静かな雨 の商品レビュー
タイトル通りの話だと思う。彼女が事故で記憶を一日しか保てなくなってしまうという、どう見ても重たくなりそうな物語なのだが、この作品はそれを悲観的にではなく、まさに静かな雨のようにひたすら静かに、でもじわりと心にしみていくようにゆっくりとした日常を描いている。この世界観が作者の持ち味...
タイトル通りの話だと思う。彼女が事故で記憶を一日しか保てなくなってしまうという、どう見ても重たくなりそうな物語なのだが、この作品はそれを悲観的にではなく、まさに静かな雨のようにひたすら静かに、でもじわりと心にしみていくようにゆっくりとした日常を描いている。この世界観が作者の持ち味なんだろうと思う。ただこれだけ穏やかだと好みはたぶん分かれるとは思うが、たまにこういう起承転結に拘らないしっとりした本に出会うのもアリだなと自分は思う。
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宮下奈都「静かな雨」を読みました。2004年に発表されたデビュー作を加筆修正して昨年末に発行された新刊です。表紙は立派で格調高いですが100ページ程度で1200円と少し高いです。 昨年の4月に娘から借りて読んだ「羊と鋼の森」に感動し、その弾みで「誰かが足りない」「スコーレNO....
宮下奈都「静かな雨」を読みました。2004年に発表されたデビュー作を加筆修正して昨年末に発行された新刊です。表紙は立派で格調高いですが100ページ程度で1200円と少し高いです。 昨年の4月に娘から借りて読んだ「羊と鋼の森」に感動し、その弾みで「誰かが足りない」「スコーレNO.4」と連続で読みました。そして本日、最新刊である「静かな雨」を読んだ次第です。 何気ない日常を描いたたった100ページの作品ですが、せつなさが凝縮している傑作だと思います。もう一回読もう。
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時間も言葉も動きも、ゆっくりな作品。こういう描き方もあるんだなぁ。 本屋大賞後の1作めとしては、満足。満足。 おいしいたい焼き食べたい… 2017/3/12読了
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事故に巻き込まれ、寝ると前日の記憶を失くしてしまうたい焼き屋のこよみと足の不自由な行助のものがたり。だけど、印象に残ったのは、たい焼き屋で愚痴る高校生とこよみのやりとりだったな。
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こよみという名前なのに 一日で記憶がリセットされてしまうこよみさん。 事故以前の記憶は残っているこよみさん。 毎日が絶望で始まりそうだけど、 そんなことないのかな。「 はじめの一歩」という子ども向けの歌のように 毎日、何もかもが新しいのだろうか。 行助の思いはやや空回りな...
こよみという名前なのに 一日で記憶がリセットされてしまうこよみさん。 事故以前の記憶は残っているこよみさん。 毎日が絶望で始まりそうだけど、 そんなことないのかな。「 はじめの一歩」という子ども向けの歌のように 毎日、何もかもが新しいのだろうか。 行助の思いはやや空回りなのでは? と思わなくもないが 全体的に優しいお話でした。 このタイトルはどこからきたのだろう。 行助は松葉杖を使っているから、 雨だとたいへんだろうなと、 いらぬ心配をしてみたりした。
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しっとりゆっくりと静かな雨が、私の上にも降ってきたみたい。じんわり温かい気持ちで読み切った。綺麗な装丁も、ちょうどいい大きさの読み易い字も、心に響く短い文もいい。その人を作っていくものは何だろう。記憶ではない。
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どこかで宮下さんが「羊と鋼の森」と対になっている物語だと言ってたのが気になって図書館で予約。 読んでいて、急に「博士の愛した数式」を読み返してみたくなった。もう10年以上前に読んだので、あまり覚えてないのだけど。今読んだらもっと違うものを感じるんじゃないだろうか。 こよみさん...
