星の子 の商品レビュー
少し前に芦田愛菜主演での映画版を観たので、原作を読んでみようと。かなり忠実な映像化だったんだなぁと感心した。 宗教絡みの話なので、原作はもっと怖い描写なんかもあるのかと思っていたけれど、ほぼ映画と同じ。残酷な描写もほとんどなくスラスラ読めた。 高額な物販で資産を失ってゆく家族の様...
少し前に芦田愛菜主演での映画版を観たので、原作を読んでみようと。かなり忠実な映像化だったんだなぁと感心した。 宗教絡みの話なので、原作はもっと怖い描写なんかもあるのかと思っていたけれど、ほぼ映画と同じ。残酷な描写もほとんどなくスラスラ読めた。 高額な物販で資産を失ってゆく家族の様子も、子供の目から描写しているから少しマイルド。 宗教2世の少女をフラットに描いている感じ。 ちひろに学校で話せる友達が1人でもいることや、先生の辛辣な言葉のあと「気にするなよ」と声をかけてくれるクラスメートがいることに、読んでいるこちらが救われた。 卑屈さもなく素直な性格に育ったちひろだからこその事かも知れない。 きっと両親がとても心の綺麗な良い人たちなんだろうなぁ。藁にもすがる思いで信じてしまったものを、その後も否定することもなく盲信してしまう。その子供にとっても抜け出すのが難しい宗教。 この手の話を読むといつも、信じるだけなら他人に迷惑を掛けているわけではないが、子供の人生は尊重してあげてほしいなと思ってしまう。
Posted by
何を信じるか、何が正しいのかは人それぞれ。 読みながら、ああこんな世界観があって少なくとも宗教に救われている人たちが現に存在していて。 でも逆に「2世」と言う言葉があるから、宗教に苦しめられてる人がいることも事実。 なかなか考えさせられる内容でした。 最後どうなって終わるのか...
何を信じるか、何が正しいのかは人それぞれ。 読みながら、ああこんな世界観があって少なくとも宗教に救われている人たちが現に存在していて。 でも逆に「2世」と言う言葉があるから、宗教に苦しめられてる人がいることも事実。 なかなか考えさせられる内容でした。 最後どうなって終わるのかなーと思いましたが、ああそうゆう終わり方なのね!って感じでした。 その後がどうゆう展開になったか気になるけど、読者に考えさせるパターンで終わる終わり方。 読後感はなんか色んなことでモヤモヤして、自分が信じるものに対して考えさせられる気持ちになります。
Posted by
今村さんを読むならこちらを…とおすすめされ読み始めましたが、あれ何だか記憶にあるような…。芦田愛菜ちゃん主演の映画を鑑賞済みだったことを思い出しました。 病弱な娘が特別なお水により健康になったら、やっぱりお水の効果を信じてしまうのでしょうね。雄三おじさんが公園の水と入れ替えても...
今村さんを読むならこちらを…とおすすめされ読み始めましたが、あれ何だか記憶にあるような…。芦田愛菜ちゃん主演の映画を鑑賞済みだったことを思い出しました。 病弱な娘が特別なお水により健康になったら、やっぱりお水の効果を信じてしまうのでしょうね。雄三おじさんが公園の水と入れ替えても気付かないほど信じ込んでしまうのは怖いです。 新興宗教にのめり込む人の理由は様々あるのでしょうが、親が入信している為に無条件に集会に参加させられる子供たちは気の毒です。 新興宗教の上層部は献金で裕福になり一般会員は貧しくなっていく…。そんな場面も見て取れますね。信仰は盲目的な物なのだと改めて思い知らされました。
Posted by
怪しげな宗教にのめり込んでいく両親と子どもの話。 宗教にのめり込んだきっかけは身体の弱い我が子を助けたい思い。 成長とともに子どもにも家族とは別の社会ができ、子ども自身いろいろなことを感じ考える様になる。 家族の価値観は似てくる傾向にはあるだろうけれど、そこは家族と言えど一個人だ...
