星の子 の商品レビュー
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今村夏子さんの本は3冊目。 今までで一番読みやすく感じたのは、主人公があみ子のように変わっている人じゃなくて普通でフラット(のように見える)だからかな。 病弱だった自分を助けたくて宗教にのめり込んでいった両親。 姉、叔父、クラスメイト、従兄弟…自分の家はおかしいと気付くきっかけはたくさんあった。引っ越す度に家が狭くなったり、両親が身なりに気を遣わなくなったり、自分でおや?と思うこともたくさんあった。 それでも両親は自分を大事にしてくれているし、よその家よりも会話が多く仲がいい。集会では友達もいっぱいいる。 自分の置かれている環境はおかしいんだと突きつけられて涙することがありながらも、高校生になったら家を出るという選択をしないくらいには、今の状況を受け入れている。 とてもフラット(のように見える)だからこそ、底の見えない怖さを感じた。 春ちゃんの彼氏が言った「好きな人の信じるものを知りたい」は、言葉通り受け取れば至極真っ当で。自分の好きな人が好きなものは、自分も好きになりたいし、少なくとも否定はしたくない。当たり前のようにそう思うのに、その対象が「宗教」となると話は変わるのは、それもそう。 家を出たお姉ちゃんが幸せだったらいいな。
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今村夏子さんの作品を初めて読みました。わりと好きです。多感な少女期の主人公ちひろの成長を通じて、両親が心と暮らしを捧げている宗教について深掘りしていく話。終始それほど悲壮な表現がないので淡々と読めますが、その分、ちひろやちひろの姉のまーちゃん、クラスメイトや親戚たちとの会話の節々...
今村夏子さんの作品を初めて読みました。わりと好きです。多感な少女期の主人公ちひろの成長を通じて、両親が心と暮らしを捧げている宗教について深掘りしていく話。終始それほど悲壮な表現がないので淡々と読めますが、その分、ちひろやちひろの姉のまーちゃん、クラスメイトや親戚たちとの会話の節々から垣間見える繊細な感情のやりとりが心に残りました。ラスト終わり方の余韻が切ないです。
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芦田愛菜が主演して映画化されたことでも話題になった作品です。統一教会の話題がでてから、「宗教二世」という視点からも注目されたのではないでしょうか。 主人公のちひろは幼い頃は虚弱で、両親は手段を選ばずに娘の健康のために奔走しました。その中で出会った「金星のめぐみ」という有難い水の...
芦田愛菜が主演して映画化されたことでも話題になった作品です。統一教会の話題がでてから、「宗教二世」という視点からも注目されたのではないでしょうか。 主人公のちひろは幼い頃は虚弱で、両親は手段を選ばずに娘の健康のために奔走しました。その中で出会った「金星のめぐみ」という有難い水の効能で、ちひろの不調は見事に改善したのです。それをきっかけにして両親は新興宗教にのめり込むようになります。 ちひろは救われましたが、その一方で姉が家を出てしまったことや、叔父夫婦からの「目を覚ませ」と繰り返し訴えかけられていることからは、本人たちは納得していても宗教にのめり込む姿が他者からは「異様」であることがわかります。 「引っ越すたびに小さくなってゆく家」や「その中で存在感を放つ仏壇」というあたりに、身を削って(生活を犠牲にしながら)帰依している両親の姿が浮かび上がります。 物語冒頭にあった「水すりかえ事件」からもわかるように、まさに鰯の頭も信心からで、プラセボ効果ではありませんが、信じていることが力になるということもあると思います。また、これまで自分たちがつぎ込んできたお金や時間が無駄ではなかったと思いたいがために、宗教を否定する人に反発するということもあるでしょう。ちひろの両親の姿は「もしかして、自分たちが信じている宗教は本物ではないのかもしれない」という疑念に気づかないふりを必死でしているようにも見えます。 ちひろ自身も友達からの質問には「騙されていない」と 即答するものの、他人から見た自分たちが「異質」であることには気が付いています。 作品の結末では、ちひろやちひろの家族がこれからの人生でどのような選択をするのか(宗教を抜けるのかどうか)は描かれておらず、どちらかというと尻切れトンボのような印象です。このまま宗教に囚われるのか、ちひろだけがぬけだしていくのか、家族全員で「復帰」するのか。意見の分かれる所でもあります。 現実的なところでいえば、一度入った宗教を抜け出すことは簡単ではないと思います。世間からは白い目で見られるでしょうし、信者仲間からは「裏切者」と疎外されることになるでしょうから、その「恐怖」を考えると「宗教を信じている自分」を変えることは難しいのではないかと思います。 公共の福祉に反しない限りは、信仰の自由は憲法で認められた権利ですから他人があれこれ言うべきことではありません。それでも、「当事者が『幸せ』」でない場合は何らかの洗脳・詐欺的な要素があることが推察されますし、その状況は改善しなければならないでしょう。一方で何をもってその当事者の幸/不幸を判断するのか、という問題もあります。 一朝一夕に答えが出ることのない問題を具体的に想起して考えることができる、という点では、本作の「不透明」な結末は効果的なのかもしれません。
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これはなかなかにキツイ。 我が子のために入信した新興宗教、そして日々は流れる。 圧倒的な「悪」の不在がここまで悲しく辛いのか。 何かを信じるのは我々に与えられた自由ではあるが、それにしてもこの展開は何なのか。 親と子ですら、いいや親と子だからこそ分かり合えないとなるのか。どこまで...
