彼女は頭が悪いから の商品レビュー

姫野カオルコ(著者)

彼らは人の心が分からないから

[fugyogyo]

本書は現実に起こった事件に着想を得た小説との注釈が付いているが、作中人物の行動や心情等は、事件の実相とかなりオーバーラップしているのではないか。特に、加害者となった東大生や被害者となった女子大生の心理描写は鋭く、秀逸であり、核心をついていると感じた。実際の事件が世間の耳目を集めたのは、加害者が東大生であったからに違いないが、断罪されるべきは、「勘違い」女子大生の軽率な行動でも、頭脳明晰な東大生が犯した破廉恥な行為でもなく、その時点で東大生であった無知蒙昧な「勘違い」男らによる犯罪行為それ自体であるというべきであろう。この小説で著者は、必ずしもそのような観点では描かず、加害者が東大生であったという属性から随所で東大生をこき下ろしているが、事件が、人の心の純情や痛みに対する感受性や想像力の欠如が生んだ許しがたい犯罪であるという描き方においては共感できるものであり、まさに加害者である「彼らは人の心が分からない」のである。

2024/08/31

映画「愚行録」を観て、原作ではなくこちらの小説を思い出したので読みました。教授がいてくれてよかった…。

2024/08/09

性犯罪に遭った人をバッシングしたり、加害者をpromising young man として擁護するこの世の中そのものだった。男女の人権の重みの違いを見せつけられる。若い人の間でも間違った価値観が育まれていて辛い。不快な箇所も多いけど、怒りを持って性犯罪はおかしいとする価値観を世の中に広めて行きたい。

2024/06/06

人の気持ちがわからないというのは生きていく上で、一時的に得な時期があるかもしれないが、最終的には損をすると思う

2024/06/06

理解できない思考の持ち主はいると言うことか？
格差意識もここまでいくとわかりあえる気がしないし、同じ人間ではないのかもしれない…とか。
これは、登場する東大生とその親に対して感じた事。
加害者が無意識のうちに加害者になるべく育ってしまった環境や、被害者の劣等感に悲しさを感じた。
想像力のない、人の気持ちを思いやれない人間は学力問わず最低だ。

本当に胸糞悪いが、問題にきちんと向き合うために書かれた本だと感じた。
読後かなり不快だが、考えさせられる1冊。

2024/05/26

レビューを書くために
再読。

これは他人事じゃない。

目を背けたくなるほど
私の過去そのものです。

いままで読んだなかで
いちばん辛かったなあ。

微笑ましい青春の逸話
なんかでは決してない。

若さ故の過ちと言って
許されるものではない。

夢見る夢子ちゃんから
夢を嘲る擦れ枯らしに。

一夜で人は変わります。

自分を大切にするって
どうすればいいの？

あの頃の私にはわかり
ませんでした。

答えはとてもシンプル。

それは自分の心の声に
きちんと耳を傾けて、

心から笑顔でいられる
ようにすること。

主人公の前途が明るい
ことを祈らずにいられ
ません。

2024/05/23

なんて傲慢なんだろう。
傲慢で震える。

一生気づけないんだね。

とても、読むのが辛い本だけど、読む価値のある本。

東大生ってやっぱりおかしい人が多いんだな。
そんな人ばかりが社会の上層部にいれば、それは日本もおかしくなるね。

美咲のような感性が大切にされる未来になりますように。

お金と学歴なんて、一番くだらないものだよ。

2024/05/09

ムカムカする話でした。
けど　実話をもとにされてるんですね。
学歴社会ではなくなってきつつありますが
プライド持っている方もたくさんいますもんね...

こんな事件がなくなりますようにと
祈るばかりです...

2024/05/05

事件のディティールを伝えるためとはいえ前置きと説明がくどく感じた。
オッペンハイマーの愛人がアラビア語？読ませながら致すシーンがあったけど、
性的なものではないにしろ、頭の良さや人としての能力のギャップにこそ興奮する人達っているんだろうな。
本人たちに罪悪感がないなら誰が悪かったの？と聞かたらやっぱり東大生の親たちなんだろうな。
人の痛みを想像できない人間にだけは育てたくないと思った１冊だった。

2024/04/12

本著の末尾に「本書は現実に起こった事件に着想を得た書き下ろし小説」と記してあった。
2016年の事件。そうそう当時そんな事件があった気がする。
結局、当事者でなければ詳しいことはわからないからとやり過ごしていたが、ネットですごく騒がれていたのは覚えている。
事実がこの通りであるかどうかは別として、読んでいて女性として読むのが辛い部分もあったけど、こういう人種がいることも確かだ。
加害者にもっと制裁を食らわしてやりたい気持ちになる。
いつも被害者の方が何倍も傷を負っている気がする。
でも、こういうことをただ流すのではなく、事実として認知し、これじゃダメだと多くの人が思うことが必要なんだと思った。