという王が同様の戦術で無残な撤退を余儀なくされたという歴史があるとのことで、いっそう戦慄した。 日本にも同様の戦術についての記録があった。文禄・慶長の役だ。 豊臣秀吉が朝鮮半島に送り込んだ兵の多くが、焦土戦術によって飢えに追い込まれたという。 侵攻される場所そのものを業火の海に沈める。後には何も残らない。 肉を切らせて骨を断つどころではなかった。 あらゆるものを捨て去るのだ。 歴史を、人々の生活を、築いてきた全てを。 それら何もかもを犠牲にする地獄の策だった。 これが今まさに江戸に攻め入らんとする官軍を迎えるにあたっての最後の策だった。 本気で抵抗する意志がなければ、交渉もくそもない。 p30 山岡鉄太郎 かつて尊王攘夷派の志士・清河八郎とともに浪士組を結成し、上京した。 清河八郎が暗殺されて謹慎の身になって以来、幼少より鍛錬し続けてきた剣禅にさらに邁進し、その修練のほどは誰もが目を見張るほどで、幕臣の中でも名が知られていた。 「倒幕派と呼ばれる者たちは、そもそもなぜ、幕府を倒さんと願うに至ったのでしょうか?」 鳥羽伏見の戦いで官軍に敗北し、遁走せざるを得なかった慶喜の身辺を護りながら、そんな疑問を抱いていた。 p32 「倒幕を願う連中の心にあることの一つは、昔の戦さ。それも、江戸開幕を成し遂げた、大権現様の軍配ひらめく大戦だ。」 「倒幕派の多くが、関ヶ原で一敗地にまみれた家の出だってことよ。 ただ戦に敗れただけじゃない。 幕府はその後も連中の力を殺ぐため、金のかかる参勤をさせたり、大変普請を押し付けたりと、ありったけの嫌がらせをしてきたのさ。 薩摩なんてのは、なかでも一層ひどい目にあった藩の一つだ。」 p52 勝の人生はこうしたことの繰り返しである。 幕府が窮地に陥ると重用され、用が済むと放り出される。 どれだけ的確な進言をしても、的確であるがゆえに拒絶される。 p70 勝も西郷も、思想を問わず人脈に重きを置くとともに、間者を使うこと、人を遣わすことに長けているのである。 国を二分する戦が起ころうとしているこの時、ぎりぎりの危機下にあって、敵対する軍の総責任者同士が、間接的に意思疎通をはかる。 そうした芸当をしてのけられることこそ、勝と西郷のいう二人の麒麟児の、異彩たる所以だった。 p107 ・勝と福沢は不仲? 福沢諭吉は咸臨丸に同乗して以来、勝の悪口をあちこちで振りまいているし、何より自分の塾の設立しか念頭にない。 刀などとっくに捨てた人間である。 それもまた正しい態度であろう。 だがそれは、今のこの難局を誰かが打破したら、の話だ。
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勝の目線で大政奉還の事後、スクラップアンドビルドの境界線を語る。タイトルの麒麟児は勝海舟と西郷。 江戸城無血開城に至るギリギリの交渉。革命のカタルシスではなく建国の地道。龍馬への言及は数行で済ませるあたり、いいね。 作者が留魂碑に刻まれた両名の漢詩から想像の羽根を広げて長編にまで...
勝の目線で大政奉還の事後、スクラップアンドビルドの境界線を語る。タイトルの麒麟児は勝海舟と西郷。 江戸城無血開城に至るギリギリの交渉。革命のカタルシスではなく建国の地道。龍馬への言及は数行で済ませるあたり、いいね。 作者が留魂碑に刻まれた両名の漢詩から想像の羽根を広げて長編にまでしてしまったかのような作品。
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ほとんど勝と西郷の会話劇のようなスタイルで、緊張感のある、やりとりは面白かったです。 江戸無血開城という、幕末小説には良く出て来る一シーンですが、そこだけにフューチャーした作品は読んだことがなかったので、楽しめました。
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幕末から明治の政権争い明治政府のできるまでが諸外国の干渉まで含めてわかりやすく書かれている,特に江戸城明け渡しの駆け引きは手に汗握る面白さ.西郷隆盛の大きさがぐっと際立っていた.二人の麒麟児といっても主には勝海舟のことを書いていながら,浮かび上がってくるのは西郷隆盛の悲哀だった....
幕末から明治の政権争い明治政府のできるまでが諸外国の干渉まで含めてわかりやすく書かれている,特に江戸城明け渡しの駆け引きは手に汗握る面白さ.西郷隆盛の大きさがぐっと際立っていた.二人の麒麟児といっても主には勝海舟のことを書いていながら,浮かび上がってくるのは西郷隆盛の悲哀だった.徳川慶喜も大政奉還をしたのは功績と言えるが,なんという人間性かと呆れてしまった.
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勝麟太郎と西郷隆盛。 賊軍と官軍に分かれていても、思いは同じ。 被害を最小限に抑えての和睦。 その考えが一致していたから、奇跡の江戸無血開城が成ったのだろう。 大政奉還から西南戦争に至るまでを、300ページに収めるのは、無理があったかもしれない。 そして、勝麟太郎の濃い人物設定が...
勝麟太郎と西郷隆盛。 賊軍と官軍に分かれていても、思いは同じ。 被害を最小限に抑えての和睦。 その考えが一致していたから、奇跡の江戸無血開城が成ったのだろう。 大政奉還から西南戦争に至るまでを、300ページに収めるのは、無理があったかもしれない。 そして、勝麟太郎の濃い人物設定が肌になじまなかった。
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伏見の戦い後、無血開城に至る経緯を勝麟太郎からの視点を中心に西郷吉之助とのやりとりで描かれる。この時代のこの辺のこの辺りの人物を題材にした小説、しかも名著がたくさんあるので、比べると本作のセールスポイントというか”違い”がイマイチ感じられないのがナニだが、まあ、面白くなく書くほう...
伏見の戦い後、無血開城に至る経緯を勝麟太郎からの視点を中心に西郷吉之助とのやりとりで描かれる。この時代のこの辺のこの辺りの人物を題材にした小説、しかも名著がたくさんあるので、比べると本作のセールスポイントというか”違い”がイマイチ感じられないのがナニだが、まあ、面白くなく書くほうが難しいピリオドなので、それなりに楽しめた。ちょっとひっかからなさすぎではあるかもが、結果がわかっている小説というのは読んでいて安心感はある。
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