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うしろめたさの人類学 の商品レビュー

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86件のお客様レビュー

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2021/06/28

2021/6/28 文化人類者の仕事は楽しそうなぁ。だけど、その裏には貧富の差が駆り立てる「うしろめたさ」に答えが出ない著者のもどかしさがあることが文章から伝わってくる。そんな疑問は、人類がどう社会を生きるべきかという壮大な疑問へと昇華する。ここまで来ると、文化人類学者の仕事が...

2021/6/28 文化人類者の仕事は楽しそうなぁ。だけど、その裏には貧富の差が駆り立てる「うしろめたさ」に答えが出ない著者のもどかしさがあることが文章から伝わってくる。そんな疑問は、人類がどう社会を生きるべきかという壮大な疑問へと昇華する。ここまで来ると、文化人類学者の仕事が楽しそう、なんて軽々しくは言えなくなる。 そんな疑問に贈与と市場原理の観点から展開される論は面白くて読むのがやめられない。

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2021/06/27

"倫理性は「うしろめたさ」を介して感染していく" 日常では見ない不平等や不均衡をみることで、自分のできこと、やるべきことに目が行くという視点はなるほどと思った。 うしろめたさを動力にして当たり前を変えていくには、不平等を含んだ新しいものを積極的に触れて...

"倫理性は「うしろめたさ」を介して感染していく" 日常では見ない不平等や不均衡をみることで、自分のできこと、やるべきことに目が行くという視点はなるほどと思った。 うしろめたさを動力にして当たり前を変えていくには、不平等を含んだ新しいものを積極的に触れていく必要があるのかもしれない。 ただ、今は情報過多でyoutubeなどでエチオピアでも宇宙でもなんでも探して見ることができる。なんでも簡単に触れられるからこそ、全ての不平等が同じく遠いものに感じられる。 あたりまえの不均衡を少しでも変えるために、一歩を踏み出す勇気をくれるような本だった。

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2021/04/18

構築主義という考え方。何事も最所から本質的な性質を備えているわけではなく、さまざまな作用のなかでそう構築されてきた、と考える視点。 いまここにある現象やモノがなにかに構築されている。 だとしたら、それをもう一度、いまとは違う別の姿につくりかえることができる。そこに希望が芽生える。...

構築主義という考え方。何事も最所から本質的な性質を備えているわけではなく、さまざまな作用のなかでそう構築されてきた、と考える視点。 いまここにある現象やモノがなにかに構築されている。 だとしたら、それをもう一度、いまとは違う別の姿につくりかえることができる。そこに希望が芽生える。その希望が「構築人類学」の鍵となる。  いまの世の中にどこか息苦しさを感じたり、違和感を覚えたりしている人にとって、最所から身の回りことがすべて本質的にこうだと決まっていたら、どうすることもできない。しかし、それが構築されているのであれば、また構築しなおすことが可能だ。

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2021/03/08

エチオピアの農村での生活から、私たちが当たり前に内在化している市場、国家、社会への深い洞察がすごく面白い。 貧困や不平等にバランスを取り戻す鍵となるのが、うしろめたさ。 日本では、「自分が稼いだ分は自分のもの」と思って、貧困や不均衡に無感覚であることが正当化されてしまっている...

エチオピアの農村での生活から、私たちが当たり前に内在化している市場、国家、社会への深い洞察がすごく面白い。 貧困や不平等にバランスを取り戻す鍵となるのが、うしろめたさ。 日本では、「自分が稼いだ分は自分のもの」と思って、貧困や不均衡に無感覚であることが正当化されてしまっているんだと、うしろめたく感じる。 自分の当たり前の境界をずらして、バランスを取り戻す一歩にしたい。

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2021/07/11

エチオピアと日本を往復する人類学者が、エチオピアと日本それぞれの視点から社会の在り方を考察した一冊。考察の合間合間にエチオピア滞在記が挿入されている。 日本の文化を別の文化の視点から、特に非西洋、非東洋の文化から見ると、それが絶対的でも普遍的でもないことがしばしば明らかになる。...

エチオピアと日本を往復する人類学者が、エチオピアと日本それぞれの視点から社会の在り方を考察した一冊。考察の合間合間にエチオピア滞在記が挿入されている。 日本の文化を別の文化の視点から、特に非西洋、非東洋の文化から見ると、それが絶対的でも普遍的でもないことがしばしば明らかになる。そのことによって、こんな社会もあり得るんだと知ることによって、気が楽になったりもする。今の社会を少し揺さぶることができるかもしれないと思う。これは人類学の効能の一つだろう。 読んでいて付箋を貼りたくなる箇所がいくつもあった。交換と贈与の違い。後ろめたさを感じても見なかったことにすること。感情の名前は文脈から生じる。国家を身体化・内面化しているかどうか。国と個人の相互依存と一体化。自由市場と統制された市場。国際食糧援助に見る贈与と交換。 平易な言葉で書かれてるけど、考えさせられるので簡単には読み進めない。私たちは合理性や効率性、資本主義を優先する社会で何を見過ごしているのか?それらの影で感情のやりとりが失われているのではないか?「ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと」や「0円で生きる」と重なる部分がある。格差社会だと言われているが、その是正に必要なのは後ろめたさかもしれない。貧困や障害者やマイノリティが表に出ることの意味も、後ろめたさを喚起することにあるのではないか。 しかし残念ながら今の日本では、自分の弱さを、欠損を表に出すことが難しくなっていると感じる。効率を追求した社会だからだろうか。表に出した、柔らかいそこを逆に突かれるのではないか、と警戒してしまう。その結果、「甘えんな!」「オレだって大変なんだ!」という残念な逆切れが、後ろめたいが故に多発しているのではないか。 それにしても、みうらじゅんが後ろめたさという感情を象徴するものを「後ろメタファー」と呼び、現代は「後ろメタファー」が弱まっていると言っていたのは、さすがだと思った。

