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うしろめたさの人類学 の商品レビュー

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86件のお客様レビュー

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2024/09/13

初めて読んだ文化人類学の本。優しくてどこか力強さのある文章で、一気に松村先生のことが好きになった。 抽象的な議論が好きで、マクロな記述のある本を好んでしまっていたが、こういうミクロな視点を併せ持つことの大事さを知れた。

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2024/08/11

実は、いい本だったかもしれない。 どこが好きかというと、 自身の高説を上からぶつのではなく、 人類学を知らない読者の遅い歩みに 合わせて論を進めてくれている感じが。 (結局、私はおいていかれたけど笑) 学生時代の日記を必ず挿入して、 学生時代の著者を読者の歩く速度に 想定した構...

実は、いい本だったかもしれない。 どこが好きかというと、 自身の高説を上からぶつのではなく、 人類学を知らない読者の遅い歩みに 合わせて論を進めてくれている感じが。 (結局、私はおいていかれたけど笑) 学生時代の日記を必ず挿入して、 学生時代の著者を読者の歩く速度に 想定した構成がよかったです。 授業の現場は市場ではなく贈与と考えて臨むという 著者の熱を感じる授業を受けてみたい。 熱がまだ残っていることを祈ってます。

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2024/07/01

「構築主義には、視点を転換する力がある。でも、その核心は『批判』そのものにはない。もっと別のところに可能性があるのではないか。」P.17 「世界は分断されている。「知らない」とか、「関係ない」とか、「敵だから」とか、いろんな認識での壁で分断されている。この関係の断絶は、ぼくらの倫...

「構築主義には、視点を転換する力がある。でも、その核心は『批判』そのものにはない。もっと別のところに可能性があるのではないか。」P.17 「世界は分断されている。「知らない」とか、「関係ない」とか、「敵だから」とか、いろんな認識での壁で分断されている。この関係の断絶は、ぼくらの倫理性を麻痺させる。人を殺すことだって、人が殺されているのを無視することだって、できてしまう。だからこそ、他者に向き合い、その姿にみすがらを映しながら、いろんな「つながり」を回復する必要がある。」P.20 エチオピアで、戦争が起きた時にナショナリズムが動員され、出身地域によって、それまで隣人だった人たちが排外されたということ。国家との距離感が日本とは違うエチオピア。でも、権力が分断を呼びかけるとき、国家を内面化し過ぎていないエチオピアの人たちですらそれに屈してしまうんだなと思った。そこに抗うためには私たちはなにができるのだろうと、この本に書かれていることを思いながら、そのことが残った。

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2024/06/09

世界は、社会は、ちょっとした後ろめたさからの行動で変わっていくんでないか 世界、市場、自分とをつなげて考えられる視点をくれる 易しい言葉で、でも想像力を必要とするし 自分に落とし込むのはまだ時間が かかりそう 決められた枠組みの中で、どうしようもないと嘆くのでなくて 自分の...

世界は、社会は、ちょっとした後ろめたさからの行動で変わっていくんでないか 世界、市場、自分とをつなげて考えられる視点をくれる 易しい言葉で、でも想像力を必要とするし 自分に落とし込むのはまだ時間が かかりそう 決められた枠組みの中で、どうしようもないと嘆くのでなくて 自分のできることをしていく エチオピアとの比較で、 日本がとても枠に押し込まれて、大切なものを見失ってる気がした

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2024/04/29

日々の生活の中で後ろめたいなーと思うことはたくさんある。 重層的にしきつめられたルールの中で生きているから、そこを逸脱して誰かに声をかけたり手助けをしたりするのは、はばかられる。 もしかしたら余計なお世話になるかもしれない。 最初に感じる「うしろめたさ」から世の中をとらえなす試み...

日々の生活の中で後ろめたいなーと思うことはたくさんある。 重層的にしきつめられたルールの中で生きているから、そこを逸脱して誰かに声をかけたり手助けをしたりするのは、はばかられる。 もしかしたら余計なお世話になるかもしれない。 最初に感じる「うしろめたさ」から世の中をとらえなす試みは面白いと思う。 ただ自分はどちらかというと、うしろめたくて助けたくもない人を助けてしまって自分の首をしめるタイプ。 生きていく上でどごに重きをおくか、難しいなと思う。

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2024/04/09

タイトルから想像していたものとは違ったのだけど、人との関係性や世の中の線引に関して感じていたモヤモヤを言語化してもらった感じ。構築人類学学びたい

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2024/04/09

内容自体は知見に溢れて面白いものの、タイトルから自分が求めていたものとは違ったという点で、少し期待外れ。筆者の言う「うしろめたさ」って、もちろん社会の歪みを埋めるために必要なものではあるけれど、実際の生産社会においてはそれを搾取されることの方が多いのではないかと思うので、これに関...

内容自体は知見に溢れて面白いものの、タイトルから自分が求めていたものとは違ったという点で、少し期待外れ。筆者の言う「うしろめたさ」って、もちろん社会の歪みを埋めるために必要なものではあるけれど、実際の生産社会においてはそれを搾取されることの方が多いのではないかと思うので、これに関する言及がなかったのが心残り。例えば「他の社員が残っているから残業しなきゃ」「部下が困っているから何を犠牲にしてでも解決に動かなきゃ」と思わせられる環境において、筆者の言う「うしろめたさ」は他の誰かの思う壺に人を導く道具になっているし、そう思う本人にとってはただ辛いものにしかならないのではないか。「うしろめたさ」は今自分の生きる世界において、そんなふうに利用目的がはっきりしたものとして写ることが多いので、ただ慈善的な動きを促すものとして描く姿勢には違和感があった。

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2024/03/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

交換のモードにいかにして縛られないか。 物のやり取りにおいて、厄介な思いや感情に振り回される面倒な贈与を取り戻すことで、他人への共感、思いや感情があふれ出すことに気がつく。 そうした他人に対する感情よって生まれるうしろめたさに純粋に従うことが、他人へのつながりを生み出す

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2024/03/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

よりよい、平等な社会/世界 と 頑張れば頑張っただけ報われる社会/世界 って、両立しないんだよね。 でも頑張っても頑張っても報われない人がいる社会/世界もいやだなあ。 難しいな。

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2024/03/09

経済、感謝、関係、国家、市場、援助、公平 この順番で、とても身近な関係性について解き明かす。対象は日本、そして比較に上げられるのが、遠い国エチオピア。エチオピアでのフィールドワークを比較対象にし、小さな経済圏の問題点を紡ぎ出す。 平易な言葉で、わかりやすく、とても読みやすいが、内...

経済、感謝、関係、国家、市場、援助、公平 この順番で、とても身近な関係性について解き明かす。対象は日本、そして比較に上げられるのが、遠い国エチオピア。エチオピアでのフィールドワークを比較対象にし、小さな経済圏の問題点を紡ぎ出す。 平易な言葉で、わかりやすく、とても読みやすいが、内容はまさに「今」を照らし出す。 最終に収められている、大学での話が個人的にも突き刺ささる。全く同じ事を行動原理としていたので、共感性が高い。どの世代もそうなのだろうけど、次の世代へのバトンをきちんと渡さないと、未来が無い。

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