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うしろめたさの人類学 の商品レビュー

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86件のお客様レビュー

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2022/01/13

自分がこの世界で胸を張って生きるためにも、当たり前にとらわれず何度でも境界線を引き直し続け、ずれを探して、自らの手で社会をつくるスキマをみつける。人類はこのときのために知性を育んできたのか。

Posted byブクログ

2022/01/10

あぁ、私が移住したのは「うしろめたさ」からなのだと実感した。 そもそも、多分人より「うしろめたさ」を感じやすいのかもしれない。 小さな頃から ・不自由なく暮らせる環境 ・障害のないカラダ ・殺される危機や恐怖を感じなくて良い生活 という、当たり前といえば当たり前のことに、多分「自...

あぁ、私が移住したのは「うしろめたさ」からなのだと実感した。 そもそも、多分人より「うしろめたさ」を感じやすいのかもしれない。 小さな頃から ・不自由なく暮らせる環境 ・障害のないカラダ ・殺される危機や恐怖を感じなくて良い生活 という、当たり前といえば当たり前のことに、多分「自分は恵まれている」という「うしろめたさ」があったのだと思う。 そんな感覚だったから、今でも自分の選択一つ一つに若干「うしろめたさ」があって、 (割り箸使うたびにごめんなさいと思う…みたいな) それは、ネガティブな事なんだろうと思ってたけど、 そう思う事で自分はバランスを取ろうとしてて、それは悪いことではないのかもしれないと、かなり気が楽になった1冊でした。

Posted byブクログ

2021/12/31

前提として当事者意識を持って自分を変えれば社会、世界を再構築できる。で、理想的な社会を再構築するには「うしろめたさ」が作り出す国境や格差を超えた「人と人とのつながり」が重要になってくるというような話だった。 そもそも人類学がどういうものか知らなかったので、それが知れてよかった。...

前提として当事者意識を持って自分を変えれば社会、世界を再構築できる。で、理想的な社会を再構築するには「うしろめたさ」が作り出す国境や格差を超えた「人と人とのつながり」が重要になってくるというような話だった。 そもそも人類学がどういうものか知らなかったので、それが知れてよかった。 そこまで世界のこととか歴史とか全然知らないから、とても主観的な話になってしまうけど。 国間間の格差や国内の貧困差については、「かわいそう」などの感情的な話ではなく、もっとその人たちの気持ちになって、どんな事を考えているのか?なんでそうなったのか?などを論理的に考えることが差分を無くすことだと思っていて、なぜならば感情はその一瞬だけで持続性がないし感情はコロコロ変わるし信用ならなくて、知的作業は変化ないと思ってた。ので、新しい考え方だった。 でも、わたしが本当の意味で貧困というのを知らないだけなのかもしれない。現実は思ったより残酷で複雑だから、そういう風な考え方になるのかもしれないなって思った。 あとあと、この本を読んだ以外にもいろいろなことから、結局論理って感覚的に選んだことを自分で納得感持つためだけのツールだなって思いつつある(私生活においては)。実は最初からなんとなく答えが出てて、それを頑張って正当化してるだけなのかもねーってね また、資本主義的な思想だったので市場主義だったけど贈与もいいところがあって、今の世の中が贈与を軽視しすぎているということも感じた。会社で働くこともお金だけでなく、もっと他に目的があるし、それをより多くの企業や働く人が理解すればもっとみんな生きやすくなるかもねって あと、アメリカの物資支援が実は国内の農産物の価格維持政策だったとは…全然知らなくて勉強になった!世界には自分の知らないことが本当に多くあるんだなって思いました。 あととかまたとかいっぱいで雑記な文章になってしまった。。。とほほ

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2021/12/29

抜群に良かった。エチオピアでの共感や対感覚を基盤にして社会や世界を読み解くという姿勢自体にもインスピレーションをもらう。贈与、社会と世界、身体性、共感…気になるキーワードがアフリカでの物語を介して有機的につながる感じ。手元に置いて何度となく読み返したい本。

Posted byブクログ

2021/11/26

筆者は「構築人類学」というものを提唱している。社会や国家や経済といったものが人類の活動によって「構築されている」という前提に立ち、人類が構築したものであるのなら、よりよい方向に構築し直すこともできるのではないかという立場である。 筆者自身、今の社会に窮屈さを感じているらしい。同...