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2021/01/26

うしろめたさを感じることは悪いことではなくて、それを生かして何ができるか、考える。 著者のエチオピアでの日記が、本論にリアリティを持たせてくれる。 読みやすい故に、さらっと流してしまわない様に注意して読む。

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2021/01/19

商品と贈り物を経済と非経済として考えたりするのは面白かった。交換と贈与は違う、とか。ただ日本にいたらこう感じるだろう、みたいな偏見や飛んでる論理を感じてあまり読み進められなかった。 結論があるわけではなく、一緒に考えてみましょう的な感じなので考えるのが好きな方には良いと思う。私は...

商品と贈り物を経済と非経済として考えたりするのは面白かった。交換と贈与は違う、とか。ただ日本にいたらこう感じるだろう、みたいな偏見や飛んでる論理を感じてあまり読み進められなかった。 結論があるわけではなく、一緒に考えてみましょう的な感じなので考えるのが好きな方には良いと思う。私は、あなたの結論は?みたいに思ってしまうのでダメだった。まえがきに"見取り図を書きたい"ってあって、中盤に"大きな目標を掲げてしまって苦労している"とあり、連載で一緒に考えるならいいんやけど、私の求めていたものとは違いました。

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2021/01/11

感情を通じて個人・社会・世界・市場を捉え直せる本。個人を出発点にするとこんな切り分け方もできるのか!と驚く。 あまり「うしろめたさ」について深堀りしているわけはないけれど、なぜ人類学を学ぶのかののひとつの入り口としてよかった

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2021/01/08

生きづらい。世の中が窮屈だ。その原因は国の政策のせいであり、市場のシステムのせいである。私たちを支配する巨大なシステムと私たちの暮らしには大きな隔たりがあり、そうしたシステムが変わらない限り私たちにはどうすることもできない。 ・・・本当にそうですか?という問いかけをしているのが...

生きづらい。世の中が窮屈だ。その原因は国の政策のせいであり、市場のシステムのせいである。私たちを支配する巨大なシステムと私たちの暮らしには大きな隔たりがあり、そうしたシステムが変わらない限り私たちにはどうすることもできない。 ・・・本当にそうですか?という問いかけをしているのが、本書だ。 「社会」と聞くと、まるで自分たちの手の届かない大きな存在のように思えるけど、本当は人やモノや言葉が行き来する「関係性」のことだと言う。つまり、私とあなたという二人が入ればそこに「社会」は生まれ得る。 市場も、国家も、世界も、結局はその関係性の延長であり、すべては連結しあっている。「国家権力」や「市場原理」という言葉に惑わされているだけで、本当はそれぞれ依存し合っていて、その依存の輪の中に「わたし」もいるのだ。まずはそれを読者に理解してもらうことに本書の大半は割かれている。 私たちが目指すべき「よりよい世界」を規定するとしたらどんな世界か?それはきっと、ひとりひとりの努力が適切に評価され、結果が出ずとも穏やかに暮らせ、誰もが好きなことに没頭できる世界。つまりは「公平=フェア」な世界だろう、と著者は言う。 つまりはアンフェアを改善しバランスを取り戻すことが求められているわけであり、そこには国の政策を根底からひっくり返すような革命的な手法が必ずしも求められているわけではないのである。 では私たちにできることは何なのか?その鍵がタイトルにもなっている「うしろめたさ」だ。 電車で自分が座っているのに対しお年寄りが立っている時。知人から身に余る贈り物をもらってしまった時。被災地のつらい生活をTVで見た時。 そうした自分と他者との間に格差を感じた時、人は「うしろめたさ」を覚える。それは「公平さへの欲求」と言うこともできる。 けれど私たちはそうした「うしろめたさ」を、いろいろな理由をつけてなかったことにしがちなわけで。しょうがないよね。どうしようもないし。自分には関係ないし。国の問題だよね。 例えば、Youtubeで違法アップロード動画を観る人は、小さなうしろめたさをどこかでなかったことにしてないだろうか。 そうやって自分を正当化することに、まず自覚的にならなければいけない。そして「うしろめたさ(=公平さへの欲求)」に素直に従うこと。例えばそれが震災なら、ボランティアをする。義援金をおくる。他にもいろいろあるだろう。 そうしたことが「わたしとあなた」という小さな社会をフェアにし、市場をフェアにし、国家をフェアにし、世界をフェアにしていく。僕らにできる「生きづらさ」を変える最大のアクションなのだ。

Posted byブクログ

2020/11/19

・経済 交換と贈与の違いを生み出すのは時間。 交換モードによって、じぶんが恵まれている事実を納得させる。 ・感情 環境で、感じ方は変わる 共感 ・関係 関係は人と人の間にある事象で、決定される。 キスをしたら恋人だし、肩をくめたら友達 ・国家 社会主義は中央集権して、不満も一挙に...

・経済 交換と贈与の違いを生み出すのは時間。 交換モードによって、じぶんが恵まれている事実を納得させる。 ・感情 環境で、感じ方は変わる 共感 ・関係 関係は人と人の間にある事象で、決定される。 キスをしたら恋人だし、肩をくめたら友達 ・国家 社会主義は中央集権して、不満も一挙に集める。 民主主義は市場に適正の判断を委ね、自己責任とする。 判断をした人に、責任を感じるのが人。 今の現状は判断が、原因にあると感じる。そもそも論で辿るとそうなる。

Posted byブクログ