表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬 の商品レビュー
いつだったかな? テレビでこの本について語られていたことがあった。 「読み応えありますよね」 興味がわいて借りてみた。 若林さんは、ひとりっきりで旅に出ることを決める。 突然とれることになった5日間の夏休み。 3拍5日のキューバ旅行へ。 自由主義社会の格差不自由。 社会主義社...
いつだったかな? テレビでこの本について語られていたことがあった。 「読み応えありますよね」 興味がわいて借りてみた。 若林さんは、ひとりっきりで旅に出ることを決める。 突然とれることになった5日間の夏休み。 3拍5日のキューバ旅行へ。 自由主義社会の格差不自由。 社会主義社会の平等と自由。 そんな事を考えながら旅する若林さんなりの哲学が面白い。 タイトルになっている野良犬にカメラを向けて思う。 「東京で見る飼い主に甘えている犬よりかわいく見えた。 あの犬は庇護を受けていない。 少し穢れている。だけれど自由だ」 東京での暮らしに生き苦しさを感じていたのですね。 駐車場で勝手に車の誘導をして小銭を稼ぐおじさん。 刃物を付けた軍鶏を戦わせる血まみれの闘鶏。 キューバ人の暮らしに驚き、心を動かされ、自由を満喫。 でも、訪れるのと住むのは違うかな。 住んで暮らすこと…。 そこにはもれなく不自由が付いてくるのかも。 時々、違う場所に行く。 すると世界の見え方が変わってくるのですね。 そして最後に明かされる謎。 なぜ キューバなのか。 なぜ ひとり旅なのか。 オチに心が温められました。 若林さんの脳内 への異世界旅行。 ユニークな旅エッセイでした。
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エッセイなんだけど、内容が軽すぎず それでいて大切なことがちゃんと書いてある。 キューバってこんな国なんだ。 日本人が持っている主義や思想なんて、 すぐにひっくり返っちゃうんだろうなぁ。 キューバの人は、ちゃんと「今を生きてる」 そんな感じがした。 特に印象的なシーンは、なぜキューバに 行くことになったのかを語るところ。 亡き父が行きたがっていたキューバに訪れることで、著者はちゃんと父と向き合い前を向く。 そっか、amistad(血が通った関係)がキューバには あったんだ。現地にしかない大切なものは、現地まで取りに行くしかない気持ち、すごく分かる。 著者のキューバに怯えながらも、 キューバにとてつもなく惹かれていく姿を とても美しく、羨ましいと思った。 私もキューバに行きたい! p.74 われわれはちゃんと今を生きているのか?(ruta8 革命博物館) 「明日死ぬとしたら、生き方が変わるのですか?あなたの今の生き方はどれくらい生きるつもりの生き方なんですか?(ゲバラ名言)」 p.193 誰かと会う(ruta26 マレコン通り) 「キューバの街全体にはまだWiーFiが飛んでいない。だから、みんな会って話す。人間は誰かと会って話したい生き物なんだ。本心は液晶パネルの中の言葉や文字には表れない。アメフトの話や、声や顔に宿る。だから、人は会って話した方が絶対にいいんだ。」
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この本を読んで改めて街を見渡すと、たしかに広告の多さに辟易するなと感じた。 テレビ、スマホ、電車、バス、… 毎日の暮らしの中に無意識に競争意識を駆り立てる何かが視界に入ってきて、きっとそれは無意識に自分にとってストレスになっているのだろうなぁと。 読めば読むほどキューバに行き...
この本を読んで改めて街を見渡すと、たしかに広告の多さに辟易するなと感じた。 テレビ、スマホ、電車、バス、… 毎日の暮らしの中に無意識に競争意識を駆り立てる何かが視界に入ってきて、きっとそれは無意識に自分にとってストレスになっているのだろうなぁと。 読めば読むほどキューバに行きたくなる。 キューバじゃなくてもスマホが普及してない国に。 若林さんが、キューバの人々の暮らしに癒され、憧れ、日本の生きづらさを感じながらも、やはり日本に帰るとこの国の素晴らしさや誇らしさを感じられずにはいられない気持ちもとても分かる。 自分はこんな行動はきっと起こせないだろうから、生きるのに疲れたら、この本を手に取ってキューバを感じたいと思った。
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新自由主義、競争社会、格差…諸々にうんざりして旅に出たのかと思いきや。 忙しい中、ひとりになって、悲しみとじっくり向き合える、どこか遠くに行きたかった若林さん。テレビで観ていても全くわからないけど、こんな辛い時期があったのねぇ。私は若林と同年代だし、私自身の父親の死も同じ頃だし、...
