タコの心身問題 の商品レビュー
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タコの話だけではない,生物進化学,生物学,哲学,認知科学,心理学など 単細胞生物から動物が生まれた理由. 突然変異による多細胞生物の誕生,細胞間の分業の発生,神経系の誕生,脳の誕生.... あまり気に留めたことがなかったが観察によってかいま見せうタコの「知性」,振る舞い,生態,体の仕組みは非常に興味深い. 人以外の「主観的経験」 人の顔を覚えたり,好奇心をもって新しい人や物に近づいたり,時には水をかけたりする オクトポリス 一部生物を除いて,頭足類の寿命はとても短い. 生物が死ぬ理由も紹介されている. 高齢になると発現する生物への悪影響は淘汰では取り除かれにくく,その結果高齢になると発現するバグがどんどん蓄積されるため. オクトポリスという生活圏のようなものを形成し多くのタコが密集して生きる領域が存在している.これは自然発生したものというよりタコそこで暮らしていく過程で徐々に発展していきタコ以外の生き物や環境に影響をもたらしている.そこにいるタコはディスプレイを駆使した社交性があるような振る舞いもする. 猿が賢い,鳥が賢いとはいうが全く異なる進化の過程を辿った頭足類にもコレアに負けない賢さ,心のようなものが垣間見えるのは本当に興味深い
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タイトルや帯からは、頭足類の精神的な話や意識についてのみ語られてるように感じられるが、半分以上は進化の歴史や頭足類の特徴などについて述べられている。 ある程度知識があればすんなり入ってくるが、訳に少し癖があり、頭足類の基礎的な知識が無いと、少しとっつきにくいかもしれない。 生...
タイトルや帯からは、頭足類の精神的な話や意識についてのみ語られてるように感じられるが、半分以上は進化の歴史や頭足類の特徴などについて述べられている。 ある程度知識があればすんなり入ってくるが、訳に少し癖があり、頭足類の基礎的な知識が無いと、少しとっつきにくいかもしれない。 生き物好きならば、一度は考えたことあるであろう話題についての本なので興味があれば読んでみるべき。
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オーストラリアの海底にタコのコロニーのような場所を見つけ、そこを観察している筆者がタコとイカ、いわゆる頭足類の魅力的な生態について語った本。 脊椎動物が全身の神経を脳に結びつけ、中央集権的に身体をコントロールするのに対し、無脊椎動物であり、軟体動物である頭足類は例えば、吸盤には多...
オーストラリアの海底にタコのコロニーのような場所を見つけ、そこを観察している筆者がタコとイカ、いわゆる頭足類の魅力的な生態について語った本。 脊椎動物が全身の神経を脳に結びつけ、中央集権的に身体をコントロールするのに対し、無脊椎動物であり、軟体動物である頭足類は例えば、吸盤には多種多用な感覚器があるにもかかわらず、必ずしも脳にそれらの神経が集約されず、個々に独立して動いているかのように思われる。 また、タコは頻繁に様々な色に体色を変化させる複雑な皮膚の構造を持っているにもかかわらず、視覚には複数の色を識別できる能力がないため、自分の色の変化を自分では識別できない。それなのになぜタコはあんなに見事な擬態ができるのか? 興味深い生態や謎が提示されるのだが、それが解明されているわけではないので、謎の提示だけで終わってしまい、さらに後半は話題が尽きて少し息切れしている感じも、否めない。 前半が面白いだけに、惜しい。
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・タコやイカなどを含む頭足類は非脊椎動物では例外的に神経系が発達している ・寿命が1年程度しかなく生活に社会性がほぼないにも関わらず、かなり頭が良い。人を覚えて特定の人物に水を吐きかけたり水槽から脱走したり。 ・分散的な神経系を持っており、各脚の自律性が高い。皮膚で匂いを嗅いだり...
