火花 の商品レビュー
Audibleで最後まで聴いてから、書籍をお迎えしました。耳で出会った貴方と文字でお目にかかった貴方では印象が変わりました。 それはまるで多くの方に好印象である大勢の中のひとりから、折り目正しく精錬された丁寧なかけがえのないひとりだというかのように。 ええ、好きです。この文体...
Audibleで最後まで聴いてから、書籍をお迎えしました。耳で出会った貴方と文字でお目にかかった貴方では印象が変わりました。 それはまるで多くの方に好印象である大勢の中のひとりから、折り目正しく精錬された丁寧なかけがえのないひとりだというかのように。 ええ、好きです。この文体。文章。言葉。思い。生きている登場人物たち。生を感じる。なんて逞しく艷やかなのでしょう。 “だけどな、それがそいつの、その夜、生き延びるための唯一の方法なんやったらやったらいいと思うねん。 ーあれ、ゆっくりな自殺に見えるねん。 ー面白くないからやめろって。” 《芥川龍之介への手紙》 “道徳は便宜の異名である。「左側通行」と似たものである。” “書くことに没入していく。その瞬間、すべての雑音や雑念が消滅する。” “今僕が抱えている個人的な動揺は、数年後の僕にとっては些細なものになるでしょう。” その言葉たちが心を楽にしてくれます。
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風景描写や人物描写がとても良くて、話の流れもテンポが良く読みやすかったが、終わり方が少し自分には合わなかった。
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中国の空港に置き忘れた。 大体は御縁がなかったなあと忘れてしまうけど、上海空港のきもちのいい朝日のなかで(案外空が澄んでいてた)惜しい事をした、と思ったのでまた手に取る。 又吉さんのYouTubeをよく拝見してておもろい兄さんの小説が読みたかった。 主人公の男の子やっぱり又吉さん...
中国の空港に置き忘れた。 大体は御縁がなかったなあと忘れてしまうけど、上海空港のきもちのいい朝日のなかで(案外空が澄んでいてた)惜しい事をした、と思ったのでまた手に取る。 又吉さんのYouTubeをよく拝見してておもろい兄さんの小説が読みたかった。 主人公の男の子やっぱり又吉さんそっくりで、うっざい自意識を作品に昇華させてうっざい情熱を言葉でぶつけて美しかった〜
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芸人があの又吉が書ける作品だとは、恐らく作者を知らずに読んだ人はビックリするだろう。 神谷という最後まで自分を貫く芸人と、徳永という彼を崇拝する芸人。芸人の師弟関係の良さを垣間見ることが出来た。あと芸人は普段からこんな掛け合いばかりしてるのだろうかと、リアリティもあり素晴らしい作...
芸人があの又吉が書ける作品だとは、恐らく作者を知らずに読んだ人はビックリするだろう。 神谷という最後まで自分を貫く芸人と、徳永という彼を崇拝する芸人。芸人の師弟関係の良さを垣間見ることが出来た。あと芸人は普段からこんな掛け合いばかりしてるのだろうかと、リアリティもあり素晴らしい作品でした。 星4なのはあと1つ大きな山か谷か、せめて神谷が救われる物語であってほしかった。
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芥川賞を受賞した後だったと思うが、単行本がぽつんと実家にあった。読んだような記憶がある。でも、この作品タイトルを想起すると、脳内には桐谷健太と菅田将暉の映像がかすかに浮かぶから、原作は読んでおらず、映画を見たのかもしれない。いずれにせよ心が動いたからそういう記憶が残っているのだろ...
