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うしろめたさの人類学 の商品レビュー

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85件のお客様レビュー

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2022/06/25

文化人類学者が自身のフィールドであるエチオピアと日本と往来して見えてきたものから、一市民が世界を再構築していく方法について語る。「うしろめたさ」–この感情から生まれるつながりが鍵。

Posted byブクログ

2022/04/25

国家による再分配も市場による貧富の差もわたし自身とは関係ないように見える。が、実はわたし自身の行動と直結しており、わたしたちは制度を支えている。 それをそのまま見過ごすか、それとも少しでも治そうとするかで世界は変わっていく。 その原動力になるのが後ろめたさである。 個人の行動と...

国家による再分配も市場による貧富の差もわたし自身とは関係ないように見える。が、実はわたし自身の行動と直結しており、わたしたちは制度を支えている。 それをそのまま見過ごすか、それとも少しでも治そうとするかで世界は変わっていく。 その原動力になるのが後ろめたさである。 個人の行動と社会、国家、市場のつながりの説明が面白かった。今まで自分にも関係ないと思っていたことが思っている以上に関わっている、当事者意識を感じることができた。その上で父性をもつ、みたいなこもなのかな。

Posted byブクログ

2022/04/15

著者の松村先生は岡大の人類学の先生。この本では、エチオピアのフィールドワークを通じて、今の日本のあり方を問い直します。商品と贈り物、贈与、共感といったキーワードを軸に、資本主義ですべてが覆われてしまったように見える私たちの社会が持ちうる「別の可能性」を見せてくれます。

Posted byブクログ

2022/04/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「世界は分断されている。『知らない』とか『関係ない』とか、『敵だから』とか、いろんな認識の壁で分断されている。この関係の断絶は、ぼくらの倫理性を麻痺させる。人を殺すことだって、人が殺されているのを無視することだって、できてしまう」 ウクライナとロシアで起きていることを想起しながら読む部分も多かった。 ☆贈与と交換 物乞いになにもあげないことを選ぶのは交換モードに縛られているから 贈与ではなく交換であれば、感情に振り回されずに済む 交換モードによって共感を抑え込んでしまう 日本では人との関わりのなかで生じる面倒なことが取り除かれ、できるだけストレスを感じずに済むようにシステムがつくられている 感情の起伏が乏しく、特定の感情、欲求のみが喚起される →自分自身もストレスのなさに慣れきって もっと怠惰に、人との関わりを億劫に感じてしまっている気がして、危機感を覚えた ただ、自分のために距離を置くことも忘れずにおきたい ☆関係と社会 人との関わり合いのなかで自分は形作られる 社会も同じ。 社会を変えるために何を投げかけ、受けとめるのか。 ☆国家 国家の制度が私たちの一部をなし、国境を自分の身体の一部として想像する。 ☆市場経済/民主主義と社会主義 「一党独裁を必要とする社会主義体制の根底には、その独裁の永続を難しくする構造的矛盾がある」 市場において「価値をつくりだし、意思決定しているのは、無数の『わたし』であり、『あなた』なのだ」 ☆公平 「努力や能力が報われる一方で、努力や能力が足りなくても穏やかな生活が送れる」 「誰もが好きなこと、やりたいことができる。でも、みんなが少しずつ嫌なこと、負担になることも分けあっている」 →できたらできたで評価してほしいし、 でもできなくても許容されたい その気持ちはずっとあって、右往左往している気がする。 一人一人の人間によって社会は形作られていると改めて理解できた。 私自身がありたい姿、望む社会のために微力でも行動をすることを心がけたい。

Posted byブクログ

2022/02/23

贈与がどんな結果をもたらすのか。公平さを生むのか、役に立たないのか、むしろ害を及ぼすのか、ぼくらは事前に知ることはできない。 贈与は常に過剰になる。支配と従属の関係も生む。

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2022/02/04

何度も読み直したいと思った本だった。 世の中の仕組みとか、格差とか、すごく変えられない大きなものだと自分も感じていた。 何もかも自己責任と言われがちで、人が孤独で、窮屈だと感じてしまう世の中を、自分もすごく怖く悲しいものだと思っていた。でも、人の気持ちのもちようでなにか変えられる...

