営繕かるかや怪異譚 の商品レビュー
日常の中に潜む違和感。 あれは目の錯覚?何かと見間違えた? そんな事を感じた事は誰しもあるはず。 淡々とした筆致で語られる物語は読了後、現実に戻ったときの方が背筋がすっと寒くなる。 夜、やたら物音に敏感になるとか、ひとりのはずなのに気配を感じるとか… こういうホラーが好ましい。
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宮部みゆきさんが、『宮部みゆきが「本よみうり堂」でおすすめした本』で最初に取り上げていた一冊。 解説が宮部さんであることに加え、カバー画は『蟲師』の作者である漆原友紀さん!なんとも私得です。「大工」である尾端がなすことについても、ギンコに似た部分がありますね。 「怪異」は好きで...
宮部みゆきさんが、『宮部みゆきが「本よみうり堂」でおすすめした本』で最初に取り上げていた一冊。 解説が宮部さんであることに加え、カバー画は『蟲師』の作者である漆原友紀さん!なんとも私得です。「大工」である尾端がなすことについても、ギンコに似た部分がありますね。 「怪異」は好きでも「ホラー」は苦手な私なのですが、この本……相当に怖かったです^^; 舞台となるのがそれぞれ日本らしい「古い家」で、古い家というのがそれだけで怖い。日中でも暗かったりじめじめしていたり……そこかしこに現れる暗がりはこの年になっても苦手です。 ストレートに怖かったのが、「奥庭より」と「檻の外」。実際に”見えて”しまうのはダメですよお……。小野さんは本当に細かな描写が巧く、そのおかげでまざまざと情景が目に浮かんでしまうので困りました。 他に印象的だったのが「雨の鈴」。 日本はすっかりゲリラ豪雨ばかりになってしまいましたが、しとしとと細かい雨が降る雰囲気が好きでした。 ただ、短編ということもあり、尾端が登場するとあっさり解決に向かうのがほんの少し物足りなくもありました。”解決しない一編”があっても後味の悪さがあってよかったのでは、とは個人的な感想。 さっそく次巻も買ってきたので、しっかり肝を冷やしてこの猛暑を乗り切りたいと思います〜。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
短編が沢山入ってるパターンとは思わなかった なので読みやすいです 普通、というかだいたい尾端さんが主役になって、依頼が入ってきて、みたいな話の流れならよくあるけど、全く尾端さんの背景は触れられず、依頼者中心なのが面白いと思った 特に霊視とかそういうものではなく自然に上手く、家の作り方とかでかわして解決していくのも良いなと思う 非常に面白かった
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ホラーだけどどこかハートフルな物語が6つ 怖くて不気味で何者かはわからないけど 大切にしなきゃいけない「なにか」が存在する。 この物語はフィクションだし6つの物語のような怖いことは実際に経験しないだろうけど「なにか」はこの世界でも存在していると思う。 だから私はお墓の前を通...
ホラーだけどどこかハートフルな物語が6つ 怖くて不気味で何者かはわからないけど 大切にしなきゃいけない「なにか」が存在する。 この物語はフィクションだし6つの物語のような怖いことは実際に経験しないだろうけど「なにか」はこの世界でも存在していると思う。 だから私はお墓の前を通るときは親指をしまうし、北枕で寝ない...。(ちょっと違うか) 十二国記シリーズにはまり、小野不由美さんの文章の虜です。美しい... 専門的なことはわからないけれど文章の構成とか句読点の位置や改行のタイミングとかがなんだか美しい。と思います。
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怖い作品は苦手な私だけど、友達に勧められて読んでみることに。 短編の話なのでちょっとした空き時間にも読みやすい。 古い建物を譲り受け、そこに住むことになるのだが、曰く付きの建物で恐ろしい体験をしてしまう。 あんな怪現象に見舞われたら普通は即、引っ越し!だが、事情を抱えている登場人...
怖い作品は苦手な私だけど、友達に勧められて読んでみることに。 短編の話なのでちょっとした空き時間にも読みやすい。 古い建物を譲り受け、そこに住むことになるのだが、曰く付きの建物で恐ろしい体験をしてしまう。 あんな怪現象に見舞われたら普通は即、引っ越し!だが、事情を抱えている登場人物達は留まるしかない。途方にくれる人達を「営繕かるかや」の尾端と言う青年が救いの手を差し伸べる。彼は大工なので、除霊する訳では無い。何となく怖さが残るし、不思議な感じの話だが何だかじわじわと癖になる。ホラーは苦手だけど、次のシリーズも読んでみたいと思わせる作品。
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怪異な困り事をさりげなく解決する尾端さんがとても気に入ったので続きもぜひ読みたいです。 「雨の鈴」風情のある静かなお話なのに怖さがじわじわ来ました。読みながら鈴の音が聞こえてきそうでした。
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十二国物語よりも、対象年齢は低いと聞いていたので、紐解くのを躊躇っていた。読めば子供騙しではなかった!確かにあんまり壮大な魔物は出てこない。ただ、言葉遣いは案外難しいものを使用していた。登場人物の名前は特に凝っていた。 曰く。 尾端(おばな)、隈田(くまだ)、衛(まもる)、夏希(...
