みみずくは黄昏に飛びたつ の商品レビュー
ノーベル文学賞きっかけに村上春樹に対して色々と思うところがある人たちの意見が噴き出しまくりだった様子を眺めていたら川上未映子が村上春樹にインタビューしたものをまとめた本があると知ったので読んでみた おもしろかった~!村上春樹の創作というか文学や文壇というものやフィクションや物語と...
ノーベル文学賞きっかけに村上春樹に対して色々と思うところがある人たちの意見が噴き出しまくりだった様子を眺めていたら川上未映子が村上春樹にインタビューしたものをまとめた本があると知ったので読んでみた おもしろかった~!村上春樹の創作というか文学や文壇というものやフィクションや物語と現実世界の政治的な主張の絡め方とかも興味深かったし、そのへんは下手にふんわりしたことを言って立場を明確にしないような作家よりもよっぽど芯が通ってること言ってるなと思った 創作に関しては文体や文章についての言及がぶっちぎりで多くて、そりゃ読みやすいと言われるわけだよと納得した。というか本当に文章を書くことへの時間の割き方をかなり意識していて、書くことがそもそもめちゃめちゃ好きなんだろうな… 川上未映子氏は村上春樹氏のファンだというけれど、ちょこちょこオタクっぽいというか過去作の細かいところまで覚えていて何度か村上春樹が『そんなこと書いてたっけ?』って言ってる箇所もあったり、村上春樹の創作スタイルに川上未映子が明らかに戸惑ってるのがおもしろかったな 村上春樹の作品はそこまで好みじゃないかも、という人も面白く読める1冊だと思う
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2024.14 は〜!!!!! おもしろかった!!!!! 川上未映子さんがこのインタビューのためにどれだけの作品を読み調べて準備してきたかを想像もできないほどだけど、ひゅるりと回避したり、ひょいっと拍子抜けするような回答をされる村上春樹さん。困惑する川上さん…ものすごい量の会...
2024.14 は〜!!!!! おもしろかった!!!!! 川上未映子さんがこのインタビューのためにどれだけの作品を読み調べて準備してきたかを想像もできないほどだけど、ひゅるりと回避したり、ひょいっと拍子抜けするような回答をされる村上春樹さん。困惑する川上さん…ものすごい量の会話。本当に面白かった。今の自分の熱量だから読めたけど、長年本棚にしまい込んでいたのはこの熱量がないと読みきれなかったからだと思う。 村上さんの揺るがない柱みたいなものを見た気がしたし、果敢に質問を投げかける川上さんの凄さも見た。 村上春樹作品を全て読んだことはないけど、本棚の奥に並ぶ彼の作品はずっと手離したくない気持ちがあった。 この長い長いインタビューを読んで、私は自信を持って村上春樹という人が好きだなあと思うことができた。 === P83 「悪の形が変わったような気がする」 P89 その行為自体はもちろん「悪」ではあるんだけど、その個人レベルの「悪」を引き出しているのは軍隊というシステムです。国家というシステムが、軍隊という下部システムを作り、そういう個人レベルの「悪」を抽出しているわけです。じゃあ、そのシステムは何かというと、結局のところわれわれが築き上げたものじゃないですか。そのシステムの連鎖の中では、誰が加害者で誰が被害者か定かにはわからなくなってしまう。そういう二重三重性みたいはのは、常に感じています。 P91 「地下へ降りていくことの危うさ」 P97 日本人は自分たちだって戦争の被害者だという意識が強いから、自分たちが加害者であるという認識がどうしてよ後回しになってしまう。そして細部の事実がどうこうというところに逃げ込んでしまう。そういうのも「悪しき物語」の一つの、何というのかな、後遺症じゃないかと思います。結局、自分たちも騙されてたんだというところで話が終わっちゃうところがある。天皇も悪くない、国民も悪くない、悪いのは軍部だ、みたいなところで。それが集合的無意識の怖いところです。 P228 『文体は心の窓である』の章がとても好きだった! P231 こんな失礼なことを言っても発言者が恥じないでいられるのは、わたしが上女性だからです。 P231 男性中心的な文芸の評価 P232 文体ということですごいなあと思うのはなんといってもサリンジャーですね。〜フラニーとズーイのすごさはキャッチャーインザライのスタイルをそっくり全部捨てて、その小説のために新たな文体をほとんど特注でこしらえているということです。過去の文体をほとんど流用していない。それってまず、驚異的な労働量です。 