これはなかなかにキツイ。 我が子のために入信した新興宗教、そして日々は流れる。 圧倒的な「悪」の不在がここまで悲しく辛いのか。 何かを信じるのは我々に与えられた自由ではあるが、それにしてもこの展開は何なのか。 親と子ですら、いいや親と子だからこそ分かり合えないとなるのか。どこまでも深読みできるだけにあらゆる可能性を考えてしまう。 淡々としているだけにキツイ作品だった。
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映画を観たあと、原作も読んでもっと深く味わってみたい!と手に取った。でも読みながら頭の中でもう一度映画を観てるような感じになっちゃって、岡田将生くん本当腹立つー!黒木華ちゃん怖すぎるわってなってました。映画ほぼ原作通りでした。素晴らしい。 しかしながら、映画ほどは不穏さを感じな...
映画を観たあと、原作も読んでもっと深く味わってみたい!と手に取った。でも読みながら頭の中でもう一度映画を観てるような感じになっちゃって、岡田将生くん本当腹立つー!黒木華ちゃん怖すぎるわってなってました。映画ほぼ原作通りでした。素晴らしい。 しかしながら、映画ほどは不穏さを感じなかった。ちひろの親への愛の方ずっと印象に残る。 思春期前の子どもって親から何をされようが親を愛してしまうよね。愛しているから、盲信する。でも気付いてしまった。だけど信じたい、愛してるから。 ちひろの両親はもちろんちひろを愛しているのだろうけど、ちひろのことを本当に見ているのかな、ちひろからのその愛に気付いているのかな、気付いたのかな。 最初にこちらを読んでいたらまた感じ方が違ったかもと思うと、先に読んでみたかったなー。
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心情を会話で伝える天才 表世界ではクラスメートのやり取りが面白いのに対して、『〇〇なのだ』と会員集会でずっと使用させる語尾に憂鬱感を感じる。半々なまま生きる主人公 両面のバランスを物心付く以前から身につけ、助けの手があと僅かで届かず、年齢的に精神的に分岐点のところで話が終わる 最...
心情を会話で伝える天才 表世界ではクラスメートのやり取りが面白いのに対して、『〇〇なのだ』と会員集会でずっと使用させる語尾に憂鬱感を感じる。半々なまま生きる主人公 両面のバランスを物心付く以前から身につけ、助けの手があと僅かで届かず、年齢的に精神的に分岐点のところで話が終わる 最後の情景と3人の心情が綺麗と怖いが混在する不気味な最後。見方を変えれば世界も変わって見える比喩かと感じた。
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宗教二世のお話。 今村夏子さんの本は初めて読んだ。 ずっと不穏というか、不気味な感じが続いていたけれど、さらさらと読める読みやすい文章だなと感じた。いくつか感想を読みましたが、これが今村さんの作風なのですね。 そして会話も印象的。オウム返しが続いて会話がまっすぐ進まない感じが...
宗教二世のお話。 今村夏子さんの本は初めて読んだ。 ずっと不穏というか、不気味な感じが続いていたけれど、さらさらと読める読みやすい文章だなと感じた。いくつか感想を読みましたが、これが今村さんの作風なのですね。 そして会話も印象的。オウム返しが続いて会話がまっすぐ進まない感じが、子供の会話をとても上手く表現されているなと思った。
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最後の会話が示唆するところがよくわからず、映画も見たけど、原作とは違う会話で、結局わからなかった。 何かを純粋に信じる人って、100%善良な人なのかなと思う。 水の効果を1%も疑わずに、そこから宗教にのめり込むなんて、愛する我が子のためとはいえ、逆にちーちゃんの重荷になっている...
最後の会話が示唆するところがよくわからず、映画も見たけど、原作とは違う会話で、結局わからなかった。 何かを純粋に信じる人って、100%善良な人なのかなと思う。 水の効果を1%も疑わずに、そこから宗教にのめり込むなんて、愛する我が子のためとはいえ、逆にちーちゃんの重荷になっていることに気づかない。 雄三おじさんやまーちゃんの行動は切なくなる。優しい親戚や友達がいて良かった。 結局、ちひろも両親もどう変わっていくのか、変わらないのかわからないけど、だからこそ、心に残った。
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愛情が深いがために宗教にはまった両親。徐々に経済的にも乏しくなり、娘への関心も薄くなってゆく。そんな家庭環境で育ったちひろも周りとはちょっとズレてる。でもちひろや両親から不幸さは感じられない。生活が苦しくなろうとも変人扱いされようとも本人達が幸せならそれでいいのでは、とも思えてくる。ちひろも自己肯定感低そうには見えないし、こんな環境でありながらも両親が愛情注いでくれたからなんだろうか。また、なべちゃんや新村くん、春ちゃんの彼氏にあたっては「好きな人が信じる物を一緒に信じたいです」と、避けるどころか受け入れようとしていて、宗教というだけで人を判断しない所はなんか良かった。勧誘してもいないし、直接誰かに迷惑かけてないし。 しかしだんだんと変だということ気づき始める。ラストシーンでは、今までしなかった高校受験の話をしたり、いつまでも夜空を眺めていたり。ちひろも目覚めて、両親もちひろが離れていく事を悟ったのだろうか。今後はどうなるのだろう。 ちひろは天然というかあまり深く物事を考えないタイプなんだろう。それ故に宗教への違和感に気づかないのだが、ちひろを受け入れてくれたり手を差し伸べてくれる人もいるからきっと元々がいい子なんだろう。ちひろのちょっとズレたキャラも良かった。
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キツいわ重いわ気持ち悪いわ、なのに読みやすくてするする読めてしまう。さすが今村夏子さん。 雄三おじさんの家族が切なくて、ほんとどうなることが幸せなんだろうと考えさせられる。
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