鹿の王(1) の商品レビュー
だんだん引き込まれていく作品。2人の主人公がそれぞれにいい味を出していてどっちも好きになった。どちらの主人公のストーリーも十分に楽しめるので、常にお互いの先が気になる作品でした。
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続編を読まずにはいられないような形で終わらしているのがさすが。 随所にヴァンの心の葛藤が描かれていて、徐々に人間らしい厚みがでてきている。
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決して現実的な世界の物語ではなく、それでいて私たちの住む場所から遠くない舞台。時代背景もかなり遡った過去のようであり、現代社会が崩れ去ったあとの遠い未来の話のようにも思える。遊牧民や山岳族、それら一帯を統治する帝国などを見る限り、中国を想像するが、ところどころズレている。 「パラ...
決して現実的な世界の物語ではなく、それでいて私たちの住む場所から遠くない舞台。時代背景もかなり遡った過去のようであり、現代社会が崩れ去ったあとの遠い未来の話のようにも思える。遊牧民や山岳族、それら一帯を統治する帝国などを見る限り、中国を想像するが、ところどころズレている。 「パラレルワールド」もしかしたら存在する、した、するかもしれない自分では決して行き来することが出来ない世界に脚を踏み入れたような錯覚。その世界には文化も文明も戦も階級も種族も存在する。 二人の主人公の内の一人は「塩」を掘り出す奴隷として、登場する。もう一人は天才的な医者。疫病が蔓延していくこの世界で、二人がどのように交錯して行くか。 タイトルである「鹿の王」はその意味さえもプロローグとしても描かれきれていない(鹿はたくさん出てきます)。 ストーリー自体にあまり起伏はないものの、細かな描写によって、大人も夢中になれるファンタジー小説。文庫本一巻は(良い意味で)二巻へと続いていく。ともすれば週刊少年ジャンプ的な終わり方で、早く次を読みたい!…ということでさっそく第二巻を読みたいと思います。
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物語の始まりは、暗くて、つらくて、いやな感じだったけど… 主人公のヴァンとホッサル。 二人が出会うときはやってくるのか? そしてその時は複雑な事情の二人の関係がどうなるのか? 続きを読むのが楽しみです♪
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本屋大賞ということと表紙に惹かれ読んでみた。 ファンタジーを普段読まないが、情景が浮かびやすく良かった。 予想とは異なり病気の話だった。 面白いとは言い難いが面白くなりそうなので続きを読む。
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村のために戦ってきた男が捕まっていた炭鉱で黒い犬にかまれて瀕死の状況になるも生還。 同じ場所にいた赤ん坊を連れてその場を後に。 かまれたせいか、不思議な力が備わってしまい、今後彼がどういう道を進むのか気になるところです。 ともかく懐いたりお転婆な飛鹿が可愛い。 ホッサルとマコウカンのやりとりが面白いです。
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ファンタジー小説。 なぜ私は上橋氏の書いたものを読むのか、考えた。一つはとても難しい概念を、具体的に、誰でもわかるように、あっさりと、描き出す手腕に惹かれるからだと思う。 例えば「他民族に征服される」とはどういうことか。 それは、たとえば、 ・ヤギの乳を飲まない男が隣にいること...
ファンタジー小説。 なぜ私は上橋氏の書いたものを読むのか、考えた。一つはとても難しい概念を、具体的に、誰でもわかるように、あっさりと、描き出す手腕に惹かれるからだと思う。 例えば「他民族に征服される」とはどういうことか。 それは、たとえば、 ・ヤギの乳を飲まない男が隣にいることであり…… ・いつも市場で買っていた、あの食材を見なくなることであり…… ・友ともいうべき家畜が、不本意な形で飼われるのを見ることであり…… 一つずつの場面を重ねながら、「征服」という概念の内実を描いていく。決して概念自体を語ることがない。この手腕、誰にも真似できないのものに思える。 1巻で最も突き刺さったのは「オタワル人気質」。 オタワル王国の最期は夢のように鮮やかで尭舜の世などを思わせる。オタワルびとは支配される、支配する、にこだわることなく、今そこにある社会の活力であることだけを望む。「ナショナリズム」などといった「こっちの世界」の厄介者とは無縁のひとびとだ。 ☆の数は少なめだが、4巻読み通した後になれば、この評価も変わるかもしれない。