筆者は「構築人類学」というものを提唱している。社会や国家や経済といったものが人類の活動によって「構築されている」という前提に立ち、人類が構築したものであるのなら、よりよい方向に構築し直すこともできるのではないかという立場である。 筆者自身、今の社会に窮屈さを感じているらしい。同様に感じている人も多いだろうと考えている。 目指すべきよりよい社会については、「努力や能力が報われる一方で、努力や能力が足りなくても穏やかな生活が送れる。一部の人だけが特権的な生活を独占することなく、一部の人だけが不当な境遇を強いられることもない。誰もが好きなこと、やりたいことができる。でも、みんな少しずつ嫌なこと、負担になることも分けあっている。」ものと位置づけている。 よりよい社会に向けて不均衡をなくしていくためには「うしろめたさ」が原動力になる、ということらしい。 目指すべき社会像については完全に同意できるが、肝心の主張がぼやけていて、何をするべきなのかがはっきりと提示されていない感じがした。 エチオピアのエピソードは興味深かった。 その他印象に残った箇所 ・市場と国家は対立するものではなく、お互いに必要とし合っている。また、どちらかが強くなりすぎないようにバランスを取り合っている ・市場は根本的な格差を是正できず、それは国家が補う ・市場が限られた企業の独占状態にならないために、国家がルールを作る ・資本主義こそが反市場である。独占を志向するものであるから ・貧困があるから食糧援助がなされているわけではない。国内農産物を価格を維持するための、余剰農産物が援助に回されるに過ぎない

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2021/11/19
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フィールドはエチオピア。著者のエチオピアでの日記に自分の学生時代の経験を重ねて読み進めていった。援助の背景の解説が良かった。期待が高すぎたせいか、全体的な内容はあまり。先進国に生まれた私たちは、途上国に後ろめたさを感じるときもある。国と国の関係でなくても、例えば自分の方がたまたまラッキーでいい思いをすると、他の人に対して後ろめたい気持ちになることがある。そういった現象を人類学の視点から掘り下げてくれるかと期待していたが、そうでもなかった。全体的に文章が周りくどくて私の頭ではわかりにくいと感じてしまった。

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2021/11/11

感情、関係、常識、世の中のあらゆる事柄は様々なものとの関わりを通して構築されていく。確かにそうかもしれない。普通じゃないもの普通も、それをを作り出しているのは私たちの関わり方次第なところがあって。人との関係もその人との関わりの中で作られていくもので。プラスにもマイナスにも。そう考...

感情、関係、常識、世の中のあらゆる事柄は様々なものとの関わりを通して構築されていく。確かにそうかもしれない。普通じゃないもの普通も、それをを作り出しているのは私たちの関わり方次第なところがあって。人との関係もその人との関わりの中で作られていくもので。プラスにもマイナスにも。そう考えるといろんなことがもっと良くなるような気がする。

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2021/11/03

タイトルに惹かれて購入。同著者の「文化人類学の思考法」よりもテーマは限られているが、読みやすかった。交換と贈与の意味合いの違いが主な主張だったかと思う。確かに贈与は人との繋がりを生むものだとしても、「関係を脅迫的に迫る危険性もあるのでは?」と思ったが、その点にも触れられていた。

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2021/11/07

2021.10.24市立図書館 何年か前に新聞の連載コラムで人類学者の松村圭一郎という名前を覚え、いつも楽しみに読んでいた。以来ずっと気になっていて、今回はじめて本を読むが、自分よりも年が若い研究者だったのか… 文化人類学というのはいわゆるフィールドワークの地域の研究だと思われが...

2021.10.24市立図書館 何年か前に新聞の連載コラムで人類学者の松村圭一郎という名前を覚え、いつも楽しみに読んでいた。以来ずっと気になっていて、今回はじめて本を読むが、自分よりも年が若い研究者だったのか… 文化人類学というのはいわゆるフィールドワークの地域の研究だと思われがちだが、実はホームとフィールドの行き来の中で感じる「ズレ」などをとおして、自分自身のホームと言える地域文化を相対化して探究したり、あるいは地域差から感情や心理などの人間のあれこれを探究したり、という広がりがある、そのおもしろさと奥深さを教えてくれる。そういうことなら、家族からの独立や転地などでだれもが向き合いうることであり、人類学とは実はとても身近な学問なのだと改めて目から鱗が落ちる。 社会のなりたち―市場と国家、政治と経済などが、いずれも複雑なからまり合いやバランスをもって連動しているのだという視点もあらためてよくわかった気がする。そして、わたしもこの著者とちょうど同じ気持ちで学生を教えたり、こどもとむきあったりしているなあと思った。 著者のフィールドはエチオピア、いまちょうど、全土に非常事態宣言が出ているのがやるせない。

Posted byブクログ

2021/10/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

■メモ: ・人が精神を病む。それはその人ひとりの内面だけの問題ではない。もしかしたら、ぼくら自身が他人の「正常」や「異常」を作り出すのに深く関わっているのではないか。自分の「こころ」が人柄や性格をつくりあげている。誰もがそう信じている。でも、周りの人間がどう向き合っているのかという、その姿勢や関わり方が自分の存在の一端をつくりだしているとしたら、どうだろうか。ぼくらは世界の成り立ちそのものを問い直す必要に迫られる。ある人の病や行いの責任をその人だけに負わせるわけにはいかなくなる。 ・日本に生きるぼくらは、精神に異常をきたした人は、家族や病院、施設に押し付けられ、多くの人が日常生活でかかわる必要のない場所にいる。見なかった、いなかったことにしている。

Posted byブクログ