新自由主義、競争社会、格差…諸々にうんざりして旅に出たのかと思いきや。 忙しい中、ひとりになって、悲しみとじっくり向き合える、どこか遠くに行きたかった若林さん。テレビで観ていても全くわからないけど、こんな辛い時期があったのねぇ。私は若林と同年代だし、私自身の父親の死も同じ頃だし、親近感湧くな。身近な人の死は本当に辛いけど、そんな時のひとり旅だからこそ、旅先の景色もいつも以上に響くのかな。だって、「網膜が小躍りする」なんて表現すてきだもんな。 ゲバラの言葉に、考えさせられる若林さん。 「明日死ぬとしたら、生き方が変わるのですか?あなたの今の生き方はどれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」 終盤では、父親に幸せだったかと問う。 命について、人生についても考える旅だったのかな。 モンゴル料理、若林はいけたんだ…私は臭くてどうしても無理だった。 アイスランドで優しくしてもらって良かったよね。全員日本人とかさぞ初めは地獄だったろうに。ま、ウケたけど! 若林さんの海外旅行先チョイスがいいセンス!私もいつか行ってみたい。 そして、DJ松永の若林にむけた手紙が泣ける。何これアツイ。いまさらリトルトゥースになれないよぉ。
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若林がキューバ、モンゴル、アイスランドの旅行を通じて 感じたこと、理解したことを吐露したエッセイ。 そして、巻末のDJ松永の解説(文庫本だけ)は極めてアツイので何度も読み返したい。 あと、アイスランド大晦日の花火を見に行きたいと強く思った。 — 以下印象に残った内容 新自由主義の中では、どこまでいっても足りることなく どこまで進めば良いのか際限がない。 日本社会は3カ国に比べ”世間”を信仰している。 世間は、空気を読め。と言い、 新自由主義は、個性を出せ。と言う。 この現代社会を生き抜くには、 ”血の通った関係と没頭”こそが重要だと感じる。
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何が僕たちを競争させているのだろう?新自由主義の世界ですべてが商品化される違和感を感じた。社会主義のキューバの人々は、競争相手としてではなく、1人の人間同士としての本当の笑顔が見えた。でもその笑顔は日本にもあるんじゃないか?と思わせてくれるような本。
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時々淡々と毒が混じったツッコミが入るのがなんとも若林らしくて面白かったしさくさく読めた キューバを一緒に旅行してる気持ちになったし、行ってみたくなったな。旅エッセイかと思ったら最後の章とても素敵だった
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キューバの観光地を効率よく回ったり、ディープな場所にも行くし、些細なコトで気分を害して引きずったりもする旅のエッセイ。 カストロが大観衆を前に演説した革命広場や闘鶏場の熱気が伝わってきて、アイスクリーム屋やビーチ、堤防沿いに集まるキューバの人たちの表情が丁寧に描写されていた。 ...
キューバの観光地を効率よく回ったり、ディープな場所にも行くし、些細なコトで気分を害して引きずったりもする旅のエッセイ。 カストロが大観衆を前に演説した革命広場や闘鶏場の熱気が伝わってきて、アイスクリーム屋やビーチ、堤防沿いに集まるキューバの人たちの表情が丁寧に描写されていた。 インドア派の若林さんが、1人でキューバに行きたかった理由は…。
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競争に勝ち続け、お金を稼ぎまくる人だけが幸せになれるという新自由主義。 自分の悩みの全部はこのシステムのせいだと感じた事をきっかけに、真逆のシステムである社会主義国のキューバに行く若林さん。 キューバでの様々な経験は読んでいてとても新鮮だった。 中でも印象に残ったのはキューバの住宅事情について。 社会主義国のキューバで裕福な暮らしをするにはコネが重要らしい。 「日本の自由競争は機会の平等であり、結果の不平等だろう。キューバの社会主義は結果が平等になることを目指していて、機会は不平等といえるのかもしれない」(P149) なるほど。 「競争」「勝負」となると途端に腰が引けてしまうけど、確かに日本ではある程度機会は平等にある。 「裕福になりたければもっと頑張れよ、今の生活に満足できないのは努力してないからだ」と言われれば、でも、だって、と言いたくなるけど、確かにそうなのかもしれない。 100%の力を出し切って生きてるわけじゃないから、ギラギラと勝ち進んでいく人を見るとなんとなく負い目のようなものを感じてしまう。 まぁこのくらいの頑張りなら、こんな程度ですよね、と自分を納得させてしまう。 まあ、それが生きていくことに対しての漠然とした疲れの原因なんだろうな、とは薄々気付いている。 だけどキューバのように、コネが無いと裕福に暮らせない世の中もどうだろう。 どんなに頑張っても結果は同じ。 生活に選択肢はほとんど無い。 お金持ちとうまくやっている友人は良い家に住んでいるが、コミュ障気味な自分はいつまで経ってもボロ屋。 どっちも嫌だし疲れるし面倒くさい(笑) やっぱり若林さんの言う通り何事もバランスなんだろうな。 そして、日本だろうとキューバだろうと世界のどこだろうと、血の通った関係が何よりも尊い。 若林さんの本を読んでると、気の合う人とただ楽しく生活したい、喋りたい、それこそが自分の人生で一番やりたい事だ、という気持ちが湧いてくる。 よし、飲みにでも行こう。 気の合う人を見つけよう。 (と言ってまっすぐ家に帰って来てしまう日々)
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若林さんと一緒にキューバを旅行している感覚に。キューバ旅行を行くきっかけになったエピソードに人柄の良さを感じました。
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