芥川賞を受賞した後だったと思うが、単行本がぽつんと実家にあった。読んだような記憶がある。でも、この作品タイトルを想起すると、脳内には桐谷健太と菅田将暉の映像がかすかに浮かぶから、原作は読んでおらず、映画を見たのかもしれない。いずれにせよ心が動いたからそういう記憶が残っているのだろう。だが、原作を読んだのか、映画を見たのか。これは非常に重要で、覚えていないとは由々しき事態である。 だから、数年ぶりに手に取った。 その前に、東京百景を読んだ。すごく面白かった。著者の「肥大した自意識」という表現はすごく刺さった。おこがましいが、自分は著者に似ているのだと感じた。 そして、この作品を読んだ。面白かった。泣いた。東京百景を読んでから読むと、なおさらよかった。著者の人生観が大いに壮大に厳かに描かれた作品だと思った。 「ぶっ飛んだ」先輩芸人・神谷を恐れながら愛する主人公・徳永は、神谷の行動や言葉に感化されながらも、自分は神谷にはなれないと思う。常識が、自意識が、邪魔をする。それでも、徳永は次第に売れ始める。自分が好きだと思えるものを少し変えてでも、世間を読んで、商品として喜んでもらえる漫才を提供する術を得たからだ。でも、そのネタを見て神谷は笑わなかった。 しばらく神谷とは会わなくなり、相方からは解散を切り出された。ラストライブ。泣きながら「死ね!」と連呼する徳永は、やっと、漫才師になれたのだと思う。 このラストライブの場面は、それまでの落ち着いた、暗い世界観から一転し、颯爽と駆け抜けるようなスピード感で読まされる。この瞬間瞬間に、命を感じた。だから、涙が溢れたのだと思う。 文学のことはよくわからない。本が好きで、読んでいるだけだから、歴史や巨匠と呼ばれる人のことはよく知らない。 でも、あらためて、それでも本が好きだ!と言いたくなるような、作品だった。
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自分は芸人ではないし、登場人物との性格もかけ離れているから共感できるような部分は少なかったが、登場人物が大きな成功をする訳でもないから恐らく芸人のリアルに近いんだろうなと思った。ラストの神谷とのやり取りからも、突飛で奇抜な個性に憧れ、しびれる一方で、世間からズレては不快な人間になり得るのだという生々しさをひしひしと感じた。
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芥川賞受賞作品がどのような物なのか そして自分がテレビで見ていたあの人が書く文章はどのような物なのか、そんな好奇心で読み始めた 芥川賞がどういった賞なのか それを深く知る訳でも、調べるまでもなく 最後まで読み進めて感じたことは 「芥川賞も誰かが評価した作品にすぎない」 というこ...
芥川賞受賞作品がどのような物なのか そして自分がテレビで見ていたあの人が書く文章はどのような物なのか、そんな好奇心で読み始めた 芥川賞がどういった賞なのか それを深く知る訳でも、調べるまでもなく 最後まで読み進めて感じたことは 「芥川賞も誰かが評価した作品にすぎない」 ということだった。 つまるところ芥川賞だからといって 「この本、最高だ!」とは直結しないということだ。 勝手な期待値を持っていたからではあるが 火花という作品は面白い本であることは間違いない 今回、芥川賞受賞後の本であったため 芥川龍之介に向けての文も書き加えられていた。 そこが最早「火花」という伏線回収だったように思う と、するとなるとこの作品は未完 まだ道の途中であるようにも解釈できる まるで作中の神谷伝記と同様だ そう思うと、やはり人が書く文章は面白い 良い作品と出会えた
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師弟関係と友情。 笑わせる側と笑う側の本質。 漫才師とは何をしていても漫才師。 人間は皆漫才師で気づいていないだけ。 芸人も格闘技も人生変えに来た。リスク 全員がいたからチャンピオンがいるし、極まる。 花火、世間、大企業の強さ、歓声と人間。
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昔読んだとき、あまり面白く感じられなくて本を閉じた。それから数年後、いままた読むと脳の中の喚起されるされる感情や思いが違うのか、「結構好きかも」って思った。 先輩の神谷に自分の理想を重ね、憧れの眼差しと、ときにイライラしながら挑むように見つめるその目が苦しくなる。 最後のコントではテンポよく交わされる言葉に涙腺が刺激され、神谷さんとの再開ではこっちまで混乱して、なんというか芸人としての道や芸人からいわゆる一般人としての道を歩くことを決めたそれぞれの未来を思った。
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表現がすごくよかった。 最後の舞台に出ていくシーンの書き方が情景が浮かんで胸が熱くなった 最後の漫才も泣いた 私は何故か神谷さんをバッテリィズのエースさんを思い浮かべて読みました あとがき?スピーチの原稿も面白かった。 自分が思うことを表現し続けるか、社会に迎合するか これはどの芸術の世界にもあると思った
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