風神の手 の商品レビュー
全体で考えると面白くて 良かったんですが… 最初のお話。 お父さんがヒドイ… もしも…を考えると悲しいです。
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読み応えあった~。 途中まではとてつもなく哀しい話しになりそうで、(崎村は死ぬのかと思った)そんな気分で読んでいたけど、まめとでっかちが出てきたあたりから作風が変わってきて、著者の少年時代を描く手腕はさすが。 著者は”映像化されない作品を書く”と常日頃言っているけど、これに限っては観てみたいと思った。 心中花…ささいな嘘が、女子高校生と若き漁師の運命を変える 口笛鳥…まめ&でっかち、小学5年生の2人が遭遇した事件 無常風…死を前にして、老女は自らの罪を打ち明ける 待宵月…各章の登場人物たちが、意外なかたちで集う
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清流の流れる地方都市を舞台にした三十余年にわたる物語。一話進むごとに、出来事の新たな一面が明らかになる。そして、この作品をミステリーと呼ばしめる真相が明らかになるとき、物語は違った顔を見せる・・・ 作品全体を通じてのテーマは「因果律」。あのときあの事件がなかったら・・・誰もが考える人生の岐路。それが他人のなせる業だったときはなおのこと。すべては風の吹くまま。砂の一粒のなせるわざ。 全体を通じて漂う物悲しい雰囲気は、「月と蟹」「水の柩」などの叙情的な道尾作品に連なる。 隠された事実が分かった時、源哉が感じた「自分たちは生まれてきてよかったのだろうか。自分や歩実が生まれてこなかった世界のほうが、幸せな人が多かったのではないか」という疑問が哀し過ぎる。 人の世の哀しい因果というものに思いを馳せるきっかけとなる作品。道尾さんにはこの路線でこれからも書いてほしい。
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地方の町が舞台.遺影専門の写真館に死期が迫った母親が娘とともに訪れ飾ってあった遺影の中に知った顔を見つける.物語は過去に遡り鮎の火振り漁をクライマックスに多くの伏線や因果関係がからまりあった道夫ならではの緻密なミステリー.
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身勝手な行動が大きな布石となって後々の人の生き方を変え、それが結果として良いことに繋がっている話が多かったけれど どれも許せないことばかりであんまり穏やかな気持ちで読書できなかった。 まめとでっかちのくだり以外は。 登場人物の背景がわかると全然違ってみえてくるのはホント不思議。 ...
身勝手な行動が大きな布石となって後々の人の生き方を変え、それが結果として良いことに繋がっている話が多かったけれど どれも許せないことばかりであんまり穏やかな気持ちで読書できなかった。 まめとでっかちのくだり以外は。 登場人物の背景がわかると全然違ってみえてくるのはホント不思議。 消石灰を使った公害ネタは許せない。
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連作短編3編と大団円的謎解明エピローグ. まず風が吹いて,というこの物語の核となるもの.タイトルが絶妙だ. 35年間に起こったことが,視点を変え場所や時間を変えながら,お互いに影響しあい複雑に絡まりあって,嘘と本当が入れ替わる極上のミステリー.不幸なこと悪い事件もまた巡って良い結...
連作短編3編と大団円的謎解明エピローグ. まず風が吹いて,というこの物語の核となるもの.タイトルが絶妙だ. 35年間に起こったことが,視点を変え場所や時間を変えながら,お互いに影響しあい複雑に絡まりあって,嘘と本当が入れ替わる極上のミステリー.不幸なこと悪い事件もまた巡って良い結果につながると信じさせてくれた.そして,西取川の火振り漁や海ほたるなど幻想的な美しさが作品背景を彩っていて素晴らしかった..
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道尾さんの小説はこのところちょっとパッとしないなあ・・という作品が多かったんですが、今回はおもしろかったです。 遺影専門の写真館に向かう母子。そこから母親の過去の話に・・・・という冒頭からしてどうにも暗い展開なんだろうなあ・・・とちょっとげんなりとしましたが、読み進めていくうちに...
道尾さんの小説はこのところちょっとパッとしないなあ・・という作品が多かったんですが、今回はおもしろかったです。 遺影専門の写真館に向かう母子。そこから母親の過去の話に・・・・という冒頭からしてどうにも暗い展開なんだろうなあ・・・とちょっとげんなりとしましたが、読み進めていくうちにパズルのピースがぴたりとはまるかのようにつながっていくのがなんとも興味深い。見事の一言です。
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+++ 彼/彼女らの人生は重なり、つながる。 隠された“因果律(めぐりあわせ)"の鍵を握るのは、一体誰なのかーー 遺影専門の写真館「鏡影館」がある街を舞台にした、 朝日新聞連載の「口笛鳥」を含む長編小説。 読み進めるごとに出来事の〈意味〉が反転しながらつながっていき、...
+++ 彼/彼女らの人生は重なり、つながる。 隠された“因果律(めぐりあわせ)"の鍵を握るのは、一体誰なのかーー 遺影専門の写真館「鏡影館」がある街を舞台にした、 朝日新聞連載の「口笛鳥」を含む長編小説。 読み進めるごとに出来事の〈意味〉が反転しながらつながっていき、 数十年の歳月が流れていく──。 道尾秀介にしか描けない世界観の傑作ミステリー。 ささいな嘘が、女子高校生と若き漁師の運命を変える――心中花 まめ&でっかち、小学5年生の2人が遭遇した“事件"――口笛鳥 死を前にして、老女は自らの“罪"を打ち明ける ――無常風 各章の登場人物たちが、意外なかたちで集う ――待宵月 +++ 登場人物ひとりひとり、エピソードのひとつひとつにまったく無駄がない。力士が塩をまくようにばらまかれた要素が、見事なまでに拾い集められ、知りたかったことがすべて明らかにされる。だからと言って窮屈さはまったくなく、ストーリー展開も興味津々で読む手が止まらない。風が生まれるところを見たような心地にさせてくれる一冊である。
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三つの短編とそれに続くエピローグからなる作品。それぞれ別の物語としても成立し、一作品としても楽しめるが、登場人物やストーリーはそれぞれ絡み合い次へと繋がっていく。 若い二人のぎこちない恋を描いた最初の作品、小学生の少年二人の冒険を通して描かれる友情の第二作品、そして死を眼の前にし...
三つの短編とそれに続くエピローグからなる作品。それぞれ別の物語としても成立し、一作品としても楽しめるが、登場人物やストーリーはそれぞれ絡み合い次へと繋がっていく。 若い二人のぎこちない恋を描いた最初の作品、小学生の少年二人の冒険を通して描かれる友情の第二作品、そして死を眼の前にした老女の痛恨の過去を描く作品。それぞれ全く違った設定ながら、著者の著す登場人物の行動での心情表現は秀逸である。 悲恋や死、犯罪を扱って暗く重くなりそうなテーマを第二作品の少年たちのユーモラスな行動や友情、悪人と思われた人物が実は…といったどんでん返しで作者は登場人物全てが愛すべき人格の持ち主達だと表現している。作品は暖かく穏やかなハッピーエンドをもたらす。心が温まる作品である。
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巡り合わせの妙を柔らかく伝えてくれました。 タイトルへの導きもすんなりと入り、久々の道尾作品に、いつのまにか引き込まれてしまいました。 遺影専門の写真館が舞台というのも、時の移ろい、過去の思いを投げかけてくれたと思います。
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