人間に向いてない の商品レビュー
「人間に向いてない」 第57回メフィスト賞を満場一致で受賞。 メフィスト賞に並び、第16回本屋大賞レース健闘作品。第2回未来屋小説大賞受賞作品である。メフィスト受賞作品は、癖が強い作風が多いイメージがある。大衆的な作風が好まれ勝ちに見える二作とは土俵が違うはずだ。しかし、土俵...
「人間に向いてない」 第57回メフィスト賞を満場一致で受賞。 メフィスト賞に並び、第16回本屋大賞レース健闘作品。第2回未来屋小説大賞受賞作品である。メフィスト受賞作品は、癖が強い作風が多いイメージがある。大衆的な作風が好まれ勝ちに見える二作とは土俵が違うはずだ。しかし、土俵跨ぎで評価を受けたわけだ。 母美晴は、ある日息子の優一の部屋にいたそれを見た。体と比べてわりあい大きな丸い頭部。側面には複眼があり、蟻のように頑丈そうな顎。芋虫に似ている。優一はそれになっていた。世の中は、異形性変異症候群にかかる若者が急増している。ある者は、犬のように変わり果て、ある者は植物に、またある者は魚形の異形に。人を人に非ずな姿に変えるこの奇怪な病に、優一はかかってしまったのだ。 美晴は、虫のようになった優一と共に暮らし始める。そして、同じ状況に陥った人達が集まる会に参加する。次第に異形性変異症候群と言う病に向き合い出す美晴。しかし、自分とは反対に離れていく夫。 自分は優一をこのまま育てられるのか。夫が言うことは正しいのか。異形性変異症候群とは一体なんなのか。様々なことが駆け巡る中、美晴は何を思うのか。最後には、異形性変異症候群が、若者だけでなく、全ての年代に広がっていくのは、誰しも何かに見られ、苦悩していると言うことを暗示している。
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図書館でタイトルに惹かれて借りた。 3日で読了。 変異する表現がとても気持ち悪かった。 家族会が出てきた辺りから人間関係が面白くなりどんどん読み進めた。 途中から病気の異形性変異症候群が精神病を患っている身内と被り、親子の葛藤の辺りは見ている様な身近な話の様な気がした。 作者は何故変異した子どもの気持ちや親の葛藤が理解出来るのか… 少し辛かったが、読み応えのある小説だった。
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設定は斬新。でも、結局何?と言いたくなってしまいました。異質なものへのまなざし、接し方、人間関係といったものをあぶり出したようです。
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友達がおすすめと貸してくれた本。 人間が異形、しかも虫とか木とか、想像力を沸き立てる異形になる病気。 自分を人を認める、認められる、愛情、考えさせられました。子育て、会社、社会にも活かせる話。 読んでいて苦しくなる文もおおいが、ラストは衝撃的かつ笑えてくるオチ?つき。 読み始める...
友達がおすすめと貸してくれた本。 人間が異形、しかも虫とか木とか、想像力を沸き立てる異形になる病気。 自分を人を認める、認められる、愛情、考えさせられました。子育て、会社、社会にも活かせる話。 読んでいて苦しくなる文もおおいが、ラストは衝撃的かつ笑えてくるオチ?つき。 読み始めるとやめられなくて一気に読めた。
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いま、コロナ騒ぎで大変だけど もしこんなのが流行ったらどうしよう・・。 息子の世話なら、ギリギリできそう・・?
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ご飯を食べながら読めない本だということは早々に気づきました 笑 でもこの本には必要な描写だったと思います。 久しぶりに、文句無しの星5つの本でした。本当に面白かった。
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かなりえぐい本です。子どもが人間はでは無いものに変化してしまう病が発症し始めた日本で、自分の子供が芋虫というかムカデというかという気持ち悪い虫に変わってしまう話です。読んでいて文面に手が触れるのをためらってしまう位緻密に書かれているので、鳥肌立つ瞬間が沢山ありました。嫌悪感バリバ...
かなりえぐい本です。子どもが人間はでは無いものに変化してしまう病が発症し始めた日本で、自分の子供が芋虫というかムカデというかという気持ち悪い虫に変わってしまう話です。読んでいて文面に手が触れるのをためらってしまう位緻密に書かれているので、鳥肌立つ瞬間が沢山ありました。嫌悪感バリバリ湧きます。 しかし、その気持ち悪い風貌になったニートの息子を諦める事が出来ずに、何とか受け入れようと努力を続けます。 法律では変異した人間は死亡したと見なされ一切の権利を失い、処分する事は全く咎められません。そんな中で夫の反対を背に息子とむき合う母親の姿が健気です。 しかし次第にこの虫息子、大人しいし無害だしでだんだん嫌悪感は薄れていきます。でも虫ですからね、とても抱けないし触りたくないです。 自分に当てはめて読む本って沢山有りますが、これはちょっと当て嵌めたくないなあと思いながら読みました。
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最初は、異形の描写を読んで、なんでこんなことに!なんて気持ち悪い本を選んでしまったんだ…!と思ってしまいました(笑) 異形になったことで子どもに対する向き合い方を考えさせられて、ラストに向けては勢いよく読めました。 終わり方もよかった。
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びっくりした。寝る前に読み始めて一気に読み終わった。 現代の『変身』のような話。現代日本で人が異形に変わったらどうなるか。異形になったら人として「死んだ」こととみなす。なりそうだなぁと思う。それが引きこもりやニートの若年層が多く罹患するとなったら。それを家族としてどう受け入れるか。荒唐無稽でグロデスクなのに、リアルに感じる。 話の広がりは大きくなかったけど、だからこそシンプルに主題について考えさせられた。
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面白かったです。ぐいぐい読みました。 ニートや引きこもりの若者が発症し、異形となる「異形性変異症候群」。異形も、動物、虫、植物 、魚類と様々でした。 カフカの「変身」を、変身された家族の側から描いてるような作品でした。カフカの方はグレーゴルだけだったかもしれないですが、こちらの世界では社会現象でした。変身すると死亡届を出さないといけないし。 ひとり息子の優一が突然虫になってしまった美晴を主人公としているのですが、夫の勲夫がもう…無理でした。自分の思い通りに生きられない息子はもう邪魔扱いすることとか。読んでいくとこれは美晴にも当てはまるところがあって…でも美晴はそれに気付けて、考えと接し方を改められたので、優一は快復出来たのだろうと思いました。 優一の葛藤がすごくわかったのは、わたしの親も似てるからかなぁと思ったり。憎んでも恨んでも、結局許してしまうのでしょう…一握りの優しさで。 津森さんの考えは当たっていると思いました。異形となる本人ではなく、その家族に問題があるのではないか。 そして、途中で美晴が見た夢。異形になってしまう人とは多分ここに分かれ目があるのだろうな。 優一が快復し、勲夫が異形になってしまうラストは皮肉ですが、好きです。 許さなくてもいいのかな。 正しくなくても、生きていける。 この物語では分かりやすく異形の形をとっているけど、色々なものに置き換えて読めるなと思いました。家族が、動けなかったりコミュニケーションが取れなくなったら、自分はどうするのか。。 各章の終わりにある、異形となった子どもとその家族のエピソードがとてもつらかったです。 第一章の異形が読んでいてキツかったのですが、これ山崎さんのエピソードなんだろうな…と思うと悲しくなりました。 春町さんの過去もなかなかつらいです。
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