どこかで宮下さんが「羊と鋼の森」と対になっている物語だと言ってたのが気になって図書館で予約。 読んでいて、急に「博士の愛した数式」を読み返してみたくなった。もう10年以上前に読んだので、あまり覚えてないのだけど。今読んだらもっと違うものを感じるんじゃないだろうか。 こよみさんが飼っていたリスのリスボンの話。 切ないのに心温まる話だと思っていたら、そんな伏線?になってたなんて。 ゆっくり文字を包み込むように読んだ作品でした。
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+++ 「忘れても忘れても、ふたりの世界は失われない」 新しい記憶を留めておけないこよみと、彼女の存在が全てだった行助の物語。 『羊と鋼の森』と対をなす、著者の原点にして本屋大賞受賞第一作。 +++ 不運な事故で、ひと晩寝ると前の日の記憶を失くしてしまうという脳の障害を負った...
+++ 「忘れても忘れても、ふたりの世界は失われない」 新しい記憶を留めておけないこよみと、彼女の存在が全てだった行助の物語。 『羊と鋼の森』と対をなす、著者の原点にして本屋大賞受賞第一作。 +++ 不運な事故で、ひと晩寝ると前の日の記憶を失くしてしまうという脳の障害を負ったたいやき屋の女性・このみさんと、生まれつき足に麻痺があり、松葉杖が手放せない行助(ユキスケ)の物語。互いのことをほとんど知らない二人だが、行助は好みさんを支えたいと強く思い、このみさんもそれを受け容れ、二人三脚の日々が始まるのである。支えるということの意味や、生きる上で人を形作るものたちのことや、その人そのものの本質というようなことについて、あれこれ考えるようになる行助と一緒に、読者もあれこれ考える。生きていくことについて、しあわせについて、人と人とのかかわりについてなど、静かなトーンの中でいろいろなことを考えさせられる一冊だった。
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静かで味わいのあるラブストーリー。 装丁も含めて自分用とプレゼント用に買いたい本です。 表紙のルノアールの特別席に置かれた花束の絵は静かな雨を連想させる色合いだし、フランス語のlogeは屋台の意味もあってボックス席と屋台をかけてる?ヒロインのこよみさんに渡す花束かな?短いストーリ...
静かで味わいのあるラブストーリー。 装丁も含めて自分用とプレゼント用に買いたい本です。 表紙のルノアールの特別席に置かれた花束の絵は静かな雨を連想させる色合いだし、フランス語のlogeは屋台の意味もあってボックス席と屋台をかけてる?ヒロインのこよみさんに渡す花束かな?短いストーリーなのにいろいろ感じてたくさん心に残りました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
この本・・・めちゃくちゃよかった。 話題になった羊と鋼の方は読んでないのだけど、それよりいいんではないか?って思ったくらい。 文字の大きさもお話の長さもいまの私にはちょうどよくてフィットした。内容ももちろん好き。 この本は手元に置いておきたいなと純粋に思った。 ※気になった箇所 「新しいものやめずらしいものにたくさん会うことだけが世界を広げるわけじゃない。ひとつのことにどれだけ深く関われるかがその人の世界の深さにつながるんだとあたしは思う」 脳に記憶が刻まれなくなっても、日々が何も残していかないわけではなかった。何が、どこに、残るのか。それはわからない。だけど、僕とこよみさんは親しくなった。事故の前より確かに親しくなった。忘れても忘れても育っていく。記憶からはこぼれてもこよみさんのどこかに残って育つものがあるのだ。 たいやきの味はいっそう深みを増している。鍛えられ、磨かれたたいやきがこよみさんを今日から明日へつないでくれる。脳でなくても、舌でなくても、と僕は思う。たいやきがこよみさんの記憶を背負ってくれている。 こよみさんのたいやきは、見た目まで洗練されていきたみたいだ。象形文字のように、きりっと端正で、しかも温かみがある。差し出されたたいやきをひと目見ただけで、たいそうおいしいに違いないという予感が生まれる。
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