オブリヴィオン の商品レビュー
なぜこんなことになったのか、の因果はどこまで辿ればいいのだろう。 誰に、どこに、感情移入しているのか自分でもわからないまま、哀切で心が揺さぶられた。 誰もが何かを隠している。 それは、大事な人を守るための秘密だった。はずなのに。 オブリヴィオン――忘却もしくは恩赦。 忘れ去られる...
なぜこんなことになったのか、の因果はどこまで辿ればいいのだろう。 誰に、どこに、感情移入しているのか自分でもわからないまま、哀切で心が揺さぶられた。 誰もが何かを隠している。 それは、大事な人を守るための秘密だった。はずなのに。 オブリヴィオン――忘却もしくは恩赦。 忘れ去られることが赦しなら、なにひとつ忘れない。すべてを抱えたまま、生きる。 そう決意した森二の、“今さら”という言葉を捨てた沙羅の、愛されていることを知っただろう冬香の、未来が穏やかであるように祈らずにいられない。 電子ゲラをいただいて読みました。 遠田潤子さん初読みです。 物語を構成している要素が多いのに散漫にならず、むしろどうなるのかが気になりぐいぐい読まされました。 光一にも手を差し伸べてくれる誰かがいればよかったのになぁ……。
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「いつか」や「今さら」という言葉をとなえつつ現実から逃避し続けた毎日から自分をすくい上げてくれた人たち。なのにその大切な人を手にかけてしまった罪。忘れ去られることも、赦されることもない罪を抱えて生きること。その重く長く辛い時間を思う。 いったいどこで間違えてしまったのか。誰も好き...
「いつか」や「今さら」という言葉をとなえつつ現実から逃避し続けた毎日から自分をすくい上げてくれた人たち。なのにその大切な人を手にかけてしまった罪。忘れ去られることも、赦されることもない罪を抱えて生きること。その重く長く辛い時間を思う。 いったいどこで間違えてしまったのか。誰も好きでその「罪」を選んだわけではないのに。 バンドネオンの音が遠く低く響いてくる。読みながら私の胸の奥で悲しい曲が聞こえる。それは悲しいけれど、弱い音ではない。悲しみの中で自分を見失わずに歩き出す強さの音だ。きっと大丈夫、空は青く、人は優しい、そんな音だ。
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娘の目の前で妻を〈殺した〉森二が、刑期を終えたとき、彼の「奇跡」と「罪」が結びつける二人の〈兄〉が待っていた。憎しみと欲望が、森二の廻りを渦巻き、暴走する! 森二は苦しみを越えて人と自分を救う「奇跡」を起こせるのか!?
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