十二国物語よりも、対象年齢は低いと聞いていたので、紐解くのを躊躇っていた。読めば子供騙しではなかった!確かにあんまり壮大な魔物は出てこない。ただ、言葉遣いは案外難しいものを使用していた。登場人物の名前は特に凝っていた。 曰く。 尾端(おばな)、隈田(くまだ)、衛(まもる)、夏希(なつき)、有扶子(ゆうこ)、実乃里(みのり)、真菜香(まなか)、裕弥(ひろや)、堂原(どうばる)‥‥ それに「営繕屋」なので、古い住居の専門用語や、ちょっとだけ古臭い言い方なども出てくる。振り仮名がついている場合もあれば、無い場合もある。気がついたのは、以下のような言葉だった。 障(さわ)り、手水(ちょうず)、上り框(あがりかまち)、三和土(たたき)、頭(かぶり)を振った、地均し(じならし)、梁(はり)の上に蟠(わだかま)る翳り、腥(なまぐさ)い臭気、顔を蹙(しか)めたまま、 ‥‥一般に形容詞は、作者の日常用語みたいで、振り仮名を付けるのを忘れるようだ。普通読めないよ、この漢字。 家に憑く魔物は、真っ黒クロスケみたいな可愛いモノは殆ど居ない。と、わたしは経験上知っている。わたしの家も古い。家には面倒なことが多い。でも経験上小物ばかりだ。何故なら、家はずっと続くものであり、人が居なくなれば、家は急速に朽ちるものだからである。家が潰ればアレも居られなくなる。お互い宥め賺しつつ同居するしかない。 カリカリ音を立てて何故か襖が開く 屋根裏から跫音がする 雨の日にお悔みがやってくる 戸を開けると其処にアレがいる 井戸からアレが家中に這入ろうとする ガレージの暗闇にアレがいる わたしん家の小物は明確に、建て付けの悪さや、家屋に住む鼠や蜚蠊(ごきぶり)や、蛇口から滴り落ちる水音や、外を徘徊する動物と雨音、物置に入り込んだ小動物だと思っているけど、そうではなく、この世の論理ではなく動く世界が、ふとこの世に重なることもあるのかもしれない。 霊能力のない尾端さんは、あの世の論理を何故か理解している。だから「営繕」すると異世界は悪さをしなくなる。
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文章が端正だ。情景が目に浮かぶ。といって説明がくどくどせずすっきりして美しい。 怪異譚を描くにはこの品のある文体がとても合っていて素敵だと思う。すごいなぁ、、、
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事故物件ブームの先駆けとなった「残穢」の作者が送る 住居にまつわる怪異を営繕屋・尾端が独自の視点から修繕する。 怪異や幽霊に対しての見方が変わる、ハートフルな全6篇。 恐怖作品として仕上がっている『怪談』でもなく、怖がらせるための『恐怖物語』でもない 日常に潜む、ちょっとした不...
事故物件ブームの先駆けとなった「残穢」の作者が送る 住居にまつわる怪異を営繕屋・尾端が独自の視点から修繕する。 怪異や幽霊に対しての見方が変わる、ハートフルな全6篇。 恐怖作品として仕上がっている『怪談』でもなく、怖がらせるための『恐怖物語』でもない 日常に潜む、ちょっとした不思議な体験『怪異』の原因を探る物語。 どんなものにも【原因】→【何か】→【結果】がある。 日常に何物かの僅かな痕跡の結果を見つけても、原因や何が起こっているのかわからないと 恐怖になりうる。 建造物の修繕を専門とした修繕屋の尾端は、このような恐怖を伴った家の障りを 独自の視点から修繕・解決する。 霊障と思われることも、原因がわかれば解決方法は人間へのそれと同じ 足りないものを優しく補ってやれば、次第に落ち着いていくもの。 そんな優しさに溢れた作品。 小野不由美さんの文章は相変わらず淡々と進んでいく。 個人的には「異形のひと」が面白かった。 おじいちゃんの死は悲しい話だけど、幽霊になって怯えないで過ごせるようになって良かった。
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小野不由美先生の作品は初めて。 「家」をテーマにした怪談。なんだか薄暗く、湿度のある雰囲気を全体を通して感じられる。 「家」に住む人間たちのなんとなく暗い気持ちを妖怪のようなものたちが合わさるじっとりとし物語。
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