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2018.8.2読了。冒頭の登場人物一覧を見てあー今回も随分多いなぁと思ったのだが読み進めていると不思議と誰が誰だか把握できる。これがストーリー記憶ってやつか!「塩は白い金だ」という言葉が何度か出てきて、商品としても生物に必要な栄養素としても大事なのだが、この物語を読んでいるともしかして殺菌の意味も含んでるのかとかも思う。古オタワル王国の伝えで人知を超えて神に近づいたため神の怒りを云々はまさにイカロス神話だ。転用がうまいなぁ。オタワル人の生き方は本当に強かだ。〈諸国を活かし、自らも生きよ〉かぁ。見習いたい。疫病の探索部分で私が狂犬病がモデルか?と思った瞬間に打ち砕いてくるし、ついでにペストの否定まで丁寧にしてくれる悔しいような嬉しいような。マコウカンがヨタルを自分達にとっては大切にすべき存在だと思っているところで誰につくか?は重要だよなぁとしみじみ思った。岩塩鉱で猫が飼われているのについて奴らのお陰で仕事の辛さが紛れたとあるが猫はネズミを狩ることでありとあらゆるものを守ってきた故に人と暮らすようになったがその癒し効果もあってこそなのかもしれない。オキで狼の事を黒い兄弟と称してる部分があって、黒い悪魔などではなく兄弟とあるところから、あぁ恐れ忌むべき相手ではなく隣人としてここの人達は受け入れているんだなと思ってたら〈兄弟送りの儀式〉などとこの集落独自の考えや文化に基づくものとあってなるほどと思った。飛鹿は一度に二頭も産むのか!蹄のある獣は一回につき一頭と思ってたから素直にびっくりした。ファンタジーとはいえ飛鹿は本当に他の鹿やトナカイとは異なる生物なんだなぁ。人は幸福な記憶があることで芯が強くなる者と脆くなる者がいると思う。前者にとってその記憶は自分には確かに幸せな瞬間があったのだと何度も思い返す事で自分を支える事ができるのだと。ヴァンにとってオキで過ごした日々はこれからの事に対しての生きる糧になるんじゃないかと予感している。しかし解説の導入といい全くネタバレのない魅力の伝え方といいうまいなぁ!流石書店員!表紙は飛鹿に跨るヴァンとユナかな?凄く素敵なイラストそしてタイトルフォントが凄く良い!巻数表記の位置も形も良いわぁ。私には真似できない。どうやらアニメ化の話があるらしい。願わくばデフォルメの少ないキャラデザインになる事を祈る。
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獣の奏者からファンなので、つづきではないけど同じ世界観のお話が読めて幸せです この話は別として、二十年待っても続きがでない話とかざらで、それはそれで面白いんだけど、だからこそ安定して読める幸せを噛みしめられる まず、とても難しい医学的な話をこんな風にファンタジーで書けるんだ!と...
獣の奏者からファンなので、つづきではないけど同じ世界観のお話が読めて幸せです この話は別として、二十年待っても続きがでない話とかざらで、それはそれで面白いんだけど、だからこそ安定して読める幸せを噛みしめられる まず、とても難しい医学的な話をこんな風にファンタジーで書けるんだ!と驚いた 次に、同時に人間の心に重きを置く宗教とからめることで深みを与えていると思う 私は現代人で無宗教な日本人だから、命が助かるなら医師の言うとおりにすべき!と思っていたのに、 話を読み進めるうちに神を崇めている人たちには、彼らにしかできない魂の救済、安寧があるんだってしみじみ感じられるようになった その過程を丁寧に、しかも沢山の登場人物を交えて描いていく上橋さんの物語は、本当に優しくて好き
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精霊の守り人もそうだけど、主人公が青少年じゃないファンタジーは珍しい。 勢いだけでなく、積んできた人生経験と仕事で培った知識が自然な感じで発揮されていくので、読んでいて楽しい。 自分が今まで経験したことと少しリンクしたりして、ファンタジーの読み方が変わった気がする。 都内で暮ら...
精霊の守り人もそうだけど、主人公が青少年じゃないファンタジーは珍しい。 勢いだけでなく、積んできた人生経験と仕事で培った知識が自然な感じで発揮されていくので、読んでいて楽しい。 自分が今まで経験したことと少しリンクしたりして、ファンタジーの読み方が変わった気がする。 都内で暮らしていると、遊牧民族の暮らし自体がファンタジーのようだと思う。 でもヴァンとユナの会話とか(男手で赤子連れの旅とかどれだけ大変なんだ!)、トナカイや飛鹿達との生活とか、テレビの中で見た遊牧生活を思い起こさせる。 モンゴルに行ってパオに泊まらせてもらったり、ヤギの乳で作ったチーズとチャイを頂いてお腹を壊した記憶とかかが鮮やかに甦る。(笑) 伝染病に対する宗教観念と医学、病理学など科学の兼ね合いの難しさ。 狼に噛まれてなぜヴァンとユナだけが生き残ったのか?! 隣国とのキナ臭さ。 複数視点で、色々なポイントが散らばっていてあっちもこっちも気になる! 早く続きよもう。
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