私が大好きな小説家を殺すまで の商品レビュー
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『憧れの相手が見る影もなく落ちぶれてしまったのを見て、「頼むから死んでくれ」と思うのが敬愛で「それでも生きてくれ」と願うのが執着だと思っていた。だから私は遥川悠真に死んで欲しかった』 というキャッチーな書き出しに始まる、自分の読む斜線堂有紀さん2作品目。 タレント性抜群、TVでも引く手数多の人気作家、遥川悠真が失踪。 住居はこれでもかと無残に荒らされ、唯一まともに残されたPCに保存された”部屋”というタイトルの付いた作品と、ウォークインクローゼットに残る少女の衣類と長らくそこで住んでいたと思われる痕跡。 女児監禁の事件性すら伺わせる状況だが、現場に残された”部屋”を読んでいくと遥川と少女、幕居梓の歪んだ関係性が浮かんでくる。 出だしの引き込みや幕居梓の狂気じみた境遇には「おっ」となるものがあったが、そこからの展開にはう~ん。 この手の思考をこねくり合う情愛ものに、おままごと感を感じてしまう。 決して色恋沙汰がダメというわけではないのだが。 たぶん、タフさを感じないからなのだろう。
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【ネタバレ】斜線堂有紀作品、「男女の共依存」の描写、最高級だと感じる。また心理的描写力、観察眼、ストーリー展開に長け、この物語に集中できない読者はいないはずだ。有名作家・遥川悠真とそのファンの1人の梓は遥川に自殺を思い止まらされた。この2人の共依存関係が始まり、しだいに泥沼化していく。遥川のスランプによりゴーストライターとなった梓。彼への敬愛と執着。この執着が梓の自死を選択させ、遥川悠真を殺すことになった。梓の強さ、遥川の弱さ、この性格により共依存が助長されたと思うが、読ませる作者の力量は半端ない。⑤↑↑ 宮部さんの火車と同等レベルのラストシーン。ラノベという概念が消え去った瞬間でした。
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貴方のために書いた作品。 誰も疑わないほど似ているものを読んだ時、自分の価値はなんなのか分からなくなったろう。 作風が変わりゆく様子に気付いていたからこそ、自ら幕引きをしようとしたのだろうな。
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一気読みするくらい面白かった。 なんとなく先が読めると思いながらも、どうなるのか気になって一気に読み進められた。暗い重い話なはずなんだけど、なぜか読み終わった後清々しい気持ちになるという不思議な小説だった。 なんとなく、梓は最後で帳尻があったことに心のどこかでホッとしている部分があるような気がした。 最後の展開にもっとどんでん返しがあったら、かなり爆発的に売れたのでは?と思う。
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斜線堂有紀さんはアンソロジー後長編は初読み。正直、文体に慣れていない為かなかなか進まずだった。話の内容的には、展開はある程度よめるが今までにあまり読んだことのない感じで新鮮な印象を受けた。こういう、こじれた恋愛ものも好きなので、そこも良い。 ただ、ずーっと暗い。なんか暗い。暗いの...
斜線堂有紀さんはアンソロジー後長編は初読み。正直、文体に慣れていない為かなかなか進まずだった。話の内容的には、展開はある程度よめるが今までにあまり読んだことのない感じで新鮮な印象を受けた。こういう、こじれた恋愛ものも好きなので、そこも良い。 ただ、ずーっと暗い。なんか暗い。暗いのも嫌いではないが…救いが何回か入って、良い方向に進むのかと思いきや全く良い方向にいかない。それをずっと繰り返すので、消耗したのかもしれない。 もう一冊読んでみよう。
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愛憎がよく描かれてて面白かった。展開自体は読めたけど、思った以上に登場人物の心情が複雑でよかった。途中で警察パートが入るのがダルいような気もしたけど、劇中劇みたいな形になってなかったらキツくて読みきれなかったかもしれない。他の本も買いたい。
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タイトルに惹かれて手に取りました。 救済から始まる、小説家と少女の歪んだ関係の物語。 才能があれば幸せになるとは限らないし、思ってもみなかった才能が開花されるかもしれない。 幸せだった生活は突然終わりを迎え、苦悩を抱えながらも物語は思わぬ方向に転がっていく。
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あまり触れることのなかった恋愛ミステリー作品。読後も気持ちがザワザワして、うまくまとめられない。 でも、面白かった。 色んな考察を求められるのでしょうね。ゆっくり後味を楽しみます。 敬遠がちだったこの分野も、今後は挑戦したいし、斜線堂さんの他作品も読んでみたくなりました。
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『憧れの相手が見る影もなく落ちぶれてしまったのを見て「頼むから死んでくれ」と思うのが敬愛で「それでも生きてくれ」と願うのが執着だと思っていた。だから私は、遥川悠真に死んで欲しかった』 この言葉の重みが、後半になると重くのしかかる。 それでも生きてくれと願うのは、私だけなのか? ...
『憧れの相手が見る影もなく落ちぶれてしまったのを見て「頼むから死んでくれ」と思うのが敬愛で「それでも生きてくれ」と願うのが執着だと思っていた。だから私は、遥川悠真に死んで欲しかった』 この言葉の重みが、後半になると重くのしかかる。 それでも生きてくれと願うのは、私だけなのか? 遥川と小学生の梓との関係性が好きだった。でも梓は大きくなり、関係性も変化していく。変化するがゆえの悲しい結末だった。
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梓と遥川先生が小説を書いていくたびどんどん崩壊していく場面があって途中読むのが辛くなった。あと、梓は遥川先生には執着していると気づいて殺すのを守屋先輩と自分にしたのに2人とも死ぬ事が出来なかったし、梓が遥川先生の書いた小説を少し変えて書いた「部屋」を読んで遥川先生は線路に飛び降りるし思い通りにならなくて嫌だった︎︎︎߹ᯅ߹梓は遥川先生の事を結局自分で殺す事は出来なかったけど題名が「私が大好きな小説家を殺すまで」なので、いつ遥川先生は殺されるのかな?ってずっとハラハラドキドキさせる作品でした。
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