この世の春(上) の商品レビュー
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下野北見藩の元作事方組頭各務数右衛門の娘多紀は夜半に頻りに案内を乞う声で板戸を開けた。そこには小さな子供を抱いた女が立っていた。その女は父親の各務数右衛門を頼ってききたという。しかし父親もその女を知らなかった。そして、御用人頭の伊東成孝の嫡男を連れてきた乳母だという。伊藤成孝はお役御免になったので、隙をついて逃れてきたのだと。藩主を押し込める事件がこれから明らかになる。そしてその渦の中に多紀が巻き込まれるのも。
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スゴいの一言 かなり複雑なストーリー 個人的にはもう少し軽い方が好みではあるが、、、しかしよくこんな幅のあるストーリーを考えられるなぁ 改めてだが、宮部みゆきという作家の凄さを感じましたね いやースゴい 時代小説です 夜、ある家に一人の女性と赤ん坊が飛び込んでくる あまり付き...
スゴいの一言 かなり複雑なストーリー 個人的にはもう少し軽い方が好みではあるが、、、しかしよくこんな幅のあるストーリーを考えられるなぁ 改めてだが、宮部みゆきという作家の凄さを感じましたね いやースゴい 時代小説です 夜、ある家に一人の女性と赤ん坊が飛び込んでくる あまり付き合いの無い家から逃げてきたという 父親はその客人を一休憩させてから近くのお寺に行くように伝える なぜ逃げてきたのかが分かってくる クーデターが起き、その辺りで一番えらい人?が捕らえられてしまい、その偉い人の一番の子分の子供が前述の赤ん坊の父親 その一番の子分が原因で偉い人がおかしくなったという事で、その周りの人たちが偉い人は投獄、一番の子分は切腹にしたという 女性は赤ん坊を育てる係で、そのような修羅場から赤ん坊を連れて逃げたのだ かねてから「なにかあればあそこの家にいけ」と言われていたという 偉い人は多重人格のように描かれている その原因はまだ分からないが、偉い人の親父さんがある特殊能力を持った一族に非道な振る舞いをしてしまった事が原因ではないかというような描かれ方ですね ただ、その辺りは後半に向けてまだなにかありそう 多重人格の人格も子供、女性、男性という3人?がいるのだが、子供がかなり分かってきていて、女性は最後にちょっと出始めたくらい 3人目の男性はどういう人物なのか全く分かっていない状態 何が「この世の春」なのだろう 後編を読むのが楽しみ
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乱心の藩主を押し込めるところから話が始まるわけですが、『荒神』みたいなお話かと思いきや!なんとそう来ましたか…いわば時代小説らしからぬ時代小説と言いますか。時代小説では”憑き物”として語られる事態を、明確に”多重人格”として描くとは…あやかしものも多い宮部氏ですが、これはなんとい...
乱心の藩主を押し込めるところから話が始まるわけですが、『荒神』みたいなお話かと思いきや!なんとそう来ましたか…いわば時代小説らしからぬ時代小説と言いますか。時代小説では”憑き物”として語られる事態を、明確に”多重人格”として描くとは…あやかしものも多い宮部氏ですが、これはなんというか科学的視点を持った時代小説ですごく新鮮な感じがしてます。伏線も丁寧で分かりやすい(笑)ただ、何故このタイトルなのかがまだ分からず…いざ、下巻へ。
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最初はつかみ所がなかったんだけど、読み進むほどに面白くなってきました。 重興はどうなるのでしょうか?琴音とあの女は? そして半十郎が探索していることはどう繋がるのか? 下巻が楽しみです。
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毎日新聞朝刊で宮部さんの連載小説がスタート、今年の初めに予約したこの本もようやく手元に届き、一気読み。 久しぶりに宮部ワールドを満喫。 下巻が届くのが待ち遠しい。
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多重人格の障害を持つが故に押込になった元藩主。 この時代にしては珍しくそれを精神疾患と見做し、トラウマを解き明かそうと、奮闘する医師や周りの人たち。 焼かれた村、神隠しに遭った子供たち、立派な藩主だったはずなのに馬に嫌われた父、「琴音」という名。 だんだん駒が揃って来た感じです。...