・タコやイカなどを含む頭足類は非脊椎動物では例外的に神経系が発達している ・寿命が1年程度しかなく生活に社会性がほぼないにも関わらず、かなり頭が良い。人を覚えて特定の人物に水を吐きかけたり水槽から脱走したり。 ・分散的な神経系を持っており、各脚の自律性が高い。皮膚で匂いを嗅いだり脚だけで自立して運動制御したりできる。ただ中央制御的な動きをすることもある。 ・体の色を自在に変えられる。特に意味もなさそうなのに次々体の色を変えていく個体もみられる。つぶやきのようにみえる。言語のようだという研究者も過去にいたが、それはあまり信頼性の高い研究ではない。 ・意識はあるといえるか?「主観的経験」とは ・神経系 知覚→行動 と 行動→知覚 がループをおりなす。後者の役割を見過ごさないこと。著者は後者と意識、とくに「内言(ヴィゴツキー)」の進化的発達との関係を考えている。
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海洋生物学の本のようだけれど、やはり内容は哲学的だ。恐竜の出現する2億年ほど前の時代には、実は最も賢い生物だったのではないかという話。タコはあなどれない。
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タコはどうやらすごそうだ。 途中でイカの話にもなったが。 もうちょっとタコに絞った話が読みたかった。結局、タコの脳が脊索動物と違うと言いながらも、よく分んなかったのはその辺の図説とかがなかったからか。ブルーバックスっぽいものを期待してたんだな。 翻訳物は読みづらい。
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宇宙人のモデルとして、悪魔の使いとして、愛らしいキャラクターとして、様々な方面で活躍するタコ。人間からだいぶ遠い進化の系譜にある事が、人間にとって神秘的な感情を抱かせるのか。
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ヒトとは違う道筋で進化し、高度な神経系を保有するタコ(頭足類)から学ぶ意識・知性の発達論・進化論。ヒトとは全く異なるメカニズムの神経系ですが、タコは人間の顔を見分ける・道具を使うことができるのだそうです。進化の初期で分化した頭足類がヒトと異なる高度な神経系を持てたのであれば、同じ...
ヒトとは違う道筋で進化し、高度な神経系を保有するタコ(頭足類)から学ぶ意識・知性の発達論・進化論。ヒトとは全く異なるメカニズムの神経系ですが、タコは人間の顔を見分ける・道具を使うことができるのだそうです。進化の初期で分化した頭足類がヒトと異なる高度な神経系を持てたのであれば、同じ理屈で地球の生物とは違う道筋で進化した知的な宇宙人が存在するのかもしれません。 続きはこちら↓ https://flying-bookjunkie.blogspot.com/2019/02/blog-post_92.html Amazon↓ https://amzn.to/2T1gY4v
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心はどうして生まれるのか?他の動物との関わり合いの中で進化した。哲学だー! タコのニューロンの数は5億個。犬と同じくらいある。人間は1000億個。タコは腕にもニューロンが詰まっている。 タコの寿命は1・2年。大きな神経系を持ち、維持するのに高いコストがかかる。学習の有用性が低...
心はどうして生まれるのか?他の動物との関わり合いの中で進化した。哲学だー! タコのニューロンの数は5億個。犬と同じくらいある。人間は1000億個。タコは腕にもニューロンが詰まっている。 タコの寿命は1・2年。大きな神経系を持ち、維持するのに高いコストがかかる。学習の有用性が低いのになぜ脳が大きいのか。メバルは200年生きる。成長速度が遅いかららしいけど、ちょっと食べたくない。 ヒト以外の生き物の知能を図ろうとするのは難しい。何故なら、それぞれの生活環境も得意とする能力も違うから。 タコはカニが一番好きな食べ物なのに、イワシを置いていてもわざわざ箱から出して食べようとはしない。取捨選択している。 知能が高く、人間が相手でも一人一人を区別できる。方向感覚も高い。食べ物でないもので遊ぶ。冒険心あり。心臓は3つあり、血液は青緑色(銅を使うから) 右目と左目が見たものを人間は脳で共有出来るが、鳥は片方ずつからの情報しか得られない。タコはゆっくり学習すれば分かるようになる。 イカは皮膚の薄い場所に色素胞がありそれを筋肉が伸ばす事で発色している。一つの色素胞が発する色は一色だけ。色素胞は上下の層になっている。
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新聞の書評がきっかけ。 タコ・イカの寿命が1〜2年で、メバルが200年とは驚いた。著者は「心」をmind(思考、記憶、認識)と定義する。タコ・イカの体内に張り巡らされた神経系や独立に機能する細胞の記述は興味深い。 また、「色をつくる」の色素胞、虹色素胞、白色素胞の構造やメカニズム、色を感じる細胞についても面白い。 若い人たちに読んでもらい、まだまだ身近なタコ・イカの謎にチャレンジして欲しい。
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