風神の手 の商品レビュー
遺影専門の写真館「鏡影館」にそれぞれの理由で集う人々。彼らのあいだには数十年に及ぶ因果が紡いだ縁が隠されていたことがわかっていく…、緻密に練り上げられた物語にどっぷりと浸かれる物語でした。 最初の短編で「えっ!?」という哀しさに打ちのめされたと思ったら、また違う意味での驚きが訪...
遺影専門の写真館「鏡影館」にそれぞれの理由で集う人々。彼らのあいだには数十年に及ぶ因果が紡いだ縁が隠されていたことがわかっていく…、緻密に練り上げられた物語にどっぷりと浸かれる物語でした。 最初の短編で「えっ!?」という哀しさに打ちのめされたと思ったら、また違う意味での驚きが訪れ、そしてあれもこれもが繋がって、終盤にやっとすべてが明らかになっていく。ややこしくもつれた糸をこれだけ鮮やかに解き放つ手腕はさすがだなあと感じ入るばかりでした。 最近特に作者さんは抒情的な語り方をされていると思うのですが、今回もそういった側面が強く、かつての「どんでん返しありき」な印象はほとんどなくなりました。 この話も、登場人物たちの正しいとはけして言えない選択肢にもきちんと意味があるので、複雑な心情を抱かされます。 そして正しさを貫き切れない弱い人だからこそ、支え合ってつながり合って生きていかなくてはいけないのだろうな、と感じたのでした。
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小さな町に暮らす人々が、不思議な縁と巡り合わせで繋がっていく、その過程と、紐解く感覚を味わいながら読み進んだ。道尾節、やっぱり好きだ。
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あ〜あ、面白かった!作者のユーモアセンスがばっちり張り巡らしてあり、ストーリーも4章それぞれがしっかりリンクさせてあるのできちんと腑に落ちる仕組み、あまりに繋がり方が良すぎて話がうますぎる嫌いがあるけれど。初めの章は切なくて深刻な若い二人の恋話 かと思っていたら まるでドッキリカ...
あ〜あ、面白かった!作者のユーモアセンスがばっちり張り巡らしてあり、ストーリーも4章それぞれがしっかりリンクさせてあるのできちんと腑に落ちる仕組み、あまりに繋がり方が良すぎて話がうますぎる嫌いがあるけれど。初めの章は切なくて深刻な若い二人の恋話 かと思っていたら まるでドッキリカメラを仕掛けられたような展開 笑。長い年月の物語が実は1つに収束していくのが気持ちいいね♪ それにしても舞台の小さな町のマップを描けるくらいに一緒に行動している気分になりながら、冗談みたいな区域名や苗字のネーミングをインプットされてしまいました。 直木賞の「月と蟹」より好みでした。
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小さな町の写真館を中心に物語がスタートする。母親の若い頃の甘酸っぱい恋愛の話、写真館の親子の話、町の汚染問題などが丁寧に書かれておりました。穏やかに事が過ぎていくのかと思いましたが、最後の章ではガラリと変わり、写真館で繋がっていた人たちの過去に引っかかっていた思いや謎が一気に解明...
小さな町の写真館を中心に物語がスタートする。母親の若い頃の甘酸っぱい恋愛の話、写真館の親子の話、町の汚染問題などが丁寧に書かれておりました。穏やかに事が過ぎていくのかと思いましたが、最後の章ではガラリと変わり、写真館で繋がっていた人たちの過去に引っかかっていた思いや謎が一気に解明されていく。ほんの少しのさじ加減で人の人生が左右されてしまう。突風が吹いただけでも生死を分けてしまう。故意なのか事故なのか、はたまた悪意なのか。。。過去のことなので全ての事は解明できていないが、それは神様のみぞ知る事になるのかなぁ、と。
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「風神の手」によって引き起こされたちょっとした事柄によって、世代を超えた多くの人の人生が変わっていく。 3つの中編とエピローグで、散りばめられたパズルのピースが完璧に組み合わさるのが気持ちいい。 自分も含めて、この世界のあらゆる事柄は様々な偶然によって現在の形になっているというこ...
「風神の手」によって引き起こされたちょっとした事柄によって、世代を超えた多くの人の人生が変わっていく。 3つの中編とエピローグで、散りばめられたパズルのピースが完璧に組み合わさるのが気持ちいい。 自分も含めて、この世界のあらゆる事柄は様々な偶然によって現在の形になっているということを痛感した一作。
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もうだめかもなあ。会話がつまらなすぎる。児童文学にしたいのか、謎解きめいたことがしたいのか、もっと自分が書きたいことを突き詰めてほしい。
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はじまりは一瞬の風神の手だった。読み終えてタイトルの意味を知る。風が吹き、悲劇が起こり、たくさんの嘘が生まれ、さまざまな人たちの人生が変わっていく。 遺影専門の写真館を舞台に3つの短編が大団円を迎える手腕が素晴らしい。 そしてやはり少年を描いたら道尾さんは上手い! 味わい深い一冊...
はじまりは一瞬の風神の手だった。読み終えてタイトルの意味を知る。風が吹き、悲劇が起こり、たくさんの嘘が生まれ、さまざまな人たちの人生が変わっていく。 遺影専門の写真館を舞台に3つの短編が大団円を迎える手腕が素晴らしい。 そしてやはり少年を描いたら道尾さんは上手い! 味わい深い一冊。
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遺影専門の写真館を中心にして、そこを訪れた人たちの物語が語られている。登場人物たちには思わぬ繋がりがあり、昔語りをするうちに事件の真相がわかってくる。ミステリーっぽくなくて良かったです。
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偶然吹いた一陣の風が神の手のように様々な偶然を引き起こしていく。タイミングといい場所といい、ここしかないというドストライクで嵌っていく。未来とは人知を超えて変わりゆくもの。運命の不思議に泣き、笑い、時には叫ぶ。受け止める我々人間にできることは、しっかりそれを真正面から受け止めるこ...
偶然吹いた一陣の風が神の手のように様々な偶然を引き起こしていく。タイミングといい場所といい、ここしかないというドストライクで嵌っていく。未来とは人知を超えて変わりゆくもの。運命の不思議に泣き、笑い、時には叫ぶ。受け止める我々人間にできることは、しっかりそれを真正面から受け止めること。4つの連作短編が読み進むごとに伏線を回収していく。おもしろいように大きく広がっていく風にこのうえない心地よさを感じた。
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各章の事件が絡み合う仕掛けが無理なく絡んでいて素敵です。これだけ絡ませようとすると無理が生じそうですが、事柄から発生した一部一部がつながっているので、興醒めになることなく最後まで楽しめました。王様のブランチでそういうバタフライエフェクト的な連作だろうと予測は付けていましたが、それ...
各章の事件が絡み合う仕掛けが無理なく絡んでいて素敵です。これだけ絡ませようとすると無理が生じそうですが、事柄から発生した一部一部がつながっているので、興醒めになることなく最後まで楽しめました。王様のブランチでそういうバタフライエフェクト的な連作だろうと予測は付けていましたが、それでも人間ドラマが主体ですので全く構えずじっくり読ませてもらいました。
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