人間に向いてない の商品レビュー
引きこもり、ニートが変異する病気の話。 とても面白い設定で変異した姿を想像すると怖いがどこかほっこりする部分がある。 引きこもり家庭が直面している問題や葛藤がよく伝わってくる、さらにどこにでもいるような家庭が舞台なので美晴の立場だったらと考えてしまう。 終盤は、自分も子供を産...
引きこもり、ニートが変異する病気の話。 とても面白い設定で変異した姿を想像すると怖いがどこかほっこりする部分がある。 引きこもり家庭が直面している問題や葛藤がよく伝わってくる、さらにどこにでもいるような家庭が舞台なので美晴の立場だったらと考えてしまう。 終盤は、自分も子供を産んだからか育て方についてとても考えさせられた。自分の望みが子供の望みとは限らず、むしろ違った望みを子供自身が探せるよう手助けしていきたいと思った。
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こんな面白い小説初めて読みました。 ある登場人物にひどく共感してしまい、身につまされ鬱屈としながら読んでいました。 この本に出会えて良かったです。
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人が自分の正義を人に押しつける。本作では母が子に、姑が嫁に、夫が妻に。子育てには正解がないからこそ悩みが尽きない物語。奇形になって意思疎通ができない、そこに生きているのに死亡届を出さなければならない母親の苦しみ、子どもが奇形になって初めて考えるのは、遅いのだろうか?
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現実としては有り得ない事を前提として設定する事から始まる物語。何か既視感を伴い面白くよませていただきましたあ。
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メフィスト章に信頼を置く私としてはいつか読んでみようと気になっていた作品、しかも人間が人あらざるものに変化するという世界観がキャッチーでワクワクしてました。 自分が期待していたグロテスクな描写は想定より抑えられていたかなという印象ですが、逆に骨太な親と子の関係性に切り込んだ社会派の様相を呈しております。美春が異形となった優一都の関わりを通して、今までの考え方、接し方が間違っていたのではと思い返し、優一だけを攻めていた態度を反省する境地にまで至り、人間として、親として成長していく物語に見受けられました。 ただ、各章の間に挿入されているそれぞれの異形家族のショートストーリがやるせなさが滲み出て、悲しい気持ちを誘う。それぞれの異形の種類が違い、その描写は嫌悪感たっぷりの気持ち悪さで表現しきっているので、鳥肌もんです。後、「みずたま」の顛末と春町さんの秘密。衝撃すぎてもういたたまれないです。 最期の展開は、スッキリ爽快といったもので、自分の価値観を押し付けるのでなく相手を尊重しながら関係性を築いていこうという心情の結末は明るい希望を灯すラストでした。
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それぞれ人間ではない状態になった子供たちの描写はグロテスクで想像をかき立てられて、面白かった。ただ、それに翻弄される母親たちの心情の描き方が少し単純過ぎるというか、私には響きづらい表現だった。何となくカフカと比べてしまったのかもしれない。カフカの舞台として昔のヨーロッパを思い浮か...
それぞれ人間ではない状態になった子供たちの描写はグロテスクで想像をかき立てられて、面白かった。ただ、それに翻弄される母親たちの心情の描き方が少し単純過ぎるというか、私には響きづらい表現だった。何となくカフカと比べてしまったのかもしれない。カフカの舞台として昔のヨーロッパを思い浮かべ、勝手に重く雰囲気があるものだと思ってしまっていたからかもしれない。身近に感じたから、暗さを感じなかったのかもしれない。引きこもりを題材にして、その本人たちの闇の部分の根深さを、人間ではないしかもグロテスクな物に変える事で表現していたのかなと思った。同じ作者の作品をまた読んでみたいと思う。
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とても読みやすいが、読みながら先の展開がうっすら予想できてしまうような、 ストーリーも斬新なようで、よくある物語を組み合わせたような。 息子が異形になって、母親は異形となった息子と生きてく中で自分の育児を振り返り反省して、息子も自分の本当の気持ちに気づいて‥ふーーん‥よかったやーん。。という感じ笑。 あとは旦那の一貫したクソっぷりが最後のどんでん返しによく効いてて、そこは良かったかな。(でもそれも、結末なんとなく途中から見え見えだったけど‥)
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「異形性変異症候群(ミュータントシンドローム)」 この響きがもはや魅力的。ある日突然発症し、一夜のうちに人間を異形の姿に変貌させる病。もう垂涎ものの設定。最初がまたなかなか不快感のある描写で最高。自分の子供がそんな異形の姿になってしまったら、あなたは愛せますか? そんな異形の...
「異形性変異症候群(ミュータントシンドローム)」 この響きがもはや魅力的。ある日突然発症し、一夜のうちに人間を異形の姿に変貌させる病。もう垂涎ものの設定。最初がまたなかなか不快感のある描写で最高。自分の子供がそんな異形の姿になってしまったら、あなたは愛せますか? そんな異形の家族を持つ者たちの不安や悩みを共有する家族会「みずたたまの会」がまた不気味。そして所々にその異形の子を持つ家庭の崩壊を挟んである。 ただ最後がちょっとありきたりだったかな。世界中がその異形になっても面白かったと思う。 しかしこの話では引きこもりやニートの子らがこの病気を発症する。子育ての観点で、親は良かれと思って説得するのだが、子の気持ちを無視している。介護の仕事でも似たようなことがある。高齢者の方に良かれと思って接するのだが、高齢者の方の気持ちを汲み取れていない。子育てに正解はないのと同様に介護に正解はない。色々考えてしまう。 第57回メフィスト賞受賞作。
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ニートや引きこもりの若者だけが罹患する奇病によってグロテスクな見た目となり、人間として死亡宣告されてしまった優一。物語は優一の母、美晴を主人公に、同じく我が子が異形と化してしまった親たちとの交流を通じて様々な家庭を描く。 もともと社会の厄介者とされがちな引きこもりやニートは家庭...
ニートや引きこもりの若者だけが罹患する奇病によってグロテスクな見た目となり、人間として死亡宣告されてしまった優一。物語は優一の母、美晴を主人公に、同じく我が子が異形と化してしまった親たちとの交流を通じて様々な家庭を描く。 もともと社会の厄介者とされがちな引きこもりやニートは家庭に置いても厄介で、異形となったことをきっかけに排斥される場合も多い。なかには美晴のように、どんな姿になろうと我が子だからと必死で世話していく親もいる。どちらが正しいも間違いも無い、良い悪いでもないはずなのに、常識とは、世間体とは、「普通」とは。周りの目を気にして自分を押し殺す生き方、それは人間に向いているのか、向いてないのか。 冒頭から面白く読み進めました。非現実的なのに細部までリアリティあり引き込まれました。 ラスト近くの、引きこもりやニートと思われる、自分は落ちこぼれだと認識している人達の叫びと思われる文章から、回復にいたるまでが感動しました。 理想の自分像をがんばるのではなくて、ありのままの自分を自分で認め、自分を大切にすること。言葉にしてしまえば、月並みでありふれたことかもしれませんが、生きるのがつらすぎて人間をやめたいと思ったら異形になってしまうというのは、若者に限らず、どんな立場の人にも起こり得ること。生きるのにうまく対応できない自分を、それでも大丈夫と認めてあげることができたら。 想定外の事態が当たり前のように起こる近年、SNSも拡がり、理解を越える価値観や意見が世の中に乱立していますが、自分と違う立場の者を批判して排斥するのではなく、理解しようと歩み寄ってほしいというメッセージが込められているのかなと感じました。
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