紙の動物園 の商品レビュー
表題作。母の愛情を死後に知る哀しくも美しい作品に涙が…ん?ちょっと待てよ…そもそもこの母親はアメリカに渡りアメリカ人と結婚して子供を設けたのであれば、なぜ英語の勉強をしなかったのだろう?夫も息子もそれを望んでいたのに…親戚付き合い、近所付き合い、ママ友など、英会話は必須なはず。郷...
表題作。母の愛情を死後に知る哀しくも美しい作品に涙が…ん?ちょっと待てよ…そもそもこの母親はアメリカに渡りアメリカ人と結婚して子供を設けたのであれば、なぜ英語の勉強をしなかったのだろう?夫も息子もそれを望んでいたのに…親戚付き合い、近所付き合い、ママ友など、英会話は必須なはず。郷に入っては郷に従え。アメリカで生活する覚悟が出来ていないとしか思えなかった。そのことに反発する息子。反抗期も重なっただろう。それを自分の死後に辛かったと息子に打ち明けるのはどうかと思う。「孝行したい時に親は無し」というフレーズも間接的ではあるが書かれている。息子を後悔させ、悲しませるだけのメッセージ。仮に日本人の母親だったと考えると、日本人のメンタリティとしては有り得ない。愛する息子を悲しませないために、自分だけの胸に仕舞ったまま旅立つと思う。
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ケン・リュウ「紙の動物園」読了。特に、”結縄”が良かった。少数民族に伝わる縄の結び目で記録を残すというアイディアが面白く、それがまさかのアミノ酸配列から、タンパク質のフォールディングに繋がるとは。ストーリー展開の巧妙さに関心した。あと”文字占い師”も漢字の解釈が面白かったな。
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文化的背景を元にした葛藤を題材に扱った作品とSFが収められた短編集。 収められている7編の小説のうち、「紙の動物園」「月へ」「太平洋横断海底トンネル小史」「文字占い師」はSF要素があるものの文化的背景による葛藤が主題となっているように感じた。残りの「結縄」「心智五行」「愛のアルゴリズム」ではSFがメインなようだった。「愛のアルゴリズム」以外の作品では中華的な文化が話の大筋に組み込まれそれによる葛藤も描かれるが、「愛のアルゴリズム」だけは語弊があるかもしれないが、ある意味この短編集の中で一番読みやすさのある作品なように感じた。 「紙の動物園」は母の愛を描いた作品だった。話の筋だけをなぞると、母と仲違いしたまま母を亡くしてしまった息子が母の残した手紙を読んで母の想いを知るという一見するとよくあるような話だが、欧米的なloveではなくアジア的な愛を描いていたり、癌の痛みや老虎のメタファーなど細かい要素が随所に散りばめられているのがよかった。 「月へ」は月に手を伸ばした親子の話だった。間に挿入される例え話と主人公の過去が秀逸で、正しいこととは何かを問われる話だった。 「結縄」と「心智五行」は温故知新が主題となっているが、昔のものもそのままでいいのかという疑問が提示されていた。 「愛のアルゴリズム」は人は情報とシステムしかないのではないかということを投げかけるSFで、面白かったが他の作品と比べてらしさは感じなかった。 「太平洋横断海底トンネル小史」と「文字占い師」は他の作品とは一線を画すように感じた。あまりこのレビューの陳腐な言葉で表現したくないが、人の温かさが秘密を守りにくくする話だった。特に「文字占い師」ではこの世界の真理を知っていた人がその真理によって排除されていくむごさが筆舌に尽くしたかった。 全体を通し、民族、文化、感情といった割り切れないものに目を向けた小説だったと思う。すごいものを読んだという読後感が強く残った。
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最近読んだ中ではかなり良かった本。すぐに二冊目も購入。どの作品も物語として興味深く、また考えさせられる内容。
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短編集。 ・紙の動物園 ・月へ ・結繩 ・太平洋横断海底トンネル小史 ・文字占い師 七編のうち、四編読めた。 表題の「紙の動物園」は中国人母はなぜ英語を勉強しなかったのだろう、と疑問だけ残った。息子と離したいのであれば、中国語でも英語でも話せるようになれば良かったのに。 どの話も...
短編集。 ・紙の動物園 ・月へ ・結繩 ・太平洋横断海底トンネル小史 ・文字占い師 七編のうち、四編読めた。 表題の「紙の動物園」は中国人母はなぜ英語を勉強しなかったのだろう、と疑問だけ残った。息子と離したいのであれば、中国語でも英語でも話せるようになれば良かったのに。 どの話も少し不思議で、この世界観に浸れたら楽しむことができたのだろうと思うけれど、自分自身はハマらなかった。 文字占い師の話も途中で挫折。後の話もよく分からなかった。
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とにかく密度の濃い短編集で、何回も読み返した。サラッと読み流しちゃいけない気がして。薄い本だから一気に読めそうだし、一気に読める。でも行間を読まなきゃいけない本もある。何度も読みたい桜の春に。
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お気に入りは『心智五行』と『愛のアルゴリズム』 SFで切ない読後感の話が多かった SFのすでにある技術からも引き起こされるような問題の話や現実と地続きな歴史の問題の話があって、考えさせられる
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紙の動物園が1番わかりやすいが、その他の短編も悪くない。けどそれ私は中国風味をやや苦手としており、今後の付き合い方は考えたい。
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面白かった。 読解力が足りたいのか、読みづらいところもあったが、独特な世界観と読後感が心地よい。 歴史観、SFの世界観と登場人物の心情をオーバーラップさせる技術がすごい。
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特に最後の話で、中国、台湾、香港、そして日本の植民地支配の歴史を知れば知るほど、どれだけ悲惨な過去を持ってるんだと思わずにはいられなかったな…… 短編集だったんだけど、実際に中国語には翻訳されてない短編も含まれていて今でもタブーとみなされるものは多いんだなと思った あとテッド・...
特に最後の話で、中国、台湾、香港、そして日本の植民地支配の歴史を知れば知るほど、どれだけ悲惨な過去を持ってるんだと思わずにはいられなかったな…… 短編集だったんだけど、実際に中国語には翻訳されてない短編も含まれていて今でもタブーとみなされるものは多いんだなと思った あとテッド・チャンの「あなたの人生の物語」の中に入っていた「ゼロで割る」と「愛のアルゴリズム」が似てるな〜と思ってたんだけど、最後に影響受けてるって書いてて、やっぱり〜て思えたのが嬉しかった 非情城市、ずっとフィルマークスのみたいリストに入ってるんだが、これを機にみようかな
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