怪しげな宗教にのめり込んでいく両親と子どもの話。 宗教にのめり込んだきっかけは身体の弱い我が子を助けたい思い。 成長とともに子どもにも家族とは別の社会ができ、子ども自身いろいろなことを感じ考える様になる。 家族の価値観は似てくる傾向にはあるだろうけれど、そこは家族と言えど一個人だから100%同じとはならない。 悲しいかな決別もありうる、そう思う。 怪しげな宗教が絡んではくるけれど、きっとこれはどこにでもある家族の話。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
今村夏子さんの本は3冊目。 今までで一番読みやすく感じたのは、主人公があみ子のように変わっている人じゃなくて普通でフラット(のように見える)だからかな。 病弱だった自分を助けたくて宗教にのめり込んでいった両親。 姉、叔父、クラスメイト、従兄弟…自分の家はおかしいと気付くきっかけはたくさんあった。引っ越す度に家が狭くなったり、両親が身なりに気を遣わなくなったり、自分でおや?と思うこともたくさんあった。 それでも両親は自分を大事にしてくれているし、よその家よりも会話が多く仲がいい。集会では友達もいっぱいいる。 自分の置かれている環境はおかしいんだと突きつけられて涙することがありながらも、高校生になったら家を出るという選択をしないくらいには、今の状況を受け入れている。 とてもフラット(のように見える)だからこそ、底の見えない怖さを感じた。 春ちゃんの彼氏が言った「好きな人の信じるものを知りたい」は、言葉通り受け取れば至極真っ当で。自分の好きな人が好きなものは、自分も好きになりたいし、少なくとも否定はしたくない。当たり前のようにそう思うのに、その対象が「宗教」となると話は変わるのは、それもそう。 家を出たお姉ちゃんが幸せだったらいいな。
Posted by
今村夏子さんの作品を初めて読みました。わりと好きです。多感な少女期の主人公ちひろの成長を通じて、両親が心と暮らしを捧げている宗教について深掘りしていく話。終始それほど悲壮な表現がないので淡々と読めますが、その分、ちひろやちひろの姉のまーちゃん、クラスメイトや親戚たちとの会話の節々...
今村夏子さんの作品を初めて読みました。わりと好きです。多感な少女期の主人公ちひろの成長を通じて、両親が心と暮らしを捧げている宗教について深掘りしていく話。終始それほど悲壮な表現がないので淡々と読めますが、その分、ちひろやちひろの姉のまーちゃん、クラスメイトや親戚たちとの会話の節々から垣間見える繊細な感情のやりとりが心に残りました。ラスト終わり方の余韻が切ないです。
Posted by
芦田愛菜が主演して映画化されたことでも話題になった作品です。統一教会の話題がでてから、「宗教二世」という視点からも注目されたのではないでしょうか。 主人公のちひろは幼い頃は虚弱で、両親は手段を選ばずに娘の健康のために奔走しました。その中で出会った「金星のめぐみ」という有難い水の...
芦田愛菜が主演して映画化されたことでも話題になった作品です。統一教会の話題がでてから、「宗教二世」という視点からも注目されたのではないでしょうか。 主人公のちひろは幼い頃は虚弱で、両親は手段を選ばずに娘の健康のために奔走しました。その中で出会った「金星のめぐみ」という有難い水の効能で、ちひろの不調は見事に改善したのです。それをきっかけにして両親は新興宗教にのめり込むようになります。 ちひろは救われましたが、その一方で姉が家を出てしまったことや、叔父夫婦からの「目を覚ませ」と繰り返し訴えかけられていることからは、本人たちは納得していても宗教にのめり込む姿が他者からは「異様」であることがわかります。 「引っ越すたびに小さくなってゆく家」や「その中で存在感を放つ仏壇」というあたりに、身を削って(生活を犠牲にしながら)帰依している両親の姿が浮かび上がります。 物語冒頭にあった「水すりかえ事件」からもわかるように、まさに鰯の頭も信心からで、プラセボ効果ではありませんが、信じていることが力になるということもあると思います。また、これまで自分たちがつぎ込んできたお金や時間が無駄ではなかったと思いたいがために、宗教を否定する人に反発するということもあるでしょう。