何度も読み直したいと思った本だった。 世の中の仕組みとか、格差とか、すごく変えられない大きなものだと自分も感じていた。 何もかも自己責任と言われがちで、人が孤独で、窮屈だと感じてしまう世の中を、自分もすごく怖く悲しいものだと思っていた。でも、人の気持ちのもちようでなにか変えられるかもしれないと、少し希望を持てたし、そう考えさせられた。読んで良かった。

Posted byブクログ

2022/01/25

自分が恵まれていることにうしろめたさを感じることが良くあったから、この本に興味があって読んでみた。 良い考え方だなと思ったことをメモしておく。 ・うしろめたさは自責にすること、他人に対して負い目にしてはいけない。 ・たとえば商品交換と贈与の境界線をずらす行為が、他人のうしろ...

自分が恵まれていることにうしろめたさを感じることが良くあったから、この本に興味があって読んでみた。 良い考え方だなと思ったことをメモしておく。 ・うしろめたさは自責にすること、他人に対して負い目にしてはいけない。 ・たとえば商品交換と贈与の境界線をずらす行為が、他人のうしろめたさ(行動や思考の促進)に影響する。  本の中の例で言えば、教員である著者は、教育を授業料に応じた行動ではなく贈与の行動と捉えていて、受け取った学生それぞれに何らかの感情を引き起こす媒介と捉えている。 ・誰になにを贈るために働いているのか。まずはそれを意識することから始める。「贈り先」が意識できない仕事であれば、たぶん立ち止まったほうがいい。 「わたし」の日々の営みが、市場や国家と結びつき、世界の格差や不均衡を生み出している。市場や国家というシステムを「わたし」の行為が内側から支えている。それがわかれば、国の政治が政治家だけの仕事ではないことに気づくことができる。市場に、いまとは違うやり方をもち込む余地があることも見えてくる。

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2022/01/19

 自分が生きている社会について考えようとすると、おそらく、若い人が学校とか、ちょっとした専門書とかで学ぶ「世界」というのは何とか主義とか、何とかシステムとか、読んでいる自分を「世界」から遠ざけていく言葉や概念が溢れていて、実感というか、自分がその世界の一員であることが、限りなく記...

 自分が生きている社会について考えようとすると、おそらく、若い人が学校とか、ちょっとした専門書とかで学ぶ「世界」というのは何とか主義とか、何とかシステムとか、読んでいる自分を「世界」から遠ざけていく言葉や概念が溢れていて、実感というか、自分がその世界の一員であることが、限りなく記号化するのが、今風な気がするのですが、松村さんは、おそらく、そこを突破するために「うしろめたくない?」と問いかけているんじゃないかと思いました。  「おっ、エチオピアか」という、まあ、観光気分という感じで読みながら、松村圭一郎という愚直な文化人類学者の本を、もう少し読んでみようという気になったのは、そのあたりの「工夫(?)」が、すくなくとも、若くないぼくには功を奏したわけです。  ほんと、こういう生真面目さ、ぼくは好きですね。ブログでも紹介しました。よろしければどうぞ。   https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202112270000/

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2022/01/13

自分がこの世界で胸を張って生きるためにも、当たり前にとらわれず何度でも境界線を引き直し続け、ずれを探して、自らの手で社会をつくるスキマをみつける。人類はこのときのために知性を育んできたのか。

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2022/01/10

あぁ、私が移住したのは「うしろめたさ」からなのだと実感した。 そもそも、多分人より「うしろめたさ」を感じやすいのかもしれない。 小さな頃から ・不自由なく暮らせる環境 ・障害のないカラダ ・殺される危機や恐怖を感じなくて良い生活 という、当たり前といえば当たり前のことに、多分「自...

あぁ、私が移住したのは「うしろめたさ」からなのだと実感した。 そもそも、多分人より「うしろめたさ」を感じやすいのかもしれない。 小さな頃から ・不自由なく暮らせる環境 ・障害のないカラダ ・殺される危機や恐怖を感じなくて良い生活 という、当たり前といえば当たり前のことに、多分「自分は恵まれている」という「うしろめたさ」があったのだと思う。 そんな感覚だったから、今でも自分の選択一つ一つに若干「うしろめたさ」があって、 (割り箸使うたびにごめんなさいと思う…みたいな) それは、ネガティブな事なんだろうと思ってたけど、 そう思う事で自分はバランスを取ろうとしてて、それは悪いことではないのかもしれないと、かなり気が楽になった1冊でした。

Posted byブクログ