多重人格の障害を持つが故に押込になった元藩主。 この時代にしては珍しくそれを精神疾患と見做し、トラウマを解き明かそうと、奮闘する医師や周りの人たち。 焼かれた村、神隠しに遭った子供たち、立派な藩主だったはずなのに馬に嫌われた父、「琴音」という名。 だんだん駒が揃って来た感じです。 早く下巻が読みたい!
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宮部みゆきの現代物は好きで良く読むが、時代物は 初めて読んだ。 人情物ではなく込み入ったサスペンスはやはり 宮部みゆきならではの面白さだった。 でも現代物の方が好きです!
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宮部さんの時代小説はほんとにおもしろい。北見藩藩主の重興は、成りあがりの伊東成孝に藩のことをまかせていたのだが、代々の家老衆によって乱心を理由に「押込」と隠居させられた。重興は別邸・五香苑の座敷牢に幽閉され、成孝は切腹した。重興を救おうと各務多紀、多紀の従弟の半十郎、五香苑の石野...
宮部さんの時代小説はほんとにおもしろい。北見藩藩主の重興は、成りあがりの伊東成孝に藩のことをまかせていたのだが、代々の家老衆によって乱心を理由に「押込」と隠居させられた。重興は別邸・五香苑の座敷牢に幽閉され、成孝は切腹した。重興を救おうと各務多紀、多紀の従弟の半十郎、五香苑の石野、お鈴、医師の白田、周りの人々がそれぞれの個性がしっかり描かれていて徐々に乱心の原因の謎が明かされていく。これからどういう風に進むのか、早く下巻が読みたい。
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やはり長編は良い。 登場人物のひとりひとりがきっちりと描かれ、 次から次へと起こる出来事に反応して、 変化したり、変化しなかったりとストーリーが動いていく。 「押込」といつか読んだ本の題材から始まっているのには、 ちょっと驚いた。 出戻り娘の多紀が、隠居した元作事方組頭の父と静かに暮らしている…はずだった。 多紀が死者の魂の降霊を行っていた村の血縁であることがわかり、 「押込」られた殿が死者の亡霊にとりつかれていると告げる者があった。 これはホラー話なのか、と思った。 いや、思わされた。 (下巻へ続く)
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大殿を自らの手で命の火を絶った重興。彼の中から出てくる、琴音と、不気味な女、そして怒りをあらわにする男。 彼の中ではこの3人が、何かの拍子に登場する。 琴音は、一松(重興)を守るために出てきた幼子だ。 では他の二人は… 彼らもまた、重興を守るために、悲しみや怒りや、あらゆる感情を...
大殿を自らの手で命の火を絶った重興。彼の中から出てくる、琴音と、不気味な女、そして怒りをあらわにする男。 彼の中ではこの3人が、何かの拍子に登場する。 琴音は、一松(重興)を守るために出てきた幼子だ。 では他の二人は… 彼らもまた、重興を守るために、悲しみや怒りや、あらゆる感情を引き受ける、別人格だ。 本書は時代小説の体裁を取っているが故に、重興の身に起こったおぞましい出来事が、薄衣に包まれ、読み進めることができる。 しかしながら、もしこれが現代劇であれば、とても正視はできまい。 桐葉という女、そしてその父が会得した能力は、呪いである。人はここまで悪意をむき出しにできるのか、悪意のみで、何の関係もないものや我が子を苛むことに何のためらいもないのか、それがただひたすらに恐ろしい。 その一方で本書は再生の物語でもある。そこに希望があるから、このおぞましき事件は呪いの事件から祈りの事件へと変遷した。 ねがわくば、花の下にて我死なん。 そんな言葉を思い出した。
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