P334 結局ね、小説に直接的な形で書き込むというのは、たとえ動機がどうであれ、事件に遭った人々を小説的に利用していることになります。気の毒な目に遭われた人々をフィクションの形でそのまま利用したくない。 P334 もしやるとしたら、むしろスピーチみたいなものの中でやった方がいい。実際に自分の声を発するスピーチとして、前にいる人たちに直接語りかけたいです。すっきりとステートメントということにしたい。そのほうが僕としても責任が取りやすいから。これまでも、エルサレム賞のときもそうだし、バルセロナのカタルーニャ国際賞のときも、ベルリンのウェルト文学賞のときも、僕としては同時代的な、それなりにポリティカルなメッセージを発信してきたつもりです。反発ももちろんあったけど、受け入れる人はちゃんと受け入れてくれた。「よく言ってくれた」と。 P337人類の歴史のなかで、物語の系譜が途切れたことはありません。僕の知る限り、ただの一度もない。だから、フランソワ・トリュフォー監督の『華氏451』だっけ。レイ・ブラッドベリが原作の。どれだけ本を焼いても、作家を埋めて殺しても、書物を読む人を残らず刑務所に送っても、教育システムを潰して子供に字を教えなくても、人は森の奥にこもって物語を語り継ぐんです。それが善き物語でさえあれば。
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訊く・川上未映子・・・イヤイヤ語るし 語る・村上春樹・・・確かに語ってる 結構長くて、読むのが大変 それにしても、川上さんの記憶量の半端ないこと
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物語の解説だったり意味を探すのはあまり好きではないのだけど、村上春樹さんの小説を書くことが好きという気持ちやストイックさを言葉で触れられて嬉しかったです。 川上未映子さんの質問力も素晴らしくて圧倒されました。 「何度も何度も噛み直せて、噛み直すたびに味がちょっとずつ違ってくるよ...
物語の解説だったり意味を探すのはあまり好きではないのだけど、村上春樹さんの小説を書くことが好きという気持ちやストイックさを言葉で触れられて嬉しかったです。 川上未映子さんの質問力も素晴らしくて圧倒されました。 「何度も何度も噛み直せて、噛み直すたびに味がちょっとずつ違ってくるような物語を書きたい。」 何度も何度も読んでも、毎回心に響くすごさ、感じています。 インタビューを終えて、の短い文章がやっぱり一番好きでした。
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読み始めて、即、星5確定。 対談形式の本って、ちょい読みにくい面があるのが常。この本は、そんな事が全くない。しかも無駄な言葉が全くないので、集中しないと読めない。 川上さんの質問に無駄がなさすぎて… これは…ちょっと… 集中しないと… 因みにまだ40ページのところ。のけぞる...
読み始めて、即、星5確定。 対談形式の本って、ちょい読みにくい面があるのが常。この本は、そんな事が全くない。しかも無駄な言葉が全くないので、集中しないと読めない。 川上さんの質問に無駄がなさすぎて… これは…ちょっと… 集中しないと… 因みにまだ40ページのところ。のけぞる。 騎士団長殺しの制作話しが多めなので、騎士団長殺しをまだ読んでない人は、読んだ後の方が良い。 230ページくらいまで来た。 川上未映子さん…スゴい。インタビュアーだから村上春樹さんのファンであるのもまぁ当然なのかもだけど、村上作品の読み込みが…スゴすぎる… 春樹さんに春樹作品の詳細を説明して思い出させたり笑 読んでいて、川上さんにも惹かれていく。村上春樹ファンとしてのシンパシー… 川上未映子さんの本もスゴく興味が湧いてる。 早く読みたい 第四章の前まできた。 いろんな作品に言及してるけど、読んだのも読んだ事を思い出せないものもふむふむと読める。 そして、沸々と再読したくなる。 読了 うん、面白かった。 小説家の小説家たる力強さを感じた。 小説の読者は、善なる闘いを受け止め、伝播する義務もあるのかもしれない…
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村上春樹作品のファンであれば、のけぞるほど面白く感じるのだろうな。 そして彼の潜在意識を掘り起こす役割が川上未映子。 彼女は根っからの村上ファンだとみえて、彼の作品のことを驚くほど調べている(作品を読んで知っている)。才女だと感じさせてくれた。 彼の作品に多い比喩について。 比...