ちひろの両親の姿は「もしかして、自分たちが信じている宗教は本物ではないのかもしれない」という疑念に気づかないふりを必死でしているようにも見えます。 ちひろ自身も友達からの質問には「騙されていない」と 即答するものの、他人から見た自分たちが「異質」であることには気が付いています。 作品の結末では、ちひろやちひろの家族がこれからの人生でどのような選択をするのか(宗教を抜けるのかどうか)は描かれておらず、どちらかというと尻切れトンボのような印象です。このまま宗教に囚われるのか、ちひろだけがぬけだしていくのか、家族全員で「復帰」するのか。意見の分かれる所でもあります。 現実的なところでいえば、一度入った宗教を抜け出すことは簡単ではないと思います。世間からは白い目で見られるでしょうし、信者仲間からは「裏切者」と疎外されることになるでしょうから、その「恐怖」を考えると「宗教を信じている自分」を変えることは難しいのではないかと思います。 公共の福祉に反しない限りは、信仰の自由は憲法で認められた権利ですから他人があれこれ言うべきことではありません。それでも、「当事者が『幸せ』」でない場合は何らかの洗脳・詐欺的な要素があることが推察されますし、その状況は改善しなければならないでしょう。一方で何をもってその当事者の幸/不幸を判断するのか、という問題もあります。 一朝一夕に答えが出ることのない問題を具体的に想起して考えることができる、という点では、本作の「不透明」な結末は効果的なのかもしれません。
Posted by
これはなかなかにキツイ。 我が子のために入信した新興宗教、そして日々は流れる。 圧倒的な「悪」の不在がここまで悲しく辛いのか。 何かを信じるのは我々に与えられた自由ではあるが、それにしてもこの展開は何なのか。 親と子ですら、いいや親と子だからこそ分かり合えないとなるのか。どこまで...
これはなかなかにキツイ。 我が子のために入信した新興宗教、そして日々は流れる。 圧倒的な「悪」の不在がここまで悲しく辛いのか。 何かを信じるのは我々に与えられた自由ではあるが、それにしてもこの展開は何なのか。 親と子ですら、いいや親と子だからこそ分かり合えないとなるのか。どこまでも深読みできるだけにあらゆる可能性を考えてしまう。 淡々としているだけにキツイ作品だった。
Posted by
映画を観たあと、原作も読んでもっと深く味わってみたい!と手に取った。でも読みながら頭の中でもう一度映画を観てるような感じになっちゃって、岡田将生くん本当腹立つー!黒木華ちゃん怖すぎるわってなってました。映画ほぼ原作通りでした。素晴らしい。 しかしながら、映画ほどは不穏さを感じな...
映画を観たあと、原作も読んでもっと深く味わってみたい!と手に取った。でも読みながら頭の中でもう一度映画を観てるような感じになっちゃって、岡田将生くん本当腹立つー!黒木華ちゃん怖すぎるわってなってました。映画ほぼ原作通りでした。素晴らしい。 しかしながら、映画ほどは不穏さを感じなかった。ちひろの親への愛の方ずっと印象に残る。 思春期前の子どもって親から何をされようが親を愛してしまうよね。愛しているから、盲信する。でも気付いてしまった。だけど信じたい、愛してるから。 ちひろの両親はもちろんちひろを愛しているのだろうけど、ちひろのことを本当に見ているのかな、ちひろからのその愛に気付いているのかな、気付いたのかな。 最初にこちらを読んでいたらまた感じ方が違ったかもと思うと、先に読んでみたかったなー。
Posted by
心情を会話で伝える天才 表世界ではクラスメートのやり取りが面白いのに対して、『〇〇なのだ』と会員集会でずっと使用させる語尾に憂鬱感を感じる。半々なまま生きる主人公 両面のバランスを物心付く以前から身につけ、助けの手があと僅かで届かず、年齢的に精神的に分岐点のところで話が終わる 最...
心情を会話で伝える天才 表世界ではクラスメートのやり取りが面白いのに対して、『〇〇なのだ』と会員集会でずっと使用させる語尾に憂鬱感を感じる。半々なまま生きる主人公 両面のバランスを物心付く以前から身につけ、助けの手があと僅かで届かず、年齢的に精神的に分岐点のところで話が終わる 最後の情景と3人の心情が綺麗と怖いが混在する不気味な最後。見方を変えれば世界も変わって見える比喩かと感じた。
Posted by