村上春樹作品のファンであれば、のけぞるほど面白く感じるのだろうな。 そして彼の潜在意識を掘り起こす役割が川上未映子。 彼女は根っからの村上ファンだとみえて、彼の作品のことを驚くほど調べている(作品を読んで知っている)。才女だと感じさせてくれた。 彼の作品に多い比喩について。 比喩とは、意味性を浮き彫りにするための落差。だからその落差のあるべき幅を、自分の中で感覚的にいったん設定しちゃえば、ここにこれがあってここから落差を逆算していって、だいたいこのへんだなあっていうのが、目分量でわかります。逆算するのがコツなんです。ことですとんとうまく落差を与えておけば、読者ははっとして目が覚めるだろうと。読者を眠らせるわけにはいきませんから。 さび 優れたパーカショニストは一番大事な音を叩かない。それはすごく大事なことです。 リアリティ 本当のリアリティっていうのは、リアリティを超えたものなんです。事実をリアルに書いただけでは、本当のリアリティにはならない。もう一段差し込みのあるリアリティにしなくちゃいけない。それがフィクションです。 物語の原則 リンカーン曰く、ものすごくたくさんの人間を一時的に欺ぐことはできるし、少ない数の人間を長く欺くこともできる。しかしたくさんの人間を長く欺くことは出来ない。それが物語の基本原則。だからヒトラーだって、結局は十年少ししか権力を持ち続けられなかった。麻原だって十年も続かなかった。「善き物語」と「悪しき物語」を峻別していくのは、多くの場合時間の役目。そして長い時間にしか峻別できないものもある。 善なるものというのは多くの場合、理解したり噛み砕いたりするのに時間がかかるし、面倒で退屈な場合が多い。でも、「悪しき物語」というのはおおむね単純化されているし、人の心の表面的な層に直接的に訴えかけてくる。ロジックがはしょられているから、話が早くて、受け入れすい。だから汚い言葉を使ったヘイトスピーチのほうが、筋の通った立派なスピーチより素早く耳に入ってくる。 小説に対するスタンス 頭の良すぎる人が書いた小説は枠組みが透けて見えることが多い。読んでいても、正直あまり面白くない。理が勝っているから、一方通行のステートメントになってしまう。批評家はいちおう褒めるけど、読者はつかない。もちろんあんまりバカでも書けない。 なるほど、学ぶことは多かった。
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川上未映子の細かい質問も村上春樹の持ってまわったような回答も、その多くはなんかかっこばっかり気にしていてかしこぶってるというか、漠然として頭でっかちな話に終始していて、面白くもないし大した示唆も得られないのだが、第四章でようやくフィジカルな話に踏み込んでからは面白く読むことができ...
川上未映子の細かい質問も村上春樹の持ってまわったような回答も、その多くはなんかかっこばっかり気にしていてかしこぶってるというか、漠然として頭でっかちな話に終始していて、面白くもないし大した示唆も得られないのだが、第四章でようやくフィジカルな話に踏み込んでからは面白く読むことができた。
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川上さんすごい勉強しているなと思った。 あとは顔写真付作家とか言われているのは笑った。上手い事言う人がいたもんだ。
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読みたいリストより。文庫化を待望していた。 興味深かった、長編を何回も読もうと思った。「職業としての…」は未読なので読みたい。
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聞き手が頭のいいひとだということが、読めばすぐわかってきます。 通り一遍の聞き方、どこかで読んだことのある話、 「おもしろいネタ」として取材された内容の薄い文章に慣れた目には、とても新鮮です。 聞き手の力で、ここまでいろいろな切り口で新しい話が聞けるのだ、ということがよくわかりま...
聞き手が頭のいいひとだということが、読めばすぐわかってきます。 通り一遍の聞き方、どこかで読んだことのある話、 「おもしろいネタ」として取材された内容の薄い文章に慣れた目には、とても新鮮です。 聞き手の力で、ここまでいろいろな切り口で新しい話が聞けるのだ、ということがよくわかります。 聞き手、といっても同業者。さらに、弟子でも師匠でもない関係で、しかも性別が違うふたり。 直近の作品を題材にしながらも、昔の作品の出たとき当時の話も絡んできます。村上さんがこれまで発表してきた作品を取り上げ、当時の状況を語っています。 ありがちだけど、この本でしか読めない。 